辺境鎮守府 狂犬録   作:マキシマムダンガル

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第九話 引き金を引く狂犬

真島は執務室に龍驤を呼び出した

 

「なんや、吾朗ちゃん」

 

「言わんでも分かっとるやろ」

 

「この鎮守府の過去の資料、やな?」

 

龍驤は鋭い目付きで真島を睨んだ

 

「持っとるんやろ」

 

「残念やけど、もう全部燃やしてしもたわ」

 

「なんやと?」

 

「悪う思わんといて、これも渡世の仁義っちゅうやつや」

 

龍驤は真島に不敵な笑みを見せつけた

 

「そこまでする必要はなんや、お前とこの鎮守府の関係はなんや」

 

「あの資料はうちの姉妹達のことが書かれとる」

 

「姉妹?お前姉妹とかおらんやろ?」

 

「まぁ、姉妹言うてもホンマの姉妹とちゃうけどな」

 

龍驤は少し寂しそうな顔になった

 

「型が同じわけやない、ただ、あいつらはうちの事をお姉ちゃんと呼んだ」

 

次第に龍驤の目から涙が溢れ出した

 

「最初は恥ずかしくてたまらんかったけど、段々お姉ちゃんと呼ばれる事に抵抗がなくなって、うちは・・・本当のお姉ちゃんやないけど・・・」

 

龍驤は手を握り締め涙を堪えながら

 

「うちがこいつらのお姉ちゃんになったろう、そう・・・思えたんや・・・」

 

「龍驤・・・」

 

「せやから、妹達が何をしたか、それだけは闇に葬る」

 

龍驤の鋭い眼差しは涙を流していても伝わってくる、その熱い思いが

 

「龍驤、お前が妹達の事を思ってるのは分かった、でもなぁ。それだけの理由で妹達の仇取るんも諦めるっちゅうんか?」

 

「それは・・・」

 

龍驤はおもはず顔を逸らした

 

「己の姉妹の為に命張るんもでけへんほどお前は腰抜けやったんか、戦場の鬼の二つ名は飾りか?」

 

「うちは・・・妹達の為に・・・」

 

「お前もまだまだガキやな」

 

小さく真島は呟くと

 

「せやったら、姉妹の為に自分の命張ったらんかい!」

 

「吾朗ちゃん・・・」

 

「まぁ、それでも嫌っちゅうんやったら、わしもこれ以上は言わん」

 

真島はそう言って、振り返り執務室を出ようとすると

 

「一つだけ、重要資料のコピーがある」

 

顔を俯かせ静かにそういった

 

「どこや?」

 

「司令室の本棚に六法全書があって、それを取り出すとボタンがあるから、後はすぐ分かるわ」

 

真島はそれを聞いて司令室に向かった

 

「ここか、いままで見向きもせえへんかったけど」

 

本棚に並べられた本のなかに六法全書を見つけた

 

「これか」

 

六法全書を取り出すとそこの奥にはボタンがあった

 

「こいつを押せばエエんか」

 

ボタンを押すと本棚が真ん中から開き中には箱がひとつ置いてあった

 

「一々面倒やのぉ」

 

箱を開けると中にファイルが入っている

 

「さてと、見せてもらおうかのぉ」

 

中には二十年前の事件の詳細が書かれている

 

「被害は相当やったらしいな、ん?」

 

資料を眺めていると被害者一覧と書かれた場所を見つけた

 

「加賀、金剛、大和、不知火、吹雪、桐生?」

 

被害者一覧の中に艦娘ではない名前が載っていた

 

「こいつらが姉妹っちゅうことか」

 

見ていると、どうやら敵の襲撃等ではないらしい、どちらかと言うと内部抗争の様な内容が書かれている

 

「もしかして、ヲ級達と何か関係があるんか?」

 

その時、真島の頭の中のあるひとつの考えが浮かんだ

 

「ヒヒヒッ」

 

真島は肩を揺らして笑いを堪えた

 

「龍驤、エエこと思い付いたでぇ、宴の始まりや」




これまで書いております辺境鎮守府 狂犬録
あともう少しで最終回でございます
最後までたった一人でも読んでもらえるように
突っ走っていきますのでよろしくお願いします

次回「狂犬の元に集う」
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