この哀れな暗黒破壊神にも祝福を!   作:鎧武 極

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序章だよ by作者

なぜだ、なぜ俺が負けた!いくつもの作戦を練り、何年も何年も掛けて俺が復活するための準備を整え、奴の力を取り戻させるためにスペースビーストをぶつけたのに、なぜ俺は負けた!?俺の力は最大だった。奴と俺は同じはずなのに、なぜ俺は奴に勝てなかったんだ!?はやり、模造品である俺は奴には一生勝てないのか?所詮作られた俺は、こうやって死ぬのがお似合いってか?そんなことがあってたまるものか!

俺は絶対に生き返ってやる!奴を倒せないとしても、俺は絶対に生き返ってやる!

 

「散々バカにしてきた男に、一緒に連れていかれるってどんな気持ちだ?」

 

あ?なんだこの声。確か、俺はこのまま地獄に落ちる筈なのに、なぜこんな空間にいる。それよりも、あの緑のジャージを着たガキと水色の髪をした女の周りにあるあの光は何だ?一体何が起こっているんだ?

それに宙に浮いているあの天使みたいな女、一体何をしようとしてる?

 

「いやぁー! こんな男と異世界行きなんてああああああ!」

 

異世界だと!?そうか分かったぞ、ここはよく人間が見ている「ライトノベル」とかで死んだ人間が転生するための場所ってわけか!だったら、このチャンスを逃す手はねえ!

 

「その異世界、俺様が貴様の代わりに行ってやるよガキいいいいいいいいいい!!」

 

「うえ! な、なんだあの黒いやつ!」

 

突然の事に驚いたのか、ガキと女と天使みたいなやつは俺の方に顔を向ける。だがもう遅い!俺はすでにガキを光の外に押し出しており、それと同時に光はより一層輝きを増していた。もうすぐ異世界への転送が始まるのだろう。

 

「そ、その黒い体に赤い胸のクリスタル・・・貴方まさか!?」

 

天使の女が気づいたが、既に俺と水色の髪の女は頭上に開いた異世界へのゲートに吸い込まれていた。さあ、再び復活の時だ!

 

「この俺・・・ダークザギの復活だああああああああああああ!!!」

 

そうして、俺と女は異世界へと転生した。さあ、これからは思う存分に暴れさせてもらうぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて思ってた時期が俺にもありましたよ。ええ全く。俺は過去の記憶に浸りながら、なぜあの時女の方を吹き飛ばさなかったのかを非常に後悔している。まさか、かつては多くの人間から恐れられ、世界を恐怖の底へ突き落したこの俺が・・・・・

 

「なにやってるのよザギ! 早くクエストに行くわよ!」

 

あの時俺と一緒に転生された『水の女神(笑)』のアクア。一応女神らしく羽衣を着けてはいるが、その本質はバカの一言もあれば十分なぐらいの超大バカ駄女神である。ちなみに、今一番俺を悩ませている原因の一つはこいつだ。

 

「そうですよザギ! 早くクエストに行かないと、私の爆裂魔法の餌食になるモンスターが減ってしまうではありませんか」

 

全身黒の魔法使いの格好をした赤い眼が特徴のロリっ子のめぐみん。上級職の『アークウィザード』という魔法使いなのだが、使えるのは爆裂魔法の一つのみ。しかも、一発撃ったら一歩も動けなくなるという超欠陥だらけの役立たずの魔法使いだ。こいつもアクア同様、俺を悩ませている原因の一つだ。

 

「安心しろめぐみん。モンスターなら私がすべて引き寄せてやる! だから、いつもより強めの爆裂魔法をモンスターごと私に放ってくれ!」

 

金髪碧眼の鎧騎士のような恰好をした女の名はダクネス。こちらも上級職の「クルセイダー」なのだが、武器は一切使えずに防御だけが取り柄のめぐみん同様超欠陥だらけの騎士だ。しかもこいつ、先の言動から分かるようにマゾヒストだ。しかも「ド」が付く。アクア、めぐみんに続いて俺を悩ませている原因の一つだ。

そんなパーティーメンバーを見て俺はつくづく自分の選択ミスを呪った。そもそも、あそこでアクアを突き飛ばさなかったのが俺の間違いだったのだ。ガキの方――たしかカスマとかそんな名前だったはず(アクア曰く)――だと後々面倒くさい事になるだろうと思って突き飛ばしてしまったが、今思えばガキの方がよかったのかもしれない。すまないカスマ君よ。俺は今日ほど人間に謝ったことはない。

 

「はぁ・・・はいはい行きますよ~」

 

集会所の椅子に座っていた俺は重い体を起こして3人の元へと向かう。窓を見ると、今の俺の体は人間の高校生と同じぐらいの身長と顔つきであり、漆黒の髪に血のように赤い眼が特徴の少年の姿となっていた。これが俺のこの世界での姿だ。

一応冒険者という最弱職をやっている。無論、まさかこの俺がこいつらに劣っているというわけではない。むしろすべてのステータスを振り切っており、この世界にいる魔王を倒せる救世主にもなれると言われたのだが、性格に難あり過ぎるということで最弱職になってしまったのだ。まさかこの俺が最弱職に就くことになるとは・・・

ああこの世界にいる幸福の女神エリスよ、今までの悪行はすべて反省しますからこの俺にも祝福をください!冗談無しで!

 

「ああ~ザギ様、やはり今日もカッコいいですね・・・」

 

そう呟いているのは銀髪の顔に傷のある少女、クリスだ。なにかと俺に付きまとっているが、はっきり言ってアクア達より100倍マシである。もっとも、俺のストーカーという点を除けばなのだが。

全く、俺はこの世界で生きて行けるのだろうか?

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