この哀れな暗黒破壊神にも祝福を!   作:鎧武 極

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強すぎてニューゲームだが文句あっか? byダークザギ

目の前に広がるのは、さっきの黒い空間とは違い、地球での中世のヨーロッパのようなレンガ造りの家が立ち並んでいる光景だった。上を見上げると、青く広がる空に白く浮かぶ雲、そしてその空を飛ぶ鳥。馬車を引く馬にそれに乗っている人間、遊び騒ぐ子ども。

 

「フフフ・・・やったぞ! 俺は復活したんだ! ノアに復讐を出来ないのが心残りだが、そんな事はどうでもいい! 俺はこの世界で、再び暗黒破壊神として君臨し・・・」

 

「ちょおおおおおおっとあんたああああ‼︎」

 

「おげっ!」

 

青髪の女が急に俺の首を絞めてきた。ちょっ!?息ができないからマジでそれはやめろ!

 

「急に出てきたと思ったら、なんであの男の方を突き飛ばしたのよ! 突き飛ばされるのは癪だけど、こんなところに来るぐらいなら突き飛ばされた方がマシよ!」

 

「い、いい加減に首を絞めるのやめろ!」

 

頭にきて女の手を引き剥がして突き飛ばす。どうやら、力は十分使えるようだが体の方がそれについていけないみたいだ。引き剥がすだけでまあまあ疲れた。これは元の姿を保つのもある程度の限界があるな。

俺は一瞬、山岡一の姿にでもなろうかと思ったのだが、さすがにあいつの姿で生きていくのも飽きてたし、何よりノアの事を思い出してしまうから、どうせならもっと若い人間に化けようと思った。

 

「なら、丁度高校生ぐらいのがいいか? だいたいこういう転生物は高校生が主人公って定番だしな」

 

「ちょっとアンタ、さっきから何ブツブツ言ってるのよ!」

 

「さて、となると容姿は・・・」

 

「無視するんじゃないわよ!」

 

なにやら雑音(青髪の女)が聞こえるが、そんなことはどうだっていい。とりあえず、俺の体の色とエナジーコアの色から髪と目の色を決めて、容姿は地球で見てきたやつらを参考にして・・・っと。よし、大体このぐらいか

 

「さて、新しい俺様の物語を始めようか」

 

俺は体を黒いエネルギーで包み込むと、その体を徐々に変化させていった。漆黒の髪に赤い目、容姿はとても整っており、イケメンの部類に入るほど。服は別にどうでもよかったので突き飛ばした餓鬼のジャージを黒色にしたものを着ている。

 

「ヴェエエエ!! な、なんか真っ黒な奴が真っ黒な柱に飲まれたと思ったら、真っ黒な服装の人間が出てきたんですけどー!!」

 

「おい雑音()、少し黙ってろ」

 

「ねえちょっと待って? 今、『雑音』と書いて『女』って読まなかった? 私の勘違いよね?」

 

「・・・・・」

 

「ねえ何か答えてよ! 私『雑音』じゃないんですけどおおおおお! 水の女神なんですけどおおおおおおおおおお!」

 

何やら雑音が大きくなってきたので、とりあえずこいつは置いていこう。そう思い、俺はこの世界での第一歩を踏み歩いた。

 

「ふげっ!!」

 

「あ、こけた」

 

未だに体が力に付いてこれていないのか、第一歩を盛大に踏み外した俺だった。

 

 

 

 

「ほほお、この世界はそんな世界観なのか」

 

「そういうこと。それで、私はこの世界で魔王を討伐するまで帰れないってわけ」

 

青髪の女――自称水の女神アクアに話を聞くこと十数分。この世界の事が大方分かってきた俺は、頭の中で状況を整理していた。この世界はいわゆるRPGでよくある『魔王に支配された世界』らしい。元はこの世界の勇者たちが魔王を討伐しようとしていたのだが、結果は惨敗。死んだ人間の魂は、俺もいたあの空間に送られて再び転生できるらしいのだが、あまりにも怖い思いをした勇者たちがそれを拒み、徐々に魔王を討伐しようとする者たちは少なくなっていったらしい。そこで、「地球の人間もこの世界に呼んで魔王を討伐させよー!」というバカな考えの元、こいつが地球で死んだ人間を次々とこの世界にチート特典を付けて転生させたらしい。あの時もその最中だったのだが、俺が突き飛ばした餓鬼――名はカスマと言うらしい――をアクアがおちょくったところ、自分をその特典として転生しようとしていた最中だったらしい。だが、俺が突き飛ばしてしまったためアクアの所有権が自動的に俺に移動し、魔王を討伐するまで帰れないということらしい。

正直言って・・・

 

「めんどくさい」

 

「なんで!?」

 

「いや、だってなんで俺が世界を救わないといけないんだよ?」

 

暗黒破壊神と恐れられ、世界を恐怖の底に叩き落としたこの俺が、なぜそんなヒーローみたいなことをしなければならない。そういうめんどくさい事は光の巨人とかに任せておけばいいんだよ

正直なところ、逆に魔王側についてその魔王を裏から操る方がやりやすいんだが、そういうことはこの場で言えば一気に怪しまれるだろう。俺とアクアが今いるのは、冒険者たちが集まるギルドだ。無論ここには多くの冒険者たちが集まっている。本気を出せばこいつらを倒すことなど造作もないのだが、何分今は体が力に付いていけてないため何が起こるか分からない。

 

「まあこの世界で収入がないのは困るし、とりあえず冒険者にはなってやるよ」

 

「随分上から目線なのが気に食わないけど、そうしなさいザギ!」

 

そっくりそのまま返そう。お前の方が相当上から目線だぞ!少々ムカつくが、人目が多すぎるここでは派手な事は出来ない。ここは抑えて、受付へと向かおう。

 

「はい、今日はどうなさいましたか?」

 

「二人とも冒険者になりたいんですが」

 

ウェーブの掛かった髪にはちきれんばかりの巨乳の姉ちゃんに話しかける。うん、こういう女の絶望する顔が見たい。

 

「では、手数料をもらいます」

 

「て、手数料?」

 

受付の女の言葉に、俺は聞き返してしまった。マジかよ、登録するのに手数料とかいるのかよ・・・

 

「おいアクア、お前金持ってるか?」

 

「突然連れてこられたのに持ってきてるわけないでしょ」

 

アクアの言葉に、俺は特に驚きもしなかった。こいつが使えないということはこのギルドに来るまでに分かっていたことだ。

さてどうするべきかと考えていると、アクアは近くに座っていたプリーストの老人に近づくと

 

「そこのプリーストよ、貴方の宗派を申し上げなさい! 私はアクア。そう、アクシズ教団が崇めるご神体、女神アクアよ! 汝、もしアクシズ教徒ならば・・・・・お金を貸してください」

 

女神のくせに人間に金を貸してくれとか・・・あ、老人が何か笑いながら話している。それを聞いてアクアは肩を落としてこちらに戻って来ようとすると、老人に呼び止められお金を受け取っていた。老人はまた何か話しているが、それを聞いてアクアはさらに肩を落とした。

 

「あの人、私の後輩女神の宗教に入ってる人だった・・・私、後輩の宗教の人に情け掛けられたんですけど・・・・・」

 

アクアの顔がこれ以上ないほどに暗くなっている!マジか、こいつにもプライドという物があったんだな・・・・・

 

 

 

「では、お一人手数料1000エリスになります」

 

プリーストの老人から貰ったのは3000エリス。1エリス1円らしいので2000円も払わないといけないのか・・・ぼったくりじゃないか?

受付の女――名札を見ると、ルナという名前らしい――から冒険者カードを受け取り。簡単な説明を受ける俺とアクア。

 

「では、こちらの水晶に手をかざしてください。そうすれば、こちらのカードに能力などが記載されます」

 

「おいアクア、お前が先にやれ」

 

「え? いいの?」

 

「俺は後からやるのが好きなんでね」

 

結果は見えているので、アクアがどんな能力を持っているのかを知るのが先決だ。使い方によっては、使える手駒になるかもしれんしな。

水晶にアクアが手をかざすと、水晶から出てきた光がカードに次々に文字を書いていく。ほう、ここら辺はファンタジー世界らしいんだな。記載が終わると、ルナが冒険者カードを確認して、眼を見開く。

 

「は!? はあああああ!? なんですかこの数値! 知力と幸運は平均以下ですが、それ以外はすべて平均値を大幅に超えています! これなら、魔法使い職以外はどれにでもなれますよ!」

 

「ねえねえ、それって私が凄いって意味?」

 

「そういうことだろ」

 

ギルド内が驚きの声に包まれる中、アクアが俺に聞いてくる。普通分かることだろうに、それをわざわざ聞いてくるとは、やはりこいつは知力が低いって事か。

 

「じゃあ次は俺か」

 

さてさて、一体どんな結果になるかな?水晶に手をかざすと、アクアの時と同じように水晶から出た光がカードにステータスを記載していった。記載が完了すると、俺はルナにカードを渡す。

 

「これでいいのか?」

 

「ええ。それにしても、随分長かったですね。普通の人の倍ぐらいの時間がかかってましたよ?」

 

「どこか調子でも悪いのかしら?」と呟きながら俺のカードに視線を移すルナ。瞬間、アクアの時以上に目を見開いたルナは、驚きのあまりカードを投げ飛ばした。

 

「うおっ! 貴様、俺の持ち物に何をする!」

 

「す、すみません! で、でも・・・・」

 

投げ飛ばされたカードを何とかキャッチする俺。ルナの尋常ではない反応に、さきほどまで騒いでいたギルドの奴らも静まり返っている。ルナは震える指で俺を指すと、大声で叫んだ。

 

「貴方、すべてのステータスが最高レベルじゃないですか! 今まで誰一人としていなかった、完全なオールラウンダーの冒険者ですよ! これなら、魔王だって倒せちゃいますよ!」

 

フフフ、ルナの言葉にギルド内は騒然としている。当たり前だ!この暗黒破壊神である俺様が、こんなアクア(バカ)よりも下なはずがあるわけがないだろうが!人間どもよ、この俺の名をしかと刻むが良い!我が名はダークザギ!やがてこの世界を支配する者だ!

 

「あれ? 水晶がまだ何か書こうとしてますよ」

 

ギルド内にいた冒険者の一人が水晶を指さすと、全員の視線がそっちに移った。あ、マジだ。しかも、光の色がステータス記載するときの綺麗な色じゃなくてすごい毒々しい黒色だし。

 

「ええっと、なんて書いてあるんでしょうか?」

 

恐る恐るルナが近づいて書かれた文章を見ると、口に出して詠唱し始めた。

 

「ええっと。ダークザギ、こいつは性格に問題あり過ぎるから絶対に冒険者にするべし。極悪非道、人を人とも思わない、めっちゃクソどす黒いこと考えてるからみんな逃げろ。こいつの正体、別の世界から来た人工せ・・・」

 

「しょうっら!」

 

「ひぃ!」

 

ギリギリのところで水晶に向けてザギ・シュートを放ち、ついでにルナが読んでいた紙も消し飛ばす。あっぶね~危うく俺の正体がバレるところだった。

 

「あはははは。どうやら、この水晶壊れてたみたいですね。ほら、俺が殴るふりしただけでこんなにボロボロになっちゃいましたし」

 

「いえ、でも先ほど何か小さな球体が通ったような・・・」

 

「気のせいですよ! ねぇ~?」

 

「ひうっ! は、はい・・・」

 

とびっきりの笑顔で迫ると、目元に涙を浮かべながら肯定するルナ。ただの人間が、俺の与えるプレッシャーに耐えられるわけがないだろ。

 

「それじゃあ、気を取り直して何の職業にし・・・」

 

ようかな。と言おうとしたところで、俺は自分の冒険者カードの職業の欄をみて言葉を失った。言語や文字はある程度頭の中に叩き込んだので何が書かれているかは分かる。

 

職業 冒険者

 

せ、先手を打たれていた・・・あの水晶め!自分が壊されること分かってて先に職業を決めやがったな!てか、あの水晶どれだけ高性能なんだよ!

 

「おやおやザギさん、冒険者に強制的にされちゃったみたいね~! プークスクスクス!」

 

あ、アクアに笑われるなんて、屈辱だ!俺はアクアの顔面を思いっきり殴ってやろうとしたが、先程ザギ・シュートを撃った右手が痛すぎて何もできない・・・っ!い、痛いよ~




本当なら秋ぐらいに投稿しようかな~と思ってたんですが・・・・・欲に負けました(∀`*ゞ)テヘッ
まさか2期制作決定とはね~人気がヤバすぎる!

今回は短編の時の転生直後からの話です。やっぱ一人称で書くと書きやすい。ザギの性格などは作者の想像なので気にしないでください(本来はもっと凶悪なはずです)次は、原作者ですら予想していなかったこのすばの大人気キャラめぐみんの登場です!
では、アデュー←最近ハマっているYoutuber、フィッシャーズの最後の挨拶
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