この哀れな暗黒破壊神にも祝福を!   作:鎧武 極

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カエルの口のなかって、意外と生暖かいです byめぐみん

再びジャイアントトードの討伐にやってきた俺とアクア。今日は新しく仲間に加わっためぐみんも連れてきたから、前回のようなことにはならないはずだ。めぐみんはアホだが頭は悪くないので、恐らく多種多様な魔法でも使ってくれるだろ。一応アークウィザードなんだし。

 

「うし、それじゃああそこで寝ているジャイアントトードどもを討伐しますか」

 

「うおっしゃあああああ! さあザギ、めぐみん、行くわよ! 女神であるこの私をコケにしたことを後悔させてやるわ!」

 

いつも以上に五月蠅いアクアが横で騒いでいる。余程ジャイアントトードに捕食されたことが気に食わなかったのだろう。だがアクア、心配をするな。今日はお前にちゃんと役に立ってもらう。

 

「ザギザギ」

 

「ん? どうかしたかめぐみん」

 

不意に袖を引っ張ってくるめぐみん。俺の方が背が高いからめぐみんが見上げる形になっているが、なんか可愛いなこいつ。

 

「アクアは先程、女神と言っていましたが、一体何のことなのですか?」

 

「あいつはただの妄想癖だ。あいつの中では、自分が女神という設定らしい」

 

「なんと!? それは、なんとかわいそうな・・・」

 

「めぐみん、それ完全にブーメランだぞ? お前もその妄想癖なんだからな? 自分の事を棚に上げるんじゃねえぞ?」

 

すかさずめぐみんに突っ込む俺。こいつ、自分が中二病だということ忘れてアクアの事を同情の目で見てやがった。どちらかというとお前の方が相当重傷だぞ。

 

「なにをしてるのよ二人とも! 早くあのカエルどもを駆逐してやるのよ!」

 

「まあ落ち着けアクア。今日の主役はお前なんだからな」

 

荒ぶるアクアの肩を叩いて落ち着かせる俺。まあこれだけ生きが良いならこっちもやりがいがある。

 

「へ? ザギさん、なんか私すご~い嫌な予感がするんだけど・・・」

 

「そんなこと言うなよアクア~」

 

「ザギさん、顔が笑ってるけどすごい怖いんですけど? なんか、私本当に命の危機を感じるんですけど?」

 

少しずつ俺から離れようとするアクア。だが、俺はアクアの腕を全力で掴んで逃げられないようにする。腕を掴まれたアクアは、顔から大量の汗を流しガクガクと震え始めている。俺の横にいためぐみんも何かを感じ取ったのか、俺から少し離れた場所に逃げてガクガクと震えている。

 

「それじゃあアクア、囮頼んだぞ?」

 

「へ?」

 

「おうりゃ!」

 

俺は持てる力を全て使って、アクアを欠伸をしているジャイアントトードの口めがけて投げた。

 

「いやああああああああああああ!」

 

アクアの叫び声が高原に木霊すると同時に、ジャイアントトードの口の中へと吸い込まれていった。まあ消化される前に助け出せば問題ないだろ。俺が消化される前にあいつを助けるかは別の話だが。

とりあえず、ジャイアントトードは何かを口に入れている間は動くことができない。アクアを食ってる間に、俺とめぐみんであのカエルをぶっ潰すという作戦だ。

 

「涼しい顔をして結構えげつない事をやりますね、貴方」

 

「ん? このぐらい別に普通の事だが?」

 

「・・・・・とりあえず、貴方が凄いゲス野郎だということだけは分かりました」

 

「それは俺にとっては褒め言葉だな」

 

俺の行動にめぐみんが引いているが、別にこいつにどう思われようが関係ない。使えるなら使うしそうでないんなら捨てるだけだ。まあそんなことは後で考えるとして、アクアの身を犠牲にした囮作戦が上手くいっているうちにとっととやることはやろう。

 

ドスン

 

ん?なにかな今の音は?今、すっごい聞きたくない音が聞こえた気が・・・

 

「ざ、ザギ・・・」

 

震えた声でめぐみんが俺の服の裾を引っ張ってくる。やめろめぐみん、俺の嫌な予感が的中するような仕草をするな。俺はゆっくりと、音の聞こえた方向に顔を曲げる。そこにあったのは、明らかに他のジャイアントトードよりもデカいピンク色のジャイアントトードと、2匹のジャイアントトードだった。

 

「・・・・・さらばだアクア!」

 

すまないアクア。貴様の囮作戦はどうやら失敗に終わってしまうようだ。精々カエルの胃の中でゆっくりと溶けて死んでくれ。てか、お前の叫び声のせいで出てきたんだから死んで詫びろ。まあ原因は俺だが。あと、化けて出たら二度殺すからな。

 

「って、あれ? おいめぐみん! お前も早く逃げろ!」

 

なぜか俺の後をついてこず、徐々に近寄ってくるクイーンジャイアントトード(名称は今俺が付けた)を見据えているめぐみんがいた。いくらあいつがアークウィザードといえど、さすがにあのデカさの敵を相手にするなんて無理があり過ぎる。

 

「ふっふっふ、我が爆裂魔法の餌食にとって不足なし! 括目せよ、我が最強の必殺技を!」

 

めぐみんが叫び杖を空に掲げると、その先に黒い光が集まりだした。

 

「暗黒の彼方より出現せし黒き力よ、我が杖へと宿り、その力で我が敵を全て消滅させよ!」

 

流石中二病、呪文が中二っぽい。てか、マジでこの魔力の集まりようはヤバい。

 

「喰らえ、『エクスプロージョン』!!」

 

めぐみんの杖から放たれた光は一筋の巨大な閃光となり、クイーンジャイアントトードの上空から吸い込まれるように突き刺さった。直撃した瞬間、周りを巻き込む爆風と轟音と共に地面が揺れ、俺は地面へと倒れこんだ。

この威力、マジで洒落にならないぞ!今の俺が喰らったら、確実に死ぬ!現に、喰らったクイーンジャイアントトードはちり一つ残さず消滅してるし。

 

「いけるぞめぐみん! お前がいれば、このパーティーでも十分やって・・・」

 

めぐみんの素晴らしさに褒めようとしためぐみんの方に顔を向けた瞬間、そこにいたのは地面に倒れこんでいるめぐみんだった。

 

「ふっ、我が奥義である爆裂魔法は、その強大な威力と引き換えに我が魔力を根こそぎ奪ってゆく・・・。要約すると、この魔法使うと魔力全部なくなって動けなくなるので助けてください。久しぶりにモンスター相手に使ったから興奮してこうなること忘れてました。まだ一匹残ってるので早くここから逃げ・・・ぷぎゃっ」

 

めぐみんの言葉はそこで途切れた。残っていたもう一匹のジャイアントトードに頭から食われたからだ。

結局、残ったジャイアントトードは全部俺が倒しました。

 

 

 

「うっ・・・うぐっ・・・ぐすっ、生臭いよぉ~生臭いよぉ~」

 

「泣くなアクア、俺が何かされたと勘違いされる」

 

日も暮れかけの時間。動けないめぐみんを背負いながら、泣きじゃくるアクアと共にアクセルの街にまで帰ってきた俺たち一行。ジャイアントトードの粘液まみれのせいで生臭いが、それ以上に疲れて臭いなんてこの際どうでもよくなっていた。

 

「カエルの中って、意外と生暖かいのですね・・・」

 

「そんな知識いらんわ」

 

どーでもいい知識を話し始めるめぐみん。まあ今回一番の立役者はこいつだから許してやろう。

 

「めぐみん、今後爆裂魔法は緊急時以外使用禁止だ。動けなくなったらこっちのフォローが大変になる」

 

「無理です。私、爆裂魔法以外使えませんし」

 

突然のめぐみんの告白に、俺の足の動きが止まる。こいつ今、『爆裂魔法以外使えない』といったのか?できれば俺の耳がおかしくなっただけだと思いたい。

 

「・・・・・マジか?」

 

「・・・・・マジです」

 

こいつ、中二病な上にバカだったのか。やばい目眩が・・・

 

「ちょ、ちょっと待って! 爆裂魔法は、魔法の中でも特に深い知識が必要な火属性と風属性の複合属性なのよ? 爆裂魔法が習得できるなら、他の魔法だって習得できるはずよ? それとも、スキルポイントを間違えて爆裂魔法に使っちゃったとか?」

 

スキルポイント?ああ、確かスキル習得に必要な経験値みたいなものだったな。スキルポイントがないとスキルは習得できないし威力を上げることもできない。ここら辺は本当にゲームみたいな設定だな。ちなみに、アクアは宴会芸スキルとアークプリーストの魔法をすべて覚えているらしい。宴会芸がどこで必要なのかはわからないが。

 

「私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード。爆裂系統が好きなのではなく、爆裂魔法が好きなのです! 他の魔法も覚えられないこともないですが、私は爆裂魔法しか愛せないのです! なぜなら私は、爆裂魔法を使うためだけに、アークウィザードの道を選んだのですから!」

 

前言撤回。やっぱこいつ許さねえわ、早急に捨てよう。

 

「そうか~じゃあ集会所に付いたらお前に報酬はやるからさっさと次の場所へ行け」

 

めぐみんにさり気なく告げた瞬間

 

ガシッ

 

めぐみんが俺の腰に足を回してきた。よくエロいもので見るだいしゅきホールドって奴か?まあこの場合は、捨てられなくない一心からくるホールドなんだろうが。

 

「私の願いは、爆裂魔法を使うことだけ。報酬はいりません、その代わりに、私をあなた方のパーティーに入れてはくれませんか? 今なら優秀なアークウィザードが、雑費と食費だけで長期契約ができるのですよ~」

 

もう怪しい会員の勧誘にしか聞こえてこなくなった。てか、本気でこいつ要らない。

 

「俺たちのパーティーにお前のような優秀なアークウィザードは宝の持ち腐れだから、どっか別のところに行くのをお勧めするわ~」

 

「いえいえ、貴方も私と同じ、紅魔族の一人ではありませんか! 同じ種族なのですからお願いです、私を捨てようとしないでください!」

 

「俺はお前たちみたいな変な一族じゃない! 第一、爆裂魔法なんて使用場所が限られる上に狭い場所なんかでは使用できないからそうなったらお前本当の役立たずじゃないか!」

 

必死にめぐみんの俺の肩を掴む手を放そうとしないが、全然離れない。それどころか、粘液のせいで滑って掴むことすらできない。

 

「もう、どこのパーティーも拾ってくれないのです! 荷物持ちでも、何ならアクアと一緒に貴方の性欲処理でも何でもしますからお願いです、捨てないでください!」

 

「おまっ! 性欲処理とか、こんな町中で言うんじゃねえ! てか、さり気なくアクアが性欲処理してるみたいな言い方すんな! だれがこんな駄女神に欲情するかボケ!」

 

「誰が駄女神よ! 私は水の女神アクア様よ! そんな私に欲情するのも失礼だけど、欲情しないのはもっと失礼だわ!」

 

「一体どっちなのかはっきりしろ!」

 

「お願いですから捨てないでください! お願いします、お願いします!」

 

「うるさいからお前は少し黙ってろ!」

 

「私の話を聞きなさいよザギ!」

 

徐々に大きくなっていく俺たちの声に、先程のめぐみんのセリフも災いして周りからの視線が集まってくる。もう嫌だこんなパーティー!!!

 

 

 

 

結局、最終的には周りの女性陣に誤解を招く言い方をして脅迫をしてきためぐみんを新メンバーとしてパーティーに加入させた俺は、風呂に入っているアクアとめぐみんを待ちながら集会所の待合室でげんなりとしていた。

こっちの世界に来てから、何かと疲れることばかりしか起きていない気がする。窓の鏡に映る俺の顔を見ると、髪の毛はボサボサとしており、目元も隈ができ掛けていた。ちなみに、めぐみんが消し飛ばしたクイーンジャイアントトードはやはりジャイアントトードたちの長だったらしく、あいつが倒れた以上この地域周辺にジャイアントトードが出てくる危険性はなくなったらしい。なので、ギルド本部から相当な金が入ってきたからとりあえずしばらくは安泰だ。

 

「全く、なんて世界だここは。不死身の自分をこれほどまでに呪う日が来ようとは・・・」

 

どうせならあのまま地獄に落ちてた方が良かったのかもしれない。アクアとめぐみんのヤバさは正直言ってあの完全生命体のイフよりもヤバい。できればこのまま変な奴が来なければいいのだが・・・

 

「すまない、ちょっといいだろうか・・・」

 

また来たああああああああああ!予想してやる、こいつも絶対に碌な奴じゃない。疲れた顔を少しだけ反らして声の主の方を見る。

そこにいたのは、金髪の女騎士だった。




というわけで、少しばかり原作と差異を出してみました。え?アクアの扱いがひどい?知らん、そんなのは俺の管轄外だ(某ハルトオオオオオオオオオな兄さん風)
次回ついにダクネスの登場。そして、ザギの驚異的までな幸運が奇跡をっ!・・・原作でも思ったけど、アクアといる時点で幸運もクソもなくね?

というわけでまた今度
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