この哀れな暗黒破壊神にも祝福を!   作:鎧武 極

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もっと私を嬲ってくれ! byダクネス

「君がパーティーメンバーを募集しているという少年か?」

 

「えっ? え、ええ一応俺がパーティーの責任者だが」

 

話しかけてきた女騎士にたどたどしく答える俺。一応ファーストコンタクトは普通の女だな。だが、ここで油断してはいけない!この世界、どんなことが起きるか全くわからないからな。

 

「で、では! まだパーティーメンバーは募集しているということだな!」

 

息を荒くして顔を近づけてくる女騎士。近い近い、顔が近い!

 

「い、一応まだ募集はしてるが、念のために聞くが名前と職業は? てか、いい加減に顔を近づけるのやめろ」

 

「はっ! す、すまなかったな! 私の名前はダクネス、職業はクルセイダーをしている。君のパーティーの募集要項にあった上級職にも当てはまると思うのだが」

 

「へ、へぇ~そうか~。でも、このパーティーはあまりお勧めしないぞ! なんたって、役立たずのおバカアークプリーストに爆裂魔法しか使えない頭おかしいアークウィザードに、最弱職の俺しかいないパーティーだ。お前にはもう少しふさわしいパーティーがあると思うのだが・・・」

 

そこまで言うと、女騎士――ダクネスは突然俺の手を握ってくると、再び顔を近づけてきた。

 

「むしろ好都合だ! 実は私、クルセイダーをしているのだが、その・・・あまり攻撃が当たらなくて、どこのパーティーに行っても門前払いされるのだ。だから、あなた方の様なパーティーならきっと私を受け入れてくれるはず!」

 

「い、いや・・・攻撃が当たらない剣士は・・・」

 

「ならば盾代わりとして使ってくれても構わない! むしろそちらの方が良い!」

 

顔を紅潮させてるダクネスの顔を見て俺はようやく理解をした。ああなるほど、こいつもアクアやめぐみんと同じ、性能と中身が駄目な奴だったか

 

 

 

 

カエル討伐、及びダクネスのパーティー参加希望(断った)があった翌日。ギルドの集会場でアクアやめぐみんたちと昼食を取っていた。アクアの方は、花鳥風月というスキルで他の冒険者たちの相手をしている。あいつ、いっつも女神女神とか言ってたくせに完全に芸人に成り下がってやがる。

 

「そういえば、スキルの習得ってどうすればいいんだ?」

 

ふと思った俺は、隣で飯を食っていためぐみんに尋ねる。今までスキルについて考えたことはなかったが、昨日の戦闘と今の俺の弱さを考えれば、スキルを習得しておくのは悪くないことだと思う。なんせ、走ったら六歩でひざを痛める、必殺技を放とうものなら全身筋肉痛で3日は動けなくなる。ここまで弱体化している俺にとっては、スキル習得は今後を生きるためにも必要な事だ。

 

「スキル習得ですか? まず、自分が習得したいスキルを他の人に教えてもらうのです。すると冒険者カードのスキルの項目にスキル名が現れます。そのスキル習得に必要なスキルポイントがあれば、習得完了です」

 

「へぇ~意外に簡単なんだな。となると、その原理で行けば俺も爆裂魔法を覚えられるのか?」

 

「そうですよザギ! 貴方のような人が憶えるのは、爆裂魔法以外にありません! さあ今から私が爆裂魔法の神髄を教えてあげますから、一緒に爆裂道を歩みましょう!」

 

こいつも顔が近い

 

「落ち着けロリ。俺は爆裂魔法なんてもの覚える気なんか毛頭ねえんだよ」

 

「ろ、ロリ・・・? こ、この我が・・・ロリ・・・」

 

めぐみんはダメージを受けた。めぐみんには効果抜群の様だ。

今度こいつが何かやらかしたら『ロリ』と連呼して精神的に沈黙させてやろう。

 

「なになに、ザギったら爆裂魔法覚える気なの? あんな魔法やめといた方が良いわよ。無駄にスキルポイント必要なうえに、習得しても一発しか打てないネタ魔法だから」

 

宴会芸の披露を終えたアクアがこちらにてくてくと近寄ってきながら言う。あ、やっぱり爆裂魔法ってネタだったのか。隣で一人静かに昼食をとっているめぐみんを横目に、俺はこいつから絶対に爆裂魔法を教わらないと誓う。爆裂厨のこいつの事だ、なにがなんでも俺に爆裂魔法を習得させようとしてこないとも限らないからな。

 

「そういえば、冒険者ってどんな利点があるんだ?」

 

めぐみんとは反対方向の椅子に座ったアクアに尋ねる。冒険者と言えば最弱職のイメージしかもっていなかったため碌に調べることもしなかったが、冒険者にしか覚えられないスキルがあるのかもしれない。

 

「んー利点って言うと、他の職業のスキルも覚えられることかしらね? でも、所詮それは模倣のようなものでしかないから、本業の人が使うスキルと比べると威力はすんごい弱いわよ」

 

「ほーつまり雑食ってわけか」

 

色々と制約はあるが職業に縛られずにスキルを覚えられるのは有難い。何が役に立つかわからないこの世界で生きていくためには一番適してる職業なのかもしれない

 

「じゃあ何か役に立つスキルでも教えてくれないか? スキルポイント5しかないからそれなりに消費しないやつ」

 

「アクアが得意げそうに言うが、もし碌なスキルを教えなかったら後で半殺しにする。

 

「いい? まずは右手に布を被せるの」

 

「こうか?」

 

言われたとおりに布を被せる。一体何の意味があるんだ?

 

「それでね、こう右手を少しずつ揺らしていくと・・・ほら!」

 

アクアが右手を数度揺らした瞬間、アクアの右手からハトが何羽も飛び出して来た!すげっ!これ一体どんな種があるんだ!?

 

「って、これ宴会芸じゃねえか!」

 

「痛い! ちょっとぉ! この私がせっかく教えてあげたのに、頭を叩くなんてどういうことよ!」

 

「誰が宴会芸を教えろと言った! 俺は役に立つスキルを教えろと言ったはずだ! こんな宴会芸どこで役に立つ!」

 

「それは、クエストで疲れた冒険者たちの前でこれを披露して、多少なりとも心の癒しになればなぁ~なんて」

 

「お前それ完全に芸人の心得じゃないか! もうお前今日から宴会芸の女神に改名しろ!」

 

やはりこの駄女神は、あとで半殺しにして路地裏にでも捨てておいてやる。無駄なスキルを覚えさせられてしまった。

 

「あっはっはっは! 面白いね君たち! 君たちがダクネスが入りたがっているパーティー? そこの黒髪の少年、役に立つスキルが欲しいんなら盗賊スキルなんてどう?」

 

後ろから響く少女の声。ダクネスと言っていることは、昨日の女クルセイダーが仲間を連れて懲りずに来たのだろう。クソっ!昨日ストレートに「いらんっ!」と言ってやったのに、効果がまるでない。いや、あいつがドMだということを考えたらむしろ逆効果だったのか?

後ろを振り返ってみると、そこにいたのは昨日の女クルセイダーダクネスと、頬に切り傷のある身軽そうな服装の銀髪の少女だった。

 

「おい、昨日包み隠さずに断ったのに、今度は仲間を連れてやってきやがったかドMクルセイダー」

 

「はうぅっ! ま、まだ一日しかたっていないのにここまで私をゾクゾクさせてくれるとは・・・ぜひとも、あなたのパーティーに入れてほしい!」

 

「それを決めるのは後だ。それより、そっちの銀髪の女、盗賊スキルがどうのこうの言っていたが、本当なんだろうな?」

 

「ホエェ・・・・・・・」

 

「おい? どうかしたか?」

 

銀髪の少女から返事が来ないというか、心ここに在らずといった感じだ。俺の顔をじっと見たまま動かないし、頬を赤くしてる。風邪でも引いているのだろうか?

 

「お、おいクリス? 一体どうかしたか?」

 

「はっ! ご、ごめんごめんつい・・・」

 

少女――クリスはダクネスに肩を揺らされて意識を戻したらしい。なーんか嫌な予感がするが、俺の気のせいだと信じたい。むしろそうでないとそろそろ本気で泣くかもしれない

 

 

 

クリスとダクネスに連れられて人気のない裏路地まで来た俺は、クリスの言う盗賊スキルについて簡単な説明を受けていた。クリスの職業の盗賊には《敵感知》《潜伏》《罠解除》《窃盗》などの、いわゆる泥棒の使うような技ばかりがあるらしい。まあ、『盗賊』という職業名の時点で薄々感づいてはいたが、こんな少女が盗賊をやっているなどとは一般の奴は夢にも思わないだろうな。

 

「というわけで、まずは潜伏スキルから教えるわね。ダクネス、ちょっと向こう向いてて」

 

「ん? 向こうか?」

 

クリスに言われるまま反対方向を見るダクネス。すると、クリスは近くにあったタルに入り上半身だけを出すと、近くにあった石をダクネスの頭めがけて投げてそのままタルの中に隠れた。

・・・・・今のが潜伏スキル?

あっけないスキル教えに唖然とする中、ダクネスは無言でクリスの隠れたタルのそばまで歩いていく。そりゃあそうだわ、だって隠れれるようなタルがあの一個しかないんだもの

 

「敵感知・・・! 敵感知・・・! ダクネスのピリピリする殺気を感じるよ! ・・・ねえダクネス、これはあくまでスキルを教えるためだからタルを転がそうとしないで? お願いしますダクネス様!」

 

クリスの悲鳴が聞こえる中、ダクネスは無言でタルを転がしている。

やっぱこの世界碌な奴がいねぇ・・・・・

 

 

 

「さ、さて! それじゃあ私がお勧めする一番のスキル、盗賊スキルを教えるよ!」

 

ようやくまともなスキルを覚えられそうだ。クリスの説明を簡単にすると、盗賊スキルは相手が身に付けている物ならなんでもランダムに1つ奪えるスキルらしい。ただし、奪えるものは完全に幸運度に依存するので、下手をしたらハズレを引くこともあるらしい。

 

「それじゃあ実践してみるよ! 『スティール』!」

 

クリスが叫ぶと同時に、その右手に小さな袋が握られていた。

 

「あ、それ俺の財布」

 

「ふっふっふーどうよ! これが盗賊スキルのスティール!」

 

「予想以上に凄い能力だな。うし、習得確定」

 

とりあえずクリスから教えられたスキルは全部習得しておくことにしておく。アクアの宴会芸なんかよりもよっぽど役に立つ。

 

「ええっと、《敵感知》1ポイント、《潜伏》1ポイント、《窃盗》1ポイント、《花鳥風月》5ポイント。《花鳥風月》?」

 

「ああ、それは先程君の仲間の青髪の少女がやっていた宴会芸スキルだよ」

 

「宴会芸のくせに5ポイント!? 高すぎるだろ! この世界の価値観は一体どうなってんだよ!」

 

なんで役立たずな宴会芸が5ポイントもかかるんだよ!これは消しておこう。

習得するスキルを決めた俺は、冒険者カードの習得の項目を押し、スキルを習得する。んーなんか変わった感じが全然しない。

 

「これで一応習得は完了したのか?」

 

「それで大丈夫だよ! よーしそれじゃあ早速スキルの練習をしてみよう! 敢闘賞は君の財布! そして辺りは私のこの魔法の掛けられたダガー! 40万エリスはくだらない一品だよ! そしてはずれは、さっきダクネスにぶつける為に拾った小石!」

 

「きったねえぞおい! てか、財布位返せ!」

 

「ふっふっふー返してほしければ、私からみごと奪って見なさい!」

 

やられた。女だと思って油断していたが、こいつの職業は盗賊だ。こうやって人にスキルを教えるついでに相手の有り金全部持っていくことぐらい考えておくべきだった。

まあいい、これもスキル習得のお礼と言うことで流してやる。ただし、そのお礼は100倍にして返してやるがな!

 

「行くぜ! 『スティール』ッ!」

 

俺の右手と左手(・・)に布の感触がある。ん?なんで左手にまで?

 

「い、いいっ! いやあああああああああああ!!」

 

クリスの叫ぶ声が聞こえる。何事かと思ってクリスの方を見ると、そこにいたのはダガーを取られたわけでもなく、財布を奪い返されたわけでもなく、ましてや石ころを取られたわけでもない、()()()()()()がいた。えっ!?このスキルって、ランダムに一つのはずだけど、まさか一括りに『服』で盗れたのか!?

 

「お、お願いだから服を返してぇ~!!」

 

泣き叫ぶクリス。だが、俺は一つ思った。ここでこいつから服の代金を請求すれば、中古のダガ―を売るよりも金が手に入るんじゃいのか、と。

その考えに至った瞬間、俺は良い笑顔をしてクリスに言った。

 

「だぁったら、お前の服の価値はお前が決めやがれぇ! さもないと、この服はこの街にいる変態冒険者に売りつけて、お前を露出癖がある女盗賊としてこの街中にその名を広めるぞぉ!」

 

「ひうっ!」

 

「さあどうする! 服を取るか金を取るかどっち!」

 

「うっ、うぅ・・・・・・」

 

泣け!アクアやめぐみんのせいでストレスが溜まりまくってるんだ、一発お前で発散させてもらうおうか!

 

「な、なんという鬼畜の所業! やはり私の目に狂いはなかったああああ!」

 

あ、こいつの存在すっかり忘れてたわ




原作を読み返すと、アニメでは放送されなかった場面とかいろいろあるんだね。ということで、今回の話はアニメではカットされたクリスとダクネスのやり取りを入れてみました(スキルを教える時)
では、今後ともよろしくお願いします!
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