この哀れな暗黒破壊神にも祝福を!   作:鎧武 極

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ようやく私のでば・・・ by駄女神

クリスから服と金を不等価交換して財布が潤った俺は、泣きじゃくるクリスと頬を赤らめて息が乱れているダクネスを連れてギルドに戻ってきた。

 

「おかえりザギ。私の華麗な芸を見ずに一体どこに行ってたのよ?」

 

「ん? そちらの女性はなぜ泣いているのですか?」

 

未だに泣き止まないクリスに興味を抱くアクアとめぐみん。おい、いい加減に泣き止めクリス。

とりあえず適当に誤魔化そうとしたとき、俺よりも先にダクネスの口が開いた。

 

「うん。実はクリスはザギに覚えたてのスティールで服をはぎ取られた上に、有り金全てと服を交換して、落ち込んでいるところだ」

 

刹那、ギルド中の空気が凍り付いた。いや、主に凍り付いているのは女性だけで男性からは「よくやった勇者よ!」という羨望を受けている。

 

「「お前の服の価値はお前が決めやがれ」っていうから、持ってるお金とお金になりそうなもの全部渡したけど、パンツだけが返ってこなくて。それで、「パンツも返して」って言ったら、「下着は別料金だ!」って言われて! 返してほしかったら、金を持って来るか体で払うかどっちかにしろってぇ!」

 

「待ってくれぇ! 確かにそんなことは言ったが、本当に待ってくれぇええ! アクアやめぐみんだけじゃなくて、女冒険者に加えて男冒険者までマジで引いてるから!分かった、 パンツはただで返すから! これ以上泣かないでええええ!」

 

さっきまで勇者を見る目で見ていた男どもまでマジで引いてやがる!いや、確かにやりすぎだとは思ったが、反応が面白いんだもん!人をいたぶるの久しぶりだから調子に乗り過ぎただけだもん!

 

「ま、まあザギがやったその悪行については後できっちり始末をつけるとして、無事にスキルは覚えられたのですか?」

 

「俺後で始末されちゃうのね。おう! 見てろよ、『スティール』ッ!」

 

めぐみんに向かって右手を突き出す俺。恐る恐る、クリスみたいな自体にはなりませんようにと祈って閉じていた目を開いて自分の右手を見ると、()()はしっかりと握られていた。

めぐみんの着ているマント以外の全ての服がっ!

 

「またかよ!」

 

「いやああああああああああああ! な、なにをするんですか! 今度は私まで素っ裸にしたのですか! どんだけ変態なんですか! ステータスが上がったから、冒険者から鬼畜変態にジョブチェンジですか!? こんな公衆の面前で服をはぎ取られたら、さすがに私だって恥かしいですよ!」

 

その場に蹲ってマントで必死に自分の体を隠しているめぐみん。俺の頭にあるめぐみんの被っていた帽子が、まるで今の俺の心情を察したかのように両目を覆い隠すようにズレ落ちる。さすがにこれは俺も悪いとは思っている。

 

「あぁあ、なんかすまん」

 

「だったら一遍死んでください!」

 

「ふぎょらっ!」

 

めぐみんからの全力パンチを喰らった俺は、そのまま空中で数度回転して地面に叩きつけられる。その瞬間俺は見逃さなかった。周りの女性冒険者たちに目つぶしをされる男冒険者どもと、殴られた俺を見て「自分もやってほしい!」と言わんばかりの表情になっているダクネスと、ちゃっかり俺からパンツを取り返してうれし泣きをしているクリスと、こんな状況下で花鳥風月をしているアクアを。

ああ、なんでこんなことになっちゃったんだろ?

 

 

 

 

「ちょっと、この方クルセイダーじゃないですか!? 断る理由なんてないんじゃないですか?」

 

顔面に包帯を巻いている俺をしりめに、ダクネスの冒険者カードを見て驚いているめぐみん。

ちなみに、めぐみんの裸は女性冒険者たちの必死の目つぶしによって、俺以外の男冒険者には見られていないらしい。ていうか、めぐみんのパンチ凄い痛かった。もうノアなんて目じゃないぐらいまでに痛かった。俺が弱体化しているのもあるが。

アクアとめぐみんにはダクネスを会わせないようにしてたつもりだったんだけどな~仕方がない。

 

「実はだなダクネス、俺とアクアはガチで魔王を倒そうと思っている」

 

「え? そんな話私は一言も聞いていないのですが・・・」

 

めぐみんが何か言ってるが気にしない。まあそんな事一言も説明してないし、なんなら今決めた事だ。アクア曰く魔王討伐をしない限りこいつは天界とやらに帰れないらしい。それを聞いた俺はダクネスのパーティー参加を阻止するためにその話を利用させてもらった。魔王討伐となれば流石にダクネスも諦めざるを得ないだろう。

 

「いい機会だからめぐみんも聞いてくれ。別に俺はそんな義務ないんだが、アクアには魔王を討伐する必要がある。そのために冒険者にもなった。だから、俺らから離れるなら今の内だぜ? 魔王どころか、魔王軍の幹部と戦ったら今の俺たちじゃただじゃすまない。特にダクネスは女騎士、捕まったらエロい事になること間違いなしだ」

 

「ああ全くその通りだ! 昔から、魔王やその手下どもにエロい目にあわされるというのは女騎士の役目だからな! だが、それでも行く価値はある!」

 

「え? あれ?」

 

「ん? なにか私は変な事でも言ったか?」

 

変な事しか言ってないからこんな反応してるんだよ。逆にお前はなんでそんな自分が普通かのような反応してるんだよ。

 

「なあめぐみん、これはお前にも言えることなんだ。お前みたいな爆裂魔法しか使えないやつが魔王軍にかなうわけがない。だから、お前がここに残る必要はないんだぞ?」

 

俺の言葉を聞いた瞬間、めぐみんは片足をテーブルの上に置いて妙にカッコいいポーズを決めて叫んだ。

 

「我が名はめぐみん! 紅魔族随一の魔法使いにして、爆裂魔法を操りし者! 我を差し置き最強を名乗る魔王! そんな輩、我が最強の爆裂魔法で消し飛ばしてしんぜよう!」

 

ああ駄目だ。このバカ二人の説得はもう無理だ。

 

「そういえばクリスはどうする?」

 

なんとなくダクネスとめぐみんに挟まれているクリスに話を振る。別にこいつはパーティーに入りたいとは言っていなかったし、恐らく大丈夫だろうが一応聞いてみる。

 

「私? 私は他にもやることがいっぱいあるから無理だけど、たまーにならザギ様の手伝いは出来るよ?」

 

「そうかそうかそうだよな。やっぱり無理だ・・・・・ん? てか、ザギ様?」

 

色々と突っ込む点があるが、まず俺が気になったのはこいつの「ザギ様」という呼び名だ。俺、こいつには嫌われるようなことしかしてないんだが。

 

「なんでザギ様? 俺、お前にそんな呼び方されるようなことしたっけ?」

 

「え? だって、ザギ様はザギ様でしょ?」

 

何かおかしいところある?とでも言いたそうな表情で首をかしげるクリス。この件についてはこれ以上踏み込まないようにしよう。踏み込んだらいけない世界を垣間見てしまった。

 

「じゃ、じゃあ次の質問だ。お前、本気か? 相手は魔王軍だぞ?」

 

「うん。だって私、あいつら全員消滅すればいいって思ってるし!」

 

うわっめっちゃいい笑顔。この嘘偽りない顔で結構えげつないこと言ってる辺り、ガチなんだなと思ってしまう。この子、見た目に反して結構残忍な子!

 

「ね、ねえザギ、ザギ・・・」

 

隣にいたアクアが何か言いたそうに裾を引っ張ってくる。

 

「なんかさっきから話を聞いてると、私腰が引けてきたんですけど。なんかこう、どっかの配管工さんみたいな楽しい魔王討伐とかできないの?」

 

「お前がキノコを食って大きくなったり溶岩に落ちてもお尻が火傷する程度ですむんならそれでもいいが。てか、お前が一番の関係者なんだから一番意欲を見せろ!」

 

こいつは本当に一発殴ってやりたい。いや、今日中に絶対に殴る。

その時

 

『緊急クエスト! 緊急クエスト! 街にいる冒険者たちは至急ギルドに集まってください! 繰り返します! 街にいる冒険者たちは至急ギルドに集まってください!』

 

街中にアナウンスが響き渡る。それを聞いた冒険者たちは、まるで今まで休めていた牙を研ぎ澄ますかの如く、気合を入れ始めている。

 

「な、なあ。緊急クエストって言ってるけど、一体なにが始まるんだ? 魔王軍が攻めてきたのか?」

 

横にいるめぐみんたちに問いかける。何が起こっているのか理解できず不安になる俺とは対照的に、めぐみんたちは嬉々としている。

 

「なにを言っているんだザギ。キャベツの収穫に決まっているだろ?」

 

・・・・・・・・はい?

 

「ちょっと待て。天才的な頭脳を持つ俺でもさすがに話の意図が全く分からない。キャベツが何だ?」

 

「だからキャベツの収穫ですよ」

 

「あの緑で丸っこいキャベツ?」

 

「それ以外にキャベツなどありますか? 一玉1万エリスでギルドがお金をくれますから、財布の中が乏しい冒険者たちにはうれしいクエストのはずですからてっきりザギは知っている物かと」

 

「1万!? あのキャベツが!?」

 

もう本当にこの世界の感覚が分からなくなってきた。花鳥風月なんて宴会芸が盗賊スキルよりも習得のために必要なポイントが高く、今度はキャベツが一玉1万ときた。はっはっは、笑いが止まらねえぜ。

 

「ザギは知らない様だから教えてあげるけど、この世界のキャベツは飛ぶわよ?」

 

「あ、そう・・・・・」

 

もうここまで来たら俺は何にもツッコミはしない。アクアが熱くキャベツについて語り、他の冒険者たちがキャベツと死闘を繰り広げている中、俺は少し昔の事を思い出していた。

 

俺とノアとのあの死闘は何だったのだろう?

 

なんだかもう、あの時の事がバカバカしく思えてきた。キャベツ相手に全力で戦っている冒険者たち。大量のキャベツの大群に爆裂魔法を放つめぐみん。キャベツの体当たりと爆裂魔法の直撃を喰らって喜んでいるダクネス。花鳥風月で水を配っているアクア。スティールでキャベツを取っているクリス。

もう、何もかもが出鱈目で、バカバカしくて、アホらしくて、精神的な限界が来そうだ。

なら、もういいじゃないか。

 

「こうなったらお前らのキャベツ全部奪い取ってやるううううううううう!!!」

 

おお神よ。できればこのキャベツ狩りが終わった時に、すべてが夢であらんことを祈る・・・・・

 

 

 

 

キャベツ狩りが終わり、ギルド内で宴会が行われている。結局、全部現実でした(泣)

 

「なにが悲しくて野菜炒めなんか食ってるんだ俺は・・・・・」

 

キャベツ狩りによって大量に出されているキャベツ料理を食していく。美味い。焼き加減と言い調味料の使い方といい、まさに完璧だ。だが、なぜだろう。無性に悲しくなってる自分がいる気がする。

 

「それにしても、ザギのあの狂った獣のような強攻手段には驚きました」

 

「そうそう。ザギったらスティール使いまくって、他の冒険者が捕まえたキャベツまで取っちゃったんだもの」

 

「それで他の冒険者たちから苦情が来たら「文句があるならかかってこいや!」と言って殴り合いになって、挑んできた冒険者全員をズタボロにしてついでにキャベツまで奪うんだからな」

 

「その代わりに両腕両足を粉砕骨折して、アクアさんに治癒魔法をかけてもらうまでずっと「痛いよ~」って泣いてましたもんねザギ様」

 

「うっさい!」

 

野菜炒めを乱暴に口の中に入れる。だいたい、俺があんな愚行に走った原因の8割はお前らだっつうの。まあ、金目当てっていうのもあったけどさ。

 

「ザギ、私の名においてあなたに【狂犬のキャベツ狩り人】の称号を与えるわ!」

 

「そんな称号いらん!」

 

なにが悲しくて【狂犬のキャベツ狩り人】なんて称号貰わなあかん!俺は【邪悪なる暗黒破壊神】っていうちゃんとした称号を持ってるんだよ!

あ、そういえば肝心なこと忘れてた。

 

「では自己紹介をさせてもらう。私の名はダクネス、一応職業はクルセイダーで両手剣も持ってはいるが、不器用だから攻撃面では期待しないでくれ。だが、盾になるのならどんどん使ってくれ!」

 

「私の名前はクリス! 職業は盗賊、いろいろと用事があるから顔を出せるかどうかは分からないけど、一応私もザギ様のいるパーティーの一員ということで!」

 

そう、新しい仲間が二人も入ってしまった。

絶対に混ぜたらいけないやつらが混ざり合ってしまったのだ。もうだめだ、本当に精神的に壊れそう。

 

「それにしても凄いメンバーの完成ね! これなら私たち、本当に魔王を倒せそうな気がしてきたわ!」

 

すごくテンションが上がっているところ申し訳ないがアクア、魔王倒す以前にこのパーティーの重大な欠点に気付いてくれ。

バカでアホのアークプリーストのアクア。

爆裂魔法しか使えないアークウィザードのめぐみん。

不器用でドMで盾にしか使えないクルセイダーのダクネス。

妙に武者震いする視線を俺に向けてくる盗賊のクリス。

このパーティー、碌な奴が誰一人としていないんだよ!頼むからもう一回パーティーのメンバー考え直そうよ!




ようやく原作1巻の半分までこれた・・・
原作よりさらにヤバくなっているが気にするな。

お金の余裕ができたのでスピンオフの「この素晴らしい世界に爆焔を!」を買ってみましたが、原作だとスルーされてたり省かれてたりする描写がきっちり描かれているので、とりあえず爆焔を全巻読んで(一応前日談なので)、そのあと原作を1巻からっていう読み方をしたらニヤニヤできますねw
まあ僕も未だに爆焔は全巻読めてはいませんが、とりあえず全巻読んで内容に支障が出ないのであれば書きます。これは仮面の方も買わねばww(金がどんどんなくなっていく)

ではまた今度!シュワッチ\(o|o)/
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