ハリー・ポッターと導く者 作:匿名希望 2
「校長先生!トロールは女子トイレに入るようです。さっきミネルバから連絡がありました。」
フリットウィックがキーキーとした声でダンブルドアに報告をするとダンブルドアは安心したのか歩いて女子トイレへ向かった。どうやら一年生のハローウィンのトロールの侵入事件だろう。少しすると女子トイレの前に先生達が集まり唖然としている。何か臭ったのか鼻を抑えるような仕草を見せる。おかしいな...。トロールはダンブルドアが退治したはずなのに...。ダンブルドアが中を覗くとトロールと思われる死体が焦げつき、一年生のハリー達がハウルを見て怯えている。ダンブルドアは目を見開き。ハリーが注意深く観察すると攻撃範囲と焼け跡から悪霊の炎であると推測した。
「ハウルや...。なぜトロールを殺したのかね?しかもよりによって悪霊の炎、失敗すればお主は死んでおった。」
先生達に道を譲られやってきたダンブルドアがハウルに尋ねる。
「トロールの知能は低いが力は強い。また皮膚は厚く、魔法は通りづらい。悪霊の炎を使用したのは俺の扱える呪文で最高の呪文だったから。俺は友人の命を守るためならどんな咎でも背負う。その覚悟があったからこそ殺した。」
ハリーは背中から冷たくゾゾッとするものを感じた。ヴォルデモートと同じオーラと殺気を感じた。ハリーはダンブルドアの言っていたことを理解した。先生達も彼の異常性を感じているのか誰も口を開けない。
「悪霊の炎は強力な闇の魔法。一歩間違えたらハリー達も焼き殺してしまう可能性も無くは無いはずじゃ。いささか軽率ではなかったかの?」
悪霊の炎は未熟な者が使用すると使用者をも焼き殺す危険があるほど難しい魔法であるとても一年生では扱えるような呪文ではない。自分でもかなり慎重にならなくてはならないほどだ。なのに焼け跡から判断すると暴発や失敗した形跡はない。
「お言葉だが校長。俺は2人をしゃがませハーマイオニーに防火呪文を使うように指示した。それにトロールとの距離は充分だった。俺の判断は間違って無かったと思うが?」
ハリーにはその記憶はない。おそらく誰かに記憶を消されたのだろう。忘却術もまた難しい魔法だ。守護霊と同等以上の難易度を誇る。使えるのはダンブルドアか...ハウルぐらいだろう。確か禁じられた森で守護霊を扱えていた。可能かもしれない。
「その状況ならお主の判断は正しい。お主は優秀だが、心に多くの闇が存在しておる...。少し老いぼれの昔話を聞いてくれんかの?」
するとダンブルドアはヴォルデモートの過去の話。そしてヴォルデモートの闇とハウルの闇が似ていることを話した。するとハウルはある提案をした。ハリー達に忘却術をかける許可を得て、三人に忘却術をかけた。その代わりにダンブルドアの頼みを聞いた。すると場面が変わり、<みぞの鏡>の目の前にハウルとダンブルドア、そして寮監のスネイプが部屋にいる。
「どうじゃ?」
ダンブルドアがハウルの顔色を伺いながら、鏡を見ているハウルに尋ねる。
「すまないがこれだけは...」
ハウルは微かに震え、鏡の内容を答えたがらない。
「<レジリメンス>。」
スネイプがハウルに後ろから開心術をかける。ハウルは鏡の内容に気を取られていたため、閉心術を使う事に遅れた。ハウルの記憶を見たスネイプは微かに涙を浮かべていた。ハウルの何かに同情していたのだろう。
「っく‼ ハァハァ、スゥネイプゥ‼‼ 」
ハウルは異常なほどの殺気を見せ、憎しみという憎しみの表情をし、スネイプを睨みつけた。ハリーはハウルの表情から目を離せなかった。冷静沈着なハウルが取り乱している。彼に何があったのだろう。
「何を見たセブルス?」
ダンブルドアから微笑みは消え、真剣な表情でスネイプに詳細を尋ねる。
「校長...。これだけは...。」
スネイプは涙を流しながらダンブルドアを見る。するとハウルは膝から崩れ落ちる音を聞いて二人はハウルを見る。
「もうやめてくれ...。俺はどうしたら良いんだ...。俺が悪いんだ弱いから、力が無いから...。」
ハウルはひざまずき手足を地面につけ葛藤する。ダンブルドアとスネイプにはどんな声もかけられなかった。
「やめてよ。ティンクスを傷つけないでくれ...。傷つけるたいのなら僕にしてくれ...。父上の憎しみは僕にぶつければいいだろ?ティンクスも僕を庇わないでくれ。」
ハウルは頭を両手で強く押さえつける。
「アイリスもどうして僕なんかを...。君が傷つくぐらいなら僕は命なんて全然惜しくなかったよ。」
アイリス?聞いた事がない。ハリーが考えているとハウルは何かを後悔しているようだ。
「ごめんさない。ティンクス!僕が僕が強ければ...。お願いだ。僕を許してくれ...弱い僕を...償うから。いつか君たちが笑って過ごせるような世界を作るから...。僕を許してくれ...。」
ダンブルドアとスネイプは哀れむような目でハウルを見る。すると突然ハウルが叫び声をあげると少しずつ黒いオーラが溢れ出し、やがて巨大な闇の渦巻かせる。ダンブルドアは素早くハウルを駆け寄り抱きしめる。
「過去は振り返ってはならん。勇気をだして乗り越えるのだ!闇をも背負っていきるのだ‼ 」
ダンブルドアがハウルを強く抱き締めたまま言葉を投げかける。
「僕は...僕は許されちゃいけない。この世界にいちゃいけないんだ人間なんだ‼」
ハウルは顔をくしゃくしゃにして泣きじゃくる。
「ハウル生きるんじゃ。人は自分が何のために生まれてきたかを探すべきなんじゃ、この世に存在しちゃいけない人間なんてこの世に存在しないんじゃ!」
すると闇の渦の勢いが少しずつ治り始める。
「...僕は生きててもいいの?」
ハウルから闇が少しずつ蒸発していくように消えていく。
「勿論じゃ。」
ダンブルドアは力ずく言うと、ハウルは力なく独り言をつぶやいた。
「でもアイリス...君はどうして笑ってくれないんだ。」
ハウルから次第に体の力と闇が消えていく。
「すまんかったの...ここでの事を聞いておいて忘れてくれなんて無責任かもしれんが、君はまだ若い。その闇と向き合うにはあまりにも若過ぎる。<オブリビエイト>忘れよ 」
するとハウルは力尽き、ダンブルドアにもたれかかると眠りに落ちた。ダンブルドアがハウルから闇が完全に取り払われ、静けさが部屋を覆った。
「セブルス。小瓶を持っているかの?」
だがスネイプはダンブルドアを睨みつけ動かない。ハリーはすぐに理解した。
「...セブルス。これはハウルのためなのじゃ。この子は才能という才能に溢れておる。だがたった11年しか生きておらぬちっぽけな魔法使いじゃ。お主も理解したじゃろう。ハウルはヴォルデモートと似ておる。奴が復活し、再びハウルと出くわしたら確実に未来の自分の右腕として迎えるじゃろう。これはもしハウルが闇に落ちた時に光の元におる友が手を差し伸べるために必要なのじゃ。」
するとスネイプはローブの奥からフラスコを取り出しダンブルドアに渡すとハウルから流れ落ちていた涙を入れた。