ハリー・ポッターと導く者   作:匿名希望 2

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秘宝と始まり

 

 

 

 

「...先生。」

 

ハウルの記憶を覗いたハリーは薄ら涙を浮かべ、ダンブルドアの肖像画を見る。

 

「...君はわしを軽蔑したかの?」

 

ダンブルドアはハリーの目をジッと見つめる。ハリーは首を振るとダンブルドアはほんの少し嬉しそうな顔をする。

 

「アイリスとティンクスが笑える世界とは何でしょうか?」

 

ハリーはダンブルドアに尋ねた。

 

「まだ攻め込んでは来ぬじゃろう。透明マントを奪う方法はいくらでもある。なのにハウルがお主と一人で会ったのは勧誘のためじゃ。ハウルはお主に考える時間を与えるはず...。それはおいておいて、恐らくハウルはマグルと魔法界の境界を断ち切るか交わらせるかのどちらかじゃ。わしにはハウルがどちらの思想かは分からぬ。もし彼が前者の場合は罪なきマグルが魔法界の犠牲とならぬように境界線を引くか、そして後者は魔法界そのもののマグルの意識を変える場合じゃ。どちらも賛否両論であるため、多くの血が流れる事になるかもしれぬ。」

 

先を読む力に優れるダンブルドアでさえもハウルの行動は読めない。それほどハウルの行動には無駄と隙が一切見られないのだ。幾ら見聞に優れていようと情報がなければ予見など出来ないのだ。

 

「それだけは阻止します。アイリスは今の聖マンゴにいるんですか?」

 

アイリスの元に行けばハウルを止める術が何か分かるかもしれない。ハリーはそう考え尋ねる。

 

「わしにはこれ以上ハウルの事を知る気にはなれなかった。かつてわしは己が決めた線引きを超えてしまったのじゃ。悪いが力になれぬ。」

 

ハリーはダンブルドアの答えに納得はしたものの少し残念がった。

 

「...トムリドルと同じ表面上の笑みを浮かべておったハウルとダフネ嬢が恋仲となり、彼が少しずつ幸せそうになってゆく様子を見て、わしはハウルの闇が完全に祓われたものと思っておった。じゃがわしが甘かった。わしは同じ轍を二度も踏んでしまった...。ハリー...わしの罪を受け入れ、背負ってくれぬか?」

 

ダンブルドアは目に涙を浮かべハリーに訴えかける。

 

「先生。僕は先生の罪は背負う気はありません。一人の友達としてハウルを止めます。」

 

微笑んだハリーの顔を見るとダンブルドアは大粒の涙を流した。

 

「そうじゃな。わしの罪を人に着せるのは道理に合わぬ。すまんのハリー。年をとると涙腺が緩んでならん。わしはわしの出来る事をやろう。」

 

ダンブルドアはローブの裾で涙を拭うといつものダンブルドアに戻った。

 

「ハウルは君のマントで全ての死の秘宝を揃えた。つまりハウルは<死をに打ち克つ者>となったのじゃな?」

 

ダンブルドアはハリーに確認をする。

 

「えぇ。ですが<死に打ち克つ者>とは何ですか?」

 

ハリーはハウルはマントを奪う理由は<死に打ち克つ者>となるためと言われたのを思い出した。だがハリーはその言葉の意味が分からなかったのだ。

 

「そのまんまの意味じゃよハリー。杖に存在する忠誠心とニワトコの杖の忠誠心は異なるものじゃろ?つまりこの忠誠心は方向は同じでも本質は異なるのじゃ。そこで質問じゃ。残りの秘宝にも忠誠心があるとは考えてみなかったのかの?」

 

ニワトコの杖は普通の杖とは比べものにならないほど忠誠心が強い。杖の忠誠心は己を勝ち取ったものに与えられるが持ち主にも忠誠心は残っている。だがニワトコの杖は己を勝ち取ると前の持ち主への忠誠心は失われるのだ。

「勿論、忠誠心を持つ者と持たざる者が<死の秘宝>を扱うのは絶対的な差があるじゃろう。元々ハウルはニワトコの杖の忠誠心を得ておったのは知っておろう。そして蘇りの石の忠誠心は石を使用した折、石自身が己が仕えるに値すると思った時のみ、所有者に忠誠を誓うのじゃ。ハウルは石を使用したか、使用してないのかはわからぬが、少なからずまだ石の忠誠心は得ていないのは確実じゃろう。」

 

つまり自分は<蘇りの石>に認められなかったと考えるのが自然だろう。

 

「そして君が所有しておった<透明マント>の忠誠心を得るには他の二つの秘宝の忠誠心を得ることによって己は忠誠を誓うのじゃ。これは古い文献に擲り書きで書かれておった故、忠誠心を得ることによって何が変わるかはわからぬ。君もわしも蘇りの石には認められなかったのじゃ。そして忠誠心というものが石やマントにもあるかもわからぬ。それにこれらが正しい情報かもわからぬ。」

 

ダンブルドアでもわからないことがあるのかという顔をハリーはした。するとハリーのローブから声が聞こえてきた。

 

「ハリー!聞こえるか?アズカバンで大量殺人だ!今すぐ来てくれ!」

 

両面鏡を取り出し報告を受け、すぐに魔法省へ来るように指令が来た。

 

「先生。」

 

ハリーはダンブルドアの顔色を伺いながら見るとダンブルドアはいつものように微笑んでいる。ハリーはそのまま校長室を出た。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

<ハウルside>

 

 

 

 

「あと少しだ。俺は君が笑える世界を...。」

 

ハウルがそう呟くと背後にレイナが現れた。ハウルが振り返ると報告を始めた。

 

「ホグワーツの制圧が完了したわ。」

 

レイナがそう報告すると腕を差し出した。ハウルは腕を掴むとその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

<アイリス・ウィット 〜ここに眠る〜>

 

 

 

人気のなくなった墓に供えられた花は意思を持っているのかのように風に吹かれ揺れていた。

 

 

 

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