ハリー・ポッターと導く者 作:匿名希望 2
クリスマス翌日
「なぁものすごく聞きづらい質問してもいいか?」
俺はコンパーメントの中で皆に話しかけていた。反対の意見がでず、皆がこっちを見ているため言ってもいいだろう。
「俺ってモテるのか?」
その質問に皆が飽きてはれた顔をする。
「ハウル...やっと気づいたのか?家庭の事情があるとはいえ、気づくのが遅過ぎないか?」
ドラコが何か悟ったような顔で優しく伝える。
「そうよ。貴方はイケメンなのよ!コンパーメントの外を見てみなさい!」
パンジーの声に俺はコンパーメントから顔を出す。すると周りから顔を出していた女子生徒がハッと現実に戻ったような顔をし、一斉に引っ込む。
「なんか目があったら逃げられた...。」
やはりダフネの言葉はジョークだったのか...
「違うわ、貴方をずっと見ていたのよ。巻き添えを食らう私達の身にもなってみなさいよ。」
レイナの言葉に皆が頷く。
「まだまだ分かってないようだな。ここまできたら全部教えてやるか...。」
ドラコの言葉が後押しとなり皆はハウルにハウルがいかにモテるかを教える謎の授業が始まった。周りから見れば異質な光景だが、本人達は至って真剣だった。
「だから、貴方は金持ちで育ちがいいのよ!」
「そうなのか⁉ 意識した事ないぞ!グレンスト家が名家だという実感はあったがイギリスで一二を争う程だとは...だから皆知ってるのか...」
だから組み分けの時に騒がれてたのか...腫れ物のように扱われてると思っていたのだが...
「それに君はスリザリンであるのに差別意識がまるで無い。」
パンジーの次にドラコが発言する
「そんなの当たり前じゃないか?」
ダフネだって無いぞ...
「違うわよ!ダフネは元々ドラコに負けない程の名家で純血主義だったのよ。でもハウルの影響で今ではグレンジャーと一緒に勉強できる程に丸くなったのよ!」
俺の心情を察したのか、パンジーからとんでもない爆弾発言が飛んできた。
「あぁ。僕が言うのも何だが初めて会った時は引いたぞ。グリーングラス家は僕の家と並ぶ名家だからパーティの食事中に僕が話しかけたんだ。何気無い会話から自然と純血主義の話になったんだ。僕は君の時の自己紹介みたいに純血主義を熱く語ってしまったんだ。その話をしたらダフネが急に怒りだしたんだ。あぁこの子は反純血主義だって思ったよ。だけど違った。「マグルを追放ですって⁉貴方頭おかしいんじゃないの?あんな下等種族皆殺しにすべきだと考えないの?貴方みたいなカスも皆殺しすべきだと私は考えているわ!それに私は貴方みたいなつまらない男に興味は無いの。消えなさい!」彼女が一瞬でトラウマになったよ。お陰で三十分固まったよ。あそこまで血の気が引いたのは数える程しかないよ。」
ドラコが自分の黒歴史を思い出すような表情で語る。
「そうよ。グリーングラスの冷酷姫なんて呼ばれてたわ。知らなかったドラコがおかしいのよ。」
うそだろ?ダフネってめちゃくちゃ良いやつじゃねぇか!それに家族もあんなちょろか...優しいのに
「...本当か?」
冗談だよな?という顔で俺はダフネを見るがダフネの答えは正反対だった。
「本当よ.....だって貴方に好かれたいじゃない...。」
頬を赤く染めてデレる。かつての冷酷姫の面影は無くただただ愛らしい美少女の姿だった。
「フフッ、可愛い奴め」
俺はダフネの頭を撫でる。
「えへへ...。」
二人は甘い甘い世界を築く。
「なぁパンジー。僕には穢れを知らない美少女にしか見えない。僕がおかしいのか?」
「私もよ。私も初対面の時は酷かったわ...。自分が同じ純血主義なんて恥ずかしくてとてもじゃないけど言えなかったもの。」
ドラコとパンジーは未だに飼い慣らされている冷酷姫の存在を信じられないようだ。
***
一日後
事件は起こった。それは変身術の授業の帰り道だった。いつものように談話室に戻っていた時の事だった。
(ん?またあそこで俺の悪口を...いや、あれは悪口じゃなくて噂してるんだったよな。良い意味の...。確かめて見るか...)
いつものように女子生徒にヒソヒソされている事を陰口ではなく、興奮してると教えられたが、まだ実感が湧かない。ハウルは外面用の完璧なスマイルを見せた。
「キャァァァァ⁉ 今ハウル様が笑ったわよ。いや笑っていただいたわよ。私達よね?そうよね?」
一人の女子生徒の声に反応し始め、少しずつ騒ぎ始める。
「そ、そ、そ、そうよ。パチル。しっかりしなさい。ハウル様の御前<ごぜん>よ。よし!私ならやれるわ!これをチャンスに話かけさせていただくのよ‼ 」
女子生徒の一人が自分を鼓舞する。
「まだよ!パチル。私達は目を合わせていただく許しを得ただけに過ぎないわ!あの三人とグレンジャーのように選ばれた者じゃ無いのよ!」
また一人、また一人と重症のハウル教信者が現れ始める。だが、ハウル教信者の末期は意外にもすぐ隣にいた。
「ちょっといいかしら?ハウル。あの部屋まで来てもらうわよ。」
冷酷姫の声が耳にしてドラコとパンジーが震え出す。
「ダフネ?後でいいか?まずは教科書を置いて「「どうぞ!」」
ドラコが俺の教科書を奪い、パンジーが俺を差し出す。
「それでは行こうかしら...勿論来るわよね?」
ハウルは生まれて初めて圧倒的強者に支配される恐怖を覚えた。
***
必要の部屋
「それで?どういうつもりかしら?」
昨日ダフネの修行のために話していた必要の部屋に連れていかれ、正座をさせられていた。嘘はいけないとハウルは動物的本能で察した。
「私の評価の真偽の程を確かめさせていただきました...。」
グレンスト家で完璧なまでにしごかれた礼儀をフルに活用した。
「ならばもう分かったでしょう?もう二度とあんな真似はしない事。いいわね?」
冷酷姫は感覚を空けず、微かな反撃の道筋を潰していく。
「いっ、いえ、ですがやはり私にも世間体というものがありまして...。」
ハウルが冷酷姫から目を右に逸らしたのを冷酷姫は見逃さなかった
「あら?どうして貴方は私を見てくれないのかしら?何かやましい事でも?正直に答えなさい...」
両手でハウルの顔を捕らえ、自分の顔にハウルを合わせる。
「ですが「正直に...」
ハウルもまた冷酷姫に逆らえない一人に過ぎなくなった...
「ダフネのためだ。俺が冷たい態度をとって周りに嫌われてしまうと彼女のダフネの好感度も下げてしまう。ダフネが皆から嫌われるのは俺が皆から嫌われるのと同じぐらい辛い。」
俺の正直な答えに冷酷姫の顔が少しずつ赤く、まただらしなく緩んでくる。
「私の...ため?」
普段のデレデレダフネに戻る。
「あぁ、照れるダフネが一番可愛いし、好きだ。」
その言葉を聞いてダフネは俺の胸に飛び込んでくる。
「ちょっ!今正座してるから、足曲がってるから!」
ハウルは正座していた。そこにダフネが飛び込んできたため足がさらに45°曲がり、体が線状になった。
「ちょっ、痛いから!笑えないから!」
「ハウル〜!」
ダフネはこの体制のまま三十分離してくれなかった。