ハリー・ポッターと導く者   作:匿名希望 2

70 / 156
唯一恐れるもの 2

 

「...違う!あれはアイリスじゃない。ボガートだ!違う!違うんだ!」

 

ハウルは頭を抑えて自分に言い聞かせるが、呪文を唱えられない。するとアイリスと呼ばれた女の子は緑色の閃光を浴びて倒れ、先ほどの無邪気な笑顔が消え真顔でハウルを見つめていた。

 

「うわああぁァァァァァァァァァァ‼‼ やめろ‼やめろ‼やめろォォォ‼‼」

 

ハウルは膝をつき頭を両手で押さえつけ悲鳴をあげる。スリザリン生は何が起こっているのかわからず慌てている。するとダフネがハウルを後ろから抱きしめる。

 

「大丈夫よ!大丈夫。貴方は何も悪くないわ。安心して...。」

 

ダフネは取り乱したハウルを安心させようとする。するとルーピンがボガートの前に飛び出した。

 

「<リディクラス>ばかばかしい」

 

丸い何かが風船のように飛んでいき、タンスの中に入ると杖を振り、タンスの鍵を閉めた。

 

「悪いが授業は終了だ。ハウルとダフネ以外はまっすぐ談話室に戻ってくれ。」

 

スリザリン生は激しく息継ぎをしているハウルを心配そうに見つめるが談話室に戻っていった。

 

「落ち着いたかな、ハウル。本当に申し訳なかった。君に辛いことを思い出させてしまった...。」

 

しばらくして落ち着きを取り戻したハウルにルーピンが声をかける

 

「いえ、ルーピン教諭は悪くありません。私の怖いものまで把握するのは不可能ですし...。」

 

ダフネから離してもらい落ち着きを取り戻したハウルが答える。

 

「そう言って貰えると助かる。積もる話もありそうだし、もう今日にここを使う予定はないから自由に使うといい。」

 

そういうとルーピンは教室から出ていった。ルーピンは自分を攻めていた。ルーピンはダンブルドアからハウルに気をつけて欲しいと言われていたのだ。誰よりも優秀だが誰よりも闇を抱えているという話を聞いていたのに、よりによってボガートを使ってしまうとは...彼の心を大きく傷つけてしまった。ルーピンの心はハウルへの申し訳なさしかなかった。

 

「世話をかけたな。ダフネ...」

 

二人きりになった教室でハウルはダフネに話しかけた。

 

「いいのよ。昔、何があったのはいつか話してくれれば、それでいいわ。」

 

ダフネがハウルの辛い過去を思い出させないようにいつも通り無邪気に笑う。

 

「いや、今話そう。ルーピン教諭が良い機会をつくってくれた。...俺は昔...「いいの!凄く気になるけど話せる時が来たらでいいから!。」

 

ハウルが話そうとするとダフネが止める。

 

「いや、俺が今話したいんだ。聞いてくれるか?」

 

ハウルの儚げで今にも壊れそうな顔をみて首を横にふることなどダフネには到底出来なかった。

 

「俺は5才のころ...。うちの屋敷の近くにある山であるマグルの女の子と出会った。うちの屋敷は強力な結界が敷かれ、誰も侵入できないようになっていたから俺はその子を警戒していた。だが俺は彼女の可愛いらしい笑顔に惹かれ、俺の生まれて初めての友達となった。彼女はなぜ自分がここにいるのか分からない...。そしてここがどこかも分からないと話してくれた。屋敷に連れて帰り父上に相談すると彼女の親が見つかるまで屋敷に置いてくれることになった。俺は父上の稽古の合間に結界の外に出ないことを条件に彼女と遊ぶ事を許して貰い、毎日二人で遊ぶようになった。」

 

「その子はどうして結界の中に入れたの?侵入不可能なんでしょ?」

 

ダフネが話がひと段落つくと疑問をあげる。

 

「あぁ父上の調べでは移動キーに触れてしまったことが原因らしい。移動キーにはマグル避けがかける事を義務づけられている。だけど彼女はマグルであるのに魔力を持っていた。魔力のせいでマグル避けに効果がなく触れてしまったらしい。その時に偶然にも魔力を暴発させてしまい、うちの屋敷に飛ばされてしまったというのが原因だと断定された。」

 

「じゃあ偶然だったの?」

 

「あぁ父上は闇祓いだから専門家だ。今考えてもそれ以外に方法がない。それでは話に戻ろう。

...俺達は父上に言われた通り結界の外には決して出なかった。だがある日、今まで見たことない光が結界の外で見えた。俺は好奇心から結界の外に出てしまった。光の方へ向かうと二人の男がいた。...そう、罠だったのだ。俺は父上から魔法を教わっていたから抵抗しようとしたがまるで歯が立たなかった。この二人は<死喰い人>で父上に恨みを持っていた。二人は結界を破れず、また父上にも敵わないから、ずっと俺かキースを人質にしようと気を伺っていた。その時は偶然にも父上も母上も屋敷にいなかった。俺は二人に<四肢縛り>の呪いを使おうとした。四肢縛りの呪いは使われると身体が半永久的に動かなくなり、植物人間になるが早急に治療すれば何の問題もない呪いだった。その時に俺とキースの教育係で世話係長だったしもべ妖精のティンクスが異変に気づいて駆けつけた。ティンクスは俺に手をださない条件に二人の攻撃を満足するまで受けるという約束をした。ティンクスは二人を軽く倒せる力を持っていたのに...。二人はティンクスを散々弄んだ後手足を吹き飛ばした。それでもティンクスは耐え抜いた。そんな様子を見ていた二人は高笑いして俺に杖を向け<四肢縛りの呪い>の呪文を唱えた。二人は約束なんて始めから守る気は無かった。するといつも通りの笑顔の彼女が俺を庇った。目の前で緑色の閃光を受けると彼女は動かなくなり、いつもの笑顔も同時に無くなった。冷たく高笑いしている二人に俺の中の何かが壊れた。気がついたら二人は死んでいた。記憶はなかったが俺がやったとすぐに理解した後、俺は意識を失った...。ボガートが変身したのが彼女...アイリスだ。まもなく俺は新たな世界をつくろうと決心した。笑わなくなったアイリスがもう一度笑ってくれるような世界を...」

 

 

天才ハウル・グレンストが唯一恐れたものは「大切な者の死」だった。

 




正確に言えばハウルのアイリスが笑えるような世界をつくろうと決心したきっかけはこれではありません。

ハウルにとって友達=大切な人ではありません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。