No matter what fate   作:文系グダグダ

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08:IS学園 5月

 ゴールデンウィーク中盤の朝のことだ。唐突に織斑君がやって来た。

 

「友兄! 遊びに行こうぜ!!」

 

 ドアを開けた途端これである。

 

「……篠ノ之ちゃんや凰さん、オルコットさんに更識さんとかのメンバーに頼んだら?」

「俺は友兄と一緒に遊びに行きたいんだ!」

 

 女だらけの生活に嫌気が差したのだろうか……その辺の男が聞いたらしばき倒されるレベルの発言をする。ついでにうちの生徒が聞いたら……お察しください……

 

「五反田君の所に遊びに行ったんじゃないの?」

「遊びには行ったんだけど……ほら? 高校生の行動範囲と資金だから……」

「男同士でバカやるにはまだまだ物足りないから、車が使える大人の自分に頼んだ……と」

 

 コクリと織斑君は頷く。

 

「うーん……じゃあドライブにでも行くか」

「サンキュー! そう来なくっちゃ!」

 

 そう言って、男二人で日帰りドライブの旅が始まるのである。IS学園の方は警備もそれなりにあるし、そこまで問題もないだろう。

 

「服着替えるから、織斑君はその間にどこに行くか考えといてー」

 

 自室のPCを指さしながらそう言う。セキュリティや個人データのロック等は万全なので何も問題は無い。そう言われるやいなや、PCの前に座り場所を検索する織斑君……着替えを終えて、PCの画面を覗くと……

 

「ん? 日帰り温泉……」

 

 思わず、首を傾げる。織斑君ってそんな趣味があったのか……なんというか……古風だなぁ……

 

「ここでいいだろ? 友兄。 IS学園じゃあ大浴場が使えないしさ」

 

 そう言われて、やっと納得する。確かに、大浴場が使えないので手足を伸ばしてゆったりと湯船に浸かる事はここでは出来ない。

 

「うーん……いいんじゃないかな?」

「だろ? ちょくちょく寄り道しながら言ったら良い感じの時間に着くしさ」

 

 こうして、これ以降ちょくちょく織斑君とのドライブが行われたりするのであった……

 

   ■   ■   ■

 

 今更ながらIS学園は若い娘が多い。

 学生の話ではなく、教員の話でだ。

 

 特にISに携わっている人は基本自分の年齢位な人がほとんどである。多くても(?)三十路前しかいない。で、今年度最初の給与が貰えて今、教員達は懐が暖かい状態である。しかも、今は某大型連休。

 

 つまりはどういうことか……

 

 二日酔い覚悟の飲み会が始まる訳である……と、言うわけで今晩、夜勤が入ってる教員や警備員以外は皆、街に繰り出している。織斑さんもそのメンバーの一人だ。

 働き始めてまだ一ヶ月ではあるが、どうもIS学園はまだまだ教員の数が全体的に足りないような気がする。とりわけIS関連の教員が足りない。なんだよ、自分の平日の午前のIS実習と午後IS実習全部埋まってるじゃねーか。IS実習は二時限連続で約3時間の授業だよ……。ヘタすれば午後は大学部の実習とかもあり得るので、それ以上……三時限、およそ4時間半もありえるしさ……同じISの実習教員仲間の織斑さんとお互いにそう愚痴るのは珍しくない。

 

 いやね? 自分と織斑さん、IS学園に所属している大半の元国家代表や代表候補の皆さんとかは博士課程やそれに準じる資格・試験なんかをパスしてないから普通の授業とかはやれないんだけどね……

 いくらなんでも、IS実習に関しては我々に丸投げと言うのもなんだかなぁ……教育計画を決めるだけ決めて丸投げは……

 計画自体は良いんだけど、もう少し在籍しているIS実習教員のバイタリティも考えて欲しい所。今の所無駄にバイタリティの高い自分と織斑さんがダウンした先生の代わりを務める事で延滞する事なく進んでいるが、その人外二人だって休みぐらいは欲しいのだ。

 

 今度、楯無嬢経由でIS学園の上層部に伝えておくか……? うん絶対にしよう、そうしよう。

 

 とまあ、愚痴はそこまでにしておいて置くことにして……ところでそんな中、自分は何をやっているのか?

 

 ふつーに寮監やってますが何か?

 

 第一、女だらけの飲み会で一人だけ男が混じるのを想像するだけで嫌な予感しかしない。そう断言できる。

 それにお酒は一人で飲むのが好きなんだ。理由? 酔うと重度の寡黙になるから。この自身の酒癖も相まって、どうもIS学園の教員達と一緒に飲む気がしない。一緒に行ったらまた変な噂出そうだなぁ……

 

 と、何気に飲み会に行けないことを悔しく思う自分に情けなく思いながら。自室で過ごす。

 

 消灯時刻を過ぎた辺りで唐突に電話が鳴る。無視する理由もないので受話器を取った。

 

「もしもし?」

「ああ、やっと繋がった……岡部だな」

 

 声から判断して相手は織斑さんのようだ。

 

「そうですけど? 何か用ですか?」

「まあ、その……なんだ……迎えに来てくれないか?」

 

 少しバツの悪そうな声色でそう話す。

 

「ミニバンで良ければいいですけど?」

「なら頼む。場所は……」

 

 そう言って、住所を教えてくれた。

 早速、自身のISにこの周辺の警備・警戒を命じた後、ミニバンに乗り込み、IS学園を出る。

 織斑さんが指定した場所に向かうと一軒の居酒屋とそこに涼しげな表情でこちらに手を振る織斑さんがいた。彼女に寄り、窓を開ける。

 

「で、誰がダウンしてるんですか?」

「山田君にベネックス君、あとは数学教員のエドワース先生だ」

「そうですか……織斑さんは車で休憩がてら、待ってて下さい」

「そうか、悪いな」

 

 で、車から降りて居酒屋に向かうとベロンベロンに酔いつぶれた三人が……

 流石に織斑さん一人で三人は担げないわ……と一人納得したところで声をかける。

 

 まずは山田さん。

 

「山田さん、帰りますよ」

「ふぇ? 織斑さん? 流石に男らしくてもホントに男になっちゃらめぇれすよぉ……」

 

 実際に当の織斑さんが目の前に居たら即、拳骨をくらいそうな事を言いながらも素直に担がれてくれた。そのまま、車のドアを開けて後部座席にでもブチ込んでおく。

 ついでに織斑さんは助手席にいた。

 

「あれ? 織斑さんは助手席?」

「そうだが……なにか?」

「いや、特になんでも」

 

 そう言って、次の酔っぱらいを回収することにする。

 次はベネックス女史。

 

「ベネックス先生。帰りますよ。」

「あうっ、もう食べられないですぅ……」

 

 寝言じゃねぇんだから……内心でそうツッコミながら以下略。

 正直山田さんの方が役得でした。

 

 で、最後にエドワース先生。

 

 

 以下略。

 

 

 こうして、酔っぱらい三人を後部座席に無事にぶち込み、車に乗り込むことに。

 

「済まんな。わざわざタクシー紛いな事をして」

 

 隣の助手席に居座っている織斑さんがお礼を言う。 

 

「いえいえ、最近色々と物騒ですしむしろガンガンこき使ってくれても構いませんよ」

「そうか……優しいんだな」

 

 やけにしおらしいが多分酔ってるんだろうな。

 その後は特に会話もなく、そのまま問題無くIS学園に到着。

 三人を叩き起こすまでは良かったが、いきなり自分がいることに驚いたようで、なんとか落ち着いて貰って、事情を説明する事でなんとかなった。

 その後、彼女達は無事に寮に戻っていったのだが……

 

「……」

「で、どうしよ……」

 

 目の前には助手席ですぅすぅと寝息をたてながら眠る織斑さんの姿が……

 

「しょうが無い……」

 

 仕方がないので織斑さんを起こさないように慎重に身体に腕を回し、横抱きにする。

 そのまま足で車のドアを閉め、キーボタンでロックをかけてから、学寮に戻っていったのであった……

 

   ■   ■   ■

 

 5月のゴールデンウィークが過ぎ、授業が再開される。

 またいつものように、ISを纏い高等部の各学年の生徒達や学部の生徒達相手に授業をする日々の始まりである。それにしても、月曜から金曜までのいづれの日も午前と午後はみっちり授業が入っているので大変だ。

 それに加えて2組のホームルームや各生徒の成績付けなども加わっているので、ベネックス女史のサポートが無ければ到底やっていけないだろう。ホントに、彼女には感謝感謝。

 

 さて、5月のメインイベントといえばクラス対抗戦が挙げられる。

 文字通り、各学年のクラス代表同士で試合をするという物だ。

 アリーナでISを用いて闘い、規定量のシールドエネルギーを先に減らしたほうが勝ち、という単純なルールだ。通常はクラス代表と言えば大抵は代表候補生などがなることが多いが、代表候補生は数が少なくそれに加えて大抵は1組か2組に流れてしまうことがよくあるので、3組や4組のクラス代表は一般の生徒が担当することが多いけど……その一般の生徒と言っても、中学やそれ以前にISでの教習を受け、代表候補生には劣るもののそれなりに扱える生徒である。

 

 だがしかし、流石に一般生徒と代表候補生とではまずいので、その時にはハンデとして代表候補生には規定量の半分のシールドエネルギーが減った時点で敗北としている。性能や専用武装によってはさらにシールドエネルギーの量を差っ引いていく予定だ。これなら、一般の生徒との技量差も少しは縮まってくれるだろう。

 

 ……で

 

「今月のIS実習はクラス対抗戦を視野に入れて、教官とクラス代表との一騎討ちでの模擬戦をやりたいと思います」

 

 ISスーツを着た1組や2組の生徒が整列する中、そう自分は宣言する。事前に織斑さんや各副担任には話を通してあるので、特に異論は無い。

 

「1組や2組のクラス代表は自分の実力の再確認と共に、相手の偵察も兼ねることが出来る。それに加えて衆人環視の中での模擬戦だ。この機会をどうするのかはお前等次第だ」

 

 織斑さんが補足するように、説明をいれる。そう、自分はこれが狙いで、この提案をしたのだ。

 お互いの敵や多くの生徒がいる中での模擬戦。全力を出せば、相手に自分の力量がバレるし、多くの生徒の目が自分を見ていることを自覚すると緊張で途端に自分の実力が出せない……なんて事も考えられる。将来、モンド・グロッソ出場を目標に掲げているのならこれぐらいで緊張することは許されない。

 

 そんな中、織斑君が手を挙げる。

 

「ん? なんだい?」

「でもさ、岡部先生。うちのクラス代表はセシリアと鈴だぜ? お互い放課後の模擬戦とかやってるじゃないか」

「まあ、一応そういうカリキュラムになってるんだ……1組2組はそうでも他は違うからな。今月はこういう内容だからしょうがない」

 

 織斑君の質問にそう肩を竦めながら答える。今まであたかも自分が発案したような言い草だったが、実際の所はこれが真実。そういう建前というかカリキュラムなんだ、気にするな。

 

「あっさりバラすなぁ……」

「ま、模擬戦の後は普通のIS実習をやるから。……そういうことで他の生徒は各クラス代表の試合を観戦してそれをレポートにまとめること。期限は今週末までだぞ、いいね?」

 

 1組2組の生徒達はハイ、と了承する。

 

「で、組み合わせなんだが……セシリアさんは織斑先生と、凰さんは自分と模擬戦をやってもらいます。いいですね?」

「問題ありませんわ」

「問題無いわ」

 

 凰嬢とオルコット嬢の両者共に了承した。

 

「では、山田先生とベネックス先生には観戦中の生徒さんに解説なり説明など頼みますね。」

 

「はい、わかりました」

「ええ、わかりました」

 

 二人も問題無く了承する。

 

「それでは、生徒さんは移動を始めてね。クラス代表は模擬戦の準備を頼みます」

 

   ■    ■   ■

 

「それでは、解散。しっかり休息はとるんだぞー」

 

 号令をだすやいなや、蜘蛛の子を散らすように去って行く生徒達。その後残ったのはいつものメンバー、なぜならば今日の放課後は補習を称した織斑君と篠ノ之ちゃんとその他代表候補生達の訓練の時間だからだ。担当教官は自分と織斑さん。今更な話だが、こんな事ができるのは1組2組の担任という肩書きがあるからこそ出来る荒業である。

 各自、自身のISを既に展開しており皆ヤル気の高さを表している。

 しかし、オルコット嬢は少し落ち込み気味で、凰嬢に至っては何故かプルプルと震え気味である。まだ、さっきの授業の模擬戦の事を気にしてるのかね? なんだかんだ放課後の訓練をやってはいたけど、凰嬢と直接模擬戦するのは初めてだったし。

 

「で、今日の補習はどうするんだい?」

 

 そう尋ねた時であった……

 

 吼えた。

 

 凰嬢が……

 

「ちょっとまった! これだけは聞かせて!」

 

 ビシィッ!! っと指をさして尋ねる凰嬢。余程聞きたい事があるのだろう。模擬戦直後から何かそわそわとしていた様だし。

 

「なんだい凰さん? 答えられる範囲内ならいいけど?」

「なんで甲龍の龍咆を初見で避けれるのよ!?」

 

 ああ、その事か。

 中国の誇る第三世代型IS甲龍(シェンロン)。近接攻撃と機体自身のパワーに重みを置いた機体。見た目も両肩の非固定浮遊部位(アンロックユニット)に棘付き装甲(スパイクアーマー)を持っているからかどこと無く攻撃的な印象を与える。そして、その肩部の非固定浮遊部位には対中距離・遠距離用に衝撃砲・龍咆(りゅうほう)を装備している。片方に一門、もう片方に一門で計二門だ。

 龍咆の特徴はなんといっても発射直前時、発射炎(マズルファイア)やレーザーなどに生じる高エネルギー反応などが生じない点にあるだろう。これにより、近接攻撃をちらつかせの間接攻撃や不意打ちなどを取ることを可能とし、また通常兵器に比べて回避しにくいという側面もある。

 

「……あー、長年の勘?」

「絶対嘘だ!?」

 

 ごめんなさい。実は発射直前に直撃コースならISが龍咆の銃口の赤いサイト(クライシスサイト)を表示させて警告してくれるんだ……うちのISは射撃狂というか射撃に偏執しているので、とりわけ射撃系の補助に関してはピカ一なんだよ。だから、相手の銃火器・火砲に関してはこっちで着弾地点を予測できるんだ。次点では射撃・操縦の補助とかあるけど、これは置いといて……どう誤魔化そうか?

 

「いや、だって見越し射撃とかは目線とかで大体わかるでしょ? それに、君も偶に『これはくらう……!』って思う時があるでしょ? それと同じような物だよ。」

「グググ……反論出来ない……けど、実際にそんな人間離れした事なんて……」

 

 悔しそうにしながら、凰嬢はふと織斑さんを目が合う。目があった織斑さんはキョトンと首を傾げる。

 

「確かに、ISの補助もあればアタシでもいけるかも知れない……」

「少し待て、凰。何故私を見て納得した?」

「キノセイデス」

 

 織斑さんなら生身でもイケると思ってしまったのだろうか? 凰嬢……

 怪しげに凰嬢を見る織斑さんに、必死に視線を逸らす凰嬢。流石に、可哀想なので助けてあげよう。

 

「まあまあ、とりあえずは相手に悟られないように立ちまわるしか無いと思うけど、その辺はひたすら戦闘経験を重ねるしか無いと思うよ」

「うう、そうですか……ありがとうございます」

「あ、そうそう。織斑先生はどうでした? セシリアさんの方は?」

「つ、次は私ですの!?」

 

 織斑さんは怪しげに凰嬢を見ていたが、即座に視線をこちらに向ける。その様子に凰嬢はホッとした様子。どんだけ織斑さんの事が苦手なんだ……? 中学時代、織斑君とやんちゃしてこっぴどくシバかれたからかね? 今度織斑君に聞いてみるか。そして、すまんオルコット嬢。

 

「あ、甘んじて受け止めます……」

「そうだな……オルコットの射撃は岡部よりかは危険を感じなかったぞ」

「いや、自分と比べないでください」

「後は……少し深追いする感じがするな。それで、思わぬ隙を晒すことが多々あったぞ」

「そうですか……深追いしやすい……ですか」

 

 カクン、とズッコケそうになるが踏みとどまる。

 流石にそれはダメですぞ、織斑さん。

 

「……では模擬戦中、織斑先生はどんな時に射撃が飛んできましたか?」

「そうだな、少なくとも直線的に動けば、見越し射撃がキッチリとんでくるし、足を止めてもとんでくる。基本はレーザービットとの2対1という形をしっかりとってもいたが。本当に近づけたくない時には4つ全てのビットを使ってでも、弾幕を形成していた」

「うん、セシリアさんは基本やセオリーに忠実にやっていたんだね。ただ単に技量差が大きすぎただけですな」

 

 その言葉にホッとするオルコット嬢。

 

「でも、織斑先生のことですからちゃんとセシリアさんの懐に飛び込めますよね?」

「まあ、当然だな」

「その時の彼女はどうでした?」

 

 その言葉に今度はビクンッ! と身体を震わせるオルコット嬢。

 

「インターセプターを即座に呼んだのまでは良かったが、打ち合わせる事もなく終わったよ……」

「なら、今後の改善目標はインターセプターで打鉄の近接ブレードと五太刀は打ち合える位かな?」

「いや、今のセシリアのレベルでは五太刀は難しいだろう。初撃をインターセプターで上手く防ぐ練習をさせる方が先決だ。」

「そうですか、わかりました。そうしましょう。」

 

 本人の前でこれは少し、不味いかなと思いつつも織斑さんと話を進める。

 ふと、横目にオルコット嬢を見ると……インターセプターを取り出して、篠ノ之ちゃんと織斑君に練習を頼む彼女の姿が……向上心があってホントに嬉しいよ。まあ、こういった会話は一応みんなもお互いに聞いてるしね。今回はたまたまオルコット嬢だが、織斑君の時もあるし、篠ノ之ちゃんの時もある。例に漏れず簪嬢の時だってあるので、心配することは無かったのかもしれない。

 

「と、言う訳でセシリアさんには織斑君と篠ノ之ちゃんとの近接武器での打ち合いをやって貰おうと思うけど……もう言わなくとも分かってるみたいだね」

「ええ、当然ですわ」

「なら、織斑君、篠ノ之ちゃん。今日はそういうことでお願いできるかな?」

 

 二人はその言葉に軽く手をかざす。

 

「おう、任せとけ!」

「わかりました。教えるのも、いい勉強になりますから問題ないです」

 

 ならばよし、今日はこの三人組でいいだろう。

 

「じゃあ、その三人はいいとして……残りのメンバーでどうしよっか?」

 

 そう残りのメンバーに問いかける。観戦席にはコソコソする人影がちらほら見かける。恐らく他クラスの、3組か4組の、あるいは両方のクラス代表か、またはその子に頼まれた友達か……代表候補生が相手になるのだからこの手の情報収集は欠かせないよなぁ。感心感心。

 

「私は……打鉄弐式の調整と稼動データが取れれば、問題無いです」

「アタシは別になんでもいいけど?」

 

 二人の意見聞いた後、織斑さんの方に視線を向ける。

 

「私もだ。今日は岡部先生に任せます」

「ふーん、そうか。なら、さっきの模擬戦の事を踏まえて凰さんの回避訓練といきましょうかね」

「回避訓練?」

 

 凰嬢は不思議そうにこちらを見つめる。

 

「うん。回避訓練。」

 

 ニコリと笑みを浮かべてそう返した。

 

   ■   ■   ■

 

 織斑君達が近接武器での訓練をしている中、ただ一人だけアリーナで宙に浮いている甲龍。そんな中、自分は簪嬢の打鉄弐式と織斑さんの暮桜弐式の間に挟まれている。簪嬢は山嵐を6基全て展開し、織斑さんは雪片を持っている。ついでに自分はIS用アサルトライフルを持っている。

 

「で、これから回避訓練を始めるのだが……何故? 凰さんにこれをさせるかは……わかってるかな?」

「ええ、まあ」

「そう、面倒だと思うけどちょっと言って欲しいな」

 

そういうとすらすらと述べ始める。

 

「まあ、アタシって龍咆があるけど近接パワー型じゃない? だから、時には弾幕の中に突入することもあるからシールドエネルギーの値や装甲が他のと比べて多めなのよ」

「うん、そうだね。龍咆も強力だけど、その青龍刀……双天牙月(そうてんがげつ)だっけ? それも十分に脅威的だね」

「そう、それで多少の攻撃はシールドエネルギーや装甲で受け止められるようにはなってるんだけど……あんまり過信しちゃダメなのよね」

「うん、そこまでわかれば良し。済まないね、わざわざそんな事言わせちゃって」

 

 観戦席にいる他クラスの生徒の様子をこっそり見ながら。凰嬢とやり取りする。ただでさえ、代表候補生でかつ専用機持ちなのだ。これぐらいバラさねばフェアじゃない。

 

「でも、岡部先生が何とか改善しようと頑張ってくれるんでしょ?」

「教員ですから。そりゃあ、生徒さんがヤル気を自分に示してくれたら助けるよ。それに……」

「それに?」

「凰さんは僕のクラスの生徒なんだ。喜んで指導するよ」

 

 と、言い切った後、隣の織斑さんから肘で脇腹をつつかれる。

 

「岡部先生、そろそろ訓練の方を」

「そうだね。じゃあ、これから回避訓練の説明に入るよ」

 

 と言って『3,00,00』と表示されたディスプレイを表示させる。

 

「3分間!? えらく短いじゃない」

 

 不服そうな視線を向ける凰嬢。これには織斑さんはため息をつく。

 

「そのたかが3分間はISにおいては貴重な時間だぞ?」

「まあ、実際に訓練を受けてから感想は貰うとして……制限時間は3分間。その間、君はひたすらに回避行動をとることだ」

「勿論、その間は我々に攻撃することは禁止とする。しかし、迎撃は許可しよう」

「……そうね、わかったわ。それに、迎撃目的なら龍咆も使用してもいいわね?」

「許可する。最初の1分間は自分のアサルトライフルのみ、その1分が過ぎると今度は打鉄弐式のミサイルが追加され、最後の1分間になると織斑先生の暮桜弐式が雪片で一太刀だけ斬りにかかる。その後はすぐに引っ込むので安心してくれ」

 

 その説明を聞くと、凰嬢は即座に質問にかかる。

 

「迎撃はいいって言ったけど、もし織斑先生に当てた時はどうなるんですか?」

「その時はその一太刀は無しだ」

「しかし、私に一撃当てられるのならな、凰」

「そういう事だ」

 

 織斑さんの一言に不安げな表情をする凰嬢。

 

「まあ、ミサイル以外は手加減するんで気楽にね?」

「そうですけど……成功条件はわかりました。失敗する条件はなんですか?」

「失敗の条件としては、規定量のシールドエネルギーの減少だね。今回はクラス対抗戦でのシールドエネルギーの規定量かな?」

「うへぇ……通常の半分かぁ……」

 

 まあ、頑張ってくれ。そう思いながら、IS用アサルトライフルの安全装置を外し、セレクターを三点バーストに切り替える。こいつはラファールのアサルトライフルと違うIS基準では小口径に分類されるIS用アサルトライフルだ。

 

「じゃあ、頑張ってくれ……それでは開始。」

 

 そう言って、ディスプレイのタイマーを作動させ、アサルトライフルをゆっくり構える。そして甲龍の胴部に当たるように撃つ。緩慢な動作での射撃なので、あっさりとかわす。しかし、銃口は依然、甲龍捉えたままだ。その様子を見て甲龍は常に動きまわり回避機動に入る。とりあえず乱雑に42発、14トリガー分引いて撃つが、甲龍は常に動き回っているので命中はしない。

 

 ここで、拡張領域からの弾薬の入った弾倉を取り出し、手動でリロードし、コッキングレバーを引いてチャンバー内に弾薬を送り込む。その間甲龍は回避機動を未だにとっており、凰嬢は不思議そうにこちらを見ている。今度はレベルを上げて単純な偏差射撃に移行する。ある瞬間の甲龍の速度ベクトルを算出し、弾丸が到着するまでの時間にどの位置にいるのか割り出してから射撃するという方法だ。しかし理屈で言えば確かに凄いが、実際は経験から成る直感に近い。

 

 だが、そこはIS……特に射撃に偏執したゲスト機ならば、瞬時に算出し、その方向へ向けて射撃することは、人間の操作抜きのオートで可能だ。射撃補正の一種ですな……だが、流石にこの位の偏差射撃では等速直線運動を行うような物体ならばいともたやすく命中させることができるだろうが、相手は予測不可能な動きを行うIS。そこまでの期待はできないが……

 

 ゲスト機内部のISコアは射撃補正としてある瞬間での甲龍の速度と方向を読み取り、自動で自身の機体を動かし射撃に入る。1トリガー、2トリガー、3トリガー目までは命中せず、4トリガーで甲龍の左脚部外側側面に命中を確認する。原因は回避機動における速度の緩急の差が小さかったことに起因する。だがそのまま射撃は継続する。5、6、7、8トリガーまでは回避できたが、再び9トリガーで着弾、今度は背面右肩部に着弾。射線から完全に離れなかった事が原因だ。

 

 その後6回トリガーを引いて射撃するが、甲龍は全弾回避……とはいかず。一回だけ着弾。狭いアリーナ内での回避機動なので、壁などにぶつかる前に180度反転させて動いたのがいけなった。痛恨の胴部前面部に着弾。最初の約1分間でただでさえ少ないシールドエネルギーが微々たる量であるが、減ってしまった。

 

 また、手で空の弾倉を抜き出してリロードする。その間にプライベートチャンネルで簪嬢の打鉄弐式に連絡を取る。

 

「まだまだ、小口径のIS用アサルトライフル程度ならエネルギーの減少も微々たる量、へーきへーき」

 

『いいかい? 残り時間が2分間になった瞬間に一発ミサイルを発射。以降、10秒毎にミサイルを発射するが、三回その動作をした後、一度に発射するミサイルを一発追加する。これの繰り返しだ。いい?』

『了解……』

『あと、それとは別にミサイル発射を要請するので気を引き締めるように』

『了解……』

 

 自信たっぷりに胸を張る凰嬢を見つつ、リロードを終えると、丁度残り時間が2分になり、打鉄弐式からミサイルが一発発射される。

 

「げ、もう1分過ぎてるの!?」

 

 これに対して甲龍は更に激しい回避機動に切り換え、ミサイルの旋回性能を上回る動きでこれを振りきろうとする。

 

「これでどうよ!」

 

 凰嬢の目論見通り、ミサイルは旋回しきれず壁に衝突、炎上した。しかし、その間にもう一発新たなミサイルが打鉄弐式から放たれる。再び回避機動でミサイルを振り切ろうとするが、自分はそれを見逃さずに射撃を開始する。また最初のように乱雑にトリガーを引く。

 

 甲龍はそのまま回避機動をとっているので当たらないのだが、ミサイルに完全に意識を持っていかれているので、流れ弾というか1発のみのラッキーヒットが出てきた。

 

 そのまま、三発目のミサイルも振り切った所で打鉄弐式は二発ミサイルを同時発射させる。同時に自分もリロードを今度は拡張領域からの弾倉の出し入れを行う。瞬時にアサルトライフルに付いている空の弾倉を拡張領域にしまい込み、同じ所に新しい弾倉を入れるという方法だ。

 

「うぇ!? 二発同時ィ!?」

 

 そんな凰嬢の驚いた声を聞きながら、先程と同じようにISの射撃補正のみでの射撃に移行する。と、ここで龍咆の登場。足を止めての射撃で見事、ミサイルを迎撃する。

 その代わり、三点バーストを頭部に直撃だが……

 

「……ま、大丈夫大丈夫……」

 

 そのように独り言を呟きながら回避機動に移る。少し慣れたのか、はたまた学習したのか、先程と比べてあまり被弾していない。

 また、打鉄弐式から二発のミサイルが発射される。今度は回避機動を取りつつ、龍咆での迎撃のようだ。

 今のところISが自動でやってくれているので織斑さんの暮桜弐式に向けてプライベートチャンネルを開く。

 

『織斑さん。そろそろ時間です』

『わかってる。で、私は岡部の合図で一太刀入れてくればいいのだな?』

『はい。そのとおりです』

『了解した。手加減もそこそこにしておくぞ』

『はい』

 

 その時、打鉄弐式から二発のミサイルが発射される。投影型ディスプレイを見ると残り時間が1分となったようだ。

 

『それじゃ早速一太刀お願いします』

『わかった』

 

 そう言って、織斑さんは雪片を握り、ブーストを噴かす。ミサイルの迎撃や誘導を振り切りつつ、回避機動を取る甲龍に向かって単調な動きで斬りにかかる。

 

「……ナメんじゃないわよ!」

 

 しかし青龍刀……双天牙月(そうてんがげつ)を拡張領域から取り出し、防御する。織斑さんはその後ルール通り、追撃せずにそのまま自分の隣へと帰還する。

 その後、龍咆でミサイルを迎撃するが、一発撃ちもらす。ミサイルは範囲内に甲龍がいることをセンサーにより検知すると、爆発。爆発に寄って生じたミサイルの破片が甲龍のシールドエネルギーを削る。

 

「くぅ……思ってたより辛いわね……」

 

 ミサイルの衝撃に怯みながらもシールドエネルギーを確認したのか、凰嬢は苦しい表情を浮かべる。その様子じゃシールドエネルギーは順調に消耗していってるようだ。

 だがしかし、自分のアサルトライフルも忘れて貰っては困る。怯んでいる甲龍に対し容赦無く射撃を開始する。

 1トリガー目は肩部側面に命中したものの、すぐさま回避行動に移る。そろそろ残り時間が30秒になる頃だ。

 

『簪さん。ミサイルを5発同時に発射して。』

『了解』

『織斑さんはミサイル発射後、甲龍の背後を狙うように。できれば、引き離されず、追いつかれずに』

『そうか、やってみよう』

 

 二人に指示を出し、打鉄弐式はミサイルを同時発射し、暮桜弐式は再び雪片を握り、再度ブーストを噴かす。

 アサルトライフルの弾幕の中、ミサイル迎撃しつつ、近接機から逃げる。果たして出来るかな……?

 そう思って少しばかり期待を込めて、甲龍を見ていたが……残念ながら、暮桜弐式のプレッシャーに負けたのか、リズムが完全に崩れて、アサルトライフルが当たるわ、ミサイルが命中するわ、雪片でしばかれるの三段コンボを見事にくらい、シールドエネルギーを一気になくしてしまったのであった……

 

   ■   ■   ■

 

「ちょっと! 本音ちゃんから聞いたわよっ! 週に何度か訓練してるって! しかも簪ちゃんと一緒に!!」

 

 『裏切り者~!』という文字が書かれた扇子を広げ、物凄く悔しそうな顔をする楯無嬢。

 凰嬢の回避訓練の翌日、同僚からIS学園生徒会から生徒会室に呼び出しがあったと聞いて生徒会室に向かった途端これである。

 

「は……はぁ……」

「……ハッ! これは当てつけね! 当てつけなのね!? 簪ちゃんとの姉妹仲が良くない私への当てつけなのね!?」

 

 生徒会長専用のデスクをバンバンと叩き、オーバーなリアクションをとる。

 

「そんな個人情報は要らないんだけど……」

 

 と、ここで何か閃いたようでハッとした表情になり

 

「そうだ! 岡部先生! 私と簪ちゃんの姉妹仲のトラブルを解決して!」

「家庭のトラブルはお断りします」

「なら、私も放課後の訓練に参加するわ!!」

「トラブルの種もお断りします」

「じゃあ私の家に来てよ! いっぱい優遇できるから!」

「ヘッドハンティングもお断りします」

 

 ぐた~、とデスクの突っ伏しながら『無念』と扇子を広げる。茶番終了。

 

「そう言えば……本音ちゃんからって言ってたけど、もしかして1年1組の布仏本音(のほとけ ほんね)さん?」

「ええ、そうよ」

「ふーん、ちょっと意外」

「どこが意外なの~、先生ぇー」

 

 声がしたので後ろを向くと、布仏嬢がいた。特徴としては織斑さんとこのクラスの生徒で、袖丈が異常に長い制服を着ていて、そこそこISの習熟度が高いといった位でしか覚えていない。

 あとは2組の簪嬢といるところを割とよく見る……といったぐらい。直接情報を得たのはそれだけで彼女については殆ど織斑君が色々と喋っている内容だより。

 

「んー、この組み合わせ自体が?」

「うわぁー、ヒッドーイ。これでも私、書記さんなんだよ?」

 

 布仏嬢は腕をパタパタさせつつ、テーブルに置いてある『生徒会書記・布仏本音』と書かれた三角錐のオブジェを見せる。

 

「そうか。なら、頑張るんだぞ」

「はーい。でもかいちょー、どうしてここに先生がいるんですかー?」

 

 その声に待ってましたと言わんばかりに扇子を開く。

 

「それは勿論、私の可愛い可愛いマイシスター簪ちゃんを撮ったデータをね……」

「撮ってもいませんし、頼まれても撮りません」

 

 嫌な予感しかしないのでバッサリ切る。その様子に楯無嬢はへそを曲げる。

 

「ちょっとぉー、ノリ悪すぎー」

「今は仕事中ですので」

「じゃあプライベートなら良いわけ?」

 

 ジト目でこちらを見ている。ついでに布仏嬢もこっちを見ている。

 

「気分による」

「あー、逃げたー」

 

 布仏嬢は黙ってて……あーあ、嘘がバレた。

 

「……あー、それは置いとくとしてだな……ホントに結局自分はなんの用で呼ばれたんです?」

 

 まだへそを曲げてるのか、ほっぺを膨らませ、口を尖らせてる。

 

「簪ちゃんの身の回りを頼みたくて……」

 

 あれ? 意外と本気ですかー!?

 何故、自分が頼まれるのか、記憶の糸を手繰り寄せながら考えてみる。

 

「んーと、あの生徒会会長は最強が云々?」

「それのこと。もしかしたらもしかすると……私の可愛い簪ちゃんが人質……なんて事になりかねないし」

 

 そう言われて納得する。

 まず、生徒会会長が云々はとりあえず最初というかホントに初期の頃、代表候補生ホイホイとしてISでの熟練度の高い生徒に生徒会長に地位を丸投げという事から始まっていたりしている。

 で、そこから3年ほど経った今では、とりあえず強い奴は生徒会長になる権利を有するとかいうよくわからない物になっていて、楯無嬢はその手段の一つに自身の妹さんである簪嬢を人質に生徒会長の地位を要求するという事を危惧している……と。

 

「そう言えば、楯無さんは妹さんと仲が悪いというのは?」

「ええ、ホントよ」

 

 答えをだす前に少しばかりの質問を行うと、素直に返って来た。しかし、楯無嬢は表情は少しバツの悪そうな顔をしている。

 

「かんちゃんはねー、なんでも出来るかいちょーに引け目を感じているのー」

 

 そんな楯無嬢を気遣っているのか布仏嬢が解説を入れる。

 

「それって……」

「本当よ、本音ちゃんの言う通り。簪ちゃんはいつも私と比べられて育っちゃったらこうなるわよね……」

 

 と自嘲する。

 

「うーん……でも楯無さんは妹さんの事は大事なんでしょ?」

「当然よ!」

「なら、自分に頼む必要なんてないんじゃないですか?」

 

 よくわからないと言った表情を浮かべる。

 

「だって、大事な妹さんなら、こんな男を貼り付けるんじゃなくて、自分自身で守るぐらいの気概はあるんじゃないの?」

 

 そう言うと、頭にエクスクラメーションマークが浮かび上がるのではないかというぐらい納得した表情を浮かべる。

 ……てっきり、使えるものは使っとくとか、リスク管理の為だとか言って来そうだと思ってたのだが……自分ちょっと汚れすぎかなぁ……

 

「……確かにそういう考えもあるわね」

「まあ、本来は公平に生徒を扱わなきゃならんが、幸いにも簪さんはウチの受け持ってるクラスの生徒だし、楯無さんの事情的にも妹さんにずっと張り付く事も難しいと思うから、出来る限りの事はしましょう」

 

 自分や楯無嬢の目の届かない所は簪嬢の友達である篠ノ之ちゃんにも危険のない程度に協力を頼めば、さらに死角を埋めることができ、安心できるだろう。篠ノ之ちゃんなら二つ返事で快諾してくれそうだし。

 

同じ学生だからそこまで深刻に考えなくてもいいとは思うが……万が一、篠ノ之ちゃんに危険が及ぶのなら……

 

 ……考え込んでいると、いきなり机から身を乗り出してこちらに抱きついてくる。スキンシップ激しいなぁ……

 

「スキンシップ激しいなぁ……」

「ボヤキが聞こえてるわよ、でも今日の楯無さんは機嫌がいいので許してア・ゲ・ル」

 

 そんなしなだれかかっても、女子大生以上のお姉さん以外はお断りします……とでも言わんばかりに、楯無嬢を引き離しコホン、と咳払いをする。

 あと布仏嬢はキャーキャーと黄色い声援をあげないで、「キスー、チュウしちゃえー」とかで煽るのも無しです。

 

「えーと、じゃあ。この辺で話が一段落したんで職員室に戻らせて貰いますね」

 

 そう言って、そそくさと足早に生徒会室を去った。

 あ、楯無嬢を通じてIS実習の教員増やして貰うように頼むの忘れた……

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