少し遅れました。許して下さい、何でもしますから!
騒がしいあの馬鹿2人が佐世保へ帰って日を跨ぎ、敵に侵入された時を鑑みて警備態勢を強化する事になった。例え仲間であっても警報も鳴らずに執務室へ侵入された事は事実なのだ。
「すまないけど、鳥海…此処の警備のシステムだけ考案してくれないかな。機器の製作は明石に頼むから、君は監視カメラの設置場所とか、その他諸々を考えてくれ。」
「分かりました。機器を作れとか言われたらどうしようかと思いましたよ?私、無理ですからね?」
君が機械音痴なのは知っているが、それでも「絶対に無理」と言わないのが彼女らしい。恐らく、僕がやってくれと言えば機械音痴を克服してまでやってのけてしまうだろう。
「分かってるよ、そんな事頼まない。」
「ふふ、そういう事でしたら良いんです。」
僕の顔を覗きながらも、にこりと彼女は微笑んでみせる。
……プレゼントをした時から鳥海を意識してしまって、少しの仕草でもドキドキして見ていられない…!
「その件は私の方でなんとかしておきましょう。…今は戦力増強ですね…もう少しで施設の方から新しい艦娘が到着します。女性に不慣れな司令官さんの事ですし…第一声を考えておいたら如何でしょう?」
「余計なお世話だよ…そんな改めなくても、適当で良いよ。相手を緊張させても良い事ないからね。」
「私に対してあんな第一声を発した方の言葉とは思えませんね。」
ぐぅ…あれは一時の気の迷いで。…そうだ、その事で気になる事があるんだった。
「その事でひとつ。君、僕が入室の許可を出した時に絶対笑ったでしょ。その時は気の所為だと思ってたけど。」
「ふふ、そうでしたっけ?身に覚えがありませんね。」
話す気はない…か。いや、ただ単に戯れではぐらかしているだけの様にも思えるが。
しかし……普通、上官の部屋を訪ね、入室の許可を貰った時に笑うなんて事をするだろうか。下手をすると上官を怒らせかねない。
無論あの鳥海がそんな真似をするとは思えないので、あの時に彼女が笑う条件を考えるとするならば……着任する鎮守府に僕がいる事、更に言えば僕の性格や生活態度まで知っていた場合だ。
そこまで知っていれば、僕が身の丈に合わない発言をした事に対し笑みを零す事もあり得るだろう。
…事前に知る事が出来たのかどうか、青葉に聞いておけばよかった。
でも、もうそろそろ他の艦娘が着任する頃だろう。その事についてと、彼女達の出身と、その返答によっては知識の有無を確認するつもりだ。
「……さて、どんな子が来るのかな。」
「楽しみですね?」
幾つもの足音が執務室へと向かってくる気配を感じる。
これから本格的に深海棲艦との艦隊決戦が始まるだろう。願わくば1人も欠けることなく、奴らとの戦いに終止符を打ちたいと思う。