潜水艦が倒せなさすぎてやめたくなりますよこの仕事〜
「提督、失礼する。」
力強いノックの後、凛とした力強い声が響く。…もう誰だか分かった、絶対に長門だ。
僕が短く入ってくれ、と促すと執務室の扉が開け放たれ数人の艦娘が入室する。
「私が戦艦長門だ。宜しく頼むぞ?」
「航空母艦、加賀です。貴方にはそれなりに期待しているわ。」
「川内、参上!」
「電です。どうか、宜しくお願いいたします。」
「こんにちはー。軽巡洋艦、大井です。どうぞ、よろしくお願い致しますね?」
おお……結構バランスの良い艦隊だ。
しかし問題はこの子達の中身だ。佐世保の2人の様にどうしようもないド変態が来る事だけは避けなければならない。最悪チェンジも考えねば。
「…えっと、自己紹介も済んだ所で…1人ずつ僕と話をして欲しい。君達の人格を知る為の話をね。それにあたって…鳥海。君は残りの4人の監督役として彼女達を見ておいてくれ。」
「分かりました、では……長門さん。貴女からお願いしますね?残りの方は別室で待機していましょう。」
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「………で、提督。私は何を話せば良いんだ。」
「ふむ、じゃあ君が生まれた時の事と、その時の軍事知識の有無を聞かせてくれるかな。」
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「おかしな事を聞くのね。」
「僕にとっては大事な事なんだよ。」
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「ま、良いよ別に。減るもんじゃないし?勿論、夜戦させてくれるんでしょ?」
「う、うん。でも必要であれば、だけどね。」
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「で、でも司令官さん。電の昔の話を知って…どうするのですか?」
「君の昔の話が、今の僕の知りたい事に繋がっているかもしれない。それと、鳥海にはこの事は内緒にしてくれないかな?」
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「ふぅん…分かりました。話しますけど、北上さん着任の件…反故にしたら撃ちますよ。」
「必ず着任させると約束した覚えはないけど、出来るだけ上層部と掛け合ってみる。」
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何とか5人との対話を終え、話の内容を整理する。
結果だけ言えば彼女達は生まれた時から学校の施設に属し、軍事知識も既にあったと言う。それも、口を揃えて「建造された」と述べ、この現実においてドロップする事はないという。人格もゲームの中とほぼ同じと言っても差し障りないだろう。
これは一体どういう事だ。鳥海と青葉に比べると、何もかもが普通すぎる。
本当に建造されたのだとしたら、「何を金型に」「何を材料に」建造されたのだろうか。
仮にクローンだとしても、元になる遺伝子が必要な筈。…となると、その金型になり得るのはそれぞれの種類で最初に生まれた艦娘しかない。
そして恐らく、30余りの提督達の鎮守府に最初に着任したであろう実力ある艦娘が、オリジナルの艦娘なのだろう。
その参考資料は未だ鳥海と青葉の2人しか居ない。が、青葉は病院で無知のまま、鳥海は…隠してはいるが、知識がなかった事は漏らしている。更にその2人が外見か内面、或いはその両方に、原作と明らかな相違がある。
憶測ではあるが、ほぼこの見立てで間違いはないと思う。
…となると、最大の謎は……鳥海や青葉、他のオリジナルの艦娘達は、建造されたのでもなくドロップでもない事…それなら一体何処から生まれたのか、と言う点。
これが恐らく、鳥海の最も隠したい核心の部分だろう。
鳥海はケッコンまで我慢しろと言う。他の誰かが今の状況を見ても、ケッコンまで我慢すれば良い事だと言うだろう。でも僕の中の何かが生理的な嫌悪を示している。あれ程の美少女ならケッコン大歓迎なのに、心の何処かで止めておけ、と告げているのだ。
「鳥海…君は一体、何なんだ。」
大井が退室し僕1人となった執務室で呟くが、答える者は居なかった。