ちょっとぉパリィ強過ぎひん?(切れ気味)
あれから数日、協力を要請したものの…やはり得体の知れない海域に出撃させたがる提督は稀らしい、応えてくれたのは佐世保のみだった。
今日は出撃に備え、佐世保艦隊との合同練習を実施する事となった。
今回はあくまで連携を高める為のものなので、実力比べの演習はお預けになる。…少し見てみたい気持ちはあったが。
ーーーーー
「皆準備は出来てるみたいだね。あの海域攻略の為の演習になるから、様々なシチュエーションを想定しながら取り組む様に。」
「「「「はいっ!」」」」
ふむふむ、これだけ大勢の女の子に返事をして貰えるというのは…中々良いね。ふと視線を隣へ移すと、佐世保の奴と丁度目が合った。此奴とも話し合わなきゃいけない事もあるので、演習に関しては鳥海と青葉に任せてある。
…何故目を逸らす、照れる事がある。気持ち悪いから止せ。
「司令官さん、行ってきますね。…次こそは必ず突破して見せますから。」
と、此処で鳥海が微笑み手を振りながら声を掛けてくれた。
初見で突破なんてまず不可能な話だというのに、失敗した事を未だに根に持っているらしい。
「うん、でも張り切り過ぎない様に。焦ってもまた失敗に繋がるだけだからね…気を付けて。」
そう切り返すと、彼女は困った様に笑い、軽く頭を下げて演習へと向かう。この位の事なら彼女も分かり切ってはいるだろう。
ーーーーーーーーーー
あっという間に数時間が経過し、艦隊が一時帰投する時刻に。
その間、僕と佐世保は互いに情報を共有しつつ霧の海域突破の為の作戦を練り続けていた。
濃霧の中あの物量で攻められると非常にまずい結果になってしまう。
駆逐艦全てを相手にするのは消耗が激しく、突破したとしても次の戦闘でやられる可能性が高い。
なので、どちらかの艦隊を囮にしつつ、もう片方で拠点を叩くといった戦法を取る事にした。
両方共非常にリスクの高い戦いではあるが、前情報の分を鑑みると囮の方が楽ではある。
となれば打撃艦隊を戦力の高い艦隊にしなければならないのだが、佐世保と僕とで戦力の優劣が分からない為…結局実践演習を行わざるを得なくなった。
この勝敗で囮役、打撃役を決定する事になる。
ーーーーーーーーーー
「あー、折角帰って来た所に悪いんだが、呉の艦隊と俺の艦隊とで演習を行う事になった。今は体力的に無理だろうから、また明日に万全な状態で行う事にする。今度の作戦に必要な事だ、分かってくれるな?」
合同練習から帰った両艦隊に対し、佐世保が声を掛ける。
えー、だの、やだー、だの聞こえて来るが、全て青葉から発せられた物の様なので無視をする。
「はぁー、疲れて帰ったのに仕打ちがこれとかブラックですよブラック!」
「これだけでブラック呼ばわりとかたまげたなぁ…」
これだけ言われても佐世保が怒らないのは、普段から行われているやり取りだからなのだろう。良好にやって行けてる様で何より。
彼らのやり取りを眺めていると、後ろからとんとんと肩を突かれ、振り向くと何か聞きたそうな鳥海が僕の耳元へぐいと顔を近付けて囁く。
(負けた方はどうなるんですか?囮役、とかでしょうか。)
咄嗟に離れて驚愕の表情で彼女を見ると、2つの艦隊だけではそれしか方法が見つかりませんでしたから…と続けた。
僕の反応だけでも十分に答えとなり得るが、僕はその通りだと頷く。
すると彼女は笑顔を浮かべながら
「成る程…では、頑張らなければいけません。必ず勝ちますから待ってて下さいね?」
と言い放った。この演習に勝つという事は、より危険で過酷な打撃艦隊に選ばれるという事を意味する。
彼女もそれは分かってはいる筈だと思うが…一体何を考えているのか。