かける、海鳥   作:魔獣先輩

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淫夢要素はないと言ったな。あれは嘘だ。


第3話

空は澄み渡る様な快晴。これから僕の鎮守府生活が始まる…のだけれど。

 

「司令官さん、朝です、起きて下さい。…失礼します、……まだ寝ていたのですか?」

 

「んぁ、ち、鳥海!?ごめん、いや、いつからそこに……」

 

「しっかりノックしてから入室しましたよ、それでも起きないものですから、直接。」

 

僕は寝起きが余り良くない方なのだ。鎮守府生活1日目だと言うのに、秘書艦となった鳥海に起こされる有様である。いや、でも。こんなに可愛い子に起こして貰えるなら、寝坊も悪くは…

 

「顔に出てます。次からは少々手荒い手段もご用意しておきますから」

 

「はい」

 

ーーー寝坊は悪い事。心に刻みました。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「さてと。今日の予定をざっと説明しておこう。先ずは執務室の書類整備及び片付け。次に各施設の本格的な点検。最後に…少し、この鎮守府の近海を見て来て貰おうと思ってる。頼めるかな?」

 

「分かりました。此処の周囲の見回り程度なら、私一人でも十分です。幸い、今現在の深海棲艦は駆逐艦と、強くても軽巡レベルが関の山でしょうから。」

 

「よし、頼んだ」

 

言い終えると同時に、机の上に山積みとなった書類に視線を向ける。あれを全部、僕が処理するのか…。

鳥海には執務室の片付けを任せているので、何とか自力で処理をするしか道はない。仕方ない、やりますか…

 

……………………。

 

時間的にはお昼の時間だが、書類の山は未だ残存。片付けの終えた鳥海にも手伝っては貰っているが、それでも半分も終わらなかった。

お腹もなり始めた所で1度、きりのいい所で中断し、お昼を食べに行く事に決めた。

 

「鳥海は何か、食べたいものはある?着任祝いに、好きなものでも食べに行こう。」

 

ペンを置き、書類をトントン、と整えながら彼女へと問い掛ける。

本人もどうやらお腹が空いていたらしく、少し頬を赤く染めながらも食堂で…と呟く。

 

遠慮しなくてもいいのに、とも思ったが、本人がこう言っているので食堂へと向かう事にした。艦娘は未だに鳥海以外にいない為、間宮さんや鳳翔さんの作る料理はお目にかかれていない。

 

僕は丼物のスタミナ定食を、鳥海は普通の定食セットを注文し、それぞれ食べる事にした。

 

「結構大変なんですね、書類の処理って。あんな量だとやる気が無くなっちゃいます。」

 

彼女は器用に焼き魚の骨を1つ1つ取り除きながらも、僕の方をちらりと見る。その丁寧さは真面目そうな見た目に違わず、と言ったところだろうか。

 

「僕もあそこまでの書類の山が出来るとは思わなかったよ…。まあ、ちょっとずつ減らしていければ…。」

 

期限のあるものとないものを分けてからやった方がいいのかも知れない。気分はまるで夏休み中の小学生である。

 

「…ご馳走様でした。手の空いた時は私も手伝いますから、司令官さん。」

 

かちゃりと箸を置きながら微笑み、胸の前でぐっと拳を握る仕草をする鳥海に、思わず笑みを零す。来てくれたのが鳥海で、クソ提督とか呼ばれなくて良かった。本当に。

 

「ありがとう…凄く助かる。もう少し書類を進めたら、今度は点検に行こう。…あれは今日中には無理だ。」

 

「ふふ、分かりました。」

 

あんな書類をこれから毎日か…。気が滅入りそうになるが、鳥海もいる。そう考えると、少し気が楽になった。

 

 

 

 

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