俺のボーダーとしての青春はまちがっている。【俺ガイル編】   作:ばけねこ

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【第十章 汚物は消毒だー】

「ヒッキー修学旅行の班は決まった?」

 

「あ~俺修学旅行行けるかわかんね」

 

「え~文化祭も体育祭も不参加だったんだよ修学旅行ぐらい行こうよ」

 

「おい八幡、上層部からの通達で修学旅行は絶対参加だって言ってるぞ」

 

「二郎冗談は顔だけ・・・なんだと本当に通達があっただと」

 

「なんでも京都でボーダー関連のイベントをやるらしいから手伝えと言って来てるな」

 

「なんの為の嵐山隊なんだよ」

 

「おそらくあのCMの影響だろう」

 

「なら雪ノ下と由比ヶ浜だけいればよくね?俺いなくても影響ないよね」

 

「ヒッキーも一緒に行くの」

 

「そうね比企谷君貴方には選択肢がないと思うのだけれど」

 

「なら俺は戸塚と一緒にいくわ」

 

「彩ちゃんとだね。わかったならメンバーはヒッキーと彩ちゃん、あたし優美子、姫菜とサキサキの6人だよ

 さっそくみんなに言っておくね」

 

なんだと・・・由比ヶ浜は話をまとめてしまった。まあ戸塚がいることだけが救いであろう

 

 

修学旅行を控えたクラス内ではそれぞれが仲間同士でどこを回るかなどを話あっている

 

「隼人君どこいく」

 

「金閣寺、銀閣寺や清水寺はまわりたいな」

 

「まあその編は鉄板でしょ」

 

「それな」

 

「あるある」

 

体育祭以来戸部が葉山を持ち上げるいわゆる太鼓持ちをすることがなくなっていた

しかし葉山を持ち上げてしまっていた自分達にも問題があったと友達付き合いは変わっていなかった

 

「結衣、京都に嵐山さんが来るって話本気だし」

 

「うん本当だよ昨日ボーダーでその話があったんだよ

 だから班はヒッキーと彩ちゃん、あたし優美子、姫菜とサキサキにしようと思って」

 

「嵐山さんに会えるならあーしは問題ないし」

 

「あたしも一緒でいいのかい」

 

「サキサキ何言ってのわたし達友達でしょ」

 

「迷惑でないんならいいだけどさ」

 

「僕も八幡と回れるのが楽しみだよ」

 

「おう」

 

コミュ力八万を超える由比ヶ浜はあっさりと全員の了解をとってしまった

特に三浦は俺達が京都で嵐山隊と合流すると聞き同じ班であれば嵐山さんと必ず会えるとテンションが高かった

 

 

「隼人君ちょっといいかな」

 

「翔こんな所に呼び出して何かあるのか」

 

「俺、隼人君を友達だと思ってるから相談すんだけどさ

 修学旅行で海老名さんに告白すんの手伝ってくんない」

 

「なんか失敗とかしたくないっしょ。気まずくなんのも嫌だしさ。隼人君ならうまくやってくれそうだからさ」

 

「ああ俺に出来る事なら協力するよ」

 

 

「なあ優美子修学旅行一緒に回らないか」

 

「あーし達は予定があるから無理だし」

 

「なら、どこを回るのかだけでも教えてくれないか」

 

「隼人いったい何なんだし」

 

「隼人君私達の予定はヒキタニ君達次第だから何も決まってないよ」

 

「・・・そうかすまなかった」

 

 

「隼人君さーなんか裏で色々やってるみたいだけど迷惑だから止めてくんない」

 

「こんなわたしでもさー普通に接してくれる優美子や結衣、サキサキやヒキタニ君との関係気にいってるんだよ」

 

「この関係を壊そうとしてるならさ・・・わたしは許さないよ

 元々私達の中ではさ隼人君の評判って最悪なんだしさ」

 

「いや悪かった俺は何もしないから安心してくれ」

 

 

雪ノ下と由比ヶ浜がお昼休みお弁当を食べているとノックの音がした

 

「今いいかな」

 

「葉山君いったい何のようかしら」

 

「実はお願いがあってね

 修学旅行で翔の告白を手助けをして欲しいんだ。勿論失敗しない方法で」

 

本来は戸部も連れてくるつもりであったが友達の葉山だからこそ相談したのであって

見ず知らずの他人にそんな話をするつもりはないと断られていた

 

「関係ない依頼は受けられないわ帰ってくれないかしら」

 

「そんな事は言わずに力を貸してくれないか。翔の姫菜に対する思いは本物なんだ」

 

「ゆきのん、あたしはなんか応援したいな」

 

「由比ヶ浜さん比企谷君が以前話していた内容をもう忘れたのかしら」

 

「あっ・・・」

 

「ここ奉仕部はボーダーに関する生徒への窓口なのよ

 少なくてもあなたの抱える問題を都合よく解決してくれるような場所ではないわ」

 

「いや俺は今回は動けないんだよ。だからお願いだ頼む」

 

と葉山は一方的に頭を下げて出て行ってしまった

 

「ゆきのんごめん、あたしまた・・・」

 

「そうね今回は特に海老名さんだったかしら彼女の事を一切考えていないことが問題ね

 由比ヶ浜さん貴方なら平気なのかしら何とも思っていない男性を友達が付き合えと強制してくるのは」

 

「そ、そんなの嫌だよ」

 

「そう言うことよ。この依頼は一方的な思いを押し付けてるだけの依頼よ

 海老名さんがどう思ってるかなんて一切考慮されていないわ」

 

「・・・あたしバカだ・・・」

 

 

ボーダー本部の食堂で修学旅行のメンバがそろってお茶を飲みながらスケジュールを確認している

 

ここは受付さえ通せば外部の人間を入れても問題ない区域である

由比ヶ浜はなぜか暗い顔をしているんだがデリケートな問題かもしれないので声もかけられない

 

「ボーダーの仕事は2日目の午後と3日目の夕方からだな

 それ以外はこのスケジュール通りでいいだろう」

 

「ヒキオ嵐山さんは来るんだよね」

 

「ああ現地で合流することになってる」

 

「ならあーし達も行くし」

 

「無理することないぞお前等はお前等で楽しんでても問題ない」

 

「ヒキタニ君別にあたし達は迷惑なんて思ってないからね

 同じ班なら行動を一緒にした方がいいと思うしボーダー関連のイベントにも興味あるしね」

 

「そーだし、あーし等は好きで一緒に行くんだし

 ん?結衣なんかあったの?」

 

思い詰めていた由比ヶ浜が意を決したように話し出した

 

「姫奈ごめん」

 

から始まった奉仕部であった事を話終わると海老名が

 

「あちゃーそっちに行っちゃたか」

 

おかしな動きをしていた葉山に釘を刺した事と元々今の自分は異性との付き合いなんて考えてもいない事を話した

 

「なあ、その葉山って奴がいなければ総武高が平和になるんじゃね」

 

二郎の突然の発言であったが・・・

テニスコートしかりチェーンメール、留美の虐め問題と文化祭、体育祭と全て問題を起こしたのは葉山であった

 

「ねえその葉山ってC級にいる奴?」

 

俺達の話を聞いていたボーダー隊員達も加わってきた

 

「たぶんそうだな。9月に入隊したって言ってたから」

 

「あ~あたし等にやたら馴れ馴れしく話かけまくってる奴だよね」

 

「俺、最初の頃模擬戦したことあるんですけど

 俺が勝つようになったらなんだかんだ理由つけて二度と模擬戦に応じなくなりましたよ」

 

「そうそうあいつ自分より弱い相手としか模擬戦しないんだよな」

 

ボーダー内でも葉山の評判はすこぶる悪いようで擁護する声は一つも上がらなかった食堂内は葉山の糾弾で盛り上がっていたのだが

 

「汚物は消毒だな」

 

二郎の発言で再び俺達に注目が集まる

 

「二郎何するつもりだ」

 

「その葉山って奴が友達として相応しいのかを周りに教えてやるのとだな・・・

 ボーダー内にあいつの弱点をばらまく」

 

「前者はともかくとして、いいのか、そんな事して」

 

「そもそも弱点を克服できないんならボーダー失格だろ

 俺はあいつが早く弱点を克服できるように誰と模擬戦しても練習になるようにするだけだ。親切心だよなこれ」

 

相変わらず怖い笑顔で語る二郎だった

 

 

責任を感じていたのか戸部への事前説明は由比ヶ浜が名乗り出た

海老名が今は異性と付き合う気がないどころか迷惑だと考えている事は納得したようだが・・・

 

「海老名さんが迷惑だって言うんなら俺・・・告白なんか絶対しないよ

 でも隼人君に頼んだんだ力になってくれるって言ってくれたんだよ俺は信じたいんだよ隼人君の事」

 

「う~ん・・・姫菜に迷惑が掛からないんなら戸部っちに任せるよ」

 

例え葉山のおぜん立ての元で海老名に会えても戸部が告白ではなく謝罪をする形にすると言い後は任せることにした

 

 

そして修学旅行が始まった。行きの新幹線の中同じ班グループが固まって騒いでいる

 

戸部は宣言通りに海老名を意識せず仲間内でべーべーと騒いでいるだけだが葉山は時折チラチラと由比ヶ浜を見てくる

京都に着くとクラス毎に集合し最初の見学場所へバスで移動していく。結局何事もなく無事に終わり1日目のホテルへ帰った

 

「なあ結衣ちょっといいか」

 

「なんの用隼人君」

 

「奉仕部の事で話があるんだ」

 

呼び出された由比ヶ浜がロビーに行くと既に葉山が待っていた。他の総武高生の姿な見えない

 

「俺の依頼の件はどうなってるんだ」

 

「ゆきのんが断ったはずだよ。奉仕部の仕事じゃないからって」

 

「俺は翔の気持ちを聞いて力になってやりたいんだ。結衣だってそう思うだろ」

 

「戸部っちから頼まれたのは隼人君だよね。戸部っちは隼人君に手伝って欲しいんだよね。

 だったら隼人君がやらないと意味がないよね」

 

「俺は姫菜に嫌われてるから無理なんだ。今回だけでいい頼む助けてくれ」

 

「ふーん嫌われてる程度で諦めちゃうんだ隼人君の戸部っちへの気持ちって」

 

「結衣だって翔の思いを応援したいって言ってたじゃないか。だったら力を貸してくれてもいいだろ」

 

「確かに応援したいとは思ったけどさ。ただ姫奈の気持ちも大事だよねあたしは友達を売るようなマネしたくないよ」

 

「翔にチャンスだけでも与えたいんだ」

 

「なら隼人君がチャンスを作ってあげればいいじゃない。あたしもゆきのんも関係ない話なんだから」

 

「俺ではダメなんだよ」

 

「大体姫菜は異性との交際になんて興味ないんだよ

 優美子から聞いたけど言いよる男子を紹介しようとしたら絶交されかけたって言ってたんだよ」

 

「だったらヒキタニ君に頼んでくれ。結衣が言えないなら彼を使えばいい姫菜を呼び出してくれるだけでいいんだ」

 

「隼人君それってヒッキーなら姫菜に嫌われてもいいって言ってるんだよね」

 

「いや、待ってくれ・・・違うんだ・・・」

 

「やっぱりそうなんだ・・・あのさ葉山君・・・もうあたし等を名前で呼ぶの止めてくれるかな

 実際そんなに親しい訳でもないんだしさ誤解されるのも迷惑だし・・・もう話しかけないでもらえるかな」

 

「そうじゃないんだ・・・」

 

2日目の午前中は記念撮影も行われ学年全体で行動していた

 

「雪ノ下さん依頼の事で話がある・・・」

 

「あら葉山君私はあなたに用はないのだけれど」

 

「雪乃ちゃん頼むよ俺に力を貸してくれ」

 

「貴方にその名前で呼ばれると虫唾が走るわ。止めてもらえないかしら」

 

「悪かった・・・でも雪ノ下さん俺ではなく翔を助けて欲しいんだ。これならいいんだろ」

 

「何がいいのか理解出来ないわね。それに今日私は予定があるのだから貴方になんか割く時間はないわ」

 

「ゆきのーん行くよー」

 

「ええ、由比ヶ浜さん行きましょうか」

 

 

「嵐山さんお久しぶりです」

 

「君は確か比企谷の所の・・・」

 

「はい。三浦です。優美子と呼んでもらって結構です

 ボーダーの広報活動にも興味がありまして今日は見学させてもらう予定です」

 

「そうか俺としても広報担当が増えるのは助かるし比企谷の紹介なら問題はないな」

 

京都の企業へアピールする為広報担当の嵐山隊に加えCMで一躍有名になった比企谷隊が呼ばれたのである

メインは雪ノ下と由比ヶ浜であるのだが隊長である俺も参加しろと強制されてしまった

 

「ボーダーってやつはこんな事もしてるんだな」

 

「そうだよサキサキボーダーって言っても色々な仕事があるんだよ。わたしもオペレーター目指してるし」

 

「八幡カッコ良かったよ」

 

「そうね貴方はその目を隠したままで残りの人生を送った方がいいと思うわ」

 

「まて、俺のこの目は数少ないチャームポイントだぞ」

 

「比企谷冗談はその腐った目だけで十分だから」

 

木虎も容赦ないまだランク戦の事を根に持ってやがる

 

 

「はぁ~嵐山さんカッコよかったし。ねぇ結衣あーし変じゃなったよね嵐山さんに失礼な事してないよね」

 

「優美子落ち着けし」

 

「あははは、4月頃の優美子に今の優美子を見せてやりたいぐらいだね」

 

「それを言うなし、あの時のあーしは世間知らずなだけだったし」

 

「そうだよねヒッキーに会って世間が広いって教わったよね」

 

「ヒキタニ君のお蔭で布教も捗ってるよ。ぐふふふ」

 

「姫菜は擬態しろし」

 

 

翌日の一般人へのイベントでは三浦が中心となって総武の見学者達もスタッフの手伝いを精力的に行い好評を得た

雪ノ下と由比ヶ浜は慣れないサイン攻めに会い疲れていたようだが俺は楽ができたから問題ないよね

 

こうして何事もなく5日間に渡る修学旅行は終わったのだが・・・

 

 

「雪ノ下、依頼を無暗に断ったそうだが本当か」

 

「何の事でしょうか私は部の方針に反する行為をした覚えはありませんが」

 

修学旅行明けにアラーサーから雪ノ下は呼び出されたようだ

 

「いや詳しくは聞いていないんだがクレームが来たのだ」

 

「どんなクレームかは知りませんが由比ヶ浜さんに確認を取ってもらっても結構です」

 

「そうか・・・ならばいい」

 

 

俺達が修学旅行に行っている間、二郎によるC級隊員への特別指導がなされていた

ボーダーの教育は基本全体演習のみであり弟子入りなどをしない限り個人の裁量に任せられている

 

しかも二郎の指導はマニュアル化した全体演習を否定しかねない物であった

 

相手の攻撃をガードする為にシールドを張るのは手段であって目的ではない

攻撃を回避するのが目的であるのならば攻撃をさせなければいい、相手の死角へ回り込むのも回避の手段なのであると指導した

 

そしてマニュアル通りの動きしか出来ない事が葉山の弱点であり創意工夫をして自分自身を高めていく事を放棄しているのである

二郎に指導されたC級隊員達は始めは戸惑っていたが模擬戦で効果が証明されていくうちに素直に指導を受けて始める

 

修学旅行が終わるころにはC級隊員内でマニュアル化の問題が話題となり個人で創意工夫をするように変わっていった

葉山がポイントを増やせなくなってきたのはこの時からである

 

 

「結局隼人君にとって俺は友達じゃなかったのかよ」

 

「そうじゃないんだ」

 

「ならなんで何もしてくれなかったんだ」

 

「俺だって努力はしたんだ。ただ頼った相手が悉く力になってくれなかったんだ」

 

「なんだよそれ俺は隼人君だからって任せたのに・・・

 

 俺なんかの為に隼人君は苦労したくないって事だろ

 人任せにして適当に誤魔化せばいい程度だったって事じゃないかよ」

 

「誤解だ落ち着いてくれ」

 

「さっきから意味のない言い訳ばかり・・・俺の事は友達でもなんでもなかったんだろ

 友達なら無理なら無理って言ってくれるだけでよかったんだよ」

 

こうして戸部は葉山と決別し2F内でも葉山の居場所がなくなり始めた

 

 


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