俺のボーダーとしての青春はまちがっている。【俺ガイル編】   作:ばけねこ

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【イレギュラーゲートの始まり】

小町の感動的な入学式も終わり今日も今日とて比企谷隊作戦室で時間を潰す俺ガイル

勿論入学式はしっかりと記録映像に残した撮影途中で目の前が歪んだ事もあったが記録には影響がなかった

 

「でな、その少女のトリオン量が物凄かったんだよ」

 

最近誘導装置に問題があるのか門の発生にズレが発生する事が多く原因を究明するべく俺や二郎は時々警戒地域の回りを調査していた

その調査中に二郎が見つけた一人ぼっちの少女について話だ

 

「モンスターと言ってもいいほどだったんでな、ボーダーに勧誘する為に声をかけようとしたんだが・・・

 

 俺の姿を見て、ごめんなさいと言われて逃げられた・・・」

 

あ~二郎の容姿で知らない少女に声をかけたら事案発生だ

 

「二郎通報されなかっただけでもその少女に感謝するべきだな」

 

「黙れ八幡、お前だったら確実に通報されてるだろう」

 

俺が知らない少女に声をかけるなんて出来る訳ないだろ。よって事案は発生しない証明終了

 

「まあまあ二郎さん落ち着いて。おにいちゃんは知らない人に声なんてかけられないから」

 

「二郎、留美より多かったの」

 

「留美の倍以上はあったな」

 

「それは凄いな」

 

留美だってボーダー内ではトリオン量はトップクラスだその倍以上か・・・想像もつかないな

 

「そう言えばその少女、八幡や小町ちゃんと同じアホ毛があったが・・・親戚とかで心当たりないか」

 

「ないな」

 

そもそも俺達には親しい親戚などいない子供の頃に母方の実家へ行った記憶はあるが場所どころか連絡先も知らない

て言うかアホ毛って遺伝だったのか?

 

「なんとかならんかな。遊ばせておくには惜しい才能なんだがな」

 

「そう言えば留美、お前二郎に声をかけられた時に通報しなかったのか」

 

「なんだと」

 

「二郎は目が腐ってなかったから」

 

「なんだと」

 

衝撃的事実が判明した俺が声をかけてたら通報物だったのか・・・コミュ症でよかったよ俺

 

「ボーダー募集の告知がまだまだ足らないのかもしれないな」

 

「難しい問題だな。基本的には自己申請だからなボーダー検査は・・・」

 

実際にボーダーは戦力としてはまだまだ未熟で大半が学生の若い組織だ

 

近界からの侵略と言う重大な問題に対して現存する軍隊では相手にならず

オーバーテクノロジーと言われるトリガーのみが対抗手段となっている

 

現行の戦争に利用されかねないと技術を秘匿し軍関係者の関与を一切認めていないボーダー上層部の意向で

若い学生からの募集をメインにしている為なかなか人が集まらない一般的な学生が戦争などしたがるはずはないからな

 

メディア対策室長の根付さんなどがイメージ戦略を行いボーダーの認知を高めているのだがまだまだ不足している

攻めてきたら対抗する今の戦略だからこそこの人数でもなんとかなっているのだ

 

 

 

「誘導を外れて出現したバムスターが何者かに倒されてた?」

 

「ああ」

 

誘導を外れ警戒区域ギリギリに発生した門から出てきたバムスターが三輪隊が駆け付けた時には既に倒されていたそうだ

 

「名乗りをあげた奴はいないのか?どっかのS級隊員とか迅さんとかセクハラ魔人とか」

 

「なんで比企谷俺しかいないんだ」

 

迅さんからの突っ込みが入った。迅さんも最近は調査をしているのだバムスターに遭遇していてもおかしくないと思ったのだが

 

そうそう最近と言えば迅さんは俺のMAXコーヒーにあてつけたのかぼんち揚げを片手にやたら勧めてくるようになった

C県民ならMAXコーヒーだろ小学の時の修学旅行で他県で見かけたMAXコーヒーは観光地価格300円だったが迷わず買ったぞ

 

おっと話がそれた結局誰がバムスターを倒したのかは不明のままだ

 

「だったら・・・C級隊員かもな。無断使用がバレないように隠してる可能性が考えられる」

 

「そもそも緊急事態に対応した規則じゃないのが問題だよな

 信号守れみたいなもんだからな」

 

二郎の言うことももっともだ平常時の規則と緊急時では前提条件が違うのだ

 

「そうだよなモールモッドがいるのに赤信号なんか守ってられるか」

 

「まあまあ熱くなるな。そうだ、ぼんち揚、食う?」

 

迅さんの誘いは無視する事にした

 

「で、迅さん的にはどうしたらいいと思いますか」

 

「ほっとけ、ほっとけ」

 

そう言い残し迅さんはぼんち揚げをボリボリと頬張りながら去っていく

ボーダー内にGが大量発生したら迅さんには責任を取ってもらおう所構わず食い過ぎだ

 

 

 

「ヒキオポイント寄こせし」

 

「俺を実力で倒せたらな」

 

三浦達C級訓練生はB級に上がるべく時間があれば対戦やら討伐でポイントを稼いだり訓練を行っている

 

「せんぱーい、わたしの射撃見てくださいよ」

 

「やだよ。面倒くせー」

 

一色もまだまだミーハーの様に見えるが訓練だけは真面目に受けているあたり見た目とは違い本気でボーダーになるつもりなのだろう

 

「比企谷指導中か」

 

後ろから嵐山さんが話しかけてきた嵐山隊はC級訓練生の教育にも参加しており時々見回りをしているのだ

 

「あ、嵐山さんお久しぶりです」

 

「君はたしか・・・」

 

「はい優美子です、京都ではお世話になりました」

 

「あの時の君達の協力は感謝するよ・・・」

 

 

嵐山さんを見つけた三浦がすり寄っていく。憧れの対象なんだろうけどライバルは多いんだぞ嵐山さんは

まあ節度を守った態度で接するあたり三浦もバカではないな

 

「せんぱい、あの人誰ですか」

 

「嵐山隊の嵐山さんだ結構メディアに出てるけどお前見たことないの」

 

「そりゃー見た事ぐらいありますよ。でも生ですよ生」

 

「生ってお前な・・・」

 

「せんぱい、わたしにも紹介してくださいよ」

 

「やだよ。面倒くせー」

 

「だったらもういいです。 三浦せんぱーい」

 

そう言うと一色は三浦の方へ行ってしまった

三浦は迷惑そうに一色を睨んでいるが一色は気にした様子もなく嵐山さんへ話しかけていた

 

「ほらお前等、嵐山さんの邪魔はするな訓練に戻れ。一色射撃なら見てやるから行くぞ」

 

俺は嵐山さんを解放すべく二人を引き離そうとしたんだが・・・

 

「何ですか?口説いてるんですかごめんなさい無理です好きな人がいるので」

 

なんだと・・・告白もしてないのに一色にフラれるなんて

一色の言葉を聞いた嵐山さんは顔を背けたまま震えている笑いたい時は笑った方がいいですよ

 

「まったく比企谷先輩は節操ありませんね」

 

普段年上の俺を呼び捨てしてる癖に周りに目上の人がいると猫被るんだよな木虎は

 

「なあ木虎お前始めっから聞いてたよな。俺おかしな事言ってないよな」

 

「それは受け取る側の問題です」

 

「ま、まて木虎・・・流石にそれは比企谷がかわいそうだ

 ひ、比企谷話があるからな、向こうに行くぞ」

 

 

嵐山さんに連れられ俺はミーティングルームに連れていかれたんだが

結果的に二人から嵐山さんを解放できたのでよしとしよう

 

「もういいですよ嵐山さん」

 

「いや、比企谷に話があるのは本当だ」

 

「なんですか」

 

「最近多発している誘導を外れて出現する門の件だ。お前調査を依頼されてるだろ」

 

「まだ不明ですね鬼怒田さんからは何か誘導を妨害する装置みたいな物がないかと言われてますけど」

 

「そうか何かわかったら教えてくれ」

 

「了解しました」

 

 

 

「おにいちゃん朝だよ。起きてー」

 

「ん、もう朝か小町おはよ」

 

今朝の朝食は小町が用意したトーストとスクランブルエッグとサラダだ

食事当番は交代制にしているが時間のない朝は簡単に済ませる事が多い

 

本来なら和食が好みなんだが贅沢は言っていられない。俺は冷蔵庫からMAXコーヒーを出すと食卓についた

 

「おにいちゃん最近頑張り過ぎじゃない」

 

「仕方ないだろ門の調査あるんだから。俺達学生は平日は夜に見回りするしか時間とれねえし」

 

「迅さんとかに任せればいいじゃない。おにいちゃんや二郎さん働き過ぎだよ」

 

「口に物を入れながらしゃべるな。ほれ、口にジャム付いてる」

 

「え?ジャムってる?」

 

小町がまた新語開発しやがった。普通なら通じないぞそんな言葉

小町も総武高へ通うようになり高校生になったのだが俺から見ればまだまだ子供だ

 

小町の将来を心配しつつも、紹介したい人がいるんなて言われたら俺はどうなってしまうかわからない

小町には早く大人になって欲しい気持ちとこのままの小町でいて欲しい気持ちがぶつかり合い複雑な心境だ

 

「あーおにいちゃん、もうこんな時間だよ」

 

「まずい小町、早く着替えろ」

 

「わかったおにいちゃんも早くしてね」

 

素早く食器をシンクに片づけて、洗うのは帰ってきてからでいいなと放置し

部屋に戻り急いで着替えた俺が玄関の鍵を閉めMY自転車を見ると

 

「ほらおにいちゃん早く早く!遅れちゃうじゃん、小町が」

 

小町が俺の自転車の荷台に乗ってスタンバっていた。道交法違反ではあるが緊急事態だ、しかたあるまい

二人乗りで通学路を進むこのペースなら遅刻の心配もないであろう

 

「おにいちゃん今日は小町が乗ってるんだからね。安全運転第一だよ」

 

「分ってるっていざとなったら小町はトリガー起動しろ」

 

他愛のない会話を続けながらも新緑の中を走る風が気持ちいい

今日はいい日で終わるといいなと思っていた俺それフラグだからね・・・

 


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