俺のボーダーとしての青春はまちがっている。【俺ガイル編】   作:ばけねこ

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【第三章 不良娘と教育指導】

「おにいちゃん、小町は勉強を教えて欲しいのです」

 

そう俺の妹の小町は中学3年で今年受験生なのである

しかしながら俺と違って学校で友達の多い小町には勉強に割り当てる時間が乏しく成績は中の上程度でしかない

 

「勉強はいいが志望高は決まったのか」

 

「うん、小町は総武高を目指すよ」

 

「なんだと・・・辞めておけ総武は碌な所じゃないぞ」

 

「だって小町はおにいちゃんと同じ学校にいきたいのです。これってポイント高い」

 

なんだそのポイントは、溜まるとブラックトリガーかなんかもらえるのか・・・いらんけど

 

「小町ずるい。私が入学する頃は八幡いないのに」

 

留美も加わり話がずれそうになるが

 

「小町ちゃん、1年でも八幡と同じ学校に行きたいのはわかるが残りの2年を考えたら慎重になったほうがいいぞ」

 

「そうだ二郎の言う通りだ、幸いボーダーには何人も先輩がいるだろ色々話を聞いて決めたほうがいい」

 

「大丈夫だよ。おにいちゃんが留年すれば3年間一緒だから」

 

なんだと・・・

 

「そうか・・・八幡、留美が入学したら一緒の高校にもう一度行って」

 

「ははは、愛されてるな八幡・・・」

 

乾いた声で諦めろと言ってくる二郎。もう少し頑張ろうよ俺の為に・・・

 

しかしながら小町の進学の話は冗談ではないので各種予備校のパンフレットは集めた

 

 

久しぶりの深夜の防衛任務明け2時限目休み時間に教室へ入った俺を待っていたのはアラサーだった

 

「さて殴る前に遅刻の言い訳を聞こうか」

 

「防衛任務ですよシフト表は提出してあるはずですが」

 

おいおい確認は事前にしておけよ何の為のシフト表提出なんだよ。にらみ合う俺達の後ろをもう一人の遅刻者が通る

 

「まったくこのクラスは問題児が多いな」

 

そうだね他の部活の邪魔する奴とかべーべー騒がしい奴とかいるからね

 

「川崎沙希、君も遅刻か」

 

その女生徒は不機嫌そうに無言のまま自分の席についた

 

 

「ねえヒッキーボーダーの説明してくれるって話あったよね」

 

「ああ、あったな・・・」

 

こいつ勉強できない癖にこんな事は覚えていやがった

 

「覚えてるし!」

 

なんだと俺は声に出してないはずだ

 

「ヒッキー分り易いし、で、どうなの?」

 

「そうだな・・・今週の土曜日なら1日待機だけだからいいぞ」

 

「それって・・・ボーダーに行けるの?」

 

「ああ申請は俺がしておくから参加者を決めろ」

 

「あのね、ゆきのんとあたしなんだけど」

 

口悪女もボーダーに興味があるのか、まさかアラサーの策略じゃないだろうな

 

「ねえ、僕も一緒に行ってもいいかな」

 

最近俺とかなり頻繁に会話をしている戸塚から声がかかった

付き合ってわかったがこいつは俺へ悪意を一切むけてこない初めてのクラスメートだ。まじ戸塚天使

 

「問題ないぞ戸塚、色々案内してやる」

 

「彩ちゃんとあたしで態度違うしヒッキーまじキモい」

 

「9時に駅前集合だ。ボーダーから迎えをよこすからな

 あと携帯は持っててもいいが写真やら録音は禁止だから注意しろよ」

 

俺は由比ヶ浜を無視し話を終えた

 

 

土曜日に車で駅に迎えにいくと既に4人が揃っていた戸塚と由比ヶ浜に雪ノ下おまけがアラサーこと平塚先生だ

このアラサー雪ノ下から報告がいったのか突然割り込んできやがったので見学時の保護者として登録はしたが不安が残る

 

「んで、ここが俺が普段いる作戦室だ」

 

「ほう、なかなかわくわくする雰囲気ではないか、なんか燃えるな。出撃の時に発信とか言わないのか」

 

「八幡なんか機械とかすごいね」

 

アラサーと戸塚はキョロキョロしている。まあ一般人にとっては珍しいのだろう

 

「おにいちゃん女の子3人と女の人?連れ込むなんてボーダー内にばれたら大変だよ」

 

「ボーダー志願者2人と見学者及び保護者で申請してるから大丈夫だ。あと戸塚は男だからな」

 

「え~男の子、おにいちゃん嘘はダメだよ」

 

「僕、戸塚彩加と言います八幡の言う通り男です」

 

「あ、ごめんなさい。私は比企谷小町と言います。おにいちゃんの妹をやってます」

 

「うむ、ならついでに自己紹介を済ませておこう。私は平塚静、総武高の教師だ」

 

「わたしは雪ノ下雪乃、比企谷君のとりあえずの知り合い?今回はボーダー検査の結果がよかったので説明を聞きにきました」

 

「あたしは由比ヶ浜結衣、ヒッキーのクラスメートだよ。ヒッキーにボーダーの才能があると言われたんだ」

 

「俺は佐久間二郎、八幡の親友だ」

 

「私は鶴見留美」

 

一通り自己紹介を終わったところでボーダーの説明に移る

近界民の侵略から世界を守っている意義を始めランクや制度などを簡単に紹介した

 

「八幡達は世界を守ってるんだね」

 

「俺一人じゃ無理だけどな。関係者の協力でなりたってるんだ問題も色々あるし

 そもそもボーダーと言っても1枚岩じゃなく主に3つほどの思想に分かれてる

 一つは4年前の侵攻で家族が犠牲になりネイバーに復讐を誓ってるグループここが一番人数多いな

 もう一つが市民の安全を第一と考えて行動しているグループ

 最後が近界民と言っても仲良くできる所もあると直接的に攻めてこない限り友好的に接しようとしているグループだ」

 

「ヒッキー近界民と友達ってなれるもんなの。あたしタコとかエビとかと友達になれないよ」

 

「いやいや由比ヶ浜、近界民と言っても俺達人間と同じ姿なんだよ。たぶん紛れ込んでも誰も気づかないぞ」

 

「そうなんだ」

 

ここで防衛任務や訓練などの公開用映像を見せて実際のボーダーの仕事の理解を求めることにした

アラサーはトリオン兵撃破の度に拳を握りしめ戸塚や由比ヶ浜は口を開いたまま見入っている

 

「さて、ここまでが簡単なボーダーの説明だが何か質問があるなら答えるぞ

 あと本当に志願するつもりがあるなら言ってくれ二人は本部としても勧誘対象だから色々便宜は図れる

 勿論未成年なら親の許可がいるけどな」

 

 

「比企谷達はなぜボーダーになったんだ」

 

「留美を除いて俺達の親は4年前の侵攻で犠牲になったんです」

 

「すまん」

 

「まあ事実ですからいいんですけどね。ですから俺達はボーダーで生活を維持しているんです」

 

「そうか君達は既に社会に出ているのだな・・・」

 

「あなたの学校での態度を見たうえで聞くのだけれど、ボーダー活動で支障は出なかったの」

 

「ああ、ここは完全な実力社会なんだよ

 学校のような箱庭みたいに声がでかいだけの奴だとか目立つだけの奴ばかりが優遇されることはない

 結局は実績を残せない奴だとか成長しない奴は消える世界だ」

 

「なるほど本来あるべき姿なのね」

 

「なんかカッコいい。ヒッキー教室でも今みたいな態度でいればいいのに」

 

「由比ヶ浜俺は学校では嫌な思い出しかない。結局は人気者が優遇され理不尽な事ばかりされたからな・・・もう諦めた」

 

「おにいちゃん不器用だから・・・」

「そう・・・貴方もなのね・・・」

 

「ねえ八幡、ボーダーの才能がないと採用されないの」

 

「いや戦闘ばかりがボーダーじゃないな。戦況を把握して正確な支持を出すオペレーターや開発室なんてのもあるぞ」

 

その後申請しておいた戦闘体体験を4人にしてもらったのだが、平塚先生のはしゃぎっぷりは大人の対応でスルーしたハチマンオトナダカラネ

 

 

昼食を食堂でとっていると他のボーダー達が集まってきやがりましたよステルスヒッキー肝心な時に効果ないってどうなの

 

「あら比企谷本部でナンパとはいいご身分ね」

 

玉狛の小南なんでお前が本部にいるんだよ那須も隣で頷いてるんじゃねえ

 

「小南こいつらは総武の志願者及び見学者だ」

 

「なんで女性しかいないのかしら」

 

「おい一人は男だ」

 

「もう騙されないからね比企谷」

 

「いえいえ本当なんですよ桐絵さん」

 

「え?まあ小町ちゃんが言うなら信じるけど・・・」

 

なんで今日に限ってこんなに集まってくるんだよこいつ等、小町助けて

 

「えっヒッキーってボーダーでは結構有名なの?」

 

「ああ比企谷を知らないボーダーはモグリか新人だな」

 

「意外ね。てっきりボーダーでもヒキコモリ君をやってるのかと思っていたのだけれども」

 

「引き籠りは合ってるな、うんうん」

 

「うるせい米屋。俺は基本的に働きたくないんだよ」

 

「あっそうだ小町みなさんに相談があるのです」

 

ナイスだ小町この雰囲気を変えてくれ

 

「小町は今年高校受験なのですが志望高を総武にするって言った所おにいちゃんが反対したのです」

 

なんだと俺が悪いみたいじゃないか

 

「小町悪い事は言わん止めておけ」

 

「なんだ比企谷お前と同じ高校だと何かまずい事でもあるのか?」

 

「いや総武高なんだがな・・・生徒のレベルが低いんだよ」

 

「あ?総武って言ったらこの辺の高校のTOPだろ」

 

「米屋、総武は偏差値ばかり高いだけで性質が悪いんだ」

 

「ヒッキー酷いあたし達だって総武高生なんだよ」

 

「比企谷君あなたがいるからって全体に及ぼす割合は低いわよ」

 

「比企谷その言葉は聞き捨てならないな」

 

「最近でもあったでしょ真面目な部活練習中に割り込んで練習場所を略奪した事件が」

 

「あれは一部の生徒の暴走ではないのかしら」

 

「あの時ギャラリーが何人いたと思ってるんだよ犯人を全員が応援してたぞ」

 

「なんだよそれ・・・うちの高校じゃ考えられないな」

 

「まて比企谷それは葉山達が処分された件のことか」

 

「そうですよ先生、実際処分されたのは4人だけですが共犯者が十数人はいました」

 

「それって最悪じゃん誰も止めなかったの」

 

「俺が教師を連れてくるまでお祭り騒ぎだったな。そこの二人が実際の被害者だ」

 

戸塚と由比ヶ浜は罰の悪そうな顔をしている

 

「だからな小町、総武は止めておけ」

 

「う~んそんな高校なのか・・・

 実は小町は同級生から別の相談も受けているのですがそこでも総武高の話が出ていたのです」

 

「おいそいつは男なのか、男だったらおにいちゃんの前に連れてこい跡形もなく吹き飛ばすから」

 

「ヒッキー最低だ」

 

「総武に通っているお姉さんが今年になってから不良みたいになったり朝5時までバイトで帰ってこなかったりしてるそうなんです

 しかもこの前エンジェルなんとかと言うバイト先から電話があったって言ってました」

 

「なんだと」

 

平塚先生があまりの話に衝撃を受けている

 

「おいおい総武ってそこまで無法地帯なのかよ」

 

「いや流石にそこまでではないな・・・全体の1割ぐらいが自分勝手な奴等で8割が根拠のない噂に流されてるって感じだ」

 

「まて小町君その同級生の名前はなんだ。話によっては私が大事にならないうちに対処する」

 

「えっと川崎大志君って言います」

 

「川崎・・・最近遅刻の多い川崎沙希か」

 

「ちょっとまってよ小町ちゃんサキサキはそんな娘じゃないよ。ぶっきらぼうだけど」

 

「由比ヶ浜さん知ってるのその人」

 

「うんクラスメートだよ。最近なんか疲れてるみたいだけど寝不足だったのかな?」

 

「結論を出すのはまだ早いな小町ちゃん、もう少し詳しい話を聞かせてくれ

 1.いつぐらいから容姿が変わったのか及び新しい交友関係が増えたのか

 2.深夜のバイトに気付いたのはいつからなのか

 3.バイトが必要って言うことは金銭の話だから家庭がどの程度裕福なのかの3点」

 

こんな時は頼りになる二郎が話をまとめる

 

「えっと・・・不良みたいになったのは2年生になってからって言ってたよそれまでは真面目だったって

 家に友達とかは呼んだことないみたい勿論電話とかも・・・

 バイトは4月になってしばらくしたら朝方帰宅したのを見て気付いたって

 両親は共働きだけどそれほど裕福じゃなく受験のある大志君は4月からなんとか塾に通えてるみたい」

 

「2年生・・・比企谷君と同じクラスになってから変わったのね・・・」

 

「おい雪ノ下何が言いたいんだ」

 

「あなたのクラスで不良化してまでも身を守る必要のある危険人物はいないのかしら」

 

「え~と女子に絡むような人はいなかったと思うけど」

 

「雪ノ下さんは川崎さんが不良化したのは自分の身を守る為の鎧だと言いたいんだな

 だったら1年の時に何かあったんじゃないのかな

 バイトも家庭の事情みたいだね川崎さん自身は塾に通ってないみたいだし」

 

「なるほどそうね。1年の時に真面目な姿で何かあったと考えるべきね」

 

「小町の話から推察すると容姿が変わったのは真面目な恰好の時に虐めかなんかあったのかもしれないな

 バイトは自分の学費とかか?弟の塾代で家庭的に余裕がないように見えるし

 元々真面目だったら総武は進学高だ2年になったら大学受験の準備を始める奴もいるだろう」

 

「え~もう受験の準備してるの」

 

「ふむ比企谷達の推察はなかなか的を得ているように見えるな、ならば問題なのは深夜のバイトか」

 

「この前小町の受験の為に集めた予備校の資料の中にスカラシップと言う奨学金制度みたいなのがあったんで

 もし自分の学費を稼いでるんだったらそれを薦めてみるのもいいかもしれませんね

 だって学力を上げる為の学費を稼ぐ為に寝不足になって学力が下がるなんて意味ないから」

 

「なるほど・・・ならば私が相談と言う形で川崎と話をしてみよう

 学費の補助にも色々あるし特別授業をしてくれる先生もいるからな」

 

「よし小町念のためパンフレットを渡すからそいつに叩きつけて二度と近づくなと言っておけ」

 

「相変わらずのごみぃちゃんだよ・・・」

 

「比企谷・・・流石にそれはないと思うぞ」

 

「ヒッキー最低だ」

 

「比企谷君あなたって鋭いのか抜けてるのかわからない人ね・・・」

 

「流石は比企谷だ。ブレないな」

 

なんとか最初の目論見通りに話を逸らすことには成功したが小町の進路問題は解決してないんだよな

最終的には小町の判断に任せるつもりだが慎重に判断してほしいものだ

 


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