俺のボーダーとしての青春はまちがっている。【俺ガイル編】   作:ばけねこ

9 / 19
【第九章 はがれ始めたメッキ】

CMで話題になったせいか総武高内での雪ノ下の歩く速度は最早競歩のレベルである

そう声を掛けられないようにしている自衛策なんだそうだ

 

「で、今日の平塚先生からの呼び出しってなんだ」

 

「私も聞いていないわ。昼休みに奉仕部へ来るように言われただけよ」

 

「また問題毎だと嫌だよね」

 

コンコンとドアがノックされた

雪ノ下のどうぞの掛け声で入ってきたのは生徒会長の城廻めぐりと副会長の名前を知らない奴が来た

 

「雪ノ下さんごめんねまた頼みごとがあるんだ」

 

「どういった要件でしょうか」

 

生徒会長が言うには毎年在り来たりになりがちな体育祭だが今年はみんなの記憶に残るような事をしたいとの事で

体育祭実行委員会でもなかなか案が出ないなかボーダーなら何かできるのではないかと相談に来たそうだ

 

奉仕部はボーダー関連窓口である為今回の依頼は的外れでもない

 

「ヒッキーなんかない?」

 

「比企谷君発言を認めるわ」

 

よりによってこいつ等が丸投げとは八幡油断した

 

「そうだな・・・B級以上なら外部で戦闘体になっても問題ないから

 今年からボーダーと提携を始めた総武生に戦闘体での演武を見せる事なら出来ると思うんだが」

 

「それだよヒッキー・・・ところで演武てなに昆布の親戚?」

 

「由比ヶ浜さん演武と言うのは武道などの型を踊りや殺陣と言われる見本で見せるものよ

 簡単に言うと戦ってるフリをして戦い方を見せるようなものね」

 

「そうだよね演武て昆布じゃないよね。知ってたしヒッキーキモい」

 

生徒会長は戦闘体との言葉を知らないようで説明も面倒なこともあり見せる事にした

 

「まあ実際見てみてください。トリガーON」

 

俺は戦闘体になり生徒会長と副会長の前でストップ&ゴーを繰り返して見せた

まるでテレポートをしている様に見えるであろうこの動きは常人の数十倍の筋力を誇る戦闘体ならではの動作だ

 

「凄い凄いそれが戦闘体なんだ。どっかのヒーローみたいだね」

 

手を叩きながら燥ぐ生徒会長とこれならとまんざらでもない副会長であった

 

「幸い総武には正規の隊員が3人いますので5分とか10分とか時間を貰えれば実演できると思いますよ」

 

「ならお願い出来るかな。時間については追って連絡するし場所は校庭を使ってもらえればいいから」

 

 

比企谷隊作戦室で俺が体育祭での演武について相談していたら

留美がCMの事で散々同級生から質問攻めにあったと嘆きだした雪ノ下を助けたスナイパーは留美なのである

 

「留美は隊長に会わせろって言われるのがわずらわしい

 隊長は八幡なのに・・・」

 

「俺と二郎は最初と最後の一瞬しか映らなかったからな」

 

「あら比企谷君あの時居たの?目障りだからてっきりカメレオンを使って姿を消していたんだと思っていたのに」

 

「俺いたよね留美の後ろでスタンバってたからお前振り返った時俺の方を見てたよね」

 

「あーあたしバイパーじゃなくてメテオラ使いたかったな」

 

「小町は楽しかったですよCM撮影」

 

「ゆきのんが隊長であたしが副隊長って言われてるんだよねあのCM

 ねぇねぇゆきのんあのCMの続編って話ないの」

 

「やめて由比ヶ浜さん、姉さんに聞かれたら本当に作りそうだから」

 

「えーでも、ゆきのんってヒロインだから次あるとしたら恋の話だよね

 きっと逃げ遅れた青年を助けて恋に落ちるみたいな

 

 それでそれであたしは隊員の中に恋人がいてゆきのんの相談に乗るみたいな展開」

 

「あら由比ヶ浜さん、それなら私の相手が隊員の中にいても問題ないのではないかしら」

 

「お前等そこまでだ、俺は体育祭の演武の話をしてたはずなんだが・・・いつCMの話に切り替わった」

 

「なあ八幡お前と雪ノ下は問題なさそうだが由比ヶ浜は大丈夫なのか?」

 

「そこなんだよな由比ヶ浜が殺陣を覚えられるかが問題なんだよ」

 

「ヒッキーとサクジー酷いし、あたしだって出来るし」

 

だそうなんおで試しに演武をやってみることにしたのだが・・・・

 

高速で雪ノ下へ近づいた後パンチを繰り出す俺。雪ノ下は合気道の経験者だと言うことで俺の手を取り空中へ投げ出す

空中で体制を整え無事に着地した。基本は静と動を織り交ぜて魅せる演技をすることだ

 

由比ヶ浜が俺に突進してくる直前で止まって俺に蹴りを放つはずだったんだが・・・

由比ヶ浜に体当たりされそのまま二人が絡まったまま砂埃を上げる

 

「ごめーんヒッキー止まれなかった」

 

あの由比ヶ浜さん早くどいて欲しいのですけど・・・二つの大きなお山が当たってるんですけど・・・

 

「エロ谷君早く由比ヶ浜さんを解放しないと通報するしかないのだけど・・・」

 

こんな感じで由比ヶ浜がなかなかうまく演技できないのである

二郎と相談した結果由比ヶ浜は好きにさせる事にし俺が由比ヶ浜の攻撃をいなす事となったのだ

 

 

体育祭当日俺達3人は体育祭実行委員のテントに呼ばれている

 

そうそうクラスの実行委員は三浦と戸部だ葉山は団長と言う事で辞退したらしい

メイン競技のアイディアを募っていた会議で三浦は海老名を召喚し無事女子は騎馬戦、男子は棒倒しに決まったそうだ

 

「男子達がお互いの棒を求め合いくんずほぐれつ・・・、ぐふふふ」

 

「擬態しろし」

 

との会話がなされたそうだが俺には関係ないだろう

 

演武自体は昼休みの最初に10分の時間で行う事になっている

その後全校にアピールしたい運動部達が色々余興をするのだそうだ

 

さて俺達がここに呼ばれたのは演武の最終確認の為である

安全性確認やアナウンス内容の最終チェックだ。今年は県のお偉いさんも来ているそうで校長などは気合が入っているとのこと

 

「比企谷君あなたの出場競技はどこなのかしら」

 

「午後に開催されている奴に1つだけ出る事になってるな」

 

「偶然ね私達も午後にしかないわ」

 

実際は偶然ではなく緊張している雪ノ下と由比ヶ浜は演武前に怪我などしないように出場競技は午後だけにしたのである

体育祭は滞りなく進んでおり団長葉山率いる白組が圧倒的に勝っている状況だ

 

俺達3人は赤組なので戸塚が団長をしている応援合戦を見ている

ちなみに生徒会長も赤組で最後の体育祭は勝ちたいと意気込んでいたのだが

 

体育祭実行委員のテント内でおかしな会話が聞こえてきた葉山の活躍により白組が優勢になっているとの話だ

おかしな話だと思う、一人の得点が勝敗を左右するほど競技種目は少なくないはずだせいぜい全体の1/100程度のはずである

 

 

「これより総武高校ボーダー隊員の有志による演技をお送りします」

 

俺と雪ノ下、由比ヶ浜が三角形の形で見つめあっている勿論戦闘体の姿だ

まずは由比ヶ浜が動いた一般人には消えたように見えただろう由比ヶ浜は俺へ蹴りを放つ

 

俺は由比ヶ浜の突進を止めた後蹴りをガード。由比ヶ浜を止めた事で俺の目の前に突然現れたように見えただろう

オーと言う歓声が上がるといつの間にか雪ノ下が俺の腕をとり空中へ投げ飛ばす

 

合気道であれば相手の力を利用するのだが戦闘体の力があるのなら相手の力なんていらない

空中で回転し着地する俺に向かって由比ヶ浜と雪ノ下がコンビネーションで攻撃してくる

 

あれ?打ち合わせでは三つ巴の戦いにするって言ってたよね・・・

なんで二人は俺しか狙わないの?虐めなの?俺の事嫌いなの?

 

CMで有名になった雪ノ下と由比ヶ浜が目の前で戦っているのだグランド全体も興奮しており

俺へは早く倒れろとの罵倒が雪ノ下と由比ヶ浜には頑張れとの声援が飛び交っている

 

演武中のアナウンスはボーダーについてのマニュアルを読み上げて貰っている

最後の連携攻撃を俺がわざとくらいグランドに倒れたところで時間となった

 

声援の中、起き上がった俺は二人に手を取られながら退場した

 

 

「緊張したー」

 

「うまくいって良かったわ」

 

「これで午後の競技が終わればお役御免だな」

 

一息を付きながら弁当を突いている俺達の前へ平塚先生がやってきた

 

「それなのだがな・・・お前達3人は出場停止にしてもらった

 あの演技を見た生徒達がボーダーが参加するのは不公平だと言い出してな」

 

「戦闘体でなく生身であるのならば問題ないと考えるのですが」

 

「それがわからない生徒も大勢いるのだ」

 

「まあいいですけど通達だけはしっかりやっておいて下さいね。後でサボリだとか言われたくないんで」

 

そう言うと俺はテントを後にした鉢巻も不要だろうとポケットへ入れた

 

体育祭実行委員内とルーム長に通達された俺達の不参加はそれほど抵抗なく受け入れられそのまま体育祭は終わるのかと思えたのだが

 

「はあ結衣と雪ノ下さんが騎馬戦でれないってどういうことだし」

 

「まあまあ優美子落ち着いて」

 

「一部の生徒の要望だ」

 

「あーし納得できないし

 ならあーしと姫菜も出ないし」

 

「優美子」

 

「だってそうでもしないと対等にならないし

 あーしそんなの嫌いだし」

 

その結果騎馬戦は生徒会長と不良の川崎率いる赤組が相模率いる白組を倒して棒倒しに赤組が勝てば逆転できる所まで点差が詰まった

 

「比企谷これを付けておけ」

 

平塚先生から渡されたのは救護班と書かれた腕章だ

加熱した男子が怪我をしないように見張って欲しいのだそうだ

 

「へいへい」

 

と俺は返事をして陣中見舞に戸塚の所へ行くことにした

 

「あ、八幡鉢巻は」

 

「ああ俺出場停止なんだよボーダーが出るのずるいって言われてな」

 

「そうなんだ、折角八幡と一緒に出来ると思ったのに残念」

 

戸塚マジ天使。俺は怪我人がでないように見張る救護班役だと言ってその場を去った

勿論個人的には戸塚を応援してるとも伝えたぞ

 

男子の棒倒しが始まり赤組よりにいた俺は白組の様子を見るべく歩いていく

走ったりしたら参加者だと思われるからな、ここは慎重に行動するべきだ

 

赤組の男子達が白組に時々潰されていく中俺の目の前に葉山が現れた

 

「やあヒキタニ君、鉢巻は忘れたのかな」

 

「この腕章見ればわかるだろ、俺は救護班なんだよ」

 

「そうそう平塚先生にも言われてたっしょ

 ヒキタニ君は不参加だって」

 

「翔騙されないほうがいい。これはこいつの作戦だ」

 

太った大男が白組男子達を蹴散らして進軍してくる

 

「やばいっしょ隼人君、ヒキタニ君なんかに構ってる場合じゃないっしょ」

 

戸部と大和は太った大男に向かいなんとか止めた

 

「残念だったね。君が僕達を足止めして彼が突っ込むか全員が彼の所にいったら君が単独で突っ込むつもりだったんだろ」

 

こいつは何を言ってるんだろ

 

「悪いが君を倒させてもらうよ」

 

俺を捕まえようとする葉山をステップで避ける俺。筋力や早さはないが反射神経と視力は俺のほうが高いのだ

俺と葉山の立ち回りをあっけにとられて眺めている戸部達が目を離した隙に大男が白組の棒を倒すことに成功した

 

赤組優勝の準備をしている体育祭実行委員のテントに葉山達白組応援団が怒鳴り込んできた

いわゆる棒倒しで不正があったと言い張る葉山

 

俺が鉢巻を外し白組陣内へ攻め込んだ為、白組は負けたのだと

 

その話を聞いていた体育祭実行委員達は俺が救護班として鉢巻を外し現場にいた事は知っている

また戸部からの報告で葉山が救護班と名乗った俺を執拗に追廻してた事も知っている

 

体育祭実行委員長や戸部が葉山の勘違いであって不正でもなんでもないと説得するが

 

「言い訳したって俺が騙された事は事実だろ」

 

おいおいお前が勝手に騙された事を人に押し付けるなよ

まあ俺の怒りを買うのには十分だったんだ

 

「不正と言えばなぁ葉山・・・一人三種目にしか出れない体育祭でお前今日は何種目に出たんだ」

 

俺が爆弾を投げる。そう言えばと全員が心当たりがあるらしい

 

「そ、それは代走をお願いされただけだ」

 

「代走って3種目出てない奴がやるもんだろ俺なんか当初1種目だけの予定だったぞ」

 

「必至にお願いされたんだ。別に少しぐらいなら大目に見ても問題ないだろう」

 

「だったら・・・なんで赤組だった俺の代走を白組であるお前がやるんだよ」

 

体育祭実行委員はおろか白組応援団までが葉山を注視している

確か棒倒しで不正があったからと乗り込んできたはずだが蓋を開けたら白組の応援団長が不正をしていたでござる

 

「どうだろう・・・このままお互いの主張が平行線では決着はつかない

 なら、俺とヒキタニ君の一騎打ちで勝敗を決めようじゃないか。これなら誰もが納得するだろう」

 

「お、私好みの熱い展開になってきたな。なら・・・」

 

「お前はバカか。ここにいる全員がお前が不正をしたって言ってるんだよ人の話を聞けよ」

 

白組応援団はバカらしいと葉山を残し去って行った。そう言えばアラサーの奴なんか言いかけてたな

 

「本来は不正をした白組の反則負けですがもともと赤組が勝った勝負ですのでそのまま結果発表をしましょう」

 

体育祭実行委員長の閉会宣言を持って体育祭は終了した

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。