東方不老伝 〜呪いを解く物語〜   作:ゼノマル

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大事なものって、意外な所にありますよね


外で見たのは

「え?知ってたよ?永琳さんが凄い人って」

 

「え?千景お前知ってたの?」

 

「逆に蛍知らなかったのかよ」

 

 

永琳に穢れと月移住計画の話をされてから、俺はいつものように軍事基地の各部隊の部屋に集まっていた。そこで、千景に永琳が凄い人だったって事を話すと今更?的な感じで言い返された。

 

そんな有名なのか....全く知らなかった

 

 

「それで?少しは永琳さんを尊重すんの?」

 

 

いきなり千景が訳のわからない事を言い出す。

俺が女を尊重する?何言ってんだ。

俺は疑問をそのまま千景にぶつける

 

 

「はい?なんでだよ」

 

「いや、上の存在って知ったらちょっとは尊敬やら尊重やらするかなぁと思ってよ」

 

 

またまた訳のわからない事を言い出す千景。

どれだけ偉いかは知らねぇが俺が頭下げる事なんてほとんどねぇっつうの

 

と、心の中で意地を張っているとクソ教官が前に出てきて、ここの部隊全員に聞こえるように大声で喋り出した

 

メガホンとか使えばいいのにと思ったのはここだけの話

 

 

「いいか貴様ら!!これはまだ世間には知られていない事だが、我々は月に移住する事となった!!」

 

 

クソ教官の発言を聞いた兵士達はざわざわと騒ぎ出した。

 

「月ってうさぎいんのかな?」とか「うさぎさんと餅つきしたいね〜」とかやたらとメルヘンチックな事を言っているやつもいれば「ジャンプしてどっちの方が高く飛べるか勝負だ!」とかいう少年の心を忘れないオッサンたちも皆騒ぎ出す。

 

世間一般で知られてない事を知っていた俺と千景は何とも言えないこの状況に苦笑いと呆れ顔しか表情に出せなかった

 

 

「貴様ら静かにしろ!!!」

 

 

しかしその騒ぎはクソ教官の喝によって再び静寂に戻る。

流石はクソでも教官だ。そこだけ褒めてやる。

クソ教官は全員が静かになるのを確認してからまた口を開く

 

 

「続きを話すぞ。月に移住する際は本部の人間、女子供、最後に男とこのような順番でロケットに乗る事になっている。だがしかし!!それは一般人の場合だ!貴様らは兵士だ!妖怪から一般人を守るのが仕事だ! 我々軍隊は女子供関係なく最後に乗ることになっている。指示が出るまでロケットを死守するんだ!」

 

 

要するに、兵士は女子供関係なく最後までロケットを守れ。ということらしい。

まぁ、当たり前っちゃぁ当たり前だけど。やはり俺達子供にとっては少し厳しいな....

 

 

「教官!死守って、何からロケットを守るのですか?」

 

「この戯け!妖怪に決まっているだろうが!妖怪は我々の恐怖心から出来た存在。つまり人間がいるからこそ妖怪がいる。我々人間全員が月に行けば妖怪にとっての死活問題となるだろう。そんな時にボーッと月に見送るなんて真似、奴らがするわけがないだろう!!」

 

「すっ!すみません!!」

 

 

あぁ言うのって初っ端に死ぬパターンのやつだよな。逆に妖怪以外に何かいるのだろうか?と、問いただしたくなってくる....

 

これくらい誰にでもわかるよな?と、千景に同意を求めようと横を向くと

 

 

「なるほど、妖怪にとってはそうなるのか....」

 

 

と、偉く関心した様に何回も首を上下に降っている千景の姿があった。

 

 

 

お前もわからなかったのかよ.....

 

 

 

コイツたまに馬鹿なところあるからな。さっきそんな千景に「今更?」みたいな事を言われた俺はなんだろう....いや、考えるのはよそう、悲しくなってくる

 

 

「さて、ここからが本題だ!さっきも言ったように、当日には女子供も戦争に出る。特に子供は戦場など慣れない場所なのは確かだ!そこで、今日は都市の外の小妖怪が多く出るイエローゾーンに偵察に出かけてもらう!実践練習だ!いいな!」

 

 

少し戸惑う者もいたが、直ぐに大きな掛け声に後押しされ、全員の気持ちが一つとなった。

 

 

 

実践なのか練習なのか....ハッキリして欲しいけど.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちら特攻部隊。出撃の準備、整いました。指示をお願いします」

 

「こちら軍基地。特攻部隊の出撃を許可する。最近はあの呪いの妖怪も動いていると情報もある。くれぐれも負傷に気を付けてくれ。無事を祈る」

 

 

そのスピーカーの放送が終わったと同時に俺達特攻部隊は出撃した。

最初に見えたのは都市の中じゃ見れない自然だけの世界だった。

 

 

「うおぉ!!ここが外か!綺麗な森がいっぱいあるなぁ〜」

 

「千景は出るの初めてだっけ?」

 

「あぁ!出るのは初めてだ!木とかが集まるとこんなに綺麗なもんなんだなぁ!」

 

 

普通、外に出ることなんてほぼないから俺達子供にとっては森は珍しいものだ。俺も小さい頃、感動した記憶がある。多分....

 

と、そんな事を言っていると草むらから小妖怪、中妖怪の群れが現れる

 

 

「来たぞ!我々は銃は無い!あるのは刀と己の拳のみだ!それぞれバディを組む等をしてチームワークで奴らを倒すんだ!ピンチの時は援護する!では!実践練習開始!」

 

 

その言葉と同時に全員散らばっていく。俺はもちろん、

 

 

「いくぞ!蛍!ちゃんと俺のスピードについてこいよ!」

 

「練習終わるころにはお前がペース落とせとか言うぜ多分!」

 

 

千景とバディを組み、妖怪の群れへと突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ....やっと終わりか....」

 

「6体くらいか....倒したのは....」

 

 

あれから数時間....ようやく妖怪の攻撃が収まり、実践練習も終わりを迎えていた。

 

小、中妖怪ぐらいならば俺達2人係で倒せるようになった....まぁ、知識のないやつだけど....

 

過程や方法などどうでもいいんだ!結果だけがすべてなんだよ!妖怪を倒した事には変わりない!はず.....

 

まぁ、妙な意地を張るのはこれくらいにして、そろそろ帰るとするか

 

 

「よし!貴様ら、初めてにしてはなかなか良い戦いっぷりだった!それでは、都市に帰還する!」

 

 

いつもクソ教官はテンションが高い....

正直、疲れるなぁ。あの人には常に痺れ薬とか打っといたら丁度いいテンションになるんじゃね?

 

 

「今日も疲れたなぁ~、肩がこっちまうぜ」

 

「じじくせぇぞ千景。子供が何言ってんだが....」

 

「散歩好きな蛍には言われたくねぇな」

 

「なんだよ?別にいいだろ?

 

 

だいたい」と言いかけた瞬間。横の草むらから飛び出してきた中妖怪に俺は直撃してしまった。

 

 

 

「ガハッ!?」

 

「蛍!?」

 

 

 

そのまま重力に逆らえず、俺の体は吹き飛ばされた

 

しかし、飛ばされた先は崖になっていて、そのまま落下してしまう

 

 

「グァッッ......!?」

 

 

途中の岩に身体が強打し、鈍い痛みが体に響く。

 

 

「チッ!まだ残っていたか!早く排除しろ!!」

 

「蛍ゥ!!おい!!ほたるぅぅぅ!!!!」

 

 

(やべぇ....意識....が.....)

 

 

頭に響くクソ教官と千景の声を最後に、俺の意識は完全に無くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「うっ......ガハッ.....ゲホッゲホッ....」

 

(生き....てる?....)

 

 

強烈な痛みが体中を襲う中、俺は現在の状況を確認しようと、必死に目を開け、あたりを見回す

 

 

「ハァ....ハァ....ングッ....ちっ....くしょぉ、めちゃくちゃ痛てぇ....」

 

 

どうやら左手が打撲してしまっているようだ。激しい痛みが常に襲ってくる。だけど、体中に引っかかってる木の枝や、上の木々を見てみると、どうやら深く茂ったこの森がクッションとなって衝撃を和らげたようだ。

 

 

「グッ.....人の手が届いてないおかげで助かったの.......か.....」

 

 

こんな所にいてもしょうがない。左手を怪我している今の俺じゃ小妖怪にもやられちまう....案の定、俺の刀....「天斬」は近くに落ちていたが、とにかく軍のみんなと合流しないと.....

 

俺は痛みに耐えつつ、腰を上げる。

崖を登る方法を考えないと....

 

 

 

「グオオオォォォォッッッ!!!!!!!」

 

 

「ナッ.....!?」

 

 

瞬間、茂みから異型の手が飛び出し、そのまま地面を抉るように爪を立てる。

 

 

「な....なん.....だ?」

 

「ガルォォォァアオオァァッッッ!!!」

 

 

顔は見えないが、何故かその叫び声が助けを求めるような声に聞こえる。異型の手も、地面を抉っているのではなく、何かに耐えようと、踏ん張っているような....

 

 

「お、おい....だいじょ

 

 

その時、唯一見えていた異型の手はかなりのスピードで ザザッ!!と、大きな音を立てて茂みの中へと吸い込まれていく。

 

 

「ッ!?一体何なんだよ!?」

 

 

それと同時に妖怪の叫び声がどんどん遠くなっていく。最後には何も聞こえなくなり、まるで最初から何も無かったような静けさが残った。

 

 

(何だってんだ....!! 意味がわかんねぇよ....)

 

 

急に陥ったこの状況。何をしていいかわからない俺は、このまま何もしていないよりマシだと思い、妖怪が物凄い勢いで吸い込まれていった先に進む事にした

 

深く茂った草むらを手で掻き分けていき、打撲した左手に負担をかけないように一歩ずつ、足を動かす。

 

 

「ったく....森が深すぎる....くそ!」

 

 

ザッザッ、と....木々を踏んで更に進んでいく。

 

 

「っと....やっと草むらから出れた....」

 

 

そしてようやく草むらを抜け、少しだけあたりを見回せる場所に辿りついた。

 

しかし、そこで俺はあるものを見つけた。

 

 

「なんだ.....血?....なのか?これ。しかもこの荒々しい跡.....」

 

 

その地面には、かなり深い雑草をむしり、更にそのまま一直線に引きずられて行った様な荒々しい跡が残っていた。しかも血が付着していた

 

 

「この血....さっきの妖怪のか....! じゃあアレは誰かに引きずられていった....? 誰に?」

 

 

血がついてる事でこの先にいる存在が明らかに危険な事は分かっている。

 

 

 

 

 

でも、なんでだ.....不思議とその″誰か″を見てみたい.....

 

好奇心というか、引き寄せられるような......

 

 

ーザザッ!

 

 

そんな事を思っている間に、俺の足は既にその誰かの方に向かっていた。安全だという保証はない。危険かもしれない。寧ろ、そっちの方が可能性は高い

 

 

ーザッザッザッザ!

 

 

でも、何故だか【今は】大丈夫な気がする....

そんな根拠もないどこから来ているのか分からない自信だけ。ただそれだけだが、

 

 

 

 

 

俺は、確認したいと、思った。

 

 

 

 

 

 

 

見えたのは、生気を失った妖怪と.....

 

 

 

その妖怪の頭を掴んでいる黒髪の炎のような男だった

 

 

 

 

end




大きく動いた物語、はたして、作者である蜥蜴が最後まで書き切れることは出来るのだろうか
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