FAIRY TAIL ~~ツバサを持つ者達~~   作:弓狼

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 こんにちは、お久しぶりの弓狼です。
 
 なかなか描写と心情を書くのに苦労しました。

 第15話 ~怨念・憤怒の夜~

 シャオラン視点から始まります。

 上手く出来てないと思いますが、読んでみて下さい。

 それでは、どうぞ!!



第15話 ~怨念・憤怒の夜~

 

 

 〔シャオラン side〕

 

 

 ーツバサクロニクル 宿泊舎ー

 

 

 大魔闘演舞2日目が終わり、夜を迎えた頃…

 今、俺はユウキ、カナデ、ソウダ、ソニア、ツミキ、ユウコさん、白モコナ、マルとモロ、ワタヌキと一緒にこの宿の大広間でくつろぎながら休んでいた。

 

 クズリュウや他のみんなは、この場にはいない。

 

 クズリュウは夜の散歩に出かけた。クズリュウ1人じゃ絶対迷子になるから、ドウメキと黒モコナが後から追いかけて行った。

 

 キリマルは、今日のバトルパート第3試合の商売で撮影した写真を現像したので、ランタロウと一緒にそのお客さん達へ写真を届けに行ったのだ。

 

 ハチマンとハルノは、誰かと待ち合わせしてるからと外へ出て行ったのだ。

 

 オワリはお腹すいたからシンベエ、ジル、ニダイと飯屋に行った。……さっき夕飯食べたばかりなのに(汗)

 

 だから、今いるのは俺を含めて10人と1匹である。

 

 

 ユウキ

  「ボク達が1番ってなんか気持ちいい気分になれるね~♪」

 

 

 俺の隣でソファに背もたれながら背伸びしているユウキは、とても上機嫌でいた。

 

 そしたら、ソウダがいきなり俺の背中を叩いて笑いながら口を開いた。

 

 

 ソウダ

  「さすが、シャオランだ。相手を体術だけで勝つとか会場の全員びっくりしてたぞ」

 

 ソニア

  「はい!蹴り1発で打ち砕く破壊力は凄まじかったです!」

 

 シャオラン

  「い、いえ!俺はそんな凄くありませんよ。相手もなかなか強かったし…」

 

 

 ソニアとソウダが俺の試合に感嘆していた。俺は慌てたか少しテンパった口調になってしまった。

 

 

 ワタヌキ

  「それでも魔法使わずに勝つのは、凄いことだよ!」

 

 ツミキ

  「そ、そうですよ。シャオランさん凄かったですよ」

 

 白モコナ

  「シャオランは強いからね~♪」ピョコ

 

 マルダシ

  「シャオラン強~い」ダキッ

 

 モロダシ

  「強~い」ダキッ

 

 

 ワタヌキもツミキも俺を褒める。(白)モコナが俺の頭上にのり、マルとモロも両方の腕に抱きついてきた。

 

 

 シャオラン

  「皆さん、ありがとうございます」

 

 

 俺は笑ってお礼を言って、抱きついてきたマルとモロの頭をつい撫でていた。マルとモロはえへへと嬉しそうな表情になっていた。

 

 隣にいるユウキは、頬を膨らませながらジト目でこっちを見てきた。なんでだろう?

 

 そんなこと考えていると、ユウコさんが話しかけてきた。

 

 

 ユウコ

  「シャオラン、悪いけど頼みたいことがあるの」

 

 シャオラン

  「はい、何でしょうか?」

 

 ユウコ

  「ちょっとこの街を見回ってくれないかしら。あなたが感じた“奇妙な魔力”もあるけど……このクロッカス…いや、この世界の時空間に歪みが生じるのが感知したの」

 

 シャオラン

  「えっ!?」

 

 

 俺はユウコさんの言葉に驚愕した。俺だけじゃない…ここにいる皆も目を見開いていた。そして、ユウコさんの言葉はまだ続いた。

 

 

 ユウコ

  「恐らくあなたが感じた奇妙な魔力と関係がある。だから、この街で何か異変がないか確かめてほしいの。頼めるかしら」

 

 シャオラン

  「…わかりました。では、行ってきます!」

 

 ユウキ

  「あ、待ってシャオラン!ボクも行くよ!街中広くて大変だから手伝うよ!」

 

 シャオラン

  「分かった。俺は左半分を見回るからユウキは街の右半分を頼む」

 

 ユウキ

  「了解!」

 

 

 ユウコさんに頼まれた俺は、ユウキと一緒に宿泊舎から出ていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〔クズリュウ side〕

 

 

 ークロッカス街の大通りー

 

 

 俺の名はクズリュウ…

 気分転換に1人で夜の散歩をしているのだが…

 

 

 クズリュウ

  「ドウメキ…(黒)モコナ…なんでお前らがここにいるんだ?」

 

 

 なぜか後からドウメキと黒モコナがついてきた。いつも散歩に出かけると、必ずや誰かが後からついてくるよなぁ。

 だから、俺はついてきた奴ら1人と1匹にそう言ってみた。そしたら、奴らからきた言葉は…

 

 

 ドウメキ

  「…お前が絶対迷子になるから」 

 

 黒モコナ

  「雲の流れてく方向が真っ直ぐだと言ったアホが絶対迷子になるから」

 

 クズリュウ

  「おし、ドウメキの理由は良しとして、(黒)モコナ…お前は斬る!」

 

 黒モコナ

  「なんでぇ!?」

 

 

 散歩の時に聞いた理由は皆同じような答えだったが、てめぇの理由がムカついたからだ!

 

 ギャーギャーと騒いでいたら、何かどこからか声が聞こえていた。

 

 

 ドウメキ・黒モコナ

  「「???」」

 

 

 どうやら、ドウメキも黒モコナも聞こえたようだ。俺ら2人と1匹は声が聞こえた方へ向かうことにした。

 

 

 ドウメキ

  「……クズリュウ……そっち逆……」

 

 黒モコナ

  「…聞こえた方の逆に行ってどうするの…クズリュウ」

 

 クズリュウ

  「うっせー!」

 

 

 だが、俺は早速道を間違えてしまった…ドウメキが止めてくれた。黒モコナはハァーとタメ息ついて呆れていた。確かに俺の自業自得だが……あの黒饅頭…今すぐ蹴り飛ばしてぇ…

 

 俺達は改めて聞こえた方へ行く。声がだんだん近づいてきて、女2人の話し声だった。そして、その1人の次の言葉がはっきりと聞こえた。

 

 

 ???

  「エルちゃんもカグラちゃんのあの抜かずの剣・不倶戴天見たでしょ?あの剣は、名の通り本当に切るべき相手にしか抜かないと誓った剣なんだって……カグラちゃんの全てを奪った男…ジェラールを殺す為の剣」

 

 ???

  「え?!」

 

 クズリュウ・ドウメキ・黒モコナ

  「「「……………」」」

 

 

 俺達は道角から見てみると、その憎しみの篭った声の主は人魚の踵の猫女魔導士だった。もう1人は妖精の尻尾のエルザだ。どうやら、ジェラール関係で話していたよ。

 

 なるほど……あの女剣士は何の目的で剣を持つかと思ったら、ジェラールを己の手で葬るつもりで剣を持ってたのか。

 

 ちなみに、俺達はジェラールとは会っている。ウルティア、メルディと一緒にユウコの店の客人として、来たことがある。3人とも大きな罪を犯した者同志…罪を償いたいという願いでこの店に引き寄せてきたのだろう。ハチマンとハルノは、すでに知り合ってたそうだ。しばらく俺達のギルドに滞在して、俺や他の仲間も仲良くなった。

 

 その後、あいつらは独立ギルド魔女の罪《クリムソルシエール》として、各地の闇ギルドを潰し回っている。

 

 

 ミリアーナ

  「分かるよ。エルちゃんだって同じ気持ちだよね……私もジェラールが憎い……私達を奴隷にしてシモンを殺したんだ。許せない…許せない。だからカグラちゃんのギルドに入ったの」

 

 エルザ

  「…………」

 

 

 あの猫女魔導士も、ジェラールを相当怨んでいるな。エルザを見ると、かなり辛そうな顔をしていた。あいつから憎しみを感じない…。どうやら、エルザはジェラールのことを許したようだな。と、俺は見聞色でそう感じた。それに、今のあいつや猫女じゃジェラールを倒すことも出来ないな。

 

 

 クズリュウ

  「なあドウメキ、(黒)モコナ、今の猫女と女剣士…ジェラールを倒せると思うか?」

 

 

 念のためにドウメキと黒モコナに聞いてみた。そして、両者ともに即答で答えた。

 

 

 黒モコナ

  「無理だな…いくら人魚の踵の最強魔導士でもジェラールを倒すのは不可能だよ。あのミリアーナっていう人なら尚更無理だ…」

 

 ドウメキ

  「…俺も同感だ…」

 

 

 やっぱりな……。俺は呆れて深いタメ息をついていた。

 

 

 エルザ

  「!!……そこに隠れている奴ら、何者だ!出てこい!!」

 

 

 俺達に気づいたようだな。仕方ねぇ…潔く出るとしますか…。

 俺達は、2人の前に行くのだった。

 

 

 

 

 

 〔エルザ side〕

 

 

 ークロッカスの公園ー

 

 

 私は久しぶりにミリアーナと再会して、会話をしていたのだが……やはりミリアーナはジェラールを相当恨んでいた。それだけではなく、カグラという者も怨んでいるようだ。

 

 憎しみに歪んだミリアーナの顔を私は辛い表情で見ることしかできなかった。自分はジェラールを許すことができた。だが、他の人々はどうだろう?どれだけ時間をかけても許してくれないのか?と、エルザはその答えはだせなかった。

 

 

 

 

 エルザ

  「!!……そこに隠れている奴ら、何者だ!出てこい!!」

 

 

 そう考えていると、向こうの角道から誰かいると察知して、私は大声で角道に隠れてる者に向かって叫んだ。

 

 角道から2人と1匹の人影が出てきたのだ。

 

 

 エルザ

  「………お前らは…!?」

 

 

 出てきたのは、年代記の翼の魔導士 クズリュウだった。ドウメキ、黒いモコナも一緒にいた。

 

 

 クズリュウ

  「すまない……盗み聞きするつもりはなかったんだ。夜の散歩中に声が聞こえて来てみたら、話しているお前らを見つけたんだ」

 

 黒モコナ

  「ヤッホ~♪昨日ぶりだな、エルザ・スカーレット!」

 

 ドウメキ

  「…こんばんは」

 

 エルザ

  「あ、ああ」

 

 ミリアーナ

  「エルちゃん!ツバサの人と知り合いなの?」

 

 

 ああ、そういえばミリアーナはクズリュウ達と知り合ったことを言ってなかったな。

 

 エルザ

  「ああ、昨日酒場で一緒に宴会をしたのだ」

 

 クズリュウ

  「アンタは初対面?だったな。俺の名は九頭龍 冬彦《クズリュウ・フユヒコ》だ、よろしく」

 

 ドウメキ

  「……百目鬼 静《ドウメキ・シズカ》…よろしく」

 

 黒モコナ

  「はじめまして、俺の名はモコナ=ラーグ=モドキだ!(黒)モコナと呼んでくれ、よろしく!」

 

 ミリアーナ

  「…黒いお餅がしゃべったにゃ!!?」

 

 黒モコナ

  「おい、俺は食べ物じゃないぞ!」

 

 ミリアーナ

  「じゃあ…ネコネコ?」

 

 黒モコナ

  「どこをどう見れば猫に見えるんだよ…」

 

 

 ミリアーナの猫と言葉に黒モコナは肩を落としながら突っ込んだ。

 

 

 ミリアーナ

  「私はミリアーナ。好きなものは……猫、ネコネコ、CAT!!」

 

 クズリュウ

  「ずいぶんと猫を主張するな!…なんかお前から猫好きだとオーラが出てるぞ!」

 

 黒モコナ

  「…顔すら猫だからね」

 

 ミリアーナ

  「いや~そう言われると嬉しいにゃ」

 

 クズリュウ・黒モコナ

  「「イヤイヤイヤ、ホメテネェカラ…」」

 

 ドウメキ

  「(…ハルノ達を会わせたら発狂しそうな気がする)」

 

 エルザ

  「(…ミリアーナの猫好きがさらに増してるな)」

 

 ミリアーナのあまりの猫好きさにクズリュウと(黒)モコナはドン引きしている。ドウメキは表情に出さないが内心では少し引いていた。さすがの私もそうだった。

 

 ミリアーナ達の自己紹介が終えたことだし、そろそろ本題にはいらないといかんな…

 

 

 エルザ

  「ゴホン。クズリュウ、ドウメキ、(黒)モコナ、お前達はなぜここにいるのだ?」

 

 クズリュウ

  「…エルザ…さっき最初に言ったはずだったんだがな。俺達は散歩途中でお前らが話し声が聞こえたから、近くまできたらジェラールのことを話してたからついな」

 

 エルザ・ミリアーナ

  「「っ!!」」

 

 

 クズリュウから“ジェラール”と口にした時、私とミリアーナは目を見開いて固まった。クズリュウ達はジェラールのことを知ってるのか!?

 

 ……マズイことになった。

 ジェラールと聞いたミリアーナは、また憎しみで歪んだ表情に変わってしまった。

 

 

 ミリアーナ

  「………アンタ達…ジェラールを知ってるの?」

 

 

 ミリアーナはクズリュウ達を鋭い目で睨み、憎しみに満ちたような声でクズリュウ達にそう言った。

 

 

 クズリュウ

  「ああ、知ってる。たまに俺達のギルドに来てるからな。魔導士としてじゃなく、ユウコの店の客人としてな」

 

 エルザ

  「なっ!?」

 

 ミリアーナ

  「!!」

 

 

 それを聞いた私とミリアーナは驚愕した。ジェラールは、クズリュウ達のギルドに来ていたのか!?

 

 

 エルザ

  「(確かジェラールは私達が大魔闘演舞に向けて修行していた時、ウルティアとメルディと共にこれからのことを導いてくれて世話になったギルドにいたと聞いていたが、まさかクズリュウ達のギルドだったとは……)」

 

 

 私がそう思っている瞬間、ミリアーナがクズリュウの胸ぐらを掴んで睨みつけていた。

 

 

 ミリアーナ

  「……アンタ、ジェラールが何者なのか分かって言ってるの!?」

 

 クズリュウ

  「楽園の塔…リバースシステムによる黒魔導士ゼレフの蘇生未遂、評議院の兵器エーテリオンを打ち落とした首謀者…だろ。それがどうした?」

 

 ミリアーナ

  「!?」

 

 クズリュウ

  「アイツは……いや…アイツらは、己の罪に苦しんでいる。“生きて罪を償いたい”そんな願いを抱いてユウコの店にやって来た……必然的にな」

 

 ミリアーナ

  「罪を償いたい?……今更自分が犯した事を気づいたの?……私達を奴隷みたいに濃き使われて、シモンを殺しておいて…罪を償いたいなんて…ふざけないでよ!!」

 

 

 ミリアーナは涙を流していた。…正確には“罪を償いたい”というジェラールに対する怒りの涙だった。

 

 クズリュウはハア~とため息をついていた。

 

 

 クズリュウ

  「ふざけてない…ジェラールは本気だ。信じられないなら“今”のジェラールに会えばいい。それにもしジェラールと戦うことになったとしても、今のお前ではジェラールを倒すことすらできない。お前のギルドにいるカグラという女剣士もな」

 

 ミリアーナ

  「にゃんだと!!」

 

 クズリュウ

  「復讐の為に魔導士・剣士をしていることが愚かなことだということだ」

 

 エルザ・ミリアーナ

  「「!!?」」

 

 

 クズリュウの雰囲気が変わった!?なんだこの威圧は!?私とミリアーナはクズリュウの威圧に距離をとってしまった。

 

 

 クズリュウ

    ……

  「猫娘…お前に問おう。もし、ジェラールに復讐したとして、何か得られるものがあるのか?」

 

 

 口調も変わっている。クズリュウは二重人格なのか?私は、ミリアーナの方を見てみると怒りの表情をしているが、どこか戸惑っているようにも見える。

 

 

 ミリアーナ

  「…そ…それは……」

 

 クズリュウ

  「俺から言えば、復讐は何も得られない。復讐を果たした先は己の愚かさと虚しさだけだ。過去に囚われた者に未来《さき》へ歩むことはできない。己を心の表と裏を受け入れないとどのみち自滅する」

 

 

 クズリュウの言葉にミリアーナは何も言えなかった。私も目を見開いていた。奴の言葉は相手の闇を切り裂く剣の如くのような威圧を感じた。

 

 クズリュウは、もう帰ると言いドウメキと(黒)モコナを連れていき、途中で足を止めた。

 

 

 クズリュウ

  「あの女剣士にも伝えとけ。“ジェラールに復讐するために剣を持つなら俺を倒してからにしろ。お前が俺に勝てば、ジェラールの居場所を教えよう”と」

 

 

 そう言い残し、クズリュウ達はこの場から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〔クズリュウ side〕

 

 

 ークロッカス街中ー

 

 

 黒モコナ

  「クズリュウ、ずいぶんとご立腹だな」

 

 

 宿舎へ帰る途中、黒モコナが俺に話しかけてきた。

 

 

 クズリュウ

  「ああ……あの猫女と女剣士を見たら、なんか許せなくてな」

 

 ドウメキ         …………

  「……それは…アイツが昔の自分に似てたからか」

 

 クズリュウ

  「……………」

 

 

 俺はドウメキの言葉を聞いて、言葉を返すことなく黙ってしまう。

 

 俺は…昔、奴らに故郷を壊され、家族、そして大切な人を殺された。その時、奴らを殺すと怒りに我を忘れ暴走したことがあったな。だが、故郷で暴れた奴ら殺しても、復讐しても、怒りに任せても、失ったものは返ってこない…虚しさだけが残っただけだった………

 

 …なんか嫌なことを思い出してしまったな。

 

 

 クズリュウ

  「確かに、あの猫女と女剣士は昔の俺に似ている。復讐に走る奴は止める。それだけだ。」

 

 

 俺はようやく口が開いてそう答えた。

 

 

 黒モコナ

  「ひゅ~~!カッコイイ~」

 

 クズリュウ

  「オイ、頭の上に乗るな!今すぐ降りろ!」

 

 黒モコナ

  「ええ~いいじゃないか~」

 

 クズリュウ

  「ダメだ。今すぐおr……?!」

 

 

 (黒)モコナを降ろそうとしたら、突然遠くから何か凄まじい威圧を感じた。

 

 ドウメキ

  「……今の威圧」

 

 黒モコナ

  「覇王色の覇気…だよな」

 

 

 (黒)モコナのいう通り……間違いなく覇王色の覇気だ。誰がやったんだ?俺は、すぐさま見聞色の覇気で街中を探っていた。すると、ある場所で何やら複数の気配を感じた。その中で知っている気配が3つあった。

 

 

 クズリュウ

  「……シャオランだな、覇王色を使ったのは。すぐそばにユウキとナツもいる」

 

 ドウメキ

  「………一体何やらかしたんだ?」

 

 クズリュウ

  「……剣咬の虎の宿舎に乗り込んでやがる。しかもシャオランの奴、相当怒ってんぞ!」

 

 

 シャオランが剣咬の虎に乗り込んでいることにドウメキと黒モコナは驚愕する。

 セイバーの奴ら一体何シャオランを怒らせたんだ!?

 

 

 黒モコナ

  「マジで!?」

 

 クズリュウ

  「くそっ!面倒なことになった!急いで止めに行くぞ!じゃないと剣咬の虎どころか宿舎ごと消される!!」

 

 ドウメキ・黒モコナ

  「…おお(ああ)!!」

 

 

 シャオランを止めるべく、俺達2人と1匹は急いで剣咬の虎の宿舎へ向かった。

          ………

 ………シャオラン、あの力だけは使うなよ。頼むから!!つか、ユウキ!そばにいるなら早くシャオランを止めてくれ!!

 

 

 黒モコナ

  「クズリュウ!どこ行ってんだよ!?セイバーの宿舎はあっちだ!」

 

 ドウメキ

  「……まず、宿舎にたどり着けるのかどうかが問題だな…」 

 

 

 見聞色発動中でも道を間違える俺であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〔シャオラン side〕

 

 

 ___時は数十分前に遡る……

 

 

 ークロッカス街中 水路付近ー

 

 

 俺はユウキと2手に分かれて街中を調べていた。気配を探っても妙な魔力は感じられない。街も異変は見当たらないし。一度ユウコさんの所へ戻って報告しよう。

 

 俺は、ユウキが調べている場所へ行こうとしたら

 

 

 ユウキ

  「シャオラ~ン!」

 

 

 向こうからユウキが建物から建物へ移動しながら俺の方へやって来た。そして、ユウキは大ジャンプして俺の目の前できれいに着地した。

 

 

 ユウキ

  「シャオラン、向こうの街に異変はなかったよ」

 

 シャオラン

  「そうですか…。こっちの街も異変は見当たらなかった」

 

 

 現在《いま》は、街中に異常はなかった。ユウコさんは、時空間に歪みが生じていると言ってた…近いうちに何か最悪なことが起こるかもしれない。俺は自分が感じた妙な魔力、ユウコさんの言葉で嫌な胸騒ぎするしかなかった。

 

 

 シャオラン

  「ユウコさんの所へ戻って街中に異常はなかったと報告しよう」

 

 ユウキ

  「うん!…………?ねぇシャオラン、あの人…セイバーの人じゃない?」

 

 シャオラン

  「え?」

 

 

 ユウキの見ている方へ振り向くと、そこにいたのはトランクをコロコロ引っ張りながら歩いていた女性がいた。確か剣咬の虎の星霊魔導士のユキノさんだった。なんか暗い表情してるけど……何かあったのかな…

 

 

 ユウキ

  「シャオラン、行ってみよう」

 

 

 どうやらユウキも気になってたようだ。それで俺とユウキはユキノの所へ行ってみた。

 

 

 ユウキ

  「あの、すいませ~ん。何かあったのですか?」

 

 ユキノ

  「えっ!」

 

 

 いきなりユウキはユキノさんに話しかけた。ユウキ…唐突過ぎるよ…ほら、ユキノさんかなり驚いてますよ……(汗)

 

 

 ユキノ

  「あなた方は、年代記の翼のシャオラン様とユウキ様…あの…私に何か御用ですか?」

 

 ユウキ

  「うん。ちょっと街中を見渡してたら、ユキノがいたから挨拶しようと思って」

 

 ユキノ

  「そ、そうなんですか…」

 

 

 ユウキの単純な理由に、ユキノさんは少し戸惑っていた。でも、俺はまるで必死に何か隠しているように見える。迷惑かけられないと…

 俺は、何かあったのかと話しかけようとする。だが…

 

 

 ???

  「オ~イ!ちょっと待ってくれ~!」

 

 ???

  「ナツゥ~待ってよ~!」

 

 

 俺達の後ろから誰かが走ってきた。それは桜色の髪をして白いマフラーを着けてる人だった。そのそばには、青い猫が飛んでいる。………そう、ナツさんとハッピーがやって来たのだ。

 

 

 ナツ

  「やっと追いついた…ってシャオランとユウキじゃねえか!?なんでここにいるんだ?」

 

 シャオラン

  「街中を見渡してたらユキノさんがいたので、挨拶しようと来たのです」

 

 ナツ

  「そっか」

 

 ハッピー

  「ナツ~、足速いよ~」

 

 

 やっとナツさんに追いついたハッピーは、疲れはてていた。ナツさんは、わりぃわりぃと軽く謝る。そしたら、ユキノさんはナツさんに話しかけた。

 

 

 ユキノ

  「あの、ナツ様私に何か御用ですか?」

 

 

 するとナツさんは笑った顔で答える。

 

 

 ナツ

  「いや、お前に謝りに来たんだよ」

 

 ユキノ

  「……………え?」

 

 

 謝りに来た?ナツさん、ユキノさんに何か怒らせたんでしょうか。

 

 

 ハッピー

  「ほら、ナツってば剣咬の虎を悪い奴らだと思っていたから」

 

 ナツ

  「だからこうして謝りに来たんだろーが!そんな訳ですまんな」

 

 ハッピー

  「軽っ!?」

 

 

 ナツの簡単な謝罪にハッピーはすぐ様突っ込んだ。ユキノさんを見ると俺は一瞬固まった。ユウキもナツさんもハッピーも固まってしまう。

 なぜかユキノさんが…急に泣き出して涙を流していたから。

 

 

 ユウキ

  「ユ、ユキノさん!?」

 

 シャオラン

  「一体どうしたのですか!?」

 

 ハッピー

  「うぁぁあぁあぁぁぁあ!!ナツが泣かしたぁぁあ!!」

 

 ナツ

  「待てハッピー!!俺、泣かすようなこと言ってねぇぞ!?」

 

 

 ユキノさんが泣き出したことに俺達は慌ててしまう。

 

 

 ユキノ

  「ナツ様のせいではないのです…。私がこのように人に気を遣われた事がないもので……」

 

 

 そう聞いて俺達は、少し落ち着いた。しかし、ユキノさんは、地面にへたりこんだ。そして泣きながらもユキノの言葉は続く……

 

 

 ユキノ

  「私……ずっと剣咬の虎に憧れていました。去年やっと入れたのに…私はもう…帰ることを許されない…」

 

 ユウキ・ハッピー

  「「……えっ?」」

 

 ナツ

  「はぁ?」

 

 シャオラン

  「それは…どういうことですか?」

 

 

 俺達はユキノさんの言葉に理解できなかった。

 

 

 ユキノ

  「たった1回の敗北で…ギルドをやめさせられたのです……」

 

 

 その言葉に俺達の顔は歪んだ。…ギルドをやめさせられた?たった1回負けただけで?…何ですか…それは…

 だが、そこからの話の先はあまりにも酷い内容だった。

 

 大勢の目の前で裸体を晒し、自らギルドの紋章を消さなくてはならなかった。それを見ている他のメンバーは無関心または嘲笑していたという。

 

 ふざけるな…たった1度の敗北だけでそんな恥辱なことをさせるなんて…指示したマスターもそうだが、誰もユキノさんを庇うことをしない周りもだ。

 

 俺は、自分でも歯止めが効かないほどの怒りを見せる。隣にいたナツさんも同じ表情をしていた。

 

 

 ナツ

  「悪ぃけど…他の“ギルド”の事情は俺には分からねぇ……けど同じ“魔導士”としてなら分かるぞ」

 

 ハッピー

  「ナツ…」

 

 ナツ

  「辱しめられて紋章を消されて悔しいよな……仲間を泣かせるギルドなんて…そんなのギルドじゃねえ!!」

 

 ユキノ

  「仲間…」

 

 ナツ

  「シャオラン、ユウキ!ユキノを頼むぞ!行くぞ、ハッピー!」

 

 ハッピー

  「あいさ~!」

 

 

 そう言って、ナツはハッピーを連れて走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

 〔ユウキ side〕

 

 

 シャオラン

  「……すいません、ナツさん。あなたに頼まれたことはできません」

 

 

 シャオランが小さく何かを呟く。今のシャオランは怖い顔をしてる…剣咬の虎に対する怒りが表情に出ていることがよくわかる。ボクはそんなシャオランを見て不安と心配になった。

 

 

 ユウキ

  「……シャオラン」

 

 シャオラン

  「俺も行く。ユウキ…後を頼めますか…」

 

 

 剣咬の虎の所へ乗り込むつもりだ。そう思うとシャオランは、ナツさんの後を追いかけるように走っていってしまった。この場にボクとユキノさんだけ残っていた。今はユキノさんを何とかしないと…

 

 

 ユウキ

  「ユキノさん、こんなところにいても仕方ないよ!宿とかもう決まっている?」

 

 ユキノ

  「いえ、まだ決めてません…」

 

 ユウキ

  「なんなら、私達の所に来ない?」

 

 ユキノ

  「えっ!?それではご迷惑じゃ…」

 

 ユウキ

  「大丈夫だよ。皆ユキノさんを受け入れてくれるよ。大歓迎するよ♪」

 

 ユキノ

  「……で、ではお言葉に甘えて」

 

 ユウキ

  「ヤッター!さぁ行こう!」

 

 

 ボクはユキノさんの手をとり、ボク達の宿舎へいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし今ボクの内心では、不安と焦りがあった。シャオランがあの力を使わせないように、ユキノさんをボク達の宿舎へ送ったら、急いでシャオランの所へ行かないといけない…シャオランの怒りを沈めなければならない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゃないと……シャオランは、また憤怒という感情に飲まれるかもしれない。

 





 剣咬の虎に乗り込もうとするナツとシャオラン…

 シャオランを心配、不安を抱くユウキ…

 シャオランの怒りを止めよう急ぐクズリュウ達…

 真夜中に波乱が起こる!

 次回
  第16話 ~炎と翼と虎~
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