こんにちは、弓狼です。
第16話 ~炎と翼と虎~
翼と火竜が虎の砦に突入します。
どんな展開になるのか…
それでは、どうぞ!!
〔unknown side〕
ー剣咬の虎 宿舎 クロッカスガーデンー
ドゴォォオォォオオォオン!!!!
剣咬の虎の宿舎に突如大きな轟音が鳴り響き、宿舎が揺らいだ。
スティング
「な、何なんだ!一体!?」
部屋で寝ていたスティングは、突然の轟音で何事だと目が覚ました。隣で寝ていたレクターもだ。すると、ドアからローグとフロッシュが凄い勢いで飛び込んできた。
ローグ
「スティング、侵入者だ!!」
スティング
「侵入者ぁ!?剣咬の虎全メンバーがいる宿だぞ!一体誰が侵入したんだ!」
ローグ
「分からない……だが生きて帰る気はないんだろうな…」
スティングとローグは、喧騒の元へ向かった。そして、その元にたどり着いて2人が見たものは…
ドゴォオオン!!
剣咬の虎メンバー達
『ぐぁぁあぁぁぁあぁあ!!!!』
ナツ
「マスターはどこだぁぁあ!!」
マスターを探しながら暴れ回るナツの姿だった。それを止めようとした剣咬の虎のメンバー達は吹き飛ばされ倒れていた。
シャオラン
「俺もあなた方のマスターに用があります」
横合いからもう1人の声が聞こえた。その声の方へ振り向くと、2人が見たのはボロボロのフードをなびかせ、怒りの表情をしているシャオランとその背後に倒れている剣咬の虎メンバー達だった。こっちの方は、ナツとは違いシャオランの周りは何も壊されてなかった。どうやら一撃で気絶させたらしい……。
すると、シャオランの後ろの扉から誰かが入ってきた。
ユウキ
「ま、間に合った…」
シャオラン
「ユウキ!?」
来たのは、シャオランと同じギルドメンバーであるユウキだった。少し息切れしているユウキの登場にシャオランは、さっきまで怒りの表情がウソのように消え、いつもの表情になったシャオランはユウキを見て驚愕していた。
シャオラン
「ユウキ、あの人はどうしたんですか?」
ユウキ
「途中でランタロウとキリマルに会って2人に頼んだ」
ユウキはシャオランの疑問になぜか堂々と胸を張って即答する。シャオランは そうですか と言って苦笑していた。
???
「ワシに何か用か?」
騒ぎを聞き付けて現れた大男。剣咬の虎マスター ジエンマだった。ナツとシャオランとユウキはジエンマを睨み付ける。
ナツ
「たった1回の敗北でクビだって?随分気合いはいってんじゃねえか、じゃあお前も俺に負けたらギルドやめんだな!!」
剣咬の虎の大会メンバーは驚愕を隠せなかった。だが、ジエンマはナツを無視して、隣にいるシャオランとユウキを見てジエンマは口を開こうとしたが…。
シャオラン
「ジエンマさん、“クズギルドを辞めてウチのギルドに来ぬか?”と言っても俺達は断ります」
ジエンマ
「!……ほう、お主他人の思考がわかるのか…」
シャオラン
「ええ、正確には“心を読み取った”が正しいですけど。先ほど言ったように、俺達はあなたのギルドに入りません。自分達の仲間を大切にしないギルドは俺達にとってクズでしかありません!!」
ユウキ
「あの人が辱しめられてるのに、誰も助けない…何も行動すらしないなんて魔導士として…いや、人として最低だよ!!」
ナツ
「そうだ!俺は自分の所の仲間を仲間と思えねぇ奴は許せねえんだ!!」
3人は、ジエンマにぶつける怒りの声はこの広場中に響き渡る。
ローグ
「(ユキノのことを言っているのか?)」
スティング
「(アンタ等には関係ねぇだろ!そんな事で乗り込んでくるかよフツー!!)」
スティングとローグ、他のメンバー達は、誰のことを言っているのか察していたが、あの3人は違うギルドの魔導士なのに、なぜユキノのことでこの宿舎に乗り込んできたのかと誰も理解できなかった。
だが、ジエンマだけは本気で分からなかった様で、それにナツはぶちギレた。
ジエンマ
「ドーベンガル…相手をしてやれ」
ドーベンガル
「はっ!」
シャオラン
「ナツさん、俺がジエンマさん以外の相手をまとめてやります。だから、ユウキと下がっていてください」
ユウキ
「!?わかった。ナツさん、こっちに来てください!」
ナツ
「お、おいユウキ!どういうことだ!?」
シャオランの言葉にユウキは何をするかを理解して、すぐナツを掴んで急いで後ろに下がる。シャオランは、剣咬の虎マスターの元へ歩く。
ドーベンガル
「マスターには近づけさせん!このドーベンガル…大会こそ出ていないが、その実力は本戦メンバーにも劣らぬつもりだ…」
ドーベンガルは近づいて来るシャオランに攻撃を繰り出そうとしたが、シャオランは一瞬でドーベンガルの目の前に移動していた。それをみたドーベンガルは驚愕で目を見開く。
シャオラン
「…邪魔をしないで下さい」
そう言ってシャオランは、ドーベンガルを鋭い拳で1発ぶん殴った。ドーベンガルはその拳に向こう側の壁へ殴り飛ばされ、その壁に激突して白目向いて気絶した。
剣咬の虎メンバーA
「ウソだろ!?ドーベンガルが!?」
レクター
「ウチで10番以内に入る強さなんですよ!?」
ドーベンガルが一撃で倒されたことに剣咬の虎メンバー達は驚愕していた。彼を倒した張本人であるシャオランは、剣咬の虎メンバー全員に挑発する言葉を口にする。
シャオラン
「俺はまとめて相手をすると言ったはずだ…それとも怖じ気ついたのですか?」
無表情で平然と口にするシャオランに、剣咬の虎の連中は怒り狂った。
剣咬の虎メンバーB
「何だとおぉぉ!!」
剣咬の虎メンバーD
「てめぇ、調子にのってんじゃねぇぞ!!」
剣咬の虎メンバーC
「やっちまえ!!」
剣咬の虎メンバーの10~20人程がシャオランに向かう。一方、シャオランは目を閉じたまま何もせずにただ歩いているだけだった。
剣咬の虎メンバー達
『もらったあぁぁぁぁあああ!!!!』
そして、虎達とシャオランの距離が間近になり、虎達は一斉にシャオランに襲いかかった。しかし、それでもシャオランは何もしてこない。そんな状況を見て、周りの者達は勝ち誇った様な顔をしていた。
虎達に囲まれて襲いかかる中、ようやくシャオランは動いた。……だが、シャオランが動いたといっても閉じた目を見開くように開けただけだった。
………
…………そう、ただ目を見開いただけだった。
ゴォゥッッ!!!!
ドクンッ!!
シャオランが目を見開いた瞬間、何か突風のような威圧がシャオランを中心としてこの広場全体に広がった。
ドサッ!バタッ!ドサバタッ!バタッ!
すると、襲いかかろうとする剣咬の虎の魔導士達は気絶して倒れた。彼らだけではなく、スティング達の近くにいた連中やレクターもフロッシュも倒れた。
ナツ
「なっ!?」
それを見たナツは驚きを隠せなかった。無理もない…ナツから見れば、シャオランは何もしてないのに突然セイバーの魔導士達のほとんどが気絶して倒れたからだ。
スティング
「うおぉ……な、なんだよ、今のは!?」
ローグ
「……意識が……飛びかけた……」
ルーファス
「……魔法…じゃない……こんなの記憶にない!?」
オルガ
「アイツ……一体何をしたんだ!?」
ジエンマ
「…………」
スティング達大会メンバーは、シャオランの威圧に耐えたはいいがフラついて膝をついていた。気絶しなかった者達は、一体何が起こったのかと動揺していた。セイバーのマスターも目を見開いていた。
シャオラン
「ふぅ。さすがにこのぐらいの威圧では、大会メンバーの人達まではいきませんか…」
気絶している連中の中で、シャオランは軽く一息ついて聞こえないくらい小さく呟いた。
ナツ
「……ユウキ…あれはシャオランの魔法なのか?」
ユウキ
「ううん、魔法じゃないよ。簡単に言えば、あれはシャオランの気迫で相手を気絶させただけだよ。滅多に使わないけどね」
ナツの問いかけに平然と答えるユウキ。
確かにあの現象が起こった時、シャオランからは魔力を感じられなかった。それでも、ナツはシャオランがさっきの現象を魔法なしで起こしたなんて信じられなかった。シャオランの近くにいた連中なら兎も角、離れた奴等まで気絶させたなんて何らかの魔法を使わないと説明出来ないからだ。
ナツは冷や汗を流しつつ珍しく考えていると、シャオランがナツに話し掛けてきた。
シャオラン
「ナツさん、周りの人達は片付けました。あなたはジエンマさんをぶっ飛ばすんじゃなかったのですか?」
ナツ
「忘れてたあぁぁ!仲間をあんな目に遭わせたお前を許さねぇ!!ぶっ飛ばしてやる!!」
目的を思い出したナツは、表情が動揺から憤怒に変貌して剣咬の虎マスターへと迫った。
スティング
「…マスター、ここは俺が…」
ジエンマ
「手を出すな。ウチの連中にはいないタイプの小童じゃ…」
オルガ
「だったら、俺はアイツをやる!このままやられちゃ黙っちゃおけねぇ!!」
シャオラン
「確かオルガさん…でしたね。ユウキ、倒れてる人達を安全な所へ」
ユウキ
「了解!」
ユウキは両手を合わせてこの場全体に紫風を発生させ、その風で倒れてる連中を全員浮かせて外へ運んだ。
そして、ジエンマはナツ、シャオランはオルガと相対する。
〔ジエンマ VS ナツ side〕
ナツ
「【火竜の鉄拳】!!」
ドゴッ!!
炎を纏った拳をジエンマに繰り出すが、ジエンマは片腕で受け止めた。
ジエンマ
「その程度……フンッ!!」
ジエンマの衝撃波に吹き飛ばされそうのなったナツだが、それに耐えてジエンマにさらに追撃を喰らわせた。
ナツ
「ウオラアァァァァアアア!!!!」
ズドドドドドドドドドドドッッ!!!!
ナツは攻撃を止めず更に連撃を加える。それもナツの魔力が次第に膨張しながらだ。その光景を見ている剣咬の虎の連中は呆然としていた。
そして、ナツは止めにと雷を炎と融合させた拳を握り、ジエンマも攻撃に移る。
ナツ
「【雷炎竜の撃鉄】!!」
ナツの凄まじい攻撃が炸裂し、余波で宿舎の一部が爆発して崩壊した。
煙が晴れた時、そこには1人の女性が魔力を纏った両手をナツとジエンマに向けて立っていた。どうやってか2人の攻撃を受け流したようだ。
〔シャオラン VS オルガ side〕
ナツがジエンマと闘い始めた頃、シャオランとオルガ側では……
シャオラン
「……雷の滅神魔導士《ゴッドスレイヤー》、オルガ・ナナギア」
オルガ
「俺の魔法を知っていたか…だが、俺の黒雷にお前はどう対抗するんだ?」
シャオラン
「相殺します。それかあなたが繰り出す魔法以上のものを放つだけです。」
オルガ
「ならやってみろ!!」
オルガは両手を前にだし、その両手には黒い雷が発生していた。一方シャオランは構えをとり、自分自身の魔力を少し引き上げる。そして、互いの魔法が発動する。
オルガ
「くらえ!【雷神の荷電粒子砲】!!」
シャオラン
「【太陽神の紅炎】」
オルガの両手から凄まじい黒雷が放たれた。それに対して、シャオランから放ったのは透き通るような輝かしい金色の炎であり、襲って来る黒雷を意図も簡単に防いだ。
オルガ
「なに!?俺と同じ滅神魔法か!?」
【雷神の荷電粒子砲】が防がれた上にシャオランが自分と同じ滅神魔導士《ゴッドスレイヤー》だったことに驚愕するオルガ。シャオランはその間に【剃《ソル》】で一気に近づき、オルガに正拳を繰り出す。だが、オルガはすぐさま反応しシャオランの正拳をギリギリかわして距離をとった。
シャオラン
「さすがに一筋縄ではいきませんか…」
オルガ
「まさかお前も滅神魔導士だったとはな。どうやら、本気出さねぇといけないようだ」
シャオラン
「……そうですね」
一方が黒雷、もう一方が金色の炎が包まれ再び対峙する。シャオランはナツの方へ視線を向けると、ナツはジエンマに炎の連撃をくらわせてる。こっちも早く終わらせよう…と視線を戻すと、オルガも同じ考えだったか両者の拳に魔法を纏わせる。
オルガ
「【雷神の轟拳】」
シャオラン
「【太陽神の法拳】」
激しく纏わせる互いの拳が衝突しようとする。衝突しようとする瞬間、誰かが2人の合間に突然現れた。
シャオラン・オルガ
「「なっ!?」」
シャオランとオルガは、いきなり現れたことに驚きを隠せなかった。だが、互いの魔法の勢いが止まらずこのままでは両者の拳がその者に当たってしまう。
???
「【武装】」
シャオラン・オルガ
「「!!?」」
現れた者は両手から2本の刀を取り出し、黒く変色させたそれぞれの刀で2人の魔法を受け止めて相殺させた。この時、ナツの【雷炎竜の撃鉄】で宿の一部を爆発したため、煙で人影しか見えなかった。その者は、シャオランの方を向き一瞬でシャオランの元へ近づいた。そして、
ドゴッ!
シャオラン
「ガッ!?」
シャオランの頭を拳骨をくらわせ、怒鳴りあげる。
???
「オイ、シャオラン!!何こんなトコで暴れてんだ、お前は!!」
頭にタンコブができたシャオランは怒鳴りあげた声を聞いて、ハッとその声が誰なのか気付いた。
シャオラン
「く、クズリュウ!?」
ようやく煙が晴れると、そこに立っていた人影の正体はクズリュウだった。
〔unknown side〕
ここで少し状況を整理します。
ナツがジエンマに【雷炎竜の撃鉄】を炸裂したが、1人の女性に受け流された。
それと同時刻、シャオランとオルガは互いの拳をぶつけるが、2人の合間にクズリュウが乱入して2人の魔法を武装色で纏わせた刀で相殺させた。
そして、今に至る……
ジエンマ
「ミネルバ!?」
スティング
「お嬢!!」
ナツとジエンマの前に現れた女性は、ジエンマの娘であるミネルバ・オーランドだった。
シャオラン
「で、なんでクズリュウがここにいるんですか?」
クズリュウ
「お前を止めにきたんだよ!!散歩の途中に覇王色の覇気を感じたから俺の見聞色で探ったら、怒ってるお前を見つけたんだ!」
シャオラン
「……まさか、1人で来たんですか?!」
クズリュウ
「いや、ドウメキと黒モコナも一緒だ。アイツらは今ユウキのトコにいる」
シャオラン
「一瞬ビックリしました。クズリュウが道に迷わず目的地へ着くなんて絶対有り得ませんからね」
クズリュウ
「…カチン…オイ、お前は俺にケンカ売ってんのか(怒)」
オルガ
「(俺のことは無視かよ…)」
クズリュウとシャオランが未だにギャーギャー騒いでいるのを見たミネルバは、少し呆れ気味だった。
ミネルバ
「……そこの2人、ケンカ中すまぬが妾の提案を聞いてくれないか?桜髪の男もだ」
シャオランとクズリュウは、ミネルバの提案と聞いてピタッとケンカを止めた。ナツは黙ったままミネルバを睨んでいた。
ミネルバ
「今宵の宴もここで終いにしないか?」
ナツ
「ア?」
シャオラン・クズリュウ
「「……………」」
ミネルバ
「このまま続ければ父上が勝つだろうが、マスターが出場者を消したとあってはこちらも立つ瀬がない。それにツバサの剣士、向こうの2人を止めてくれたのは、感謝する。出場者同士が負傷したとあってもまた然りだからな。ここは妾の顔を立てて引いてはくれぬか?そうすれば、部下がやられた分も不問にしよう」
ミネルバは3人にそう提案すると、腕の中から縄で縛られたハッピーと何故かここにいないはずの白モコナが現れる。
ハッピー
「ナァツゥ~~(泣)」
白モコナ
「うぇ~~ん。シャオラ~ン、クズリュウゥ~(泣)」
クズリュウ
「なんで捕まってんだ、白モコナ!?」
ハッピーと白モコナは泣き叫ぶ。クズリュウは白モコナが捕まっていたことに突っ込んだ。ナツとシャオランは、キツイ視線をミネルバに向けるが、ミネルバは妖艶な笑み浮かべる。
ミネルバ
「フフフ………そのような目で見つめてくれるな」
シャオラン
「………ナツさん、残念ですが」
ナツ
「……ああ、分かってる」
シャオラン
「クズリュウ、ユウキ達と合流して戻るぞ」
クズリュウ
「あいよ」
ナツとクズリュウ、解放されたハッピーと白モコナを連れて、出口へ向かって歩く。すると、背中から声が掛かる。
ジエンマ
「なかなか骨のある小童どもだ」
ミネルバ
「決着は大魔闘演武でつけよう…思う存分な」
ナツ
「お前らなんかには負けねえよ。…つーか俺達には追いつけねえ」
シャオラン
「同感です。今の剣咬の虎では俺達に決して勝てませんよ」
ナツ
「“ギルドなら仲間を大切にしろ”…俺達はそれが言いたかっただけだ」
そう言い残してシャオラン達は宿舎から去った。
ミネルバ
「フフッ、フェアリーテイル…ツバサクロニクルか…面白い。特にツバサの実力は見れなかったのは残念だがな……ユキノの代わりも必要か……ひとつ妾も遊ばせてもらおうか」
ローグ
「(……仲間…か…)」
スティング
「(ナツさん、こんなに強かったのか!)」
オルガ
「アイツらにあんなこと言われちゃ黙ってはいられねえ!明日の競技パートは俺が出る!お前ら文句はないな!!」
ルーファス
「ツバサのリーダーのあの不可思議な力…興味が湧いてきたよ…ぜひ記憶したいものだ」
こうして、剣咬の虎 最強魔導士が5人揃った。しかし、彼らの心の中には“仲間”という言葉はなく、バラバラになっていた。
〔ツバサクロニクル side〕
ー年代記の翼 宿舎ー
剣咬の虎の宿舎 クロッカスガーデンから出てきたシャオラン達はユウキ達と合流し、ナツは帰りの途中でハッピーを連れて自分のギルドの元へ帰った。
そして、シャオラン達はたった今ギルドの宿舎に戻って来たところだった。
ワタヌキ
「あっお帰りみんな」
シャオラン
「ワタヌキ、ただいま帰りました」
ユウキ
「ただいま~♪」
白黒モコナ
「「たっだいま~♪」」
クズリュウ
「帰ったぞ~」
ドウメキ
「…………ん…」コクン
ワタヌキ
「いや最後の人、ただいまぐらい言えよ!?」
ドウメキの無言の帰宅に玄関から出迎えに来たワタヌキは突っ込んだ。広いリビングへ行くと、そこにユキノやユウコ達が全員揃っていた。
ユウコ
「あら、お帰りなさい。ずいぶんと遅かったじゃないの」
マル&モロ
「「シャオラン達お帰り~♪」」
シャオラン
「遅くなってすいません、ユウコさん。クロッカス街中には異変は見当たりませんでした」
ユウコ
「そう見回りご苦労様」
シャオランはユウコさんに報告を終えて戻ると、ユウキ達はユキノと話していた。そしたら、ユウキの何か思いついたように頭から閃いたようだ。
ユウキ
「そうだ!ユキノさん、なんならボク達のギルドに入らない?」
ユキノ
「えっ?」
ユウキ
「ユキノさん、剣咬の虎辞めさせられて行く宛ないでしょ?だったら、ボク達のギルドに入らない?」
クズリュウ
「なるほど、それでお前ら剣咬の虎の宿舎に襲撃なんかしていたのか」
年代記の翼メンバー達
『………は?』
ユキノ
「……え?」
クズリュウの言葉にツバサのメンバー達(ドウメキ、ユウコ、白黒モコナ除く)はピシリと固まり、ユキノは目を見開いて唖然としていた。この場にいる者全員ゆっくりとシャオランとユウキの方へ見る。そして……
年代記の翼メンバー達&ユキノ
『えぇぇぇええぇええええ!!!!』
剣咬の虎の襲撃を知る者以外の皆の驚愕の声がリビングに鳴り響いた。
ランタロウ
「ちょっと待ってください!シャオランさん、ユウキさん!まさか今日帰りが遅かった理由って剣咬の虎の宿を襲っていたのですか!?」
シャオラン
「はい、ちなみにナツさんとハッピーと一緒にです」
ソウダ
「どうなったら街中の見回りからギルド襲撃になるんだよ!?」
ソニア
「あらあら」
ユウキ
「だって、1回負けただけで酷い仕打ちを受けて追い出されたんだよ!そんな人達許せないじゃん!!」
クズリュウ
「だからってお前ら、大会メンバーとマスター以外を全滅させるのは、明らかにやり過ぎだろ!!」
ユウキ
「それ全部シャオランとナツさんだから…」
シャオラン
「……………チラリ (汗)」
クズリュウ
「ゥオイ!!あからさまに目をそらしても、ぜんぜん誤魔化せてねえぞ!!」
ギルドを襲撃したことにツバサのメンバー達はギャーギャーと更に騒ぎ立てる。ハチマンはため息をついて、ハルノとユウコは爆笑していた。
キリマルは目が小銭になってアヘアヘ言いながら、今日稼いだ小銭を数えていた。
そのキリマルを見たシンベエとジルは、相変わらずだなぁと思いながらワタヌキが作った料理をパクパク、ペロリと平らげていた。
この人達……ものすごいマイペースだった。
しかし、この場に1人だけ理解出来なかった者がいた。
ユキノ
「……なんで…」
シャオラン
「ユキノさん?」
ユキノ
「…なんで……私のために…そこまでするのですか……」
ツバサメンバー全員
『………………』
泣くのを耐えてるような震える声で涙目になるユキノだった。彼女を見たツバサ達は、シーンと静かになった。だが、すぐにシャオランがこの静寂な雰囲気を突き破った。
シャオラン
「人を助ける理由なんてありません。そもそも助けるのに理由は必要ですか?」
ユキノ
「!?」
シャオラン
「目の前の人がたとえ他のギルドの魔導士でも…一般人でも…困っていたり、悲しんでたり、苦しんでいるならば…すぐ助けるのが当たり前じゃないですか。当たり前なことに理由なんて要りません」
ユウキ
「そうだよ。苦しんでいるのに助けない方がおかしい話だよ」
シャオランとユウキが答えた内容はなんとも単純だった。だけど、ユキノにとっては心の奥まで染み込むような言葉に聞こえた。
剣咬の虎では、絶対勝利・完全無双が理念であり敗北すら許されないギルド。勝利しか求めないため、仲間を大切にすることなんてなかった。
けど、そのギルドに辞めさせられた後に出会った人達は誰かのために助けてくれた…優しくしてくれた…。その温かさにユキノは、力が抜けるように床にへたりこんで涙を流していた。
ユウキ
「ユキノさん、泣きたかったら泣けばいいんだよ。自分が苦しくなったり悲しくなったら、我慢せず吐き出してもいいんだよ。いつでもボク達が受け止めてあげる」
ユウキはユキノの前でしゃがんで、優しい笑みで彼女を優しく抱きしめてそう言った。
ユキノ
「!!……ぅ…うわあぁぁあぁあああああ!!!(泣)」
もう我慢出来なくなったかユキノは顔が赤く染まりながらユウキの胸の中でずっと泣き続けた。彼女らを見たユウコやツバサ達は温かい目で見守っていた。
___数分後……
ユキノ
「すみません、ユウキ様。お恥ずかしいとこお見せしてしまって…」
ユウキ
「いいよ。また泣きたくなったら、いつでもボクの胸を貸してあげるから」
ユキノ
「はい、ありがとうございます」
泣き止んだユキノは少し恥ずかしがっていたが、ユウキは満面な笑顔をしながらそう言われたら、なんだか自分も笑っていた。
ユウキ
「それじゃあ1番最初の話に戻るけど、ユキノさん」
ユキノ
「!…はい」
ユウキ
「ユキノさん、ボク達のギルドに入らない?これは強制じゃないから入るか入らないかは貴女が決めることだよ」
ユウキは再びユキノにギルドの勧誘をしてきた。それに対し、ユキノは少し考えている様子だったが、すぐに決断した表情になって……
ユキノ
「はい、このギルドに入ります。これからよろしくお願いいたします」
年代記の翼に入ることを選んだのだった。
ユウキ
「ぃやった~~!!ユキノさん、これからよろしく♪」
シャオラン
「皆さん、ユキノさんが俺達の新しい仲間になりました!」
ソウダ
「よっしゃあ!なら今すぐ新しい仲間の歓迎会だぁ!!」
ユウコ
「ワタヌキ~!料理とお酒~♪」
ワタヌキ
「もう料理は出来てますよ。あとユウコさん、黒モコナ…アンタ等は酒を制限しますからね」
ユウコ・黒モコナ
「「ワタヌキのケチ~~!!」」
ワタヌキ
「はいはい。ケチで結構ですよ…」
ソニア
「ワタヌキさん、料理運ぶの手伝います」
ツミキ
「…あ…私も…」
マル&モロ・白モコナ
「「「お祝いだ~♪」」」
ランタロウ
「キリマル!いつまでアヘ笑いしながら小銭 数えてるの!シンベエもジルも料理食べてないで手伝え!今からユキノさんの歓迎会をするから!!」
オワリ
「おっしゃあ!!食いまくるぜ!!」
ニダイ
「オワリ…これは仲間の歓迎じゃぞ(汗)」
ハチマン
「おい、明日大魔闘演舞3日目だ…歓迎会やるのはいいがほどほどn…って無視かよ」
ハルノ
「ハチマン、せっかくのお祝いなのにそんなこと言っちゃお姉さんが許さないよ♪」
ハチマン
「お前はネコだろ」
ハルノ
「変身すれば立派なお姉さんだよ♪」
ハチマン
「あっそ」
クズリュウ
「ハチマン、ハルノ!何ボーっとしてんだ!さっさと手伝え!!」
ドウメキ
「………」⬅無言のまま手伝っている
ユキノが新しい仲間になったと、シャオラン達はテキパキとユキノの歓迎会の準備をしていた。
そして、歓迎会の準備が終わり、皆飲み物を持って大きなテーブルに囲まれている。今日の主役であるユキノは1番目立つ所に立っていた。
ソウダ
「ええ~それでは!年代記の翼《ツバサクロニクル》の新たな仲間 ユキノさんの歓迎を祝って!カンパ~イ!!」
ツバサのメンバー全員
『カンパ~~イ!!!!』
その後、ユキノの歓迎会でドンチャン騒ぎして、2日目の夜が終わるのだった。
そして、大魔闘演舞3日目に突入する……
技 紹介
【太陽神の紅炎】
太陽の滅神魔法の1つ。金色の炎の大きな塊
を放つ。
【太陽神の法拳】
太陽の滅神魔法の1つ。自分の拳に金色の炎
を激しく纏って、相手にその拳をぶつける。
ユキノ・アグリアが年代記の翼《ツバサクロニクル》に加入しました!
大魔闘演舞3日目、ようやく突入できます。
次回
第17話 ~伏魔殿《パンデモニウム》~