FAIRY TAIL ~~ツバサを持つ者達~~   作:弓狼

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 皆さん、長らくお待たせしてすいません。
 弓狼です。

 第17話 ~伏魔殿《パンデモニウム》~

 大魔闘演舞3日目突入します。
 少し表現が変なとこもありますが、ぜひ読んでみてください。


 それでは、どうぞ!!



第17話 ~伏魔殿《パンデモニウム》~

 

 

 〔unknown side〕

 

 

 ードムス・フラウ(闘技場)ー

 

 

 大魔闘演舞3日目がやって来た。

 

 

 チャパティ

  『さあ大魔闘演舞もいよいよ中盤戦、3日目が始まります!本日のゲストは、魔法評議院の強行検束部隊大隊長であるラハールさんにお越しいただきました!』

 

 ヤジマ

  『ひさしぶりだねぇ』

 

 ラハール

  『ラハールです。大会中の不正は許しませんよ。よろしくお願いします』

 

 チャパティ

  『さすが強行検束部隊大隊長!どんな時でもお仕事を忘れません!!』

 

 

 実況席では、魔法評議院の強行検束部隊大隊長であるラハールがゲストとして招かれていた。無理やり付き添いで一緒に来たドランバルトは客席にいる。

 

 

 チャパティ

  『ゲスト紹介を終えたところで、3日目の競技パートを発表します!競技名は……“伏魔殿《パンデモニウム》”!!各チーム1名ずつ選手を決めてください!!』

 

 

 

 

 

 〔ツバサクロニクル side〕

 

 ーツバサクロニクル 選手待機席ー

 

 

 ユウキ

  「ふぁ~…伏魔殿《パンデモニウム》?」

 

 

 昨夜の歓迎会ですっかり寝不足になってしまったシャオラン達。ユウキは競技名を聞いてあくびをしながら?を浮かべていた。

 

 

 キリマル

  「あれだよ。シャケを包んで焼くのに使うやつ」

 

 ランタロウ

  「それはアルミニウム」

 

 シンベエ

  「じゃあ、部屋の中でも夜空が見れる」

 

 ランタロウ

  「それは(ソウダさんが作った)プラネタリウム」

 

 キリマル・シンベエ・ランタロウ

  「「「そして…冷たくてうまいt…イデェッ!!」」」

 

 ソウダ

  「それはアイスクリームだ!!バカ共が!!」

 

 

 バカ3人組の漫才にキレたソウダは、その3人組の頭にゲンコツを繰り出す。ランタロウ達の頭には、でかいタンコブができていた。

 

 

 ソウダ

  「ユウキ…伏魔殿《パンデモニウム》ってのは、簡単に言えばモンスターがたくさんいる巣窟みたいなものだ」

 

 

 ランタロウ達の制裁を終えたソウダは、タメ息を吐きながら、ユウキがさっき疑問に思っていたことを簡潔に答える。

 

 

 ソニア

  「それなら私が出てもよろしいでしょうか?競技を楽しみたいです!」

 

 シャオラン

  「わかりました」ウトウト

 

 クズリュウ

  「頑張れよ」

 

 ソニア

  「はい!」

 

 

 少々寝惚けてるシャオランとクズリュウは、闘技場へ向かうソニアを見送るのだった。

 

 

 

 

 

 〔フェアリーテイル side〕

 

 

 ーフェアリーテイルA 選手待機席ー

 

 

 ナツ

  「俺が出る!!昨夜の続きやらなきゃ気がすまねえ!!」

 

 

 昨日の剣咬の虎とのケンカ(という名の襲撃)に不完全燃焼だったか暴走するナツにグレイとルーシィが止めに入っている。

 

 

 エルザ

  「ダメだ。お前だと剣咬の虎にケンカ売りそうで面倒だからな。ここは、私が行こう」

 

 ルーシィ

  「賛成!!頑張ってね、エルザ!」

 

 ウェンディ

  「私、応援しています!」

 

 

 ルーシィとウェンディに見送られて、エルザは闘技場へと降り立った。

 

 

 ナツ

  「俺を出せえぇぇ!!」

 

 グレイ

  「テメェ落ち着けって言ってんだろうがぁぁあ!!」

 

 

 

 

 

 ーフェアリーテイルB 選手待機席ー

 

 

 カナ

  「そんじゃ、私が出るわ…ヒック」

 

 

 すでに酒に酔っているカナが名乗り出るが、そこでガジルが突っかかってきた。

 

 

 ガジル

  「ちょっと待て!!そろそろ俺にも何かやらせろ!!」

 

 ジュビア

  「あなたは昨日出たじゃない」

 

 ガジル

  「あれが出たうちに入るか!!」

 

 ジュビア

  「それになんでリザーブ枠にカナが?」

 

 カナ

  「今日の実況ゲストが評議員じゃ、ミストガンは出場できないでしょ~」

 

 ミラジェーン

  「それもそうね…」

 

 カナ

  「だ~から代わりに私が来たのぉ…。んじゃぁ……ヒック…行ってきま~~す」

 

 ラクサス

  「……本当に大丈夫なのか」

 

 

 ケラケラ笑いながら千鳥足で闘技場に向かうカナを見て、ラクサス達は心配になっていた。

 

 

 

 

 

 〔ラミアスケイル side〕

 

 

 ーラミアスケイル 選手待機席ー

 

 

 シェリア

  「え、ジュラさんが出るの?」

 

 ジュラ

  「オババの命令じゃ仕方ない」

 

 トビー

  「……靴下…(泣)」

 

 ユウカ

  「新しいの買えよ」

 

 

 聖十大魔導士のジュラの参戦に会場の一同は騒然する。

  

 

 

 

 

 

 〔クワトロパピー side〕

 

 

 ークワトロパピー 選手待機席ー

 

 

 ノバーリ

  「…パピー………」⬅真っ白

 

 四つ首の子犬メンバー全員

  (バッカス除く)

  『……………』チーン ⬅真っ白

 

 バッカス

  「漢の約束だからなぁ。諦めろ」

 

 

 自分等のギルド名が 狩猟犬➡子犬になったことにバッカス除いたメンバー全員真っ白になっていた。

 どうやらノバーリが出場するみたいだ。真っ白のまま…

 

 

 

 

 

 〔セイバートゥース side〕

 

 

 ーセイバートゥース 選手待機席ー

 

 

 オルガ

  「昨夜の話通り、俺が行く!!全員まとめて黒雷の塵にしてやる!!」

 

 ミネルバ

  「どのような競技かも分からんと言うのにか?」

 

 

 

 

 

 〔マーメイドヒール side〕

 

 

 ーマーメイドヒール 選手待機席ー

 

 

 ミリアーナ

  「エルちゃんが行くなら私に行かせて、カグラちゃん!!」

 

 カグラ

  「…許可しよう」

 

 

 カグラから承諾されたミリアーナは意気揚々と闘技場へと降りていった。

 

 

 

 

 

 〔レイブンテイル side〕

 

 

 ーレイブンテイル 選手待機席ー

 

 

 アレクセイ

  「評議員の前だ…余計な事はするなよ、オーブラ」

 

 オーブラ

  「…………」コクン

 

 コクン、と小さく頷く。

 

 

 

 

 

 〔ブルーペガサス side〕

 

 

 ーブルーペガサス 選手待機席ー

 

 

 ヒビキ

  「天馬からは僕が行こう」

 

 女性観客

  『キャアァァァァ!!!!』

 

 

 女性の歓声があふれでる。

 

 

 

 

 

 〔unknown side〕

 

 

 ー闘技場(ドムス・フラウ)ー

 

 

 闘技場の上に並び立つ9人の魔導士が出揃った。

 

  年代記の翼 《ツバサクロニクル》 

    “ソニア・ネヴァーマインド”

  妖精の尻尾A《フェアリーテイルA》 

    “エルザ・スカーレット”

  妖精の尻尾B《フェアリーテイルB》 

    “カナ・アルベローナ”

  蛇姫の鱗  《ラミアスケイル》

    “ジュラ・ネェキス”

  四つ首の子犬《クワトロパピー》 

    “ノバーリ”

  剣咬の虎  《セイバートゥース》 

    “オルガ・ナナギア”

  人魚の踵  《マーメイドヒール》 

    “ミリアーナ”

  大鴉の尻尾 《レイブンテイル》 

    “オーブラ”

  青い天馬  《ブルーペガサス》 

    “ヒビキ・レイティス”

 

 

 その彼らの説明・案内役をするのは、大魔闘演舞のマスコットキャラクターであるマトー君だった。

 

 

 マトー君

  「ええ~皆様、競技の説明・案内役を務めるマスコットのマトー君だカボ。昨日は私用で休暇をとってしまったことを謝罪するカボ」

 

 

 そう言ったマトー君は、ペコリと頭を下げ軽く謝罪した。

 

 

 マトー君

  「これから競技パートの説明をしますが、始めに口で説明するより実際見てもらった方が早いかと」

 

 

 マトー君の言葉と同時に闘技場の遥か上空に巨大な魔法陣が展開された。その魔法陣から出てくるのは巨大な黒神殿。まるで闇に飲まれたような不気味なオーラを解き放っているようで、思わず息を呑むほどの迫力だ。

 

 

 ジュラ

  「これは……」

 

 ミリアーナ

  「すごい……」

 

 

 

 

 

 〔ツバサクロニクル side〕

 

 

 ーツバサクロニクル 選手待機席ー

 

 

 ソウダ・オワリ

  「「なんじゃありゃあぁぁ!?」」

 

 カナデ

  「……うるさい」

 

 

 巨大な神殿を見て、ソウダとオワリは驚愕のあまり思わず大声で叫ぶ。その近くにいたカナデは、2人の声がうるさいので自分の両手で耳を塞いでいた。

 

 

 ユウコ

  「立派な魔法具現体ねぇ…随分と贅沢に魔力を使って…」

 

 黒モコナ

  「一昨日の隠密《ヒドゥン》で具現化された街といい…この巨大な神殿といい……一体どこからこんな膨大な魔力があるんだ?」

 

 白モコナ

  「会場の周りにそんな魔力感じないのになんでだろう?」

 

 

 白黒モコナは、大規模な街や神殿を容易く具現化できるほどの魔力にかなり疑問を持っていた。ユウコはモコナ等の話に相槌をうちながら、城の方に目線を向けていた……。

 

 

 

 

 

 〔unknown side〕

 

 

 ー闘技場(ドムス・フラウ)ー

 

 

 上空から降り立っていく黒神殿も、やがて闘技場の中心上に浮遊したまま停止すると、挑戦者の魔導士達の前に黒神殿の入口から階段が伸びて設置された。

 

 

 ヒビキ

  「解析開始」

 

 

 ヒビキは自分の魔法 古文書《アーカイブ》を行使して、黒神殿の分析を始める。

 

 

 マトー君

  「これが邪悪なるモンスターが巣くう神殿……伏魔殿《パンデモニウム》カボ」

 

 ソニア

  「大きい神殿ですね」

 

 ジュラ

  「モンスターが巣くうだと?」

 

 マトー君

  「そういう設定ですので、カボ」

 

 

 ジュラの質問にマトー君はそう答える。

 すると、モンスターという言葉に反応した観客から不安の声が聞こえてくる。

 

 

 マトー君

  「この神殿の中には100体のモンスターがいます……といっても我々が作り出した魔法具現体。皆さんを襲うような事はないのでご安心を」

 

 

 今のは観客にむけての説明のようだ。

 お陰で、辺り一体のざわつきもなくなった。

 

 

 マトー君

  「モンスターは下からD・C・B・A・Sの5段階の戦闘力が設定されています。内訳はこのようになっています」

 

 

 ラクリマビジョンによれば、こうなっている。

 

 Sクラス × 1

 Aクラス × 4

 Bクラス × 15

 Cクラス × 30

 Dクラス × 50

 

 

 マトー君

  「ちなみに、Dクラスのモンスターがどのくらいの強さを持っているかといいますと……」

 

 

 マトー君が両手を大きく広げると、神殿内を映し出したラクリマビジョンが起動する。

 そこに映っていたのは、獰猛な牙を持ち、鋼鉄に覆われた四つん這いのモンスターが神殿内を彷徨いていた。

 最後にモンスターより一回り大きい石像らしきものを意図も簡単に粉砕しているシーンを映し出して、映像はそこで途切れるのだった。

 

 

 マトー君

  「こんなのやらこんなのより強いのやらが100体うずまいているのが伏魔殿《パンデモニウム》ですカボ。クラスが上がるごとに倍々に戦闘力が上がると思ってください」

 

 

 あれでDクラスのモンスター…あまりにも凶暴さに、観客やこの競技に関係ない魔導士達は言葉を失っていた。

 

 

 マトー君

  「特にSクラスのモンスターは、聖十大魔導士といえど倒せる保証はない強さですカボ」

 

 ジュラ

  「む…」

 

 

 ジュラがピクリと眉を動かす。

 

 

 マトー君

  「ルールは、まず皆さんには順番に戦うモンスターの数を選択してもらいます。これを“挑戦権”といいます。

   例えば、挑戦権を3つ選択すると神殿内に3体のモンスターが出現します。3体の撃破に成功した場合、その選手のポイントに3点が入り、次の選手は残り97体の中から挑戦権を選ぶ事になります。

   これを繰り返し、モンスターの数が0または皆さんの魔力が0となった時点で競技終了です」

 

 ミリアーナ

  「まるで数取りゲームみたいだね」

 

 

 ミリアーナが別のものに例える。

 

 

 マトー君

  「そうです。一巡した時の状況判断も大切になってきます。ただし先ほども申し上げたとおり、モンスターにはランクがあります。これは挑戦権で1体を選んでも5体を選んでも、ランダムで出現する仕様になってます」

 

 ヒビキ

  「つまり、Sクラスのモンスターとぶつからない戦略が必要という事だね」

 

 オルガ

  「しかし、どのクラスのモンスターが現れるのか分からない以上、そんな戦略を立てられるとは思えんが」

 

 

 オルガの言う通り戦略も必要だが、同等に運も勝利要素として必要となってくるだろう。この競技の鍵となるのは、Sクラスモンスターをどう避けてポイントを稼ぐかにあることだ。

 

 

 ヒビキ

  「いや、確率論と僕の古文書《アーカイブ》があれば、ある程度の戦略は立てれる」

 

 

 更に自分自身の魔力消費と次の順までにどれほど回復しているのかも考えれば勝てると、ヒビキは自信持って言った。

 

 

 マトー君

  「モンスターのクラスに関係なく撃破したモンスターの数でポイントが入ります。一度神殿に入ると挑戦を成功させるまで退出できません」

 

 カナ

  「神殿内でダウンしたらどうなるんだい?」

 

 

 カナの質問にマトー君はすぐ答える。

 

 

 マトー君

  「今までの自分の番で獲得した点数はそのままに、その順番での撃破数は0としてリタイアとなります」

 

 ソニア

 「欲張るのもダメってことですね…」

 

 

 逆に少なすぎると周りに遅れをとってしまい、順位はあまり良くないものとなる。間を取れと分かっていても実際に行動に移すのは難しい。

 

 

 ソニア

  「つまり、この競技は単なる魔導士としての実力だけではなく、状況推理力と的確な判断力も必要になるということですね。とても面白い競技です!例えて言えば、遥か昔の西の大陸にいた名探偵ホームズの如くモンスターラッシュするような!」

 

 マトー君

  「何その意味分からない例え…(汗)。あとホームズって誰カボ?」

 

 ソニア

  「知らないのですか!?大昔、欧米の国でどんな難解な事件を圧倒的な推理力で解決する名探偵!!ミステリー小説とか載るほどの有名人ですよ!!助手のワトソンと一緒に謎という迷宮に挑む姿はもu…」

 

 マトー君

  「あの~そんなこと言われても、今は競技中ですからそれは後にしてください(汗)」

 

 

 ソニアのマシンガントークにマトー君はなんとか止めることができた。他の参加者達は彼女を見て、顔をひきつっている。それを見ているシャオラン達もソニアのミステリー好きと少々ずれた性格に呆れていた。一方、本人は面白い数取りゲームだと、待ち遠しく表情が笑っていた。

 

 

 マトー君

  「そ、それでは皆さん、クジを引いてください」

 

 

 マトー君の元、挑戦する順番を決めるくじ決めが開始された。参加者は適当な順番で、くじを引いていく。

 

 

 ソニア

  「あら、8番ですか…」

 

 

 ソニアは8番くじを引き当ててかなり後の順になってしまい、少し残念な顔になっていた。

 挑戦する順は、以下の通りになった。

 

 1番 エルザ・スカーレット

 2番 ミリアーナ

 3番 ノバーリ

 4番 ヒビキ

 5番 オルガ・ナナギア

 6番 ジュラ・ネェキス

 7番 オーブラ

 8番 ソニア・ネヴァーマインド

 9番 カナ・アルベローナ

 

 

 ソニア

  「エルザさんが1番ですか、頑張ってください!」

 

 エルザ

  「競技相手に応援されるのは少し複雑な感じだが、受け取っておこう」

 

 

 エルザは黒神殿の階段前に立つ。

 

 

 エルザ

  「この競技、くじ運で全ての勝敗がつくと思っていたが」

 

 マトー君

  「くじ運で?い………いやどうでしょう?戦う順番よりペース配分と状況判断力の方が大切なゲームですよ」

 

 エルザ

  「…いや、もはやこれはゲームにならんな」

 

 マトー君

  「えっ!?」

 

 

 エルザは不適な笑みを浮かべて、とんでもないことを口にした。

 

 

 エルザ

  「100体全て…私が相手する!」

 

 

 その瞬間……時間が止まったかのように会場中の空気が固まる。

 

 

 エルザ

  「挑戦権は100だ!!」

 

 マトー君

  「ひ、100体って…そんなの…む…無理ですよ!!1人で全滅できるようには設定されてません!!」

 

 エルザ

  「構わん」

 

 

 マトー君の制止も聞く耳を持たず、エルザは神殿内へと続く階段を登って行った。

 まさに、彼女の絶対不可能とされる無謀な挑戦が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 〔ツバサクロニクル side〕

 

 

 ーツバサクロニクル 選手待機席ー

 

 

 ソウダ

  「モンスター100体相手するって…無茶苦茶だな……」

 

 ユウキ

  「大丈夫だよ!エルザは絶対全部倒すよ!」

 

 ソウダ

  「全部のモンスターが同じ強さだったらともかく、D~Sクラスの強さが分類されてるんだぞ」

 

 シャオラン

  「そうですね…。それらを全部倒すのは、流石のエルザさんでもキツいかもしれませんし………」

 

 ユウキ

  「それは…ウ~ン」

 

 クズリュウ

  「……………」

 

 

 ソウダとシャオランの指摘にユウキは頭を抱えてしまう。クズリュウは神殿内を映しているラクリマビジョンに集中して見ているのだった。

 

 

 会場の観客・魔導士全員がこれから起こりうる出来事の一部始終を逃さないとラクリマビジョンに釘付けになっていた。

 そして、エルザが神殿内に現れる。

 神殿内には、嘲笑うかのようにあちらこちらから大量のモンスターが発生し、エルザの前に立ちはだかる。

 こうして、彼女の無謀なモンスター100体討伐という挑戦が始まった……。

 

 

 エルザ

  『換装!!』

 

 

 開始早々にエルザは“天輪の鎧”へと換装する。具現化された剣を操り【天輪・繚乱の剣《ブルーメンブラット》】で全方位に攻撃する。その攻撃でDクラスモンスターは切り刻まれ次々と倒されていく。

 

 

 チャパティ

  『あ~っと!!全方位からの先制攻撃!Dランクモンスターが次々と削られていく~!!』

 

 

  Dクラスモンスター 

    14体撃破 残り36体

  合計 残り86体

 

 

 ユウキ

  「最初は広範囲に攻撃してきたね」

 

 白モコナ

  「全滅ねらいだったのかな?」

 

 クズリュウ

  「いや、敵全体に攻撃してモンスター1体1体の能力を測っているな…良い判断だ」

 

 白モコナ

  「モコナ、納得♪」

 

 ソウダ

  「もしエルザさんじゃなくオワリやナツさんだったら、なんも考えずに直感だけで突っ込んでいくな、絶対……」

 

 

 ソウダの言葉にウンウンと頷く2人。シャオランは、そうですね、と苦笑していた。

 

 一方、モンスターの各個体の能力を測っている彼女は、どのモンスターにどの鎧が適切か瞬時に判断していた。

 

 

 エルザ

  『換装!黒羽の鎧!!』

 

 

 エルザは次に“黒羽の鎧”へと切り換える。一撃ごとに攻撃力が底上げされる鎧に換装することで、Dクラスモンスターを更に数体倒すことに成功。

 

  Dクラスモンスター

    13体撃破 残り23体

  合計 残り73体

 

 Dクラスモンスターを倒していくなか、Cクラスモンスターも乱入し立ち塞がる。黒羽の鎧の力押しで倒していくエルザだったが、

 

 

 Cクラスモンスター達

  『ゴオオオォォォォ!!!!』

 

 エルザ

  『っ!』

 

 

 Cクラスモンスター達がなんと口から一斉に炎を吹いてきたのだ。

 Cクラスモンスターの火炎放射がエルザを襲ってくる。彼女は一瞬目を見開いてたが、焦ることはなかった。なぜなら…炎に対する鎧“炎帝の鎧”を所持しているからだ。

 その鎧に換装し炎を防ぐ、更に手に持っている水属性の武器を自在に駆使し敵を撃退させる。炎のモンスターにとって、ひとたまりもないダメージであり倒れる。

 

  Cクラスモンスター

    5体撃破 残り20体

  合計 残り68体

 

 だが、流石に炎帝の鎧を持ってしても、数という暴力に少しダメージを負ってしまう。エルザは炎と水の二刀流で退ける。

 そこに、Bクラスモンスターが出現した。

 エルザは水属性のモンスターには“海王の鎧”と雷属性の武器で対抗する。素早い判断力だ。ダメージを受けながらも“飛翔の鎧”に切り替え、一瞬で敵を切り刻む。

 

  Bクラスモンスター

     5体撃破 残り10体

  Cクラスモンスター

     4体撃破 残り16体

  Dクラスモンスター

    10体撃破 残り13体

  合計 残り49体

 

 

 チャパティ

  『早くも残り半数を切りましたあぁーー!!』

 

 

 モンスターの残りが半数を切った。それでも、彼女に落ち着く余裕なんてない。モンスター達の猛攻は休むことがないからだ。

 

 

 

 

 

 〔unknown side〕

 

 

 ー闘技場(ドムス・フラウ)ー

 

 

 ノバーリ

  「マジかよ……」

 

 ヒビキ

  「スゴいね……」

 

 

 ノバーリとヒビキは、戦場に舞うように次々とモンスターを倒していくエルザの姿に見とれているようだ。

 

 

 ジュラ

  「動きに無駄がなく、洗練されでおるのぉ」

 

 ミリアーナ

  「ショウとウォーリーも見ているかなぁ…」

 

 

 久々にエルザの戦う姿をみて、ミリアーナはかつての仲間のことを呟いていた。

 

 

 オルガ

  「…くだらねぇ……」

 

 

 そんな中、オルガが吐き捨てるように悪い態度をとりながらもまだ彼の言葉は続く。

 

 

 オルガ

  「そんな騒ぐようなレベルかよ。見ろ、近いうちに倒れるぜありゃ……」

 

 

 そう言われた参加者達は、再びラクリマビジョンを見ると、エルザは消耗が激しくなってきたせいか肩で息をしている。かなりの疲労が溜まっている上に被弾が増えてきていた。ミリアーナは心配そうな表情を見せる。

 

 

 

 ソニア

  「……妖精の女王は折れませんよ」

 

 オルガ

  「なに言ってんだ?あんなにボロボロになってんだ。所詮その程度だってことだ。お前の目は節穴か?」

 

 ソニア

  「節穴なのはアナタですよ。虎さん」

 

 オルガ

  「何だと!!」

 

 

 オルガは怒り狂った声をあげ、ソニアを睨む。

 

 

 ソニア

  「確かにエルザさんは、ボロボロで相当疲れが溜まって体力も魔力もあと少しで限界になるでしょう。しかし、例え己に限界が来ようとも彼女の“心”が折れない限り、どんな逆境でも乗り越えられるのですよ。

   今のアナタ…いや、アナタ方では理解出来ないと思いますが、黙って見た方がよろしいでしょう」

 

 

 参加者達はラクリマビジョンに目線を戻すと、そこにはAクラスモンスターと対峙するエルザがいた。

 

 

 Aクラスモンスター

  『グオォォオオオオ!!』

 

 

 巨大なゴリラ型のパワータイプであり、人など簡単に握り潰せるような巨腕でエルザに向けてパンチを放つ。

 

 

 Aクラスモンスター

  『グオォッ!!?』

 

 

 だが、ダメージを受けたのはAクラスモンスターの方だった。

 今エルザが装備しているのは、超防御力を誇る“金剛の鎧”である。この鎧の前では、並大抵の攻撃では通用するどころか逆にダメージを貰ってしまうのだ。

 いつの間にか戦場は神殿の外へと移動していた。つり橋の上で彼女は、次々に換装を繰り返しながら向かい来るモンスターを切り伏せ、凪ぎ払っていく。

 

  Aクラスモンスター 

     2体撃破 残り2体

  Bクラスモンスター  

     6体撃破 残り4体

  Cクラスモンスター  

     9体撃破 残り7体

  Dクラスモンスター  

    13体撃破 残り0体

   合計 残り14体

 

 自身の魔力もかなり消耗し、息切れが増してきた。彼女が持つ武器や鎧もいくつか壊された。だが、エルザは一度として諦めの表情を一切見せずに勇敢に立ち向かう。

 その勇姿を見る会場の観客達は興奮し喝采をあげ、魔導士達は驚愕したり呆然としていた。妖精達はエルザを信じる。彼らは、彼女の妖精の舞に魅了されていたのだった。そして、ついに……

 

  Aクラスモンスター 1体撃破 残り1体

  Bクラスモンスター 2体撃破 残り2体

  Cクラスモンスター 7体撃破 残り0体

  合計 残り4体

 

 モンスターが残り4体のみとなった。

 

 

 

 

 

 〔フェアリーテイル side〕

 

 

 ーフェアリーテイルA 選手待機席ー

 

 

 チャパティ

  『……お…恐るべし妖精女王《ティターニア》エルザ!!次々と換装を繰り返し、着実にモンスターを撃破していく!体力・魔力の消耗が激しいものの残すモンスターはあと……4体!!』

 

 

 実況の音声と共に会場がいままでにない以上に盛り上がる。

 もしかしたら、この不可能な挑戦を成し遂げるかもしれないと、観客達は徐々に思い始めていた。

 

 

 ナツ

  「よっしゃあ!!行けぇエルザ!!」

 

 グレイ

  「あと4体だ!一気に蹴散らしてやれぇ!!」

 

 ルーシィ

  「でも、強いのばかり残ってる……」

 

 ウェンディ

  「まだSクラスモンスターも出ていないみたいですし……」

 

 ナツ

  「な~にがSクラスだ!エルザなら倒せるだろ?」

 

 グレイ

  「当たり前だ!S級魔導士のエルザの強さは、俺達が一番よく知ってるぜ!!」

 

 

 残り4体といってもかなり強いモンスターしか残っていない。Sクラスモンスターもまだ現れてない……。そう思うと、ルーシィとウェンディはエルザを見て心配する。対して、エルザと長年付き合ってきたナツとグレイは彼女の勝利を全く疑っていなかった。

 

 

 

 

 〔unknown side〕

 

 

 ー闘技場(ドムス・フラウ)ー

 

 

 AクラスモンスターとBクラスモンスター2体がエルザを囲むようにいっせいに攻撃を仕掛けてきた。

 

 

 エルザ

  『……換装!!』

 

 

 エルザは最後の換装を行い、サラシに身を包んだ姿となった。彼女の片手には“妖刀・紅桜”が握られていた。

 

 

 Aクラスモンスター

  『グオォォオオオオ!!!!』

 

 Bクラスモンスター Х 2

  『『グギャアァァアア!!!!』』

 

 エルザ

  『ハアァァァアア!!』

 

 

 正面から攻撃してきたAクラスモンスターを“妖刀・紅桜”で真っ二つに切り裂き、左右から同時に襲ってきたBクラスモンスター2体を瞬殺する。

 

  Aクラスモンスター 1体撃破 残り0体

  Bクラスモンスター 2体撃破 残り0体

  合計 残り1体

 

 とうとう残るはSクラスモンスター1体のみとなった。

 

 

 

 

 

 〔ツバサクロニクル side〕

 

 

 ーツバサクロニクル 選手待機席ー

 

 

 ユウキ

  「すごいよエルザさん!もうあと1体でモンスター100体クリアするよ!!」

 

 ソウダ

  「……マジかよすっげー」

 

 ハチマン

  「怪物かよ…あの女」

 

 ハルノ

  「あまり人のこと言えないわよ~」

 

 オワリ

  「どっちかっつーとハチマンは怪物というよりゾンビだしなぁ。目ぇ腐ってるし(笑)」

 

 ハチマン

  「何バカを言ってんだよ。俺はゾンビじゃねえ」

 

 ハルノ

  「……目は否定しないんだね」

 

 

 エルザの挑戦クリア目前となったことに、ユウキは子供のようにはしゃいでいる。隣にいるソウダは、呆然として自然と口があいたままだった。

 後ろの壁にもたれてるハチマンは呆れ気味な表情で感想を述べる。が、その内容を聞いたハルノはハチマン以上に呆れ、オワリは爆笑していた。

 

 

 白モコナ

  「ねぇねぇシャオラン。Sクラスモンスターってどんなのかな?」

 

 シャオラン

  「そうですね…やっぱりAクラスのモンスターより大きいでしょうか…ランタロウ達はどんなのだと思います?」

 

 ランタロウ

  「Σ話ふったよこの人!?う~……ん~……シャオランさんと同じのだと思う…」

 

 キリマル

  「俺は、敵を一瞬で消すヤバい奴だと思います!」

 

 シンベエ

  「僕は、でっかい巨人!」

 

 

 一方、シャオランは最後に残るSクラスモンスターがどんなのかランタロウ達と考えるが、なかなかイメージができないでいた。

 

 

 クズリュウ

  「………(やはりエルザの近くに何かいるな)」

 

 

 クズリュウは、エルザの挑戦が始まってから何かしらの違和感を感じていた。彼女の戦いを見ていると、その中で何か黒いものが周りを動き回っていることに気づく。他のモンスターと戦っている時、エルザの足元を払うように動き彼女の体制を崩していたのだ。

 

 

 クズリュウ

  「(…どうやら、とっくに気付いてるようだな)」

 

 

 少し笑みを浮かべたクズリュウは、そのままラクリマビジョンで彼女の戦いを見届けるのだった。

 

 

 

 

 

 〔unknown side〕

 

 

 ードムス・フラウ(闘技場)ー

 

 

 チャパティ

  『つ、遂に……残すはSクラスモンスター1体のみ!!それはいったいどのような……って……あれ?』

 

 

 エルザ

  『…………』

 

 ???

  『…………』オロオロ

 

 

 ふと彼女と目が合ったのはオロオロとしていた小型のモンスターであった。その額にはご丁寧に“S”とマークがあったのだ。

 

 

 会場全員

 「「「「「ちっさ!!!」」」」」

 

 

 想像していたのと大違いだったために、会場全員は思わず突っ込んだ。どうやら、あれがSクラスモンスターらしい。しかしエルザは油断せずに、刀をもう一本取り出し二刀流へと切り換える。

 

 すると、突然エルザとSクラスモンスターがこの場から姿が消え、決戦場へと強制転移された。その場に現れたのは、エルザと小型のモンスター………

 

 

 Sクラスモンスター

  『グギャアァァアアアァァアアア!!!!』

 

 

 ……ではなく、Aクラスモンスターとは比べ物にならないくらい巨大化したラスボスであった。

 

 マトー君によると、Sクラスモンスターが最後に残ったら戦闘力が3倍になるという随分な設定をしているそうだ。

 それを見る妖精の尻尾のメンバー達は動揺するが、すぐに収まりエルザの勝利を信じ続けていた。観客達も彼女の最後の決戦に手に汗を握っていた。

 

 Sクラスモンスターがエルザに激しい猛攻を繰り出す。エルザは、攻撃を回避しつつ巨大モンスターの両腕を切り刻んだ。会場から歓声が湧き上がる。

 

 

 直ぐ様彼女は、両腕を失い苦しむモンスターの背後をとり、顔を狙い二刀の刃を降り下ろす。

 

 

 Sクラスモンスター

  『グウォ?』 ギョロ

 

 エルザ

  『っ!?』

 

 

 しかし、降り下ろす寸前敵に気づかれてしまいかわされた。更にSクラスモンスターは巨大な足でエルザを蹴り飛ばしたのだ。

 

 

 エルザ

  『グハッ!!』

 

 

 粉塵の中へと飛ばされ姿を消すエルザ。Sクラスモンスターはトドメを指そうと、エルザがいる粉塵へ巨大な足で踏み潰そうとする。

 

 

 エルザ

  『ハアァァァアアアア!!!!』

 

 

 粉塵の中から飛び出したエルザは、踏み潰そうとするモンスターの足を切り落とす。そして、モンスターの膝元を踏み台にし更に跳び上がり、モンスターの核に一刀の剣閃が走った。

 

 

 Sクラスモンスター

  『ギギャアァァアア!!!!……ァア…ァ…』

 

 

 核を切り裂かれたSクラスモンスターは、咆哮と共に力なく崩れていった。

 その決戦の場に立っていたのは、片手に握る“妖刀 紅桜”を空へと掲げるエルザの姿があった。

 

 その光景は、ある者は感銘を受け涙を流し、またある者は驚愕と唖然として言葉を失わせるほどだった。

 

 

 

 妖精の尻尾の1人の魔導士は、彼女の戦いを心に焼き付けるために言葉を刻む。

 

 

 

 

 『_大魔闘演舞…3日目__

 

 

 

 

   __伏魔殿《パンデモニウム》__

 

 

 

 

  _この日のことを見た者は__

 

 

 

 

   __永遠に忘れないことはないだろう__

 

 

 

 

  _傷だらけになりながらも__

 

 

 

 

   __それはまるで凛と咲いた…

         …緋色の華のように__

 

 

 

 

  __地に堕ちたはずの妖精が舞う__

 

 

 

 

           __妖精の女王__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   __妖精女王《ティターニア》…

           …ここにあり!!__』

 

 




 
 伏魔殿《パンデモニウム》終了!!

 エルザ圧勝しました。

 次は、純粋な力比べにエルザ以外の参加者達は、自身の力を見せつける!

 その時、ソニアの凄まじい力が今解き放たれる!!

 次回
  第18話 ~竜の嵐と妖精の三大魔法~
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