お菓子な剣は好きですか?   作:九呂巣

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善ちゃん神になる ‥‥‥‥いや、ならないけども

ガチャ

 

「新世界の神!!」

 

ベキィ。

 

善行のアッパーカットがキレイに決まった。

ここは善行の部屋。学校から帰って部屋の扉を開けると、ダガッシーが何やら叫んでいた。

「なにしてんの?」

「おい、レフト。」

「いや、あの人の名前は左右の方じゃないし。月の方だし。」

「知ってるぞい。」

「んで、なにしてんの?」

「サブタイトルに便乗。」

「気分か。」

そこまで聞いて、相手にするのをやめた。

今日は少し宿題が多いので今から取り組む必要があるので、かばんから早速プリントを机に広げ、ペンを動かし始める。

「む?もう宿題か?」

「ああ、今日は少し多いんだよ。」

「真面目なやつだな。」

「ふつうだ。これくらいは。」

そうして宿題を消化していると、ダガッシーから声をかけられた。

「なあなあ。」

「なんだよ。」

「学校って楽しいのか?」

「うーん。わからん。」

「そうか。」

「どうしたんだよ。」

 

「私も学校行ってみたい!」

 

「‥‥‥‥は?」

「だから、私も学校行ってみたいのだ。」

「お前、脳みそ溶けたか?」

「溶けとらん!!」

「妖精が学校に通えるわけないだろ。」

「別に通うわけじゃない。行ってみたいのだ。」

「お前な、」

ペンを置いて、ダガッシーに向き直る。

「学校にはいっぱい人がいるんだ。妖精は人に姿を見られるちゃいけないんだろ?来たらダメに決まってる。」

「鞄の中にいれておけばいいではないか。」

「お前、前に俺の鞄の中を砂糖まみれのベタベタまみれにしたの覚えてるか?」

「大丈夫だ。ストラップとして下げていけばいい。」

「高校生にもなってこんなストラップはつけたくない。」

「ならビニールで全身を包んでくれたらいい。勿論顔の部分を切り取って。」

「でも、かさばるし。」

「頼むよ。一度でいいから見てみたい。」

「‥‥‥‥‥分かったよ。」

「ぃやったぞぉ!やはりなんだかんだ言っても優しいやつだな。」

「うっさい。」

こうして、明日はこいつを学校に連れて行くことになった。

 

 

翌日。

善行は少し膨らんだ鞄をもって通学路を歩いていた。

「そういえば、右腕の腕輪は私が渡したもんだが、左腕の腕輪はどうした?」

「外で話しかけるなっての。これは泥っちにもらったんだけど。」

「泥っちから?」

「ああ。だけどこれが何か聞いてないんだよ。もらったあとにすぐどっか行ってしまったから。」

「これか‥‥‥」

ダガッシーは鞄の中から善行の左腕を凝視する。

「これはオリハルコンシールドだな。」

「なんだそれ。」

「オリハルコンシールドはな、」

 

「防御力を50000倍にするんだ。」

 

「あのさ、」

「なんだ?」

 

「無敵じゃね?」

 

「ああ。よかったではないか。絶対に死なないぞ。」

「え?今の防御力どんくらい?」

「ブラックホールに入っても潰されないくらいだな。」

「やべぇな!!(゜ロ゜ノ)ノ」

珍しいことに感情を大きくだす善行。

「向かうところ敵なしだな。」

「物語的には最悪だな。」

世界最強になってしまった善行だった。

 

 

「おはよう。」

「ああ、おはよう寛人。」

「あれ?虎哲は?」

「席で寝てるよ。」

席に着くと、いつものように後ろから寛人が挨拶をしてくる。

「筋肉痛は治った?」

「おかげでばっちり。」

「教えたマッサージ効いたんだね。」

「ああ。これで鞄もしっかり持てる。」

「そういえば今日は鞄の中身多そうだね。」

ちなみに、善行の鞄の中ではダガッシーが鎮座ましまし中。

「え‥‥‥‥いや、ほら、参考書がちょっとね。」

「おー、えらいねー。ついに勉強に目覚めた?」

「いや、まあ次のテストに備えようと思って。」

 

――やっべぇ、危なかった。鞄に注意を集めたらまずいな――

 

妖精の存在がばれると妖精達が人間界に手出しが出来なくなるので、世界は崩壊してしまう。そのため、絶対にばれるわけにはいかない。

 

――あっさり俺に見つかったくせにさ、見つかったらヤバイとか。こいつ大丈夫なんだろうか――

 

がらがら

 

「おーい。ホームルーム始めるぞ。」

 

扉を引いて先生が入ってきた。

「おっと。じゃあまた後でな。」

「おう。」

先生が入ってきたため、自分の席に戻る寛人。

 

――まあ、余程の事がない限り大丈夫か――

 

そう思って、今は学校生活に気を向けることにした。

 

 

一時限目、現代文。

現代文は善行にとって苦手な科目。この前のテストで散々だったため、多少はやる気を出して、国語辞書を毎日持ってくるようにしてる。予習にも使うため、いつも鞄に入れてある。

いつもの要領で鞄から教科書、ノート、辞書を取り出す。

しばらくして、意味のわからない言葉が出てきたので、辞書で調べて、ノートに書き写そうとする。

 

――き、き、き、きで始まるページはと――

 

辞書をパラパラとめくり、き行にたどり着いたとき、

 

――ん?俺、ラインなんて引いたろうか――

 

ふと、蛍光ペンの色が目に入ってくるページがあった。

そして、ラインが引いてある単語を見てみると、

キス

のところで、さらにラインの横にこう書いてあった。

 

『キスしたことあるかい?』

 

――あいつ!‥‥変なイタズラしやがって――

 

ダガッシーが鞄の中で書いたものらしかった。

後でダガッシーをボコること決めて、授業に気を向ける。

すると、またわからない単語が出てきたため、別のページをパラパラ。

するとな行に、異様に目のつくページがあるのを発見した。

辞書には、たまに偉人の写真が載ってたりする。

 

――あいつ、夏目先生になんてことするんだ――

 

そこには鼻血を大量に流して、おでこに肉と書かれた夏目先生がいた。

その横には、

 

『戦闘後のキ〇肉マン』

 

と書かれていた。

何となく腹がたった善行は、辞書を閉じ、それを思いっきり鞄に突っ込んだ。

 

どん!!

 

「ぷぎゃぁぁぁ!!!」

 

「ん?何か声が聞こえたぞ。」

「気のせいです。」

「でも確かに聞こえたんだが。」

「風のささやきです。」

「‥‥何?」

「風のささやきです。」

「‥‥‥そうか。」

 

小学生みたいなイタズラに報いる事ができた瞬間だった。

 

 

二時限目、数学。

数学は善行にとっては得意な方だ。

早速教科書とノートを鞄から取りだし、開く。

すると

――あいつ‥‥‥教科書に直接書き込みやがって――

ノートに解いてある問題が教科書にも解いてあった。教科書に書いてあるのはダガッシーが解いたものだ。

まずは、簡単な計算問題の解答を見てみる。

 

(1)8x=48

 

→x=6

 

正解。

 

(2)9x=81

 

→x=9

 

これも正解。

 

(3)61x=8

 

→x=\(^o^)/

 

あんまり頭は良くないようだった。

 

 

三時限目、世界史。

比較的大変なわけでもないこの授業、まわりを見てみると寝ている者が何人かいる。

だが、善行は歴史にはわりと興味がある方なので、しっかりと真面目に聞いている。

今日習うところは、ルネサンスに関してのところ。

先生が指示を出し、指定されたページを開く。

すると、

 

――あいつはまた低俗なことを――

 

落書きがあった。

今回落書きされていたのは、モナリザの写真。人物に何か書き込むのではなく、セリフを勝手にあてていた。

 

モナリザ「今日の晩ごはんは何かしら?」

 

――あいつは先読みか何かしてんのか?授業で使うページにだけ落書きしやがって――

 

 

四時限目、英語。

この授業は、先生がとても面白いので、意外と楽しみである善行。

授業が始まり、最初に宿題の答え合わせを始めた。

教科書をめくり、自分の解いた解答の確認をしようとすると、

 

――あのやろう――

 

また書いてあった。問題文の下にダガッシーが解答してあった。

 

(1)How old is that boy?

 

→He is old boy.

 

少年がいつの間にか、じいさんになっていた。

 

(2)Where is his cellphone?

 

→His cellphone is on he.

 

彼は頭に携帯を乗っけてるらしい。

 

(3)Where is he from?

 

→This is from he.

 

何かが彼からやって来た。

 

(4)How many books does she have?

 

→She has books

 

知ってるよ。

 

――あいつバカだなぁ――

 

帰ったら散々いびってやろうと考える善行だった。

 

 

昼休み。

クラスメート達が学食を食べに教室を出ていく。善行は弁当派なので、いつも同じ弁当派の寛人と机をくっつけて食べている。虎哲は学食派だ。

いつものように机をくっつけて、話をしながら、今日の弁当の中身を確認すると、

 

「‥‥‥‥‥なんだこれ。」

 

弁当の中がチョコまみれになっていた。

「‥‥へぇ。なかなか斬新な弁当だね。今日は。」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥学食いく?お金ないなら貸すよ?」

「‥‥‥すまん。」

学食に行くことを決めて、弁当を締めようとすると、蓋にチョコで何かが書いてあった。

 

『気に入ってもらえたかな?』

 

善行は無言で鞄を持ち上げ、

 

ばすん!!

 

弁当を思いっきり鞄に突っ込んだ。

 

「ぷぎゃぁぁぁ!!!」

 

「何か鞄から聞こえたけど。」

「気のせいだ。」

「いや、確かに聞こえた――」

「葉の笹なきだ。」

「え?」

「笹なきだ。」

「‥‥‥‥そう。」

悲痛な叫びは誰にも聞かれることはなかった。

 

 

休みと掃除が終わり、五時限目が始まる。

五時限目は古典で、善行は得意な方に入る。現代文とは違い、英語みたいに読み方が決まっているため善行にとっては楽なようだ。

 

――ああ、ヤバイ。眠くなってきた――

 

午後一発目はどうしても眠くなってしまう善行。昼はガッツリ食べる方なので、満腹になった分眠くなる。

やがて、うつろうつろと船をこぎ始めてしまう。

それを見た先生が、善行に制裁を加えようと近づいていく。

そして、善行の前まできて、手に持ってる教科書を善行の頭に打ちおろそうと振りかぶる。

 

その時、

 

パァァァァァァン!!!

 

銃声が鳴り響いた。

 

「おらぁ!!お前らおとなしくしてろぉ!!!」

 

突然、覆面をした男が教室に入ってくるなりそう叫んだ。男はアサルトライフルを持っている。

 

突然の銃声に教室はパニックになる。

 

「何!!?誰なの!!?」

「あれ銃だよな!?え!?まじ!?」

「どうしようどうしよう!!!」

「いやぁ!!助けてぇ!!!」

 

パァァァァァァン!!!

 

「うるっせぇ!!!黙れって言ったのが聞こえなかったのか!!!」

 

パニックになった教室も男の威嚇射撃で静まり帰る。だが、状況は何も変わらないので、ここにいる誰もが恐怖に怯えている。

 

たった一人、善行を除いては。

 

善行はここ最近の出来事で荒事に少し慣れてしまったのだ。

小声で寛人に話しかける

「‥‥‥‥おい、寛人。」

「‥‥‥‥‥‥‥」

寛人は恐怖の余りにしゃべることが出来なくなってるらしい。

そして、虎哲の方を見ると、

「‥‥‥‥ぇぇ‥‥」

すでに人生諦めた顔をしていた。

 

――まあ、この反応が当たり前か――

 

そんなことをしていると、男が声をあげた、

 

「ここは我らが占拠した!!お前らは我らの人質だ!!政府と交渉する材料にお前らを人質に取った!!」

 

ご丁寧に説明を始めた。

 

「これから我らは政府と交渉をする!!それまではおとなしくしてもらうからな!!」

 

――どうすっかなぁ――

 

今朝泥っちからもらったオリハルコンシールドがあるため、正直何されても死なないのだ。

すると、怯えている生徒達に悦が入ったのか、

 

「ふぃっひっひっひ!!おとなしくしてないと、こういう目に合うぞ!」

 

男はそう言うと、人差し指で善行を指し、

 

「おい!!そこのお前!!ずいぶん落ち着き払ってるようだが、なめてるようだと痛い目みるぞ!!ちょっと来い!!」

 

善行に来るように言った。

 

「‥‥‥おい、まじかよ。猪飼大丈夫なのか?」

「‥‥‥まさか、見せしめにあいつを殺そうってのか?」

「‥‥‥うわ、お気の毒に‥‥」

「‥‥‥そんなぁ。」

 

善行を指名されたことにクラスはざわつき、それぞれが善行に同情する目、悲痛な目を向ける。

 

「‥‥‥おい、善行。行く‥のか?」

 

友人の行く末を心配して声をかける寛人。

それに善行は、

 

「ああ。」

 

なんでもないように答えた。

善行はおとなしく指示に従い、男の方へ行こうと席を立つ。

ポケットにダガッシーをつめこんで。

 

男の方へと近づいて行くと、善行は男に廊下へと連れて行かれた。そこで男にナイフを突きつけられる。

「これから見せしめのために、お前には死んでもらう。」

そういうなり、ナイフを少し振りかぶり、善行の喉に突き立てた。

 

しかし、

 

キン!!!

 

「‥‥‥‥‥は?」

 

ナイフは弾かれてしまった。

 

「‥‥あれ?しくったか?」

 

男はもう一度ナイフを突きたてる。

 

しかし、

 

キン!!!

 

弾かれた。

 

「‥‥‥‥いやいや、このナイフがおかしいのか。」

 

そう納得するとナイフを収め、拳銃を構えた。

 

「これでお前とはおさらばだ!」

 

パン!!!

 

そう言って銃の引き金をひいた。

 

しかし、

 

キン!!!

 

これも弾かれる。

 

「‥‥‥は?はぁ?はぁぁぁぁ!!?なんで!!?なんで!!?わけわからん!!!」

 

血が吹き出さないどころか、傷の一つもつかないことにひどく驚き、パニックで銃を乱発した。

 

パンパンパンパンパン!!!

 

しかし、

 

キンキンキンキンキン!!!

 

全て弾かれる。

 

「うぅぅ、ぅわぁぁあああ!!!」

 

全く傷を追わない善行に男は恐れをもってきた。

「なんだよ!!!何なんだよ!!!お前は何なんだよ!!!」

 

――うひひ。何かおもろっ――

 

さっきまで余裕綽々だった男がパニックにおちいってる様子に善行は珍しくテンションが上がり、こう呟く。

 

「‥‥‥‥‥I'll be back」

「ター〇ネーターーーー!!!!」

 

どさっ

 

男は善行の呟きでター〇ネーターと勘違いをして、恐怖で失神した。

 

「‥‥‥わかってたもんだけど、やべぇなこれ。」

オリハルコンシールドの強さに善行は少し驚いていると、

 

「‥‥‥‥むほぉ。」

 

ポケットからダガッシーが出て、肩にのってきた。

 

「いったいどうなっているのだ?」

「どうやらテロリスト達がこの学校を占拠したらしい。」

「はぁ。しかしなんで学校?」

「そりゃあ、子供を人質に取った方がいいだろ。それにこの学校は海に近いし、逃げやすいし。」

「なるほど。んで、どうするのだ?」

「何が?」

「これからどうするつもりなんだ?」

「そりゃあね、」

 

「潰すにきまってんだろ。」

 

「おお!かっこいい。」

「俺の日常ぶっ壊してただで済むと思うなよ。」

「ほうぼう。殺っちゃうのか?」

「殺っちゃう。跡形もなく潰しちゃおう。」

 

そんなやり取りをしていると、先程の男と同じような男がぞろぞろとやって来た。

 

「お前!!何をしている!!おとなしくしろ!!」

「え?なんだって?」

「動くな!!おとなしくしろ!!」

「え?なんだって?」

「おとなしくしろといってる!!!」

「え?なんだって?」

「うおおおおお!!!!もういい!!殺してやる!!」

すると、全員が銃を構えて、善行に向かって発砲した。

 

ばばばばばばばん!!!!!

 

キンキンキンキンキンキン!!!

 

「何!!?効かないだと!!?」

「なんだあいつ!!!化け物か!!!」

「おかしいおかしい!!」

「やべぇやべぇよこいつ!!!」

銃が全く効いてない様子に男達はパニックに。

そこに善行が一言。

 

「無駄無駄無駄ムダムダムダぁーーー!!!!」

 

「デ〇オ様キター\(^o^)/」

ダガッシーがテンション上がるなか、善行はオード・スチースを取りだし男達を斬る。

 

ぶしゅゅゅゅ!!!!

 

「ぎぃやぁぁぁぁぁ!!!!」

「あああああああああ!!!!」

「ぬぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

一瞬で辺りを血の海に変える。

後ろに控えてた男達は顔が真っ青。

 

すると、

 

「変身!!!!」

 

ちゅどぉぉぉぉん!!!

 

極太のビーム光線が現れてきた。

それはテロリストの方へ飛んでいき、全員を飲み込んだ。

光がやむと、後には誰もいない。跡形もなく消えてしまったようだ。

「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーーん!泥っちです!」

「お前、来たのか。」

「はい!仕事も終わりましたから!」

「まあ、仲間増えた方が早く終わるか。」

 

泥っちがやって来て、善行の肩にのる。

善行が動かなくても、向こうから敵がやって来る。

 

「RPG!!」

 

しゅーーん!

 

「ほいっ」

 

バシッ

 

ロケットランチャーを手で掴み、

 

「グレネード!!」

 

ひゅん

 

「そぉい。」

 

べし

 

ばぁぁぁぁん!!

 

グレネードを蹴り返し、

 

「火炎放射ぁ!!!!」

 

ボォォォォォ!!!

 

「何故だぁ!!!!」

 

火の海から現れ出てくる。

 

 

「何故死なない?!!」

 

やがて数が減っていき、後7人になった。

「僕は死にましぇぇん。」

「ふざけるな!!!」

「ふざけてるよぉ。」

「くそがぁ!!!」

 

ばばばばばばばん!!!!!

 

キンキンキンキンキン!!!

 

打つ弾のことごとくが跳ね返される。

それを見て、テロリスト達は作戦を変えた。

それは、

 

「きゃぁぁぁぁ!!!」

「動くなぁきさま!!」

 

クラスメートが人質に取られた。

人質に取られたのは神代亜美。善行とは特に仲が良くも悪くもない。どうやら教室から廊下へ連れて行かれたようだ。

人質に取られて動くことが出来なくなった善行。

 

「よし!そのまま動くな!動くなよ!」

「なんだ?それはふりか?」

「ふってねえよ!!いいからおとなしくしてろ!」

人質で善行をおとなしくすることに成功したテロリスト達は少なくなっても、政府と交渉をするつもりのようで、なにやら作業を始める。

 

動かずにダガッシーと会話する。

「なあどうする?」

「殺ればいいじゃん。」

「それじゃあ神代も死ぬだろ。」

「じゃあ動かずに殺ればいいのだろ?」

「まあそうだけど。」

すると、ダガッシーは小声で呪文を唱え始めた。

「あーー。」

何をするか分かった善行。

まあ、毎度のあれである。

「神代ーー。」

「え?!!何?!猪飼くん!」

「なるべく目はつむっとけよ。」

「どうして?!」

「いいから。目をつむっとけ。」

「勝手にしゃべるなお前!!」

「あ、そうそう。お前ら。」

「なんだ!人質の解放はしないぞ!」

「いや、あのな、」

そしてこう言いきった。

 

「お前はもう死んでいる。」

 

「チョコニー!チョコボン!!」

 

びちゃゃぁぁぁぁぁ!!

 

テロリスト達の肉片が辺りに飛び散った。

「‥‥‥‥へ?」

突然、さっきまで自分の首にナイフを突きつけていた男が一瞬で肉片と化してしまった事に呆然とする。しかし、時間が経って事態が分かってくると、顔を真っ青にしていき、

 

「‥‥‥‥きゅぅぅぅん」

 

どさっ

 

気を失って倒れてしまった。

「だから目をつむっとけと言ったのに。」

「まあまあ、無事だからよいではないか。」

「確実にトラウマになったろうけど。」

「でも、これで一件落着ですね。」

「まあ一応確認して行くか。」

 

その後、全部の教室を調べて回ったが、テロリストはどこにも残ってなかった。

 

がらがらがら

 

「ふー。」

普通に教室を開けると、

 

「「「「「‥‥‥‥‥え?」」」」」

 

クラスメート達がぽかんと善行を見つめた。

寛人が声をかける。

「お前、大丈夫だったの?」

「ああ。」

「すげえ銃声が聞こえてきたんだけど。」

「あーー。大丈夫。当たらなかった。」

「は?!!当たらなかった?!!」

「うん。当たらなかった。」

「なんで?!!」

「なんでも。」

「なんでも?!!」

「なんでも。」

説明にならない説明をした。

 

 

やがて警察がやって来て、事態の収拾にかかる。一面の血の海に戸惑ったものの、しっかり仕事をする。この事件は謎の集団自殺として解決された。善行は直接は手を出してないので、罪に問われなかった。そもそも、魔法なんて概念が頭にないし、存在も知らないため、善行を罪に問えるはずがない。

 

 

 

「おはよう。」

「あ、おはよう、善行。」

「よっす。」

翌日。

学校は落ち着きを恐ろしいほど早く取り戻し、普通の日常に戻ってた。

席に着くなり話しかけてくる寛人と虎哲。

「昨日のあれはヤバかったな。」

「それなのにあっという間に解決したね。」

「そうだな。」

「お前、あの時何があったの?」

「ん?言えない。」

「なんで?言えよ。」

「言わないよ。そんなに聞かなくてもいいだろ。」

「そんなこと言ってもねぇ。」

そう言い、寛人と虎哲は同時に同じ方向を向いた。

すると、その向こうにいた女子生徒がこちらにやって来て、こう言う。

 

「‥‥‥あの‥‥おはよう、猪飼くん。」

 

「あ、ああ。おはよう。」

顔を赤くして、もじもじしながら挨拶してきた神代亜美は善行の挨拶を受けると、嬉しそうに首を降ったあとゆっくりとさっきまで話してた女子グループに戻っていった。

「あのおとなしくてクールの神代がねぇ。」

「あのあと善行の事をすごい気にし出したらねぇ。」

「何?」

「‥‥あれ?お前、気づかないの?」

「何が?」

「本当に気づいてないの?」

「だから何に?」

「「はぁぁぁぁ。」」

「何?」

「もういい。」

「お前が鈍感やろうだったとは。」

 

善行の青春は少し遠いかもしれない。

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