「‥‥‥‥なぁ。」
「‥‥‥‥なんだ。」
「‥‥‥‥何ですか。」
「‥‥‥‥これ、どういうこと?」
「‥‥‥‥どういうことって‥‥」
「‥‥‥‥こういうことですよ。」
ひたすらに森を下っていったのだが、森を抜けてあったのは、
ザザァ
海岸だった。
そして、
水平線の向こうを見ても、島の影が一つも見当たらない。
「何これ。ここ島なの?」
「だろうな。どうやら本土からかなり離れてるようだ。」
「ってことはこっちには船で来たんですか。」
「いや、どこを見ても船なんて止まってないんだけど。」
「どうやらもう帰ったみたいですね。」
「この島に取り残された訳だな‥‥‥」
辺りを見ても、船舶の影が一つもない。ここから帰る手段が完全に無くなってしまった。
「‥‥‥‥どうすんの?」
「って言われてもだなぁ‥‥‥」
「船が来るのを待つか、探しに行くかじゃないですか?」
「ここに無くて何処にあるんだよ。」
「どうやらここ軍事的な島らしいから
、救命ボートの一つはあるんじゃないですかね。」
「‥‥‥かもしれないな。」
「行ってみるのだ。」
三人で話をまとめ、もう一度森の中へと入っていく。
「あのさ、もしかしてあの中入るの?」
森の中の全く整備されてない、道とは言えない所を通りながら善行はたずねる。ちなみにあの中とは一番最初に出てきた所の近くにあった建物の中のことである。
「それしかないだろう。」
「でもさあ、絶対に武装した誰かがうろうろしてるよな。」
「そりゃそうですよ。軍事基地っぽいですから。」
「こちらス〇ーク!!」
ガシ!
「だまれ。」
「ごめんなさい‥‥‥」
善行のアイアンクローがダガッシーに食らいつく!
「‥‥‥でも、確かにス〇ークになるよな。」
「チャラ!!誰だ!!」
ブス
「俺だ。」
「‥‥‥‥すみません‥‥」
今度は目潰しである。
「あ。」
そこで少し思いついた善行。
「もう突っ込めば話は早くない?」
「‥‥‥それじゃあ意味がないだろ。なるべく気づかれずに出ないと、あの子供達にも危害が加わるかもしれないぞ。」
「確かに。」
「まあ、気づかれずに行った方が後々楽だと思いますよ。」
そうやって話し合っていると、前方に微妙に建物の影が見えてきた。
「‥‥‥‥生身で行くの?」
「?どういう意味だ?」
「いや、明らかにすぐ見つかるだろ。」
「それなら、玄関にいいものがあるじゃないか。」
そう言ってダガッシーが指差した方向の先には、
ダンボールが。
「‥‥‥まさか‥‥」
「うむ。」
「‥‥‥‥やるのか‥‥」
「そうです。」
「‥‥‥‥って、無理だろ。」
「何故だ?」
「いや、体が入りきらないから。」
「じゃあ、他にどうするというのだ?」
「‥‥‥‥‥‥視線誘導?」
「それけっこう難しいですよ?」
「いいよ、こんなの被るよりかは。」
「視線誘導ってカッコいいな!オラ、何だかワクワクしてきたぞ!」
ブスっ
「痛い‥‥‥」
「お前は黙ってろ。」
こうして善行のスニーキングミッションが始まった。
「こちら、敵兵の気配なし。」
「ノリノリじゃないですか‥‥‥」
開けっ放しの扉から中に入ると、そこそこの広さのロビーがあり、奥にエレベーターがあった。
「なるほど、道理で小さい建物だと思った。」
「地下に部屋を作ったようですね。」
「らしいな。」
ロビーに誰もいないことを確認して、いざエレベーターのボタンを押そうとして、
「いや、ダメだろ。」
止めた。
「何でバカ正直に正面から突っ込むんだよ。」
「まあ、普通しないだろうな。」
「じゃあ止めろよ。」
ロビーを見回してみると、非常用階段があった。
「‥‥こっからだな。」
そして善行は一段一段ゆっくり降りていく。
階段を使う者は誰もいないらしく、物音一つ聞こえてこない。
「とりあえずここからだな。」
善行が立ち止まったのは地下一階の扉。
「‥‥‥ノックしてもしもーし。」
勿論ノックなどせずにゆっくりドアを開ける。
恐る恐る中を覗いて見ると、真っ白な廊下が先へ伸びていた。
見たところ、人の姿は見当たらない。
サササッと足音を殺して曲がり角があるところまで進む。
「ここでメタ〇ギアだったら覗き込まなくても様子が把握できるのに。」
「あれはゲームだからな。」
そろーりと角の先を覗いてみると、ちょうどこちら側に白衣を着た男達が二人歩いてきている。
「‥‥‥どうする?口封じか?」
「‥‥‥すぐに殺そうとしないで下さい!」
善行は咄嗟に近くの部屋の扉を素早く開け、中に入る。
どうやらここは資料室のようだ。幸い中には人がいないが、そこまで広くない中に机を置いているため、少し窮屈に感じる。
「‥‥‥‥てか、暗くて何も見えない。」
「なら、フラッシュありますよ?」
「マジで?」
すると泥っちは何処から取り出したのか、妖精仕様の腕時計のようなものを取りだした。
すると、壁の一部が懐中電灯に当てられたように光る。
「‥‥‥‥なんだそれ。」
「ライトですが?」
「コナ〇が使ってる腕時計のライトに見える。」
「気のせいですよ。」
「俺達少年探偵団!」
ダガッシーは無視である。
狭い範囲を照らすライトであちこちを見回して見る。
「ここ、何が置いてあるんだか。」
すると、歩いていた善行が机の上の資料にぶつかり、床にばらまいてしまう。
「あ‥‥‥」
机の配置とかで感づかれる訳にも行かないので、散らばった紙を集めていく。
ふと、拾い上げた紙に視線を向けると、その内の一枚に気になる記載があった。
「‥‥‥‥なんだこれ。『捨てられた子供の楽園』?」
「どうした?」
「いや、この資料に変なことが書いてあるんだけど。」
「変なことですか?」
「これ。」」
拾い上げた紙に泥っちのライトを当ててもらう。
そこには、
「‥‥‥‥へー。」
「へーじゃないですよ。これ完璧に国際問題になりますよ。」
「しかも指導しているのが国のトップと来たか。」
その紙はあるプロジェクトの計画書だった。
その内容は、日本中のあちこちで身寄りが全くない子供達を回収して、この島で軍事的な訓練と遺伝子操作で最強の軍隊を作り上げるというものだった。
比較的身体能力が上がりやすい子供の時期から厳しい訓練を積ませて、更に体力をつけるために遺伝子をいじくったというのだ。
「あの子供達は兵士だったのか。」
「恐るべき子供達ですね。」
「‥‥‥何か引っ掛かる単語だな。」
勿論少年兵を持っているなんて事が世間の知れる所になったら、国のトップである人達は責任を取らされるはめになる。
「つか、何でこんなことをしてるんだ?」
一番の疑問は、こんなことをすることのメリットだ。
平和社会が形成されている現代で軍事力を持ってしまう、それも子供を使ったものであると、それこそ他国からは非難ごうごうだろうに、わざわざこんなことをする意味がいまいち見えてこないのだ。
「ここは見てないふりをするべきっしょ。」
「んー、まあそうだな。」
「さっさと船見つけて出ますか。」
「でも、船で島を出ようならすぐに見つかると思うけど、大丈夫なのか?」
「‥‥‥‥さあ?」
「まあ、この島を出ていく船にこっそり乗り込むっていう選択肢もありますよ。」
「当分は来ないだろうけどな。」
「‥‥‥こっからどうすんのだ?さっきの研究者っぽいやつらはもう行っただろう。」
「ここ、地下の何階まであるんでしょうか?」
「┐('~`;)┌」
「┐('~`;)┌」
「見事にシンクロしましたね。」
「まあまあ、考えたって仕方ないから先に行ってみようではないか!」
そう言ってドアノブに飛び乗り、全身を使って器用にドアを開けた。
ドアから廊下を覗いてみても、人らしい影はないので、先へ進んでみることにした。
曲がり角の先を見ると、五十メートルはある廊下があり、その果てに大きめのドアがあった。
「うおお!長い廊下だー!キラースライディング!」
何故か全力でスライディングして進むダガッシー。
どうやら長めの廊下というものが初めてでテンションが上がったらしい。
善行は善行でササっとスパイのようにドアの前まで行く。
そして、着いたドアにある名札には、
「‥‥‥‥格納庫?」
と書いてあった。
「‥‥‥もしかしてメタ〇ギアがこの中にあったりするんじゃないか?」
「そんなわけないだろ。」
何て言いながら開けたもんだから、その先にあったものをうっかり見てしまい、
「‥‥‥‥マジであるとか‥‥‥」
唖然としてしまった。
そこにあったのは、まさしく足を使って移動する戦車のようだった。
格納庫の左側はシャッターが降りていて、そこから地上へ何やらして運ぶのだろう。
そんな格納庫の中心に全長五十メートルの戦車は、無限バ〇ダナを巻いた人が出てくるそれとは違い、脚が八本もあるフォルムだった。
近づいてよく観察している善行達。
「あれをメタ〇ギアとは思いたくない。かっこよくないし。」
「多分それとは別物だろう。核を積んでるようではないぞ。」
「あんなのがカサカサやって来るとなると、キモち悪くて卒倒しそうですが。」
「どちらかといえばマ〇ーのポ〇キーのやつにも見えるなあ。」
戦車の本体にはガトリングガンやレールガン、ロケット砲まで積んであるように見える。
「つか、この展開あれじゃね?」
「‥‥‥確かに。」
「流れ的に、」
「「「これを破壊する必要が出てくるな(きますね)。」」」
「やっぱりバンダナのおじさんみたいになりそうだな。」
「すぐには帰れそうにないですね‥‥」
「何!?どうしてくれるんだ!予約しといたらアニメが見れないじゃないか!」
「帰れたら見ればいいじゃん。」
「何を言う!私は一日に一回はアニメ見ないとダメな妖精なんだ!」
「じゃあそこで死んでろよ。」
「ひどい!!」
ガチャ
「何の騒ぎだ?」
ちょっとボリューム大きめで話していたら声を聞かれたらしく、誰かが格納庫に入ってきた。
咄嗟に八本足戦車の陰に隠れる。
「‥‥‥お前、うるさいよ。」
「‥‥‥私にとっては大事な話なんだ。」
「‥‥‥なんだそれ。」
入ってきた軍服の男は、中をぐるりと見回しながら、こちらにやって来ている。
「‥‥‥おい、こっち来るぞ。」
「‥‥‥‥‥‥こうなっなら‥‥」
「‥‥‥こうなったら?」
「「無力化だ!」」
バッと飛び出す二匹。
「くらえ!アイスバーン!」
ダガッシーが呪文を唱える。
パキィィ
やって来た男が一瞬で凍ってしまう。
そしてそれを、
「ひぐちトルネードカッター!」
竜巻のかまいたちでシャーベット状にして、
「そい!」
どこからか出した皿に盛った。
「「はい!」」
赤黒く濁ったかき氷の出来上がり!
「何殺ってんだよお前ら。。」
「だって、仕方ないじゃないか。」
「そもそもお前がうるさいのが悪いんだ。」
目の前にある赤色っぽいのかき氷。
細かいところが色んな色をし過ぎて、若干神々しくなっている。
「どうするこれ。戦車の上に飾るか?」
「いや、ダメでしょ。」
「ふーん。」
すると善行はジーっとかき氷を凝視し始めた。
「ん?どうした。そんなに味が気になるなら食べてみるか?」
「そうだな。」
そう言うと、ダガッシーの方を向き、
「どうした少年――――って痛い痛い!!何で急にアイアンクローをするんですか!!」
そしてアイアンクローで捕まえたダガッシーの口元に、無理矢理かき氷を押し込む。
「む、むぐぅぅ!!?」
「おら、口開けろ。」
どんどんダガッシーの口に流し込まれていく狂気のかき氷。
「んぐ!!!んぐうぐぐぅ!!!」
息が出来ないらしくジタバタ暴れだすので、六分の一くらいを流し込んだところで手を止める。
「味はいかほどか。」
「‥‥‥‥‥‥鉄とすっぱい味がするかき氷は生まれて初めてだ‥‥‥‥」
横たわってピクピクしながらそう言ったダガッシー。全身が青くなっていた。
「さて、冗談はさておき。」
「冗談!?あれが!?」
「奥にもまだあるようだな。」
「一応見に行って見ましょうよ。何があるかわかりませんから。」
格納庫の入り口とは反対側にある別の扉に進んでいく善行達。
「何でこっち側だけ‥‥」
何故か自動ドアになってるそれが開くと、また廊下が先へ伸びていた。
そしてその先にまた扉が一つ。
そのドアも人が近づくと開く自動式で、目の前に立った善行に反応してドアがスライドした。
中はコンピューターを並べた長机が並んでいて、部屋の奥には大きめのディスプレイがあった。
指令室のように見えるその部屋には、パソコンのキーボードを叩く研究者らしき男達が必死にパソコン画面を見つめている。
「おう、やべ。」
「反応軽。」
人がいるということで、サッと部屋から出ていく善行。
どうやら自分達が入ってきたことに男達は気づいてないらしい。
騒ぐ気配を感じなかったので、ホッとする善行達。
「どうやらあれは研究室みたいですね。」
「そうか?指令室のように見えたけど。」
「研究者をそんな部屋に集めませんよ。」
「‥‥‥まあ、そうか。」
再び引き返して、格納庫の方へ廊下を進む。
「ここにはこれ以上部屋は無さそうだな。」
「何か変な造りですね。」
「気にすんな。作者が悲しむ。」
「何ですか作者って。」
「┐('~`;)┌」
再び格納庫へと続くドア。
近づいてドアを開こうとしたその時、
ビーー!!ビーー!!
警報音が鳴り響いた。
「あれ?見つかった?」
「ええ!?ヤバイじゃないか!!」
「早くここから抜けましょう!!」
するとすぐにアナウンスが入る。
『緊急警報!緊急警報!格納庫に毒を仕込んだと思われるかき氷を発見!館内に異常がある可能性!直ちに警戒体制に入れ!』
「‥‥‥お前、あの狂気のかき氷は?」
「あれか?残った分は戦車の上に飾って置いたぞ。」
ブスっ
「ぎぃゃあ!!」
「メチャメチャくだらん理由で警戒体制敷かれてしまったじゃん。」
「まあ、最悪見つかったらバトればいいんですよ。」
「まあそうだけど。相手は国だからな。」
「いいんじゃないですか?別に気にしなくても。」
「そういう訳にはいかないだろ。」
「っていうか、隠れないと見つかるぞ。」
「でも、隠れる所ないじゃん。」
「これがある。」
ダガッシーが取り出したのは、大きめの人間でも入るくらいの大きさのダンボール。
「え、やるの?」
「当たり前だろ。」
「他に方法はないですよ。」
「うーん。大丈夫かな?」
「大丈夫だ。きっとバレない!」
決め顔で言うダガッシー。
「んーー‥‥まあ、他に方法がないのは確かだし。」
そう言って、素直にダンボールを被り、そして通路の端に座る。
すると、
ウィーーン
自動ドアの開く音が聞こえた。
どうやら誰かが入ってきたらしい。