お菓子な剣は好きですか?   作:九呂巣

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巻き起こすかき氷革命!

 

カチャ

 

カチャ

 

腰に下げた武器を鳴らしながら横を通っていく兵士達。

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

ダンボールの中へ隠れた二匹と善行はひっそりと敵が通り抜けていくのを待っている。

だが、この廊下には物一つ置いてないのでなかなか出ていくタイミングがつかめない。

「‥‥‥‥っつか、何もない廊下に一個だけダンボールとか明らかに怪しいだろ。」

「‥‥‥‥でも、全く気になってないらしいですよ?」

「‥‥‥‥何でだよ。」

「‥‥‥‥これがダンボールの魔法だ。」

「‥‥‥‥お前は黙れ。」

「‥‥‥‥理不尽だ!‥‥」

ちなみにこのダンボールの側面には割れ物注意と書かれている。

「‥‥‥‥隠れたのはいいけど、こっから動けないじゃん。」

「‥‥‥‥どうしましょうか。」

「‥‥‥‥とりあえず殺せばいいんじゃないかな?」

「‥‥‥」

「‥‥‥」

「‥‥‥‥無視か。無視ですか。」

「‥‥‥‥ひとまずは脱出することを考えましょう。探索はお預けです。」

「‥‥‥‥だな。それで、ここからどうやって動くんだよ。」

「‥‥‥‥君、ここに入る前に言ってたじゃないか。」

「‥‥‥‥は?」

「‥‥‥‥言ってただろう。忘れたとは言わせない。」

「‥‥‥‥ああ、視線誘導か。」

「‥‥‥‥本当にやるんですか?」

「‥‥‥‥任せろ。」

そう言うと善行はポケットからメ〇トスを取り出した。

そしてメ〇トスの一粒を指で挟み、デコピンの構えをとった。

「‥‥‥‥お前なんかお菓子で十分さ。」

善行はダンボールの取手の穴からメ〇トスを弾き出した。

 

カチャ

 

「!?なんの音だ!?」

やって来た兵士の目が廊下の反対側に飛んでいったメ〇トスの音に反応した。

その隙に、

 

ウィーーン

 

自動ドアを抜け、格納庫に出た。

そしてそのすぐ脇でダンボールに入る。

「‥‥‥こんなにちょろいとは‥‥」

「‥‥‥私はあれはゲームの中だけだと思ってたんだが‥‥」

「‥‥‥こうも軽々出来てしまうなんて‥‥」

ゲーム感覚でやったのにあっさり出来てしまったことにびっくりの三人。

「‥‥‥ここにもいるな、一人だけ。」

ダンボールの取手の穴から格納庫の様子を確認する。

「‥‥‥いや、もう一人誰かいるようだぞ。」

「‥‥‥なんですか?あれ。」

「‥‥‥どこだ?」

「‥‥‥あの戦車の近くです。」

泥っちに言われ、戦車の近くに目をやると、

 

兵士と見られる男が倒れていた。

 

そして近くに、

 

あのかき氷。

 

「‥‥‥あいつ食ったのかよ。」

「‥‥‥まあ、人間なら卒倒ものだろうな。」

「‥‥‥つか、病人を放置すんなよ。」

「‥‥‥ゲームみたく死体は時間が経つと消えるんじゃないですか?」

「‥‥‥いや、死んでねーよまだ。」

そこで改めて格納庫の中を見回す。

「‥‥‥んで、こっからはどうするんだよ。」

「‥‥‥こんなに広いと見つかりやすいですからね。」

「‥‥‥‥‥‥あ。」

「‥‥‥どうした。」

「‥‥‥そういえばいいものがあった。」

 

ブスっ

 

「‥‥‥!?!!?!!」

きれいにダガッシーの目に刺さる善行の指。

「‥‥‥そういうものは早く言えよ。」

「‥‥‥何故‥‥‥‥私は目潰しを‥‥」

「‥‥‥気分?」

「‥‥‥‥ひどい‥」

「‥‥‥それより、いいものって何だよ。」

「‥‥‥ああ、それなんだがな。」

ダガッシーはよいしょっと善行の肩に乗って言う。

「‥‥‥ものを持ってるっていうよりも、ドラ〇もんの四次元ポ〇ットから召喚するような感じでな。特定の場所にそれは召喚出来るんだよ。」

「‥‥‥なにそれ。」

「‥‥‥まあやってみたら分かる。」

するとダガッシーは手を格納庫の自分達と出口から遠いところに合わせて、

「‥‥‥オープン。」

呪文を唱えた。

すると、

 

そこに大きめの真っ赤なだるまが召喚された。

 

「‥‥‥何か見たことある感じのやつだな。」

「‥‥‥まあ、男丸のぬいぐるみみたいなものです。」

「‥‥‥誰がこんなもの買うんだよ。渋すぎだろあの顔。」

「‥‥‥私は興味本意で買ったんですがね、意外と使えるんですよあれ。」

「‥‥‥は?なんで。」

「‥‥‥ダガッシー、もしかしてあれはまさかのあれですか?」

「‥‥‥そうだ。」

「‥‥‥何だよ一体。」

「‥‥‥まあ、見ていれば分かる。」

すると、見張りの兵士はだるまに気づいたようで、警戒しながらだるまに近寄っていく。

そして目の前までやって来て、しゃがみこんでだるまを調べようとして手に取ろうとしたとき、

 

『ギガファイア!!!』

 

ばきぃぃ!!

 

「ぷぎゃぁぁぁぁ!?!!?」

 

妙に渋いおっさんの気合いと共に、だるまの額から巨大な炎が噴き出してきた。

 

全身が火だるまになって地面を転がり回る兵士。しかし燃え移った火の大きさがため、火は収まることもなく、やがて動かなくなってしまった。

「‥‥‥何なの、あれ。」

「あれはビックリ箱です。」

「過激過ぎだろあのビックリ箱。相手を脅かすどころか燃やしつくしてんじゃねーか。」

「まあ、あれは気に入らない相手を不意打ちでぶっ飛ばすための道具だからな。」

「‥‥‥妖精界って凶暴だよな。」

「そんなの心外です!!」

「これは鬱憤をはらすというんだ!」

 

ブスっ

 

「ぎいゃあーー!!!」

「うぎゃぁぁーー!!!」

「さっき殺すな言うたのに‥‥」

ダガッシーと泥っちはもちろん目潰しを。

「あの処理どうするんだよ。」

「‥‥‥またあれやるしかないな。」

「‥‥‥ですね。」

「誰もおかわり頼んでないよ。」

その後、戦車の上のかき氷は、より黒っぽくなってボリュームアップした。

 

 

 

 

「‥‥‥‥そんでよ。」

善行は格納庫の出口に立って言う。

「ここからはどうしようもないんじゃないか?」

「‥‥‥確かにそうですね。ここの廊下、あちこちで分岐してますし、長いですし‥‥‥」

「ダンボールじゃあ無理だな。」

ここから通るのは、施設のあちこちに伸びている廊下であるため、隠れるような場所が少ないのである。そして長いため、見つかるリスクはとても高い。

「これ以上蹴散らして行くと警戒レベルがもっと上がるぞ。」

「ですね。ここからはおとなしく行きましょう。」

「しかし、これ以上に方法はもうないのだが。」

「‥‥‥‥‥‥そうだ。」

「む、閃いたか少年。」

「‥‥‥‥お前、ネズミの振りをしろよ。」

「‥‥‥‥いや、意味が分からないんだが。」

「いや、とりあえず話を聞けよ。」

 

 

 

 

出口の自動ドアが開く。

そして、ダンボールがサササッと中に入り、すぐ脇で止まる。

「‥‥‥‥誰もこっちを見てないようだぞ。」

「‥‥‥‥お間抜けすぎるだろ。」

「‥‥‥‥まあまあ、ちょうどいいじゃないですか。」

やはり、廊下には見張りがいた。そして、曲がり角の向こうにはもっと見張りがいるだろう。

「‥‥‥‥準備はいいな。」

「‥‥‥‥もちろんさ(  ̄ー ̄)ノ」

答えたダガッシーは、普通の姿ではない。

全身を真っ黒で無理潰している、パッと見はネズミに見えるような気もする。

「‥‥‥‥よし。さあ行け!」

「‥‥‥‥ダガッシー、行っきまーす!」

そして、善行の声を合図にダンボールの取っ手の隙間から外へ躍り出た。

変な生き物と思われないため、一応四足歩行で歩く。

廊下の隅をこそこそと歩き、曲がり角を曲がり、格納庫に来た方向とは別の方向に進んでいく。

そして、そこで見つけた一兵士に向けてダガッシーは、

 

「くらえ!飛鳥文〇アターック!!」

「ぶごぉぉ!!?」

 

みぞおちに突進した。

「な、何事だ!?」

突如ダメージを受けた兵士は混乱し、騒ぎを大きくする。

それを遠くに聞きつけた善行達は人通りの少なくなった道をこそこそと通って行き、

 

「超ちょろいな。」

「‥‥‥軍人としてどうなんでしょうかね‥‥」

 

あっさり地上へと出れた。

 

そして、地上へ出た近くの木の陰でダガッシーを待っていると、

「アイルビーバァーック!」

真っ黒のダガッシーが飛び出してきた。

「陽動、うまくいったな。」

「いや、上手く行き過ぎですよ。」

「ご都合主義ってやつだよ。」

「‥‥‥‥‥何も言えねぇ‥‥」

一瞬、泥っちの背後に豪快な水泳選手の顔が浮かんだ。

「うーん、本当にどうしようか。」

「為す術ありませんね、本当に。」

「次に船が来るのを待つしかないか。」

「だな。」

そして、とりあえず森の中で暮らすことにした。

「んで、食料は?」

「んー、困ることはないぞ。」

「なんで。」

「作れるじゃないか。」

そう言って、ダガッシーは善行に狙いを定めて、

 

「チョコニー!」

 

呪文を唱えた。

「‥‥‥‥あのな。」

「なんだ。」

「体に悪いだろ、お菓子ばっかりなんて。」

「良いではないか。それに虫歯にもならんぞ!」

「あんまし嬉しくない。」

「でも、これ以外にしようがないだろ。」

「‥‥‥‥‥お前は何かないのか。」

「僕ですか?うーん‥‥‥‥現地調達?」

「俺達、何が食べれるか分からないんだが。」

この森の中に、一体食べれるものはどれだけあるのか。

「食い物も盗んでいくしかないのか‥‥‥」

「でも、あの時見たあんな味気のない食料しかないのか。」

「仕方ないですよ。」

なんて喋っていると、

「あれ、マジか。」

日がどんどん水平線の向こうに沈んでいってることに気づいた。

「夜になるじゃん。」

「食料は明日考えますか。」

「とりあえず今晩はチョコで済ませようではないか。」

「寝床は。」

「野宿しかないだろ。」

「え、嫌なんだけど。」

「でも、ここ以外に寝れる場所はないですよ。」

「はぁー。」

そして、善行達は草が生い茂った地面の上に直で寝ることになった。

 

 

 

 

 

「‥‥‥んん。」

木々の間から木漏れ日が射してきて、辺りからは鳥のさえずりが聞こえてくる。

朝になって、普通に目を覚ました善行。

上半身を起こして辺りを見回す。そして、足元で気持ち良さそうに寝息を立てているダガッシーと泥っちを見つけ、それぞれに手を伸ばし、

 

鼻をつまんだ。

 

「‥‥‥‥んぶはぁぁ!!?」

「‥‥‥‥ふごぉぉ!!?」

呼吸が苦しくなって目が覚めた二匹。顔が真っ赤である。

「何するんだ少年!!」

「寝起きドッキリ。」

「ドッキリで殺されかけてたまるか!!」

「‥‥‥‥本当に死ぬかと思いました‥‥‥」

「お戯れを。」

「戯れであってたまるか!!?許せんぞ!!」

「いいけど、俺に勝てるの?」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥」

「‥‥‥‥もし、攻撃したら?」

「レンジでTIN。」

「ごめんなさい愚かな私目を許してください!」

「いや。」

「何で!?まだ何もしてない!!」

「何となく。」

「気分でTINするのはやめて!!」

朝から騒がしいダガッシーだった。

「‥‥‥まあ、もうそれは置いといて。今後の活動はどうするんですか?」

「いや?まだ何も。」

「ただ待ってるだけって訳にもいかないだろう?」

「でも、他にすることがないだろ。」

「ここにきて暇ですね‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥‥あ。」

「む、どうしたよ少年。」

「落とした。」

「何をですか?」

「生徒証明のカード。」

「「‥‥‥‥‥‥‥」」

「あれは見られたらまずいだろ。」

「‥‥‥‥あの、いろいろつっこむところが多すぎなんですけど‥‥」

「‥‥‥とりあえず、なんでそれだけ持っていたのだ‥‥‥」

「気分?」

「「意味が分からない‥‥‥‥」」

うっかりにもほどがある。

そして流れが良すぎて裏を感じる。

「‥‥‥‥とりあえず取りにいきますか‥‥」

「あれ、再発行出来ないからな。」

「‥‥‥‥何か、今の一言でこれからの難易度が上がった気がするぞ‥‥‥」

「‥‥‥‥顔見られてもまずいですし、とりあえず早く行きましょう。」

「もう既に手遅れだと思うが。」

「いや、何が何でも取りにいかないと。後の事とか気にしてる場合じゃない。」

「‥‥‥‥普通、優先順位は逆ですよ‥‥」

こうして、再び謎の施設に舞い戻ることになった。

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