ある程度の話は考えているんですが、日々の出来事で小説を投稿する気がなくなっている今日この頃です。更新が不定期なのをご了承ください。
小説のあらすじで弾幕ごっこや戦闘な殆どないといったな。しかし、ポケモンバトルは別だぜ!
とういうことで、前回のあらすじ。
幻想郷で妹紅、慧音、幽香、チャモウを含めて初めてのポロック作りをしたクサナギたち。ポロック作りは成功に終わり、人里をのんびり回ろうとするが、そこに新たな出会いがあった。
では、本編へどうぞ!
「さあ、バトル開始です!」
今ボクは、妹紅ちゃんと早苗ちゃん、チャモウと対峙している。対峙している場所は里からそう遠くない開けた場所だ。
どうしてこうなったかは、少し時間を遡って昼食を取っている時にいたる。
―約40分前――――
あれからボクたち一行は昼食を取る為に蕎麦屋に向かうことになり、その間にお互いの自己紹介をおこなった。広場でボクに抱き着いて来たこの女の子は東風谷早苗ちゃんといって、外の世界からこの幻想郷に信仰している2人の神様と一緒にやって来たそうだ。やってきた理由は長くなるから飛ばされたけど、そのうちに話すことになった。
間もなくして蕎麦屋に入り、全員同じテーブルで食事をした。食事後に早苗ちゃんからボクについて色々と説明を要求され、ボクと幽香、妹紅ちゃんが今までのいきさつを説明した。
「そんなことが起こっていたんですね。」
食後のお茶を啜りながら早苗ちゃんはボクたちの話を聞いていた。あ、早苗ちゃんはボクがちゃん付けで呼ぶことを許してくれたから、名前は早苗ちゃんとなった。
「ほらほらっ、私が言ったじゃないですか!やっぱり妹紅さんが持っているその動物はポケモンでアチャモって名前だって!」
「ああー、そうね。言っていた気がするわ。」
「そうだな。そんな記憶も・・・確かにあるように気がする。」
「どうして信じてくれなかったんですか!?」
テンション高いな早苗ちゃん。
「いや、だって
「そうね、
「ひどいっ!」
なんだ、常識がありそうな先生までもがこの早苗ちゃんの扱い方が酷い気がする。本人なんか両手で顔を覆っているよ。
「妥当な判断だと思うわよ?」
「幽香さんも酷いですね!?今までこうして対面して話すのもなかったはずなのに!?」
「あなた、というかあなた達、山の神と巫女の噂はそこまで広がっているのよ。」
「え、え~そうですか~?照れますね~、そんなに噂になっていたなんて~。」
「・・・言っておくけど、マイナス方面での噂よ。」
「ええっ!?」
「今までの異変に関わった人間や妖怪たちからの評判は総じて良い方ではないわ。」
なんだろう、幽香にまでそこまで言わせるとは・・・。そこまでの要注意人物なのかな?・・・ボクも気を付けよう。
「こほんっ!・・・そのことより今はクサナギさんの事についてです。」
話を強引に戻したことからして、図星っていうか自覚があるのかな。
「そうね、食事中にも聞いたけど外の世界でゲームという仮想遊戯でポケモンが流行っていたそうね。」
「そうです!もちろん私もいちトレーナ―として頑張ってました!幻想郷に来るときはダイヤモンド・パールが発売する前でしたから、非常に残念だったんです。」
「ダイヤ?パール?宝石かしら?」
「いえ、これはポケモンのバージョン・・・舞台になる地方によって違う物語の名前になります。」
「地方?確かナギの説明から聞いた地方はイッシュ、だったな?」
「タジャ(そうだね)。」
しかし、これは驚いた。ボクがいた世界の他にもポケモンがゲームとして存在している世界があるなんて。でも、ダイヤ・パール前となるとルビ・サファまでか。ならアチャモに反応していたのも納得できる。
「そうです、イッシュ地方!私が知らない地方の名前!なんと胸躍る展開でしょうか!ポケモンはゲームの中では納まることが出来ないほど素晴らしいんですね!」
テンションMAXである。ボクたちを置いてぼりして、1人でトリップしている。気持ちは分からなくもないけどね。
「大丈夫、ナギ?」
ん?いきなり妹紅ちゃんが心配そうに声を掛けてきた。見てみれば先生や幽香も心配そうにこっちを見ている。チャモウは?状態だ。
「いや、その、自分が仮想の存在っていわれて、ショックじゃないの?」
ああ、そういう事か。ボクは元が人間でポケモンがゲームと知っているから、ショックもそこまで受けていない。ただポケモン世界を実際に見ていることもあって少し寂しい感情がある。
でも、どうしたものかな・・・。元人間だけでも話がややこしくなりそうだし、そこに目の前のポケモンがゲームで早苗ちゃんより未来?から来たとか、もっとややこしくなる。
「タジャ、タージャタジャ、タジャ。」
「・・・要約すると、ポケモンの中には世界を超えるような力を持つ存在もいるから、ボクたちが他の世界でも伝えられているとしても不思議じゃない、ですって。」
幽香、いつもお疲れ様です。これでどうだろうか?嘘は言ってない。
「世界を超えるって・・・そんなポケモンもいるのね。」
「想像を遥かに超えているな。そんな存在がいたのなら、そこまで驚いていないのも納得だな。」
「・・・・。」
妹紅ちゃんと先生は納得してくれたっぽいけど、無言な幽香が怖いです。チャモウは自分がポケモンでさえ知らなかったのが救いなのか、全くダメージを受けていない。
それにしても、世界を超えるって部分を簡単に肯定したということは、この世界にもいるのかな?そんな存在が。
「・・・はっ!?そうです!?そうでした!!」
おおう、早苗ちゃんが精神世界から無事に帰ってきたようで何よりです。
「バトルは!ポケモンバトルはしたのですかっ!?」
「い、いえ、やってないわ。」
早苗ちゃんが妹紅ちゃんに詰め寄る。
「何故ですか!目と目が合えばポケモンバトルの開始の合図じゃないですか!」
「そ、そうなの?」
「そうです、トレーナーとしては常識といっていいです。」
いや、そんな胸を張らなくてもいいじゃないかな?確かにその合図が現実でも適応されていたけど。
「常識・・・トレーナーの・・・・。」
あああっ!?せっかく修正した妹紅ちゃんの不安感が再発された!
「そうですよ、バトルもでしないでポケモンがよく育つはずもありません!」
ちょっと黙ってくれないかな早苗ちゃん、今の藤原さんの娘は落ち込みやすいんですよ!?
「・・・・・。」
ほらねー!?これははやくフォローしないと!
「ですから、やりましょうポケモンバトル!」
「え?」
「ポケモンバトルですよ!妹紅さんのチャモウさんとクサナギさんとでバトルするんですよ!」
「でも・・・、私、その初めてだし・・・。」
「大丈夫です!最初はみんなが初めてです!そのうちに勝利に快感を覚えてきます!」
なぜだろうか、この娘が言うと妙に説得力があるのは。
「さすが妖怪退治を楽しんでいるなだけはあるわね。」
ええー、それヤバいじゃないのかな。幽香の話を聞くとボクの中での早苗ちゃんのイメージが崩れていく。見た目は御嬢さんなんだけどな。
でも、ポケモンバトルはいいアイデアだ。これは利用して妹紅ちゃんを元気づけることも出来るかもしれない。
「タジャタジャ。」
「ナギはやってみてもいいって言ってるわ。」
通訳ありがとう幽香。
「チャモ~!」
「タジャ。」
「その子もバトルしたがってみたいよ。」
ポケモンからの本能かチャモウもバトルを望んでいる。
「・・・チャモウとナギがやりたいなら。」
おそらく妹紅ちゃんはチャモウが傷つくのを嫌がっている。けど、パートナー自身が望んでいるなら仕方ないようだ。
「大丈夫です!アチャモの技はあらたか知っていますので私が完璧にサポートします!」
確かにバトル経験者(ゲームだけど)の早苗ちゃんのサポートはありがたい。
「おそらくクサナギさんは見た目的に草タイプの進化前。進化前のポケモンなら弱点のタイプでイチコロですよ!」
ああ、ダメだ。完璧にゲーム脳で考えている。これは妹紅ちゃんだけでなく、このバトルで早苗ちゃんの認識を改める必要もある。
それとそんなことは本人がいない時に言いなさい。本場のポケモンバトルを体験させてあげよう。
「大丈夫なのか?」
先生が顔を近づけて聞いてきた。
「タジャタジャ。」
「・・・ナギには考えがあるそうよ。一応あの山の巫女の事も考えているみたいね。」
「そうか、なら私はナギを信じよう。チャモウと一緒にいる妹紅は笑顔が絶えないが、少し臆病な面もあるんだ。私はポケモン関係に助言は出せない身で図々しいと思うが、よろしくお願いする。」
先生にそこまで言われると余計に失敗は許されない。これはちょっと強引に早苗ちゃんも利用していこう。
「じゃあ、広い場所でなおかつ、人に迷惑が掛からない場所でバトりましょう!」
「それなら、里から離れた所にうってつけの場所があったから、そこに行こう。」
そうしてボクたちは会計をすませて(ボクの分は幽香が出してくれた)先生が知っている場所へ移動した。
―回想終了――――
以上が回想である。早苗ちゃんの意識の改善と妹紅ちゃんに自信を持ってもらうためのバトルが今始まろうとしている。
「審判は不肖ながら、人里で教師をしている私、上白沢 慧音が努めさせてもらう。・・・・こんな感じでいいのか、ナギ?」
「タジャタジャ。」
「結構さまになっているみたいよ、先生。」
「そ、そうか。ナギに教えてらった通りに出来るように頑張ろう。」
先生にはポケモンバトルの審判をやってもらっている。掛け声やバトル終了の判定を説明して急ごしらえ状態だけど、初めてとは思えないほどカッコイイ。さすが先生を務めているなだけある。
そして幽香は、
「私はナギは叫んだ技名を訳せばいいのね?」
「タジャ。」
そう、トレーナーがいないボクの繰り出すワザを叫んでもらう役を担ってもらっている。
一方、トレーナーがいる相手サイドはバトル初心者の妹紅ちゃんと助言を出してくれる早苗ちゃんが組んでいるので、一方的なバトルにならないと思う。
「だ、大丈夫かしら。」
「大丈夫です!金銀からプレイしている私がいるのですから、大船に乗ったつもりでいてください!もちろん赤バージョンもクリア済みです!」
「アチャー(やるぞー)!」
チャモウはやる気十分のようだ。少し前にチャモウが使える技を確認していたのを確認している。妹紅ちゃんの方もゲームとはいえポケモン歴がそこそこと思う早苗ちゃんのサポートがあれば大丈夫、
「おそらく御三家の草ポケモンの進化前なんて、効果抜群の『ひのこ』と『つつく』があれば楽勝ですよ!」
前言撤回、大丈夫じゃないね。これはしっかりとそのゲーム脳に現実のポケモンバトルを刻み込んでやりましょう。あと、進化前バカにしないで欲しい。ツタージャ可愛いじゃない。
「では、これより天籟クサナギと藤原妹紅とチャモウ、そしてサポート役の東風谷早苗との変則タッグポケモンバトルを始める。使用ポケモンは1体。時間無制限、1本勝負。始め!」
「ここは先制で一気に決めにいきます!チャモウさん、ひのこです!」
「アーチャー!」
バトル開始の合図と同時に早苗ちゃんが草タイプのボクに効果抜群のワザを指示してくる。チャモウの口から文字通りの火の粉がボクを目がけてやってくる。しかし、
「・・・タジャッ。」
「な、なんですとー!?」
ボクはこれを華麗に横にジャンプして回避。アニメで最強の回避技の1つでもある『避けろっ!』である。早苗ちゃんはこれにとても驚いている。
「え、えと・・・。」
「妹紅さんも技の指示を出してください。私が叫んだ技を出せば大丈夫です!」
「わ、分かったわ。チャモウ、ひのこよ!」
「チャモーー!」
少し頼りない妹紅ちゃんの指示だけど、チャモウはさっきよりやる気を出してひのこを繰り出す。
「タジャ!」
ボクはこれも避ける。
「ど、どうしてですかっ?!ゲームなら今頃は勝っていますよっ!」
どうも早苗ちゃんはまだ、これは現実のポケモンバトルというの実感できていないようだ。なら、強引に分からせてあげよう。
「でしたら当たるまでやるまでです!チャモウさん、ひのこを連続でよく狙ってください!」
「チャモー!」
早苗ちゃんはチャモウに無茶な命令を出した。これを利用させてもらおう。
「チャモー!チャモー!」
チャモウは自分で狙いを定めてボクに連続でひのこを当てようとしているけど、晴れの天候の中で何の策も無い状態では走るボクには簡単に技は当たらないのだ。
「なんで当たらないですんか?!しかも意外に足が速い!」
「・・・・あ、今の天気は晴れ!」
早苗ちゃんはどうして当たらないか分からない顔をしているけど、ツタージャのポケモン図鑑を見ている妹紅ちゃんは理由は分かったみたいだ。そう、これは晴れの日限定の能力だけど、ツタージャは太陽の光を浴びると素早く動けるのだ。これもゲームに実装されていたらな・・・。
「チャーー!・・・チャモッ。アー・・・。」
きた。いくらポケモンでも無限に息が続くようなポケモンはそういない。チャモウも例外でなく、連続でひのこを出すのも限界が来たようでワザが途切れた。これを見逃すほど甘くない。
「タジャ!」
「速い?!チャモウさん、こっちも避けるんです!」
「え、でも今は・・・。」
妹紅ちゃんはちゃんと見ているようだけど、早苗ちゃんは気付いていない。でも、新米トレーナーの自分が言っていいのか迷っている。
「チャッ!チャモッ!?」
チャモウもようやくボクを認識したようだけど、もうこの距離でただ避けるという命令は間に合わない。
「タジャッ!」
「たいあたり!」
「チャモ~!」
「どうして!?」
「チャモウ!」
ボクの『たいあたり』がチャモウに当たり、チャモウは後ろに吹き飛ばされる。結構な距離が空いたのでここで追い打ちを出す。
「タージャー!」
「グラスミキサー!」
ボクのシッポから出た葉が大量に渦を巻いた竜巻、『グラスミキサー』をそのままチャモウに叩きつける。
「草タイプの技!ならこっちは火です!ひのこ!」
「チャモー!」
ポケモンのワザにも相性は関係してくるが、ひのこ程度の威力がボクが頑張って鍛えたグラスミキサーに勝てるはずもない。
「チャモーーー!」
小さいひのこの群れはグラスミキサーに打ち消され、そのままチャモウを直撃した。
「「チャモウ(さん)!」
「っ!?」
妹紅ちゃんと早苗ちゃんの足元まで吹き飛ばされたチャモウを見た先生がすぐに試合終了の合図をだそうとしている。
「タジャ!」
「・・待ちなさい先生。」
「な、し、しかし、これ以上の継続は!」
「ナギには何か考えがあるようだから、そのまま見守ってなさい。」
「・・・。」
ナイスフォロー、幽香。b
「チ、チャモ~・・・。」
なんとか力を出して立ち上がったチャモウだけど、見て分かるほどダメージを負っている。
「どうして・・、どうしてですか!こっちも避けるように言ったのに!」
「・・・。」
さて、この辺で2人の認識を正しておこうかな。
「・・・・。」パアァァァ
「な、何ですか?!」
「・・・ナギ?」
早苗ちゃんはボクが人間に変身するのは初めてだから驚いている。
「・・・・ふう。」
「え?人間?子供?・・・え?」
うまい具合に早苗ちゃんは混乱しているので頭が真っ白になっているようだ。このインパクトのままでおしていこう。
「早苗ちゃん、ちょっといいかな?」
「は、はい!」
「避けろって言ったのに、チャモウがボクの攻撃を避けきれないのが納得いかないみたいだね。」
「そ、それはそうですよ。クサナギさんは最初はこっちのひのこを避けていたじゃないですか。」
「そうだね。」
「なら、こっちだって避けることも出来るはずです。」
「それはパートナーとの息が合って初めてできること。」
「・・・え?」
ゲームじゃあ、ただ指示を出せばよかったからね。ここは例えを出して分からせよう。
「早苗ちゃんはドッチボール出来るよね?」
「え?・・・それは出来ますけど、どうしてですか?」
「なら、真正面から飛んできたボールは避けれる?取るのは無しで、」
「も、もちろんです。これでも体を動かすのは好きですから、結構動けます。」
「なら、避けた後にまだ体の姿勢が整ってない内にまた正面からボールが飛んできたらどう?」
「それは、さすがに・・・。奇跡を使えれば大丈夫ですけど・・。」
「(奇跡?)そう、避けれないよね。これはさっきのチャモウの状態でもあるんだよ。」
「え?」
「ポケモンだって無限にワザを出せないんだよ。チャモウも切れたひのこを貯めている途中にいきなり避けろって言われても混乱するよ。」
「・・・・。」
「驚いているみたいだけど、それは当然だよ。だって、ボクたちポケモンだって君たち人間のように生きているんだから。」
「!?生きて、いる・・・・。」
早苗ちゃんは衝撃を受けている。顔がそんなバカなと言いたげだ。
「早苗ちゃんの頭だけの存在じゃないんだよ。ボクを、目の前のチャモウを見て。息をしているよ、自分で体を動かしているよ。ボクたちは空想上の生物じゃないよ。早苗ちゃんの頭の中でバトルのイメージができている見たいだけど、それはちゃんとボクたちを見ている?」
「・・・・・。」
「ちゃんと目の前にいるのに、それじゃあボクたちの存在を認めてくれないのと同じだよ。それはとても悲しいよ。」
「っ!?目の、前にいるのに・・・存在を認めてくれない・・・・。」
早苗ちゃんにはこれぐらいでいいかな。目に見えて狼狽えている。今度は、
「妹紅ちゃん。」
「は、はいっ!?」
チャモウを心配そうに見ていた妹紅ちゃんはいきなり呼ばれて驚いた。
「さっきのひのこの息継ぎでチャモウの状態に気がつてたよね?どうしてチャモウに指示しなかったの?」
「そ、それは・・・。」
妹紅ちゃんは気まずそうに俯く。
「・・・多分だけど。どうせバトル初心者の自分ではどうしても勝てない。チャモウに怪我してほしくない。とか色々考えていたでしょ?」
「うっ・・・。」
「妹紅ちゃん、ポケモンについて最近まで何も知らない君がいきなり未知の存在を認識したことで不安になる気持ちは分かるよ。『ポケモンって知らないで今まで生活していたけど大丈夫かな?』これが昨日から考えていることでしょ?」
「・・・うん。私が知らずにチャモウに何か負担を掛けていないか、って不安だったの。ポケモンを知らない私がこれから上手にチャモウを育てていけるかも考えたわ。」
「早苗ちゃんにバトルに指示を任せたのも、初心者の自分より経験者の早苗ちゃんの方が上手いと思った。」
「・・・・うん。」
これだ。これは初心者トレーナーがいつか通る試練なようなものだ。アニメのサトシ君も一回相棒のピカチュウを野生のピカチュウの群れにおいて行こうとしたしね。あれからサトシとピカチュウは確かな絆を手に入れたと思う。
「妹紅ちゃん、ポケモンの育て方。もとい、ポケモンとの接し方に正解も不正解もないよ。トレーナーとポケモンの数だけ出会いがある、旅の仕方、バトルの方針もある。妹紅ちゃんは妹紅ちゃんらしくチャモウと接すればいいよ。」
そう、アニメでも現実でもだけど同じポケモンで同じように育てていようが、全てが同じポケモンなんていなかった。バトルだって勝ち方が違う。
「でも、その・・・。」
それでも自信が付かないか。なら、これはアニメファンに怒られるかもしれないけど。
「例えば野生のポケモンをゲットしたけど、バトルに簡単に負けると何の躊躇もしないで捨てるトレーナーだっているんだよ。」
「!?ひどいっ!自分のパートナーをどう思っているの!私なんか、チャモウにどれだけ心を支えて貰ったと思っているの!」
「でも、バトルに勝つために強いポケモンを欲しがるのは悪いこと?負け嫌いの妹紅ちゃんは勝ちたい気持ちは分かるよね?」
そう、アニメでのサトシのライバルの1人のあの子だ。決してその子を否定しているわけじゃないよ?
「でも、勝ちたくてもそれじゃ意味が・・・。」
「ない、って言いきれる?その子はそのやり方でポケモンの大会まで行けたんだよ。これも一種の正解ともいえるんだよ。」
「・・・・・認めない。」
お?
「その人がそれで成功したとしても、私はそれを認めない!私は勝てなくても、今度は勝てるように一緒に頑張る!これが今までの私のやり方よ!」
「・・・それを否定されても?」
「・・・・正直、否定されると傷つくけど、私はそれで何度もチャモウと一緒に生き抜いてきたのよ!今なら自信を持って言えるわ。私はポケモンが、チャモウが大好きよ、これからもずっと何があってもこの子を信じるわ!」
パチパチパチパチ
「・・・え?」
妹紅ちゃんが気付けば、ボクと幽香、先生から拍手をもらっていた。
「良い顔になったわね、藤原妹紅。そうよ、今までの自分の生き方を他人に否定する権利などないわ。自分が自分である限り、誇りを持ちなさい。」
「そうだぞ妹紅。私は知っている、お前とチャモウがどれだけ一緒にいて、笑ってきたのかを。私は嬉しいぞ。」
「・・・・////。」カアァァァ
「チャモ~(ねえちゃ~ん)。」
「・・・・・。」
妹紅ちゃんは恥ずかしくなって顔を真っ赤にしている。チャモウは妹紅ちゃんに絶対の信用の目をしている。早苗ちゃんは妹紅ちゃんの横で今までのやり取りを無言で見ていた。
さて、いつまでもこのままではバトルが終了しない。ボクはまだ妹紅ちゃんとチャモウの絆を感じていない。
「・・で、負けず嫌いな妹紅ちゃんはどうする?」
「・・・・チャモウ、また怪我をさせるかもしれない、痛い思いをするかもしてない。でも、私が負けず嫌いなのは知っているわよね?」
「チャモッ!」
チャモウは自信満々にうなづいた。それを見て妹紅ちゃんは笑みを浮かべた。
「なら、やるわよ!」
「チャモー!」
パアァァァ
「タジャ!」
ボクもツタージャの姿に戻って、攻撃態勢に移る。本当の勝負はここからだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
クサナギと妹紅、早苗、チャモウチームがバトルを仕切り直し、お互いが動かずに相手の出方をうかがっていた。
「早苗、悪いけど今からは私のフォローをお願いするわ。私はチャモウと一緒に頑張ってみる。」
「・・・はい、分かりました。」
早苗は先ほどの妹紅とクサナギのやり取りを間近に受けて、このバトルを妹紅とチャモウに任せることを決めた。
「・・・・・タジャ!」
「!?来た!」
先に動いたのはクサナギだった。太陽光を浴び、上がったスピードでチャモウの周りを走り始めた。しかし、妹紅もそう同じ攻撃を何度もくらうような失態はしなかった。
「こっちも動いて!ナギを追いかけて!」
「チャモ!」
たいあたりを受けた時とは違い、妹紅も攻めの姿勢を見せる。
「(動いている相手にはひのこは当たらない。なら、こっちから当てられるようにチャンスを見極める!あのグラスミキサーは上から回転しながら叩きつけるように来るから、見極めて横に飛んでひのこを当てる!)」
妹紅は先ほどの弱腰はどこに行ったか分からない程に変わっていた。自らチャンスを掴もうとしているのがその証拠である。
「・・・・。」
クサナギは追いかけてきてるチャモウと妹紅の様子を伺っていた。
「(妹紅ちゃんは何としても、ひのこを当てに来るはず。考えられるのはグラスミキサーを出した後の無防備なところにひのこ。なら・・・・。)」
クサナギは突然真後ろに向き直り、チャモウに狙いをつける。クサナギの尻尾に風が起こり始めた。
「(来た!)チャモウ、横に跳んで!」
「チャモ!」
妹紅の合図に即座に反応し、チャモウはグラスミキサーが当たるだろう場所から大きく横に跳んだ。タイミングもバッチリでだ。だてに永遠亭の姫と長年弾幕ごっことやらをしているだけはある。後はひのこを当てればクサナギに大ダメージを当てられるだろう。
「(予想通り!)タジャー!」
「グラスミキサー!」
しかし、クサナギはグラスミキサーを上からではなく、
「なっ!?」
「チャモッ!」
予想外の行動で、しかも跳んだ態勢のチャモウに避けられるはずもなく、グラスミキサーがチャモウに迫る。
「くっ!チャモウ、グラスミキサーに向かってひのこ!」
「アーチャー!」
少しでもダメージを軽減できればとひのこをグラスミキサーに当てる。
「チャモーー!」
「チャモウ!?」
直撃よりはマシだったろうが、効果がいまひとつだろうがとグラスミキサーをもろに2回と体当たりを1回くらったのだ。チャモウは地面にうつ伏せで倒れている。
慧音が今度こそバトル終了の合図をだそうとした。しかし、
「立ってチャモウ!まだやれるわ!」
「チャ、チャ~モ~・・・。」
倒れたチャモウを励ます妹紅と一生懸命に立ち上がろうとするチャモウを見て、グッと我慢して心の中で応援をする。
「(頑張れ、2人とも!)」
「・・・・・。」
そんな二人を間近に見て、早苗は目の前にいるポケモンをゲームのキャラと言っていた自分を恥じていた。そして、心の底からこの二人を勝たせてあげたいと思うようになった。
「・・・頑張ってください!まだいけますよ、チャモウさん!」
「早苗・・・。」
「私も負けず嫌いなんです!」
そんな早苗の姿を見てクサナギは満足そうにしていた。
「(これで早苗ちゃんのポケモンに対する意識も変えれたかな?そうなら、目的の1つは達成。あと1つの目的の妹紅ちゃんとチャモウ間に確かな絆があることを認識してくれたようだし、ボク的には満足なんだけど・・・。)」
そう、このバトルは実際にポケモンバトルを体験して、早苗のポケモンに対するゲーム意識を改めさせることと、妹紅に他人からどう言われても自分とパートナーの築いた絆に自信をもってもらうのが目的だったのだ。賭けの部分もあったが上手くいき、満足したクサナギはこれでバトルを終わらせることも出来るのだが、クサナギはバトルを終了させなかった。
「(1度始まったポケモンバトルを途中で放棄するのはポケモントレーナーに対して失礼になるからね。それに、まだ3人は諦めていないのに、先輩であるボクが止めるわけにはいかない。ポケモンとして、トレーナーとして!)」
「・・・・・。」
クサナギと幽香が考えに耽っている間にチャモウに変化が起き始めていた。
「チ、チャモウ?」
「これは・・・!?」
「タジャ?」
「何かしら?」
妹紅と早苗の声につられて、クサナギと幽香もチャモウに視線を移すと、そこには体に薄い赤い光の膜を帯びたチャモウがいた。
「チャモーーーーッ!!」
チャモウの雄叫びと共に体を覆っていた光が強さを増した。目を瞑るほどもない光だが、見た者に力強さを連想させる何かを持っていた。
「『もうか』・・・、これ、もしかして特性?」
「特性?早苗、何か知っているの?」
「はい、ポケモンには特性と言って、私たちに例えるなら能力になりますけど、それを持っているんです。」
「能力、これがそうなの?」
「ええ、そうです!おそらくアチャモ固有の特性である『もうか』が発動したんです!」
「もうか・・・。」
「チャモッ!」
妹紅にそれは暗闇に光る1つの逆転の光のように思えた。チャモも何時もより頼りになるように胸を張っている。
「山の巫女が言っていた、もうかってどうんな能力なの?」
妹紅と早苗の会話を聞いていた幽香がナギに聞いてきた。
「体力が少なくなると自動に発動する能力で、炎タイプのワザの威力が上がるんだ。」
※幽香にはちゃんと日本語に聞こえている。
「へえ、良いわね。弱き者がピンチでも諦めない。そんな気持ちがこっちに伝わるようで心躍るわ!」
それはクサナギも同じであった。アニメのサトシもピンチになってからがポケモンバトルの真骨頂なのだ。それを今までいくつも現実で見てきたクサナギでも、この光景はとても眩しく愛おしいものだった。
妹紅も早苗からもうかの効果を聞いたようで、先程より目にもやる気が宿っていた。
「いくわよチャモウ!このバトル、勝つわよ!」
「チャモ!」
「私も陰ながら力になります!」
3人の息が合っているようなのは、気のせいではないだろう。この場の空気が明らかに変わったのは感じられる。
「どうするのナギ?何だかあっちが逆転するような空気になっているわよ?」
「そうだね・・・。」
「まさか、負けてあげるわけじゃないわよね?」
「それこそまさか、だよ幽香。ボクだって先輩である気だよ、簡単に負ける気になれないよ。」
「そうよ、そうじゃないといけないわ。強者は弱者の真っ直ぐな思いを受け止めてあげないといけないわ。それが強者のつとめよ。」
そんな空気でも我を見失わず、堂々と相手の攻撃を受け止めようとするクサナギに幽香は好感がさらに上がった。
「ナギ!いくわよ!」
「タジャ!」
妹紅とクサナギの合図に第3ラウンドが始まった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
さて、バトル再開ということで今度もボクから仕掛けてみるかな?今の3人がどんな対応するか、とても気になる。
「さっきの失態は後悔しますが、ポケモンのゲームの知識は存分に使わせてもらいます!チャモウさん、『なきごえ』です!」
「チャモーー!」
「ッ?!タジャ・・・。」
これはやられた。まさか今までパワーで押してきた早苗ちゃんが変化系のワザを使ってくるなんて。
「早苗、これは?」
「なきごえです。相手の物理攻撃の威力を軽減できます。これで体当たりからこちらの隙をつかれる事はないと思います。」
「・・・それはどのポケモンも使えるの?」
「はい、こういった相手のステータス、身体能力に影響を与える変化技は殆どのポケモンが使えます。」
「・・・・。」
「どうしました、妹紅さん?」
「いえ、なんでもないわ。」
「でも、どうしましょうか。もうかで強化したひのこでもグラスミキサーを攻略するのはキツイですよ?」
「・・・私に考えがあるわ。後は任せて!」
「はい!お願いします、お2人とも!」
「チャモ!」
う~ん、これは妹紅さんにはボクが背負っているハンデに気が付いたかな?
でも、これじゃあ、さっきの戦法は使えない。たいあたりをしてもそこまで態勢を崩せないだろうから、無防備のこっちが攻撃を受けてしまう。いくらボクでも至近距離のもうか状態のひのこが当たればただではすまない。
「(なら、真っ向勝負あるのみ!)タジャー!」
「ほら、いくわよ3人とも!グラスミキサー!」
なきごえで下がるのは攻撃力、特殊ワザであるグラスミキサーには何の影響もない。さっきと同じように横向きにグラスミキサーを発動したけど、今度はどうするのかな?
「チャモウ!
「!?チャモ!」
タケノコほり!?なんだその指示!あなたもサトシ君のお仲間ですか?
「チャモーーーッ!」ザッザッザッザッザッ!
「タッ?!」
「はい!?」
ボクだけでなく、妹紅ちゃんの隣にいる早苗ちゃんも驚いている。だって、チャモウが両足を使ってすごい速さで土を掘っているんだもん!
「チャモ!」
グラスミキサーが当たるまでの数秒でチャモウが入れるくらい穴が掘られ、チャモウはその穴の中に入った。
「(くっ!これじゃ・・・)」
「よしっ!」
妹紅ちゃんの狙い通りと思うけど、穴の上をグラスミキサーが通過した。もちろん、チャモウは無傷だろう。
「(ワザを中断する暇はない!このまま回転を続けて今度は上から叩きつける!)」
さっき見たひのこのスピードを計算に入れ、ボクは自分的にベストの判断をして実行に移した。横に回転している体を上から叩きつけるように変化させる。
「その隙貰ったわ!チャモウ、火種発射!」
「チャモーーッ!」
「タジャッ(なんですとっ)!?」
なんとチャモウはひのこを口の中で1つに纏めたのだろう、ひのこにしては大きすぎる火がボクを目がけて発射された。
1つに纏まったひのこはスピードも速くなっていた。このままでは当たり、大ダメージは必須。なら!
「(少しでも威力を落とす!)」
避けようとワザを中途半端に中断して当たるより、威力を落としてでも当たることをボクは選んだ。
「タジャー!」
ボクは急いでグラスミキサーを方向転換したけど、ボクの近くてグラスミキサーと大きいひのこがぶつかった。
「タジャーー!」
「ナギっ!?」
「よしっ!」
「やりました!効果は抜群です!」
しかし、大きくなったひのこはグラスミキサーを突き抜けてボクに当たった。普通のひのこなら問題はなかったけど、このひのこは『はじけるほのお』に匹敵する威力を持っていたようで、多少威力を殺しながらもグラスミキサーを貫通してきたのだろう。
威力が落ちたとしても、効果抜群しかも、もうかのオマケつきだ。ダメージを受けながら、ボクは大きく吹き飛ばされた。
「チャモッ!」
「!?チャモウ、頑張って、『つつく』攻撃よ!」
「・・・チャモ!」
ボクが吹き飛んでいる間に妹紅ちゃんはチャモウにつつくを指示したようだ。チャモウがくちばしを光らせながらこっちに向かってくる。
「(見事だよ妹紅ちゃん。初めてのバトルでボクが思いもしない行動を起こし、ボクにダメージを与えた。これは誇っていいレベルだよ。)」
吹き飛んでいる間にボクは妹紅ちゃんとチャモウのコンビに称賛していた。追撃が来ていて、ボクが負けるかもしてない流れだったけど、それ以上に嬉しかった。
アニメでも胸が高まり、現実でんも何回も見てきたどんでん返し。それをポケモバトル初心者が起こしたのだ。ボクはとても面白くて、嬉しくなった。
「タジャ!」
着地したボクは向かってくるチャモウに目を向ける。
「(本当なら勝たせてあげたい。でも、君たちはもっと強くなれる!だからボクは心を鬼にさせてもらうよ!)」
なにより・・・
「・・・・。」
さっき、幽香の前で言っちゃたしね、「簡単に負ける気になれないよ」って。
「チャモチャモー!」
もう目前に迫ってきたチャモウをよく見て、ボクはあるワザを叫びながら反撃にでた。
「タジャー!」
「!アクアテール!」
「なっ!?」
「水!?」
幽香が訳してた水タイプのワザ『アクアテール』。それを見た妹紅ちゃんと早苗ちゃんは声を出して驚くけど、もう遅い!
「タジャ!」
バシッ!!
「チャモーーーッ!」
ボクのアクアテールがチャモウの顔にもろに当たり、チャモウは妹紅ちゃん達の傍まで吹き飛ばされた。
「チャモウ(さん)!」
吹き飛ばされたチャモウを心配して駆け寄る2人、そこには。
「チャモ~・・・・」
目を回しながら倒れているチャモウがいた。
「・・・先生、審判でしょ?」
「あ、ああ。・・・チャモウ戦闘不能、クサナギの勝ち。よって勝者、天籟クサナギ!」
「タジャ・・・。」
先生のバトル終了の合図を聞いてボクはその場に座り込んだ。
「お疲れ様、ナギ。ちゃんと勝ったわね。」
「・・・タジャ(幽香に言ったからね)。」
幽香はボクにご苦労様と言って、ボクを抱きかかえてくれた。とても優しく安心できるほどに。
「タジャタジャ(ごめんけど、幽香)。」
「分かっているわ。あの子たちの傍まで行くわよ。」
幽香はボクが何も言わなくても、妹紅ちゃん達の傍までボクを連れて行ってくれた。
「チャモ~・・・。」
「いいのよ、謝らなくても。あなたが頑張ったことは私が分かるから。」
「そうですよ!チャモウさんは頑張ってくれました!」
そこには座り込んで落ち込んでいるチャモウと、それを励ます2人の姿があった。
「あ、ナギか・・・。私たち負けちゃった。」
「チャモ・・・。」
ボクの姿が見えた途端に妹紅ちゃんも落ち込み始めた。この負けた時の感情は体験した人しか分からない。だから、ボクはトレーナー同士のバトル終了後のお約束の言葉を3人に送った。
「タジャ、タジャタジャ。」
「・・・いい勝負だった、よければまたバトルしたいね。って言ってるわよ?」
「え?」
「アチャ?」
「どうしたのかしら?さっき負けず嫌いって言ったじゃない、あれは嘘だったのかしら?」
「・・・嘘じゃないわ。今度は私とチャモウが勝ってみせるわ!見てなさい、私たちはもっと強くなるわよ!」
「チャモー!」
妹紅ちゃんとチャモウはさっきまでの落ち込みはどこにいったか、元気よく再戦の申し出をしてきた。
「それでいいのよ。せっかくナギがバトルしてくれたのよ、しかもあなた達の事を思ってよ。落ち込んでいる暇はないわ。」
「分かってるわよ!なんで幽香が偉そうなのよ!っていうか、いつまでナギを抱きしめているのよ!」
「勝者の特権よ。」
「勝ったのはナギじゃない!?」
最後は幽香に持って行かれた気がするけど、バトルが終わってのこのやり取りは癖になる。見知らぬトレーナー同士がポケモンバトルを通じて、知り合い、絆を作っていくようなこの光景がボクはそても好きだ。負けても、
「あの~、お取込みのところ、いいでようか?」
「「ああっ!?」」
「ひっ!」
こらこら、その辺で睨み合いを止めなさい。ほら、何か言いかけた早苗ちゃんが怯えているじゃない・・・。
「ほら2人とも、喧嘩はそこまでにしないか。早苗が話し辛いだろ。」
ナイス!先生、ナイス!
「あ、ありがとうございます、慧音さん。・・・では、妹紅さん、チャモウさん、先ほどのポケモンバトルでは申し訳ありませんでした。」
「え?」
「チャモ?」
早苗ちゃんからの改めての謝罪に妹紅ちゃんとチャモウは首を傾げている。ボクは何となく言いたいことは分かる。
「私の偏見と思い込みで迷惑を掛けました。チャモウさんに至っては怪我までさせてしまいました・・・。本当に御免なさい。」
「早苗、それはこっちも同じよ。」
「え?」
今度は頭を下げていた早苗ちゃんが首を傾げている。
「未熟で少し臆病になっていた私のせいで折角教えてくれたアドバイスを活かせなかった、これは私の落ち度よ。」
「妹紅さん・・・。」
「だからね、今度から早苗が知っているポケモンの知識を少しずつでいいから教えてくれないかしら?」
「・・・はい、はい!お任せください!不肖、ポケモン歴6年の私が知っている知識を全て妹紅さんに教えます!」
・・・いいなあ、こう目の前で友情が深まっていくいくのを見るのは。癒される、というか和む。特にこの姿になってからは人同士のこんなやり取りを見るのが好きになっている。
もちろん、ポケモン同士が仲良くしているところも見るのも好き。
「それと、チャモウさんとクサナギさんも、改めて申し訳まりませんでした。」
「タジャ?」
今度はボクがえ?、である。なんでボクにまで謝罪を?
「ナギはどうして謝罪をしたか分かっていない見たいよ?」
ナイスフォローです、幽香。b
「え~と、ですね。・・・・先程のバトルでクサナギさんに言われた「ボクたちポケモンだって君たち人間のように生きている」、「ボクたちの存在を認めてくれない」に思うところがありまして・・・。」
ああ、言ったねその言葉。
「私は目の前に確かに存在しているのに、そのことを認識されない方達をずっとお傍で見てきたつもりです。悲しい顔を見てきたつもりでした。私も何度も悲しい思いをしてきました。なのに、私はそんな悲しい事をやってしまう側になっていました。」
話している早苗ちゃんの顔はとても複雑な感情が見える。ボクが分かるのは、悲しみと悔しさだけだった。それ以外は本人や関係した人しか分からないだろう。
「こっちに来て、今まで架空と思われていた存在に会えてテンションが高くなっていた自分を、今とても恥ずかしく思います。」
「「「・・・・。」」」
早苗ちゃんの話をボクとチャモウだけじゃなく、妹紅ちゃんたちも黙って聞いていた。
「まだ、色々と心の整理する時間が必要と思いますけど、まずはあなた達のような存在をちゃんと認識するところから始めたいと思います。・・・本当に御免なさい。」
「タジャ、タジャタジャ。」
「ボクはそこまで気にしていない、だから貴女は貴女の考えをしっかりと貫き通せばいい、って言っているわ。」
「チャモチャモ!」
「チャモウも気にしてない見たいよ。」
「・・ありがとう、ございます・・・!」
無理かもしれないけど早苗ちゃんにこれから良いポケモンライフがありますように。そう思えるほど、早苗ちゃんは涙を目の端に溜めて、とても良い笑顔をボクたちに見せてくれた。
「・・・ほら、話はそこまでにして、今度はチャモウとナギの傷の手当をしようか?」
「そうね、そうしましょう。」
慧音先生の提案に幽香が賛成している。そうだ、ボクはダメージがそこまでないけど、チャモウはもうかを発動するくらい体力は減っているはずだ。
「タジャタジャ。」
「・・・とりあえず、落ち着ける場所でナギたちの治療をしましょう、いいわね?」
「賛成よ。チャモウを休ませてあげないとね。場所は~・・・。」
「チャ~モ~。」
妹紅ちゃんはチャモウを抱き上げて、休む場所を考えている。ここは幻想郷の住人に任せよう。
「なら、永遠亭はどうでしょうか?ポケモンですから、人里の治療所では落ち着かないでしょうし、あそこの先生ならポケモンに効く薬を作ってくれるかもしれません。」
「そうだな、今後の事を考えるとそうした方が良さようだ。皆、異存はないか?」
早苗ちゃんからの提案に先生が肯定し、皆もその提案に乗ることにした。
「なら、飛んで行きましょう。その方が早く着くわ。」
そう言って自然にボクを抱えてくる幽香。あ、あのですね、ボクはそこまでダメージを負っていないのですよ?それに『飛ぶ』ってなんですか?
「そうね。」「はい。」
「私は人里で鈴仙さんに合流します。それから永遠亭に向かいますので。」
「では、私は一足先に永琳殿に事情を説明しておこう。」
そう言って、皆(チャモウは妹紅ちゃんが抱いている)は空中に浮き始めた。
「タジャッ(ほんとに飛んだっ)!?」
「ああ、そうか、ナギには幻想郷の住人が飛べることを言ってなかったわね。道中にでも説明するわ。」
「あっ、なに自然にナギを抱いているのよ!」
「あら?貴女にはチャモウがいるでしょう?」
「ナギぐらいの大きさなら、チャモウと一緒に運べるわよ!」
「無理しないの、この子は見た目より重いわよ?人間の腕力の貴女じゃ2人はきついでしょ?」
「そ、それは・・・。」
「分かったら急ぐわよ。」
「だぁからって、これ見よがしに引っ付くなぁー!!」
・・・ああ、2人のやり取りで恥ずかしさもどっかに行っちゃったよ。それにしても、永遠亭かあ。行く予定の場所であったから好都合でもある。
ボクはそんなことを考えてながら、とりあえず背中に感じている感触を永遠亭に着くまで考えないようにしておこう。やっぱり、人の時とは少しずれているけど恥ずかしいのだ。
そんなこんなで、クサナギ達一行は永遠亭に向かった。しかし、幽香や妹紅はクサナギとチャモウの傷の手当を意識している為にそれを木陰から覗いている2人の人影の存在に気付かなかった。
1人はこの幻想郷で見ることがないようなメイド服を着ており、あと1人はカメラを片手に背中から黒い羽根を生やしていた。ポケモンバトルというイベントが終わったばかりのクサナギだが、まだまだ面白いイベントが起こるだろう。
◆◆オマケ◆◆◆◆
「オーキド博士の・・。」
「幻想郷出張・・。」
「「ポケモン講座!」」
「やあ、皆元気にポケモンゲットしておるか?オーキドじゃ。」
「はい、皆さん初めまして!このコーナーでオーキド博士のお手伝いをすることになった、まだ本編では登場すらしていない、かわいそうな稗田阿求です。よろしくお願いします。」
「阿求君、何もそこまで言わなくてもいいのでは?」
「いえ!折角、幻想郷にポケモンといった初めての種族がいると判明したのですよ!それも私が幻想郷縁起に初めて書くことが出来るという栄誉もあるのですよ!ここまであるのに、まだ私が本編に出ていないってどういう事ですか、作者!?」
「さ、作者には作者のペースがあるのだろう。」
「でも、前に私が出てきてもいい伏線もありましたよ!私、それで楽しみに待っているんですよ!」
「まあまあ、作者への不満はそこまでにして、早速ポケモンの事について話をしよう。」
「そうですね、では今回紹介するポケモンは何ですか?」
「この小説の主人公でもある、クサナギを名乗っているツタージャじゃ。」
「でました!作者の嫁ポケモン第1位(進化系を込めて)!」
「ツタージャは本編でもあったが、イッシュ地方の初心者用ポケモンの1匹じゃ。」
「確か草タイプでしたね。トカゲのようなポケモンです。」
「くさへびポケモンのツタージャは図鑑でもあったがシッポの葉っぱの部分で光合成もでき、ツルを手より器用に扱うことができるぞ。」
「ツル?今回の戦闘では出していませんでしたね?」
「そこは次回に理由が分かるじゃろう。ツタージャは知能が高く、トレーナーが自分に相応しくなければ自分から離れていく事例が確認されておる。」
「そうなんですか!?」
「うむ、野生で出てくるツタージャはもしかしたら、そんな理由で野生化した可能性もある。」
「はぁ~、ポケモンって賢いんですね。」
「人間より高い知性をもったポケモンもたくさんおるからのぉ。人も色々、ポケモンも色々じゃな。」
「参考になります。」
「勉強熱心じゃな、関心、関心。では、最後はおなじみポケモン川柳でしめるとしよう。」
― ツタージャが
ツルをたたんじゃ
光合成 ――― オーキド博士
「う、う~ん。これが噂のオーキド博士のポケモン川柳ですか、力が抜けるような気が・・・・。」
「これは手より上手く使えるツルをしまって、光合成をしてゆったりとリラックスしているツタージャの一句じゃ。」
「な、なるほど。そう言われればそんな姿が頭に浮かんできました。ツタージャが太陽の光を浴びて、のびのびとしているのが。ポケモン川柳、奥が深い・・・。」
「では、皆もポケモンゲットじゃぞ~。」
「また次回会いましょう~。作者、早く私を本編に!」
お疲れ様でした。
前書きでもいっていましたが、ちょっと最近色々ありまして(特に身内)投稿するテンションが上がらずにいまして遅れてしまいました。
これからも、忙しくなると思いますので投稿は不定期のままのことをご了承ください。
さて、とうとう始まってしまいました幻想郷での初!ポケモンバトル!
バトルの展開を何度も見直してみたんですが、いかがでしたでしょうか?
アニメのような展開を上手く書けていたら幸いです。自分的にチャモウがもうかを発動するシーンを書いている間、ずっと頭のなかでポケモン曲の「バトルフロンティア」が流れていましたw
今回で妹紅ちゃんとチャモウの間にしっかりとした絆をたたせてもらいました。そのほうが今度に都合がいいと思うので・・・。(汗
早苗についは、このバトル以降で少し考えを改めてもらって、いい子になってもらう予定です。これも次回に書ければいいですね。
そして、一応最後に伏線をはらせてもらいましたが、皆さんには誰がすぐに分かると思うので伏線の意味がないような気がします。
ポケモン講座はどうでしたか?
自分的には満足いく出来となったと思います。あと、この作品の阿求は講座のテンションと変わらない予定ですので、本編での登場をお楽しみに!
次回は永遠亭に場所を移ります!
感想、誤字、脱字、質問はいつでも受付中です。
では、また次回会いましょう!