ソードアート・オンライン 《Violet Knight》   作:黒炉

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静波さん、エロゲマスター・シンさん、くまたさん感想ありがとうございました!


第27話 再び、旅立ち ①

 エギル、和人さんと別れ、俺たちは本屋にいた。

 珪子とは思っていた以上に家が近く、電車で駅2つと言う近さだった。SAOプレイヤーは全国にいたので、優奈も含めて都市部に住んでる可能性はかなり低いと思っていたのだが、和人さんから始まって優奈、珪子にエギルと、本当に運命としか言いようがないくらいにそろいもそろって住所が都市部だったのだ。

 俺はALOをプレイする前に、ネットの情報だけでなくペーパーメディアの攻略書を購入するつもりだったので、珪子には先に帰ってもらって一人で本屋に寄るもりだったのだが、珪子が頑なに一緒に行くと言い張るので、特に拒否する理由もないので承諾して現在に至るというわけだ。

 

 「インターネットが主流の今だからこそ、ペーパーメディアも馬鹿に出来ないんだよな……あった」

 

 「それは分かるけど……うわ、3千円もする……あたし達には結構大きい出費だと思うんだけど……」

 

 「財布の中は樋口さんしか居ないから一気に無くなるけどな。バイトでもするさ」

 

 「……中学生はバイト出来ないんだよ」

 

 「ちょっと考え直す」

 

 絶対必要なものではないので全財産の6割を削って手に入れるべきかどうかかなり試案。

 ネットから必要な情報を引っ張ってくるほうが早いんだけど、しかしこれはこれでほしい……

 そんな風にちょっとした俺の経済的危機を危惧していると、珪子が俺に寄り掛かってきた。

 

 「珪子?」

 

 「ねえ、藍人。もし……もしもだよ? あたしと優奈ちゃんの立場が逆で、目覚めなかったのがあたしだったら、藍人は助けに来てくれる?」

 

 もしも目覚めたのが優奈(ユウナ)だったら。

 もしも眠り続けているのが珪子(シリカ)だったら。

 その時俺がどうするかなんて、考えるまでもない。

 

 「そんなの決まってる。絶対に助けに行くよ。何処にいても、必ず」

 

 「そっか……よかった、即答してくれて」

 

 「おいおい、俺はそこで悩むと思われてたのかよ」

 

 「だって藍人、バカだし」

 

 ブチンと、頭の中で何かが切れた気がした。

 そりゃ確かに頭悪いよ? テストの点数だって成績だって下から数えた方が早いよ? けどンなもん今の元SAOプレイヤー全員の共通事項だろうが!!

 

 「け・い・こ・さ~ん……? お前は言ってはいけないことを言ったな……?」

 

 「だって、ホントの事じゃん」

 

 悪気なさげに言う珪子。さてはこ奴……天然か!?

 ふ……ふふふ、ここは俺が世の中には言っていいことと悪いことがあることを教えて差し上げましょうじゃねえか……!!

 

 「ンなことほざく悪い口はこれかコラアアアアアア!!」

 

 「んにゃぁ!? い、いふぁい、いふぁいってふぁ!!」

 

 珪子のほっぺたをひっぱり、ムニムニする。あ、やべ。なんかハマるわこれ。

 この後本屋のおっちゃんに怒られたのは数ある俺の黒歴史の中のひとつでしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 昨日いっぱいをALOの情報収集に費やしていた俺は、珪子や和人さんから1日遅れてALOを始める事となった。

 もっとも、理由はそれだけでなく、情報提供の代わりに政府から取り返したナーヴギアと、もう一台、アミュスフィアを手に入れるためでもあった。

 ALO自体はナーヴギアでも動くのだが、アミュスフィアを買った理由はプレイするためじゃない。ナーヴギアにアミュスフィアをつなぎ、『とあるツール』をいつでも稼働できるようにしておくためだ。

 今から俺がALO――――世界樹に向かうのは、グランドクエストをクリアするためじゃない。姉さんと優奈を取り戻すためだ。

 そして、そこには間違いなく須郷伸之が関わっている。昨日の夕飯の時、母さんが言っていた。須郷と姉さんの結婚の事。あの人は偏屈で頑固で頭でっかちで融通聞かなくて不器用だけど、嘘は決して言わない正直な人だ。ならば、結婚の話も本当なのだろう。

 そして、断言できる。須郷は姉さんの事を愛してなどいない。自分以外の人間は自分との比較対象か道具でしかないのだから――――。

 須郷が、無意識の姉さんに何かをしようと言うのなら、こちらとて正攻法オンリーの勝負を挑むつもりはない。

 あの時――――ナーヴギアを利用した、意識の電子化を行ったうえでのクラッキング――――俺が俺自身を鍛え上げるために利用した、あのプログラムをあくまで最終手段として確保しておく。

 MMOでの非公式ツールは、マナー違反どころか十分な犯罪だが、それを気にしているだけの余裕はない。俺が故意に立ち上げなければ、プログラムはアクティブにはならないから問題ない――――はず。

 アミュスフィアにプログラムソフト、ナーヴギアにALOのディスクを入れ、XSBケーブルでつなぐ。

 そのままアミュスフィアを枕元に置き、ナーヴギアを被ってベッドに転がる。

 頼む……もう一度、俺をあの世界に連れて行ってくれ!

 そう願い、俺は扉を開けるための呪文を唱えた。

 

 「――――リンク・スタート!!」

 

 意識が電子化され、ALOサーバーへと旅立つ瞬間、こめかみの辺りに電流のようなものが走る感触があったが、それを確認する暇もなく、俺は再びあの世界へと旅立った。結城藍人としてではなく、ヴァイオレットとして――――

 

 

 

 というわけでもなく、まだ現実の状態。

 まずは視覚が遮断されるが、すぐに虹色の光がはじけ、視覚接続OKのメッセージが表示される。続けて、聴覚接続OKのメッセージが表示され、それ以外の五感も順々に接続完了していく。

 全ての過程が終了すると、一気に真っ暗な空間に放り出された。頭上に《ALfheim Online》というロゴが表示される。

 合成音声の促すまま、新規IDとパスワードの設定を求められる。たまには変えてみようかと思ったが、面倒なのでいつも通りのIDとパスを打ち込んだ。

 クライアントをダウンロード――――つまり、パッケージをリアルマネーで購入しないタイプのMMOだと、ここで課金方法の選択などを求めれるのだが、既にパッケージ購入料を払っているからなのか、ALOには1か月の無料プレイ期間が設けられていた。

 その次にやっとキャラ作成。

 迷わず名前の欄に《Violet》と打ち込む。色そのものを名前にするのは割とメジャーだし、シリカやキリトさんと合流するのならこの方が分かりやすくていいだろう。

 SAO世界でのキャラネームは、実はトップシークレットなのだが、かなり珍しい名前でもない限り――――すくなくとも、俺は大丈夫のはず――――疑いはしてもそれだけで断定は出来ない。後はプレイスタイルなどで判断するしかないだろう。

 まあ、もしもALOに元SAOプレイヤーがいて、それが俺とあまりよろしくない関係の奴だったとしても、向かってくるなら逃げるなり斬るなりすればいい。

 続いて、キャラ作成。と言っても、容姿は完全ランダムなので、選ぶのはあくまで種族のみ。どうしても容姿が気に入らなければ、ゲーム内で課金して新しいアバターを得るしかない。

 まあ、俺はそこまでこだわりはないから気にしない。サラマンダーやシルフなどの、9種族の中から、迷わず《闇妖精族(インプ)》を選ぶ。

 理由は、まあダメージディーラーとしてはそれなりに優秀なのと、紫がかった装備や髪。9種族の中では、最も藍色に近いと言える。

 ここで、キリトさんやシリカの種族聞いときゃよかったなと後悔するが、また後でもいいかと自己完結。

 名前《Violet》の性別男、種族はインプで確認すると、俺はそのまま決定のボタンを押す。

 久しぶりのフルダイブ感覚を味わいながら、さて、ちゃっちゃとやりますかぁ……と行こうとしたところで、周囲の全てがフリーズ。雷光のようなノイズがそこら中を駆け巡り、ガラスを割るかのように世界が崩れていく。

 直後、足元が無くなり、宙に放り出される感覚。

 

 「な、なんじゃこりゃああああああああああ!!」

 

 半泣きしながら叫び、俺はALOの世界に飛び込み、同時に落っこちた。




と言うわけで藍人の種族はインプでしたー。
ユウキのアバターってかなり可愛いと思うのは俺だけか?
そしてプーカに恐ろしいほどに出番がないと思うのも俺だけだろうか……?
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