ソードアート・オンライン 《Violet Knight》 作:黒炉
最近あんまり体調がすぐれてなかった……
最近涼しくなってきたので皆さんもご注意。
「いやー、
俺達が援護に入ったプレイヤー――――シエルはそう言った。
一人でも割と安全な狩り場と聞いて、試しに来てみたら、レべリングに来るパーティやギルドを狙う
ちなみに、相手のギルドにグリーンカラーのプレイヤーがいたため、今のシエルのカーソルはオレンジになっている。
「ああいう奴らは、時々容赦ないからな。まあ、無事で何よりだよ」
「うん、助けてくれてありがとう。僕はシエル、君たちは?」
「俺はヴァイオレットだ」
「私はユウナと言います」
名乗るシエルに対して俺達も名乗る。SAOは、プレイヤーにカーソルを合わせても、状態を表すグリーン/オレンジのカーソルと、素っ気ないHPバーが表示されるだけで、プレイヤーネームは表示されないのだ。
「で、どうするんだ? 信用回復のクエ、やるなら手伝うけど」
「え……? あ、ああ、うん」
シエルは自分が今現在オレンジであることを忘れていたのか、一瞬の間の後答えた。
カーソルがオレンジのプレイヤーは、主街区に入ろうとすると強力なNPCガーディアンによって排除されてしまう。まあつまり、入れない。
まともに街に入れないから、安全な宿屋も使えないし、食料や消費アイテムの調達も行えない。
よって、信用回復クエストを行なってカーソルをグリーンに戻しておかないと、後々面倒なことになってしまうのだ。
そんなに難易度の高いクエというわけではないが、ボリュームゾーンのソロプレイヤーとなると緊急時に対応できない可能性もある。
後で黒鉄宮の《生命の碑》でシエルの名前が消えていたりしたら、後味が悪いなんてもんじゃないし、こういうときは手助けするべきだろう。
「そうだね……それじゃ、お願いしよっかな」
シエルは少し照れ臭そうに頬を掻きながらそう言った。
ちなみに、シエルとパーティを組んで、そのレベルに驚くことになるのは、この直後の事である。
☆
「………………」
「………………」
「あの、どうしてずっとだんまりなのかな……」
第54層の主街区、《リノワール》にあるNPCレストラン《ラグー・キッチン》。
シエルの信用回復クエストを終え、とりあえず今の俺達のホーム――――と言っても宿屋暮しなんだけれども。宿屋暮しのヴァイオッティなんだけれども――――までやってきた。
俺達が沈黙している理由はただ一つ。シエルのレベルが、思っていたよりもはるかに上、攻略組の反りプレイヤーの一角としても十分に通用するものだったからだ。
こうなってくると、話は変わってくる。
勿論、《鷹の涙》クエの存在を知っていた、という可能性もなくはないけれど、それにしてはあの後見つけた卵を全く欲しがらなかったのは不自然だ。
俺の考えすぎなのか……。
「……ねぇ、二人は、《天牙の双剣》ってクエスト、知ってる?」
シエルが唐突に、そう切り出した。
俺は覚えている限りのクエスト名を思い出すが、思い当たるものはなかった。ユウナも同じようで、首を横に振っていた。
「いや、知らないな」
「そっか。えっと、48層の南端にある、《冥界の洞窟》ってダンジョンの最奥部に、2本の片手用直剣が眠ってるって話なんだ」
「なるほどな。そのクエをやりたいわけか」
「うん。二人以上のパーティを組んでるのがクエスト発生条件だったから、今まではやってなかったんだけど、今ならできるしね」
俺とユウナは顔を見合わせた。
48層なら、安全マージンは十分に取れているし、クリスタル無効化空間のトラップも、可能性的にはそう高くない。
その双剣――――2本の片手用直剣にも興味はあるし、行くこと自体は全然構わない。
ただ、さっきの《鷹の涙》と違い、武器や防具が報酬のクエストとなると、警戒せざるを得ないのも事実だ。
「どう? どうかな?」
「分かった分かった分かったから近ぇよ離れろ」
異性だったら間違いなくハラスメントコードが出るであろう距離まで顔を近づけてくるシエルを押し戻す。
……何か裏があるんじゃないかと思考を巡らせていたのがバカに思えてくるような純真無垢な笑顔をするんじゃない。
「分かったならレッツゴー!! だね!!」
「おい待て決めるな」
「あはは……」
もう既にテンションあがりまくりのシエルに苦笑いするユウナ。
なんか、クラインが子供っぽくなったらこんな感じそうだなぁ……。
「……仕方ないか。興味がないわけでもないし」
「大丈夫なんですか?」
「クリスタル無効化空間にさえ入らなければ、転移結晶でどうにでもなるさ。ストックはいっぱいあるしな」
俺はそう言ってから、右手を振ってメニューを開き、フレンドメッセージ機能を起動させる。
フレンドリストから、アルゴ――――《鼠のアルゴ》と名高い情報屋を選び、《天牙の双剣》に関する情報を集めてくれるように頼む胸を書いたメッセージを飛ばす。
「これでよし、と」
呟き、メニューウィンドウを閉じる。
意識を食事に戻そうと顔を上げる。
「ああ!! シエルさんそのお刺身は私のものです返せこの野郎!!」
「いいじゃないかまた頼めばああ!! 僕の豚の角煮返せぇ!!」
「お前ら煮込み料理屋来て何頼んでんだ!? いや、角煮はいいんだっけ!?」
突っ込んでいる俺が言うのもなんだが、バカ二人が出された料理を取り合っていた。
……コイツら、後で締めるか。