ソードアート・オンライン 《Violet Knight》   作:黒炉

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エロゲマスター・シンさん、ウージの使いさん、朔沙奈さん感想ありがとうございました!

言い訳は後書きにて。


第59話 開戦直前

 俺が《スペルストリーム・オンライン》にログインし、宿屋を出ると、そこには既に今の俺の相棒であるテトがいた。

 12時の約束とはいえ、ギリギリに行くのもどうかと思った俺は、約束の時間よりも20分ほど早くログインしたのだが、テトの方がもっと早くログインしていたようだった。

 

 「悪い、待った?」

 

 「ううん、私が早く来すぎちゃっただけだし。それに大して待ってないから、気にしなくていいよ」

 

 そう言って、微笑むテト。

 漫画やラノベの場合、こういう女性キャラに限って1時間くらい待ってたりするのだが、まああれはフィクションの世界だし、実際に現実でそんなに早く来るのはバカのすることだと思う。せいぜい30分だろ、と毎回思うのだ。

 

 「………」

 

 「ど、どうした?」

 

 何故かロリ体型のアバターになってしまった小さな俺を下目遣い(?)で見るテト。

 昨日のことがあるので、少し距離を取る。このお方は見かけによらず猛獣なのです。

 

 「………う、ううん。ねえ、お腹すかない?」

 

 「涎を垂らしながら俺を見つめて言うセリフじゃねえぞ……」

 

 さらに距離を取る。これが現実ならまず間違いなく襲われてたな……。

 とはいえ、俺も大して食事をしてきたわけでもないし、腹が減っては戦は云々という言葉もある。

 VRゲーム内の食事はあんまり好きじゃないけど、少し腹ごしらえをするのも悪くないかもしれない。ヘビーユーザーであるテトなら、美味い店とか隠れた名店を知ってそうだもんな。

 

 「そうだな……それじゃ、どこか美味い店、教えてくれよ」

 

 「うん、大丈夫! 優しいお店にするから!」

 

 「お前は俺を何処に連れ込む気だ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連れ込まれた――――じゃなくて、案内された店は、いたって普通のNPCレストランだった。

 そりゃそうか……本気でゲームに命かけるユーザー以外は、普通に現実での食事を優先するもんな……。

 

 「ごめんね、ヴァイオ君。私、こっちの食事は殆ど口にしないからさ」

 

 「まあ、俺も似たようなもんだよ。今だからこそアミュスフィアの味覚再生エンジンも相当高スペックになってきたけど、ナーヴギアで再生されるNPCレストランは酷いもんだったぜ」

 

 まあ、SAO世界の飯は、上層に行くほど美味くなってたけどな。あれは、開発にナーヴギアの開発者でもある茅場が関わってたんだから例外だろ。

 

 「へえ。君、ナーヴギア時代からVRのユーザーなんだね」

 

 「まあな。PC時代から、MMORPGは俺の趣味だ」

 

 無論、RPGに限らず、シューティングから音ゲーまで、大抵は普通にできる。

 長い時間をかけてやるって意味じゃ、RPGが一番好きだけどな。

 

 「そうなんだ。……っと、連れ込んだ目的、忘れてた」

 

 「なぁ……向こうで男性プレイヤーが“連れ込む”って聞いてお前を変態を見る目で見つめてたぞ」

 

 「うるさいよロリ坊や」

 

 「だまれよロリコン」

 

 お前もだろって思った奴はちょっとログインして来い。

 

 「じゃなくて、今日の大会のルール。エントリーはとっくに済ませてあるからいいけど、肝心のルールは知らないでしょ?」

 

 「……いや、知ってるぜ」

 

 「へぇ? 勉強したんだ」

 

 テトが感心したように言う。

 自慢するわけじゃないが、俺だってSAOで攻略組の一角として数えられていたんだ。事前に情報を集めることがどれだけ大切かは、身に染みている。

 テトが話してみてよと促すので、俺は自信満々に言った。

 

 「勝てばいい」

 

 「殺してあげようか?」

 

 テトが瞬時に自分の武器《スタニング・ファタルラルド》をオブジェクト化させ、俺に向けてきたので一生懸命謝る。

 俺が言うことじゃないけど、傍から見たら幼女虐待だな……。

 

 「勉強してないんじゃん……」

 

 「はは……悪い悪い。昨日は、ちょっと色々やっててさ」

 

 「ま、説明するつもりだったからいいんだけどね。それじゃ、まずは予選のルールから行こうか」

 

 「よろしくお願いします、先生」

 

 俺が姿勢を整えて言うと、テトはうむ、と先生ぶった。

 ノリいいな、やっぱり。

 

 「って、予選があるのか?」

 

 「うん。といっても、予選は単純なタッグマッチだけどね」

 

 タッグマッチ――――即ち、2対2の対プレイヤー戦。

 なるほど、レースの技術だけでなく、単純なプレイヤーの戦闘能力も必要ってわけか。

 

 「基本的に殆どルールはないよ。せいぜい、消費アイテムの持ち込みができないくらいかな。裏技もあるけど」

 

 「裏技!?」

 

 「はい、あからさまに食いつかない。そっちはあとで教えてあげるわよ」

 

 裏技と聞くと、どうしても聞きたくなってしまうのはゲーマーの悲しき性だ。

 裏技小ネタ大歓迎。

 

 「予選は全部で二回戦。相手は他のペアからランダムに選ばれるの。モンスターキルの成績とか、レベルとかで相手が決まるから、大抵はどこも接戦になるの」

 

 「ま、いきなりトッププレイヤーが相手じゃ、そこまでヘビープレイしてない奴にはきついもんな」

 

 「予選はあくまで公平に、ってわけ。二回とも勝てば、晴れて本選出場よ」

 

 「すると、えっと……三分の一になるのか!」

 

 「四分の一よ」

 

 自信満々に言った分、恥ずかしかった。

 そうか、最初の一回戦で半分になり、その次でも半分になるから、二分の一の二乗で四分の一か……。

 どうせ俺は、数学できねえよぉ……。

 

 「で、本選が君も知っての通り、レース形式。エア・カーを使って、二人一組でゴールを目指す」

 

 「細かいルールは?」

 

 「まず、エア・カーに3人以上の人が乗ったらアウト。エントリーしているコンビでなければ、二人でもアウトね」

 

 なるほど。本当に、予選を勝ち抜いた組み合わせ以外は参加できない仕組みか。

 こうすることによって、レベルの高いプレイヤーが予選を勝ち、操縦技術やスキルの高いプレイヤーが本選に出るという方法をとらせなくするわけだ。

 あくまでも、最低一人は戦闘面でも操縦面でも高いスキルを持っている必要があるわけだ。

 

 「場所は、ここからかなり離れた、離島を使うことになってるの。スタートは全員同時に同じ場所から。スタート地点からある程度進むと、他のプレイヤーに攻撃できるようになるわ」

 

 「ふーん……って、PKありなの?」

 

 「ありよ。だって、そうじゃなくちゃ面白くないじゃん。君、まさかVRゲームの中でF1するつもりだったの?」

 

 それじゃあタッグの意味無いでしょ、と言って、テトは追加で注文したドリンクを飲みほした。

 

 「タッグコースは、操縦役と攻防役のコンビネーションが重要なの。ていうか昨日、『どうやって敵に攻撃するつもり?』って聞いたよね?」

 

 「そうでした……」

 

 テトが呆れたように――――というか、呆れてため息をついた。

 キャラクターのステータスパラメータなら、こっちの方が上なのに、俺は失望されているようだ。

 

 「大雑把なルールはこんな感じ。まあ、ここからが面白いんだけど」

 

 「それを面白いと思うのは、お前だけだと思うぞ……」

 

 少なくとも、俺はまだ面白いとは思えなそうだ。

 

 「レースなんだから当然、脱落者も出るよね。じゃあ、脱落判定を受けるのはどういう時でしょう?」

 

 「うわ、クイズ形式かよ……」

 

 テトは明らかに楽しんでいた。というか、面白がっていた。

 俺はちっとも、楽しくも面白くもないけどな。

 早く、早く、とテトが急かすような眼差しを向けてくる。

 

 「脱落判定って……そりゃ、マシンが壊れたら、とか?」

 

 「ぶっぶー!」

 

 うわウゼェ。

 

 「マシンが壊れても、他のプレイヤーから強奪したマシンを使ってもオッケーなので、脱落判定は受けません!」

 

 「……じゃあ、どういう時なんだよ」

 

 「HPが0になった時」

 

 俺が苛々を隠すことなく聞くと、テトはあっさりそう言った。

 それってつまり、誰かにキルされない限りは脱落しないってことか……?

 

 「敵のマシンでゴールしてもよし、徒歩でゴールしてもよし。とにかく、死ななきゃいいのよ。エントリーしている二人が、ゴール時に同じマシンに乗ってる必要はあるけどね」

 

 「流石に徒歩は無理だろ……」

 

 しかし、よく考え込まれたルールだと思った。

 これなら、俺みたいなピュアファイターにも活躍の出番があるかもしれない。

 他人のマシンを強奪してもいいってことは、飛び乗ったりするのが許可されているってことだからな。

 

 「でも、正直本当に大丈夫なの? 操縦は私がするしかないから、操縦者とメイジっていうスタンダードな戦法はとれないよ?」

 

 「ん。問題なし。むしろルール聞いて安心した」

 

 俺がそう言うと、テトは一瞬怪訝そうに俺を見たが、深く追求はしてこなかった。

 俺の、一見全く根拠のない自信を追及したところで、時間の無駄だと思ったのだろう。

 

 「うし、いい時間だし、そろそろ行こうぜ」

 

 俺はそう言って立ち上がる。

 現在時刻は12時45分。エントリー会場までは5分かかるくらいだから、時間的にはちょうどいいだろう。

 テトも頷いて、立ち上がる。

 

 「そんじゃ、サクッと行きますか……」

 

 「そう簡単にはいかないでしょ。一応レベルだけは君も高いんだからね。ぶつかる相手もハイランカーだろうし」

 

 「一応は余計だ」

 

 だとしても、雑魚が相手じゃつまらない。

 普通のPvPなら、実戦経験ってことで、ハイランカーくらいがちょうどいいだろうさ。

 

 「おっちょこちょいなミス、しないでよね」

 

 「そっちこそ、俺の動きにちゃんとついてこいよ」

 

 そう言いあって、二人で不敵に笑う。

 言いはするものの、分かっているのだ。ミスなどするはずがないし、動きで後れを取ることなどないと。

 まあ所謂、捻くれた応援の仕方という奴だ。

 

 「ぷっ。口元にトマトソースつけて言うセリフじゃないよね」

 

 「んなっ………!?」

 

 ………ホント、締まらねえなぁ……。

 




言いわけタイム。テストがありました。以上。

Sクラスでは一応言うだけ言ってたんですけど、それ以外のところで一切何も言ってなかったんで、あれ?なんか全然更新されてないなって思った人ごめんなさい。

わりとすぐにまたあるんですけど(しかも志望の高校を決めるって言う大事なテスト)それ行ったら今回も後期の内申確定するテストだったし、ちょいちょい頑張ってこうかなーみたいな。

年明けたら多分土日に書き溜められないと更新は不可能。3月は完全に消失と思ってください。
まあ、受験終わったら合格発表待たずにここきますけどね。

では次回もよろしくお願いします!
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