ぐだぐだあーと・オンライン   作:おき太引けなかった負け組

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前回のあらすじ
ノッブ「勝ったぞおき太!この戦い、わしらの勝利じゃ!」

おき太「……」

ノッブ「……なんじゃその目は?」

おき太「いやそのセリフは言わないほうがいいかと……」


ぐだぐだ陰謀会議

 サボテン頭の男、キバオウは激怒した。

 目の前に居る青髪、恐らく、染めたであろうそのウェーブするような髪を持つ男から告げられた言葉に。

 時は先程の攻略会議に遡る。

 キバオウはパーティを組め、と言われ不安になっていた。

 それ以前にこのゲームを攻略するために死に物狂いで尽力してきた、自分たちにとっても大恩人と言える少女たちを傷つけていたのだから。

 彼女らは禍根は残さないし、気にしないと言っていたがそれでも振りかかる火の粉を避けようとするのが人間と言うものであるようで、キバオウは誰に話しかけることなく、話されることなく、ぽつんと、一人取り残されていた。

 

(まあ……しゃーないわな。ワイの勘違いで、あんなに頑張っとった子を私刑(リンチ)にしてしもた。せやから、これは罰なんやろうな)

 

 そう、自省する。

 キバオウ自身はそんなに悪い人間というわけではない。

 ただ、思ったことが口が出やすいだけの少し悪ぶったどこにでも居るような男であった。

 だから、表には出さないが、そう思うのも仕方のないことだった。

 しかし、そんなキバオウに救いの手はもたらされる。

 不意に後ろから話しかけられたのだった。

 

「あー、君。もしかして一人かな?オレ、ディアベルっていうんだけど良かったら俺たちとパーティを組まないか?」

 

 今、目の前に居る男、その人である。

 彼はその青髪のように爽やかな男であった。

 

「ああ……、でもええんか?ワイ、あんなことやらかしてしもたし……」

 

 キバオウは先ほどの出来事のせいで上手くやっていけるか、不安になっていた。

 だが、そんなことを意に介する事無くディアベルは笑って言う。

 

「別に気にしないさ。それに彼女たちも気にしないと言っていた。だから、むしろ入れないと彼女たちに悪いさ」

 

「ディアベルはん……」

 

 それを聞いてキバオウは感激する。

 こんな自分にも、優しくしてくれる人がいる。

 その事実だけで、キバオウの士気は高まっていった。

 

「どうやら組めたようじゃな。ではそれぞれの役割を言うとしよう」

 

 そうして、しばらくたった後、このレイドの責任者である、信長が現れ、作戦について述べる。

 レイドの構成は重装甲の壁役が3つ、高機動高火力のアタッカー部隊が3つ、その連携を上手く取るサポート部隊が2つ。

 よく考えられた、シンプル故に破綻の危険性の少ない構成。

 また、このレイドのリーダーである信長達は、そのサポート部隊に属しているが、それは別に彼女たちが死のリスクを恐れているわけではなく、指示をする立場である以上、そこに居るほうが全体を見て行動出来るだろうと考えてのことだった。

 それに、彼女たちのような実力を持つ人間が後ろに控えている。

 その事実だけで人は安心できるものである。

 故に、皆その構成に納得していた。

 そして、キバオウの部隊はと言うと――――。

 

「ええんか?こんな重要な役。ワイはさっきあんなこと言ってしもて……せやから……」

 

 キバオウはアタッカー部隊に属していた。

 しかもその中核を為す、メインの部隊へと。

 それに対して、自分がこんな大役を任されていいのだろうか、と不安になるキバオウ。

 しかし、それに対して信長は挑発するように言った。

 

「……重要な役だからこそ、そなたに任せるのだ。何、汚名返上の機会を与えてやったと考えてくれれば良い。それとも何か?そんなチャンスをくれてやったのに臆するような腰抜けなのか、そなたは?」

 

 それを聞き、更にテンションが上がるキバオウ。

 もう、キバオウは負ける気がしなかった。

 これほどまでにお膳立てされた最高の状況。

 まるで、自分が主役であるかのような錯覚を起こす。

 その影では「これって一種の悪質な洗脳ですよね……」と、つぶやく沖田が居たがそんな声は風に溶けて消えていった。

 そして、また時は戻る。

 

「それで、ディアベルはん。話って何なんや?」

 

 キバオウはディアベルに呼び出されていた。

 パーティの運用や、明日への準備の話をするのかと思っていたが他に人は居ない。

 

「少し、気になることがあってね……」

 

 そういって、もったいぶるようにディアベルは話し始める。

 

「キバオウさん。あなたはLAボーナスって知っているか?」

 

 LA(ラストアタック)ボーナス、それはボスモンスターに対して最後に攻撃したものに与えられる特別なアイテムのことである。

 しかし、キバオウは初心者であるが故にそれを知らなかった。

 

「いや?何なんや?それ」

 

 そして、ディアベルは丁寧にそのことについて説明し始める。

 

「つまり、何や、アンタはそれを取りたいってことか?」

 

 ディアベルからの説明を聞いたキバオウは単純な思考故に、そんな答えが思い浮かんだ。

 彼らの役割はレイドにおける、アタッカー部隊。

 それもその中核を為す部隊だ。

 そう言ったチャンスは他の部隊と比べてより多く回ってくるだろう。

 だから、その機会を手にするため、協力してくれないか?、と、そういう話になるとキバオウは思っていた。

 しかし、ディアベルはそれを否定する。

 

「いや、そうじゃない。俺は別にそれを誰がとってもいいと考えてる。……このレイドに潜む、不和の種以外は」

 

 ディアベルは深刻そうな顔でそれを語った。

 

「不和の種?何やそれは?」

 

 キバオウは訝しげにそれを尋ねる。

 

「キバオウさん。あなたは言っていたね?ベータテスター達は初心者を見捨てて先に進んで行ったと」

 

 キバオウの脳裏に苦い思い出がよぎる。

 それもそのはず、つい数時間前の出来事だ。

 

「……ああ。でもそんな酷いやつばっかや、あらへんのやろ?」

 

 しかし、自省していたキバオウはもう彼らのことは全く、とは言えないが気にしていなかった。

 今後の攻略のため、飲み込むだけの度量が男には必要だ。

 信長から与えられた答えではあったが、キバオウは納得していた。

 だが、それを揺さぶるようにディアベルは告げる。

 

「ああ、確かに彼女たちも言っていた。助けてくれたベータテスターたちも居たと。でも、もし今回のレイドに初心者たちを見捨てていくような、酷いベータテスターが居る、としたら?」

 

「なんやて!?」

 

 それを聞きキバオウの鼓動は跳ねる。

 その恨みの種は完全に消えたわけではなかったのだから。

 そして、その芽は出てしまった。

 

「あの後、キバオウさんの言葉が少し気になってね。情報屋、『鼠』のアルゴに大金を積んで聞いてみた話なんだが……」

 

 そういって、ディアベルは話し始める。

 あの、攻略会議に居た黒ずくめの少年。

 確か名前はキリトと言っただろうか。

 その少年が昔、この浮遊城(アインクラッド)ではないもう一つの浮遊城(アインクラッド)、ベータテスト時において、そのLAボーナスを汚い手段で取りまくっていた話を。

 それを聞き、キバオウは憤慨する。

 

(あのガキ……ワイが見渡した時に一瞬固まりよったがそれが原因か……よくも謀ってくれたな……)

 

 そして、その怒りとともに、キバオウは自分を助けてくれた恩人、(まあ沖田からすればマッチポンプ)である彼女らのことが思い浮かんだ。

 

「あ、あの嬢ちゃんらはそれ知っとるんか?知らんかったら……」

 

 キバオウは慌てる。

 しかし、そんな様子を見て冷静になだめすかせるようにディアベルは言った。

 

「お、落ち着いて、キバオウさん。多分、彼女たちは、詳細は知らないけれど、なんとなく勘付いていると思う」

 

 そして、ディアベルはその推論を述べた。

 

「彼女たちはボスの情報を集める過程で多分そう言った噂に近い話を耳にしているはずだ。そうでなければ彼女たちのような凄腕のプレイヤーがサポート部隊に入るわけがない。特にオキタさん。彼女の技量はとんでもない。リーダーであるテンマさんは裏方に回るとしても、せめて彼女だけでもアタッカー部隊に入れるのが普通なんじゃないのか?」

 

 そういって、ディアベルはパーティの不自然さについて説明する。

 そして、思い出されるのはあのPvP。

 ソードスキルを使っていないにもかかわらず他を圧倒していた。

 その速度から恐らくステータス配分はAGI特化であり、ちょうど高機動高火力であるアタッカー部隊と合致する。

 故に、彼女を入れないなどありえない、と。

 まあ、実際のところは自分たちが居なくともやっていけるように、経験を積ませるためにあえて外しているというのが答えなのだが、それを無視してディアベルは話した。

 

「つまり、あの嬢ちゃん達は怪しげな雰囲気は感じとるけど、それが何か分からんから警戒の意味を込めてあのパーティ組んだっちゅうことか?そんなまどろっこしいことせんでもレイドから、あのガキ外せばええんとちゃうんか?」

 

 キバオウは単純な思考のために、一足飛びのような答えを口にする。

 その分かりやすすぎる考えを、やりにくいなと思うディアベルであったがそんなことは少しも出さずに優しく諭す。

 

「……多分、彼女たちには理想があるんだと思うよ。攻略のため、皆一丸となって、協力する。そこにベータテスターも初心者も関係ない。そんな、理想を。彼女たちも言っていただろう?『恨みを飲み込め』と。でもオレは……」

 

 そんな狼藉を働くものは許せない、と、ディアベルは暗に言った。

 そしてそれはキバオウも同じである。

 こんな自分を許してくれた彼女たちを、みんな仲良くやっていける、夢物語を抱く少女たちを傷つけるなど許せない。

 だから、キバオウはそれに応えようとした。

 

「……なんか、ワイに出来ることあるか?」

 

 ディアベルの策はここに成った。

 食いついた、そう心の中でほくそ笑む。

 

「ああ!少し協力してもらいたいことがある」

 

 そう言って彼は考えた、その策について説明する。

 

「少し、遠回りすぎやないか?」

 

「いや、あまり動きすぎて、彼女たちに気づかれでもしたら大変だ。彼女たちにはまだ夢を見ていて欲しい。それが大人として、いや男としての義務じゃないか?」

 

「せやな。まあ、細かいことは分からんけど行ってくるわ」

 

 そして、キバオウは席を立ち、作戦のために行動を開始する。

 これこそが不和の種であるとは、最後まで気づくことはなく、最悪の時は刻一刻と迫っていた。




これで良いのか投稿するまで2,3時間迷った問題回
ディアベルはんが吐き気を催すレベルの邪悪に……
いや別にそういうのを書きたいわけで書いたわけじゃなくて原作読んでてキバオウに協力を依頼した様子を考えたらこうなったというかキャラが勝手に動いたというかなんというか……
実際、原作でもやってることせこいですし……
髪型がワカメに似てるのが悪いのだろうか?
別に嫌いじゃないんだけどね……
あ、ちゃんとディアベルはんのかっこいいシーンも有ります
全世界120億人のディアベルファンは期待しててね
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