ウコンバサラ戦の台詞はマジで格好いいと思うんですよ!俺は!
という訳でエミール会です!!
「そっち行ったぞ!!」
ギルさんの声、それと共に目の前の池からウコンバサラが飛び出してくる。私を見つけ、大口を開けて飛びかかってくるが、私は既にチャージクラッシュの体制に入っている。刀身が黒いオーラに包まれる。
「死にな・・・・・」
真横に構えたそれを躊躇いなくウコンバサラの口に叩きつける。上下に分かれるようにウコンバサラの身体が両断される。両断されたウコンバサラからコアを回収し、ギルさんと合流する。
「もう少し戦い方を考えろ、今の一歩間違えば死んでたぞ」
「余計なお世話」
私は煙草を咥え、火をつける。なぜか前回の会話から私の事を気にかけているのか、やたらと私についてくるのだ。前に何でそんなについてくるのか聞いた時には、
「そんな寂しそうな目をした奴を放っておけるか」
と言われた。私は頼んでないが、一人より二人の方が任務が効率的に終わるのは確かだし、ギルさんはかなり腕の立つ神機使いだ。だから別に不満がないわけでは無い。時折説教をされるが、それもすぐ終わるし私はだいたい聞いていない。それが分かっているのかそれとも諦めたのか、少なくとも煙草とお酒に関しては何も言われなくなった。
「いいからさっさと帰投するよ。私お酒飲みたい」
「ハァ・・・・・・・・ ま、戦場に長居するのはよくないしな。帰投するか」
迎えのヘリに乗り込みフライアに到着。ゲートから部屋に戻ろうとすると、
「ブラッドと言うのは、君たちか?」
誰だコイツ。多分二人して同じ事思っただろう。ギルさんに知ってる?って顔を向けると知らんって返される。それを知らないからか、目の前の金髪貴族は告げる。
「フフ、緊張するのも無理はない・・・・・・だが安心したまえ!この僕が来たからには、心配は完全に無用だ!」
いちいち大げさな動作と芝居がかかった口調で喋るコイツは何者なんだと思ってそれを聞こうとするより先に
「おっと、失礼した・・・・・。僕はエミール・・・・・・栄えある、極東支部第一部隊所属!エミール・フォン・シュトラスブルクだッ!」
「・・・・・・そうか、よろしくな」
だるそうな声で律儀に返事をするギルさん。私は吸い終わった煙草の吸い殻を携帯灰皿に入れ、新しい煙草に火をつけていた。今日三十本目だった気がする。無視を決め込むことを決めた私は向こうを向いて、紫煙を吐き出す。エミールさんはひとしきり力説した後に、
「我々の勝利は!約束されているッ!」
とか叫びながら階段でこけた。そりゃもう盛大に。
「また面倒な奴が来たな・・・・・・」
邪魔なら殺せばいい。私の中ではそんなレベルなんだが・・・・ギルさんにとっては面倒ごとらしい。
翌日
どうしてこうなった。ってぐらいに頭を抱えたくなった。ヘリの中には三人。全員同一のミッション。目標はウコンバサラ二頭。なのになんでヘリの中で、演説を聴かなきゃいけないのだろう。ヘリの中なので煙草が吸えない。それが私の苛立ちに油を注いでいた。ギルさんは寝てるので、必然とこの人の相手をするのは私になり・・・・・・
「あのような闇の眷属共を許しておくわけには行かないッ!だからそのために!この僕は立ち上がったのだ!」
「そうですか・・・・・・」
ぶっ殺したい。何度目か分からない殺意を押し込める。ここで殺したら血で私が汚れる。アラガミの血と違って人間の血は臭いが落ちにくいから嫌だ。今着てるのは、支給された制服の大剣用の下と槍用の上だ。正直変わりはいくらでもあるが、少し改造を入れてるので無駄にはしたくない。つまり適当に相手をしなくてはならない訳で、
「お前等、そろそろ降下ポイントだ。準備しろ」
このギルさんの一言に救われた。
「目標はウコンバサラ二頭。セオリー通りに一体ずつ・・・・・」
「闇の眷属共ッ!今ここでこの僕のハンマーで地に返してくれるッ!!」
ギルさんの説明も聞かずに飛び出していくエミールさん。ホントなにしに来たんだあの人。
「どうする?」
「私たちは近場にいる一頭を倒そう。アイツは見つければ合流。死んでれば回収。それでいいでしょ」
ギルさんは渋そうな顔で了解だ。と呟く。本来なら合流するべきなのだろうが、生憎と私は一人で突っ走るバカをわざわざ迎えに行くほどお人好しじゃない。そいつが死のうと別に構わない。勝手に突っ込んで勝手に死んだ奴に何か感じるほど私は人間出来てもいない。
「いたな・・・・・・」
一頭目を発見。周囲に敵影無し。
「俺が正面から仕掛ける。その隙に倒してくれ」
私が頷くとギルさんが突っ込んでいく。スピアをうまく使い、ウコンバサラを誘い出していく。
「後ろがガラ空きなのよ・・・・」
背を向けたところに私がダッシュ。その勢いのまま肩に担ぐように構えたバスターを振り下ろす。鈍い音と共に、ウコンバサラの頭上。タービン状の部位が崩壊する。
「ハッ・・・!」
ギルさんの短い声と同時に突き出されたスピアがウコンバサラの右顔面を削る。甲高い悲鳴と共に、ウコンバサラが逃げだそうと向きを変えるが、
「遅せぇよ!」
その声と同時にギルさんが神機を捕食形態にして、左後ろ足を食い千切る。バランスを崩して転倒するウコンバサラの正面で私が神機を構える。
「死んで・・・・・・」
神機が黒いオーラに包まれ、それを力任せに振り下ろす。頭から両断されたウコンバサラはその場に崩れ落ちた。
「やったな」
コアを回収しているとギルさんが近寄ってくる。
「もう一体をさっさと探すぞ、あのバカが相手しているはずだ」
正直もうあのバカの事とか忘れていた。これ私とエミールさんだけだったら確実にエミールさん死んでたな。断言できる。向こうの方から叫び声とかが聞こえたので、そっちに行ってみることにする。
「ぐぉおおおおおおぁッ!!」
噂のエミールさんが吹っ飛んで現れた。どうやらウコンバサラに正面から突っ込んでいっては吹っ飛ばされているようだ。普通はウコンバサラは一人なら真横から攻撃を仕掛ける物だ。それを完璧に無視している。
「チッ・・・・・・一人で突っ走りやがって」
ギルさんが舌打ちする。そりゃしたくもなる。自信満々に出て行くからどれだけ強いのかと思えばあのザマだ。
「いいだろう・・・・・・こちらも死力をもって相手してやうおぁああああああッ!」
また正面から突っ込んでは吹っ飛ばされている。学習しないんだろうか、あの人は。
「尋常ならざる怪力・・・・・・」
そりゃアラガミだし・・・・
「だが今度はこちらの番だ・・・・・・必殺ッ!エミール・スペシャル・ウルトラあああああああああッ!」
同じ事を何回繰り返す気だってくらいに吹っ飛ばされては突っ込むを繰り返すエミールさん。
「さっさと終わらせるぞ」
「ここは僕に任せてくれ!僕の騎士道精神を君たちに示してみせるッ!」
「悪いがお前の騎士道精神とやらにつきあってる暇はないんでな」
そう言って加勢しようとするギルさんを私が止める。
「・・・・・・何で止める?」
「本人がやりたいって言ってるんだからやらせてあげれば?それで死んだって知らないし、仮に死んだら囮に使える。喰ってる間に攻撃できる」
私は真面目に言ってるのだがギルさんはどこか釈然としない顔で
「勝手にしろ・・・・・」
そう言って帽子をかぶり込んだので、私も煙草に火をつけた。それを是と取ったのかエミールさんはウコンバサラに向き直る。
「ゴ、ゴットイーターの戦いはただの戦いでは無い」
また何か始まった。そう思ったが
「この絶望の世において!神機使いは!人々の希望のよりしろだッ!」
・・・・・初めて聞いた。真面目な声。芝居がかかっている口調は変わらないが、その声には己の決意が込められていた。
「正義が勝つから・・・民は明日を信じ。正義が負けぬから皆!前を向いて生きるッ!」
そんな事を言った神機使いは私の周りにはいなかった。あの場所にいた神機使いはそんな高尚な決意は無かった。
「故に僕は!騎士は!絶対に倒れるわけにはいかないのだッ!!うぉおおおおおおおおおッ!」
食いついてくるウコンバサラの顎をかわすように飛び上がるエミールさん。そのまま落下の勢いを利用して力任せにハンマーをウコンバサラの頭に叩きつける。短い悲鳴と共に倒れ伏すウコンバサラ
「ハッ・・・・バカはバカなりに筋の通った奴みたいだな」
筋の通った奴・・・・・私の中で今のエミールさんは眩しすぎた。自分の生き様を貫き通す。私の知ってる神機使いとは違う人がここには多すぎる・・・・・。私が怨んできたのは一体何だったのか。
「やった・・・・やったぞ!騎士道精神の勝利だ!!うぉおおおおおおおおおおおおおお!!」
叫んでいるエミールさんを呼びに行ったギルさんと別れて一人帰投ポイントに向かう。
このモヤモヤした感じを押さえながら。
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