「何を望むか?」
そんな声が聞こえた。
ふと気が付くと、自分がどこまでも続く暗闇の中にいることがわかった。
そしてその中で自分の存在がひどく曖昧であるのを感じる。
まるで今にも消えかかっているかのような。
もしかして自分は夢でも見ているのだろうか、それとももう死んでしまいここは死後の世界なのか……
そんな考えに至ったところで、自分の今までの人生とその最期をおぼろげながら思い出すことができた。
死の間際のあまりの鮮明な記憶。
いや自分の最期については語るまい。
それはあまりにも忌まわしい記憶でしかなかった。
すると今度は漠然と自分のこれからのことがわかった。
これから自分が生まれ変わること、生まれ変わる先が何かの創作物であること(ストーリーもタイトルもわからない)そして来世では今までの自分の人生ではおおよそ遭遇していないであろう困難に直面することを理解した、してしまった。
「何を望むか?」
また声が聞こえる。
どうやら自分は何かを手に入れた状態で生まれ変わることができるらしい。
さて何をもらおうか……
今まで高い山もなけれな深い谷もない、比較的平和的な人生だったように思うが、どうやら次回の人生はそうもいわけにもいかないらしい。
次の人生において遭遇する様々な困難、果たして自分はそれをのりこえることはできるのだろうか。
ぼんやりとした思考の中で浮かんだのはある一つのイメージだった。
そうだ……力がいる。
どんな困難をも打ち破れる、自分の意志を貫くための、そんな力が……
あらゆるイメージが浮かんでは消えていく、そして最後に思い浮かんだのはある一つの力であった。
たしか生前一番好きだった漫画にでてきたものであっただろうか。
その力はどんな困難をも貫いた。
確固たる自分の意志と正義のために。
その速度は射矢よりも速く、その精度は弾丸をも貫き、その威力は砲弾をも砕く。
「決まったようだな」
ああ……俺はこの力を欲そう。
大切なものを守れるように、己の信じる未来のために、
そして絶対に許せない悪を斬るために。
そう決意したところで、ふと気が付くと自分の手に刀が握られていた。
まるで初めからそこにあったかのように、当たり前のように手の中に現れた。
不思議と手によくなじむそれを握りしめながらも自分がうっすらと消えていくのを感じる。
……いいや消えるんじゃない、俺の次の人生が始まるんだ。
「さあ始めよう、俺なりの「悪・即・斬(あく・そく・ざん)」を。」
こうして俺の第二の人生が始まる訳で。
主人公も作者も厨二病