ISが世界に現れてから10年がたった。
この10年で世界は驚くほどの変貌を遂げた。
なによりの変化は軍事関連と女尊男卑の風潮である。
まず軍事であるが、ISの登場によりほぼ全ての兵器が前時代のものと化し、ISこそが各国の軍事力の最大戦力とされた。
そしてISが女性のみ扱える兵器ということで、女性が男性を見下す風潮が生まれてしまった。
正直これに至っては理解に苦しむところである、女性なら誰しもがISを使えるわけでもないというのに、ISが活躍を見せるほど女性の権力が増していくという何とも不可思議な現象が起きていた。
とはいうものの、ここ10年間は一学生として生きてきた俺には正直なところそこまでの苦労は感じなかった。
クラス替えのたびに、女尊男卑思想にこれでもかと染まった輩が何人か同じクラスにいたものの、斉藤一ばりに目つきの悪い容姿に育ってしまった俺に突っかかってくるような度胸のある女はほとんどいなかった。
さて俺のことであるが、ここ10年間は特に物騒なことには巻き込まれることはなかった。
俺はとりあえず体を鍛えておかなければと剣道をはじめ、中学に入ってからは全国大会三連覇するくらいにはなっていた。どうやらそれなりの才能があるようで、もしかしたら転生の特典が関係しているのかもしれない。
ちなみに俺の剣道であるが、中学の時は全く本気が出せていない、というのもルール上突きが許されていないのが原因である。
これもどうやら転生特典の副産物なのか、俺の突きはほかの技に比べてキレが段違いであったのだが、残念ながら剣道では突きは高校に上がるまでは禁止であったため試合では一回も行っていない。
とまあそんなことはおいておこう、現在自分が置かれている状況に目を向けてみると
「はぁ・・・・」
現在俺は多数の女子から視線を向けられている。
それもそのはず、この教室には男が二人しかいないからである、いやその二人が世界でも二人しかいない「ISを操縦できる男」であるからと言った方がいいか、とにかく目を背けたくなる現実がそこにあった。
あれは中学卒業も間近な冬の日のこと、ISを使える男が現れたというニュースが全世界に届けられた。
そして「もしかしたら他にもそんな男がいるんじゃないか」という考えのもと、その見つかった男に年齢がほど近い日本人を対象に調査が行われ、見事に自分が二人目ということで引っかかってしまったわけである。
まあ、一人目が見つかった時点である種の覚悟はできたいたためそこまでの驚きではなかった、一人目の男には名字から考えて恐らく元世界チャンピオンの弟らしく、間違いなく彼が原作の主人公だろう。
物語が動き出したのがわかった俺は、調査が始まった時点で完全にあきらめており、二人目として見つかってからも言われるがままこのIS学園にやって来たというわけである。
さて、隣の席に座るもう一人の男をうかがってみるとこちらもやはり居心地が悪そうに冷や汗をかいていた。
彼の名前は織斑一夏
ふむ、ニュースで見たときも思ったがなかなかの男前である、こんな女だらけの学園に放り込まれた状況からも見てハーレム系主人公ってやつかもしれない。
もしかするとそこまで殺伐とした世界観ではないのかもしれないという希望すら持たせてくれることは本当に感謝している、ありがとう!君が男前でよかった。
さてそんなどうでもいいことを考えている間に副担任の先生が入って来た。
雰囲気は実習生のようでもあるが、こんな特殊なクラスを受け持っていることを考えると恐らく優秀な人物ではあるんだろう。
とはいえ、そんな先生も生徒の反応の悪さに少々慌てているようだ、まあこんな特殊事例が二人もいるんだ、不憫ではあるが仕方のないことだとも思う。
しかしなんというか、なんとけしからんおっぱいなであろうか……もしかしたらこの先生も主人公のハーレムに入るのかもしれないな、そう思って再度織斑一夏の方を見てみると、彼はどこかに視線を送っているようだった。
その視線をたどると見知った人物がそこにいた
(あれは、もしかしてモップちゃんか!?)
彼女は、剣道全国大会で会った箒ちゃんであった。
物語の中心人物なのかと驚きつつも、たしかにポニテ+巨乳+剣道少女という属性持ちであることを考えると、納得できる。
さてそう思っている間にも自己紹介は進んでおりどうやら次は注目の1人目、織斑一夏の番らしい。
「織斑君。・・・・・・織斑君? 織斑一夏君!」
「は、はい!?」
どうやら、何か考え事をしていたようで見事に声が裏返っていた。
「あ、大声出しちゃってごめんなさい。でも「あ」から始まって今「お」何だよね。自己紹介してくれるかな? だ、駄目かな?」
「いやあの、そんなにあやまらなくても・・・」
そう言って立ち上がると
「んんー、ええっと、織斑一夏です。よろしくお願いします。」
「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
彼の自己紹介ということで、俺と二分していた視線が今はあいつ一人に集まている、しかも何を言ってくれるのかという期待込みということもありどうやら相当あがってしまっているようだった。そしてなんと、
「以上です!」
なんともどうどうと、期待を裏切った。
するとまるでコントのように崩れ落ちる女子達、どうやら本格的にこの作品はラブコメであるらしい、いやむしろここからシリアスになられたら泣く。
そうおもっているといつの間にか教室に入っていた女性が思いっきり織斑の頭を殴っていた。
ふむ、いい突きだ、突きにうるさい俺にはわかる。
「げぇっ! 千冬姉!?」
もう一発殴られる。
「学校では織斑先生だ」
やっぱり姉弟だったか。
教卓に立った姿を確認すると、釣り目少々きつい印象を与えるものの(といっても俺ほどではないが)なんともかっこいいと女性であった。
綺麗な顔立ちはしているものの、その目つきとなんとも男らしい態度のおかげでどこぞの司令官のような印象をうける。
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使いものになるまで育て上げるのが仕事だ。」
やっぱり教師というより上官って感じだな。
「キヤァアアアアアアアア!千冬様!本物の千冬様よーーー!!!」
「私千冬様にあこがれてこの学園に入りました 北九州から!」
「不束者でございますがよろしくお願いします!!」
「キャァアアアアア!!お姉さまぁぁぁ!!!」
なんというカオスであろうか、しかし武人としての目で見るとあながちそう憧れるのも無理はないほどの実力を感じさせる。
流石に牙突を初見で止められるほどではないと思うが・・・ないよね?
「……はぁ、なぜ毎年こうも騒がしいのだ? よくもこれだけの馬鹿者どもが集まるものだ。もしや私のクラスだけに集中させているのか?」
「キャァアアアアアアアア! 御姉様! もっと叱って! 罵って!」
「でも時には優しくして!」
「そしてつけ上がらないよう調教をして―!」
本当にものすごい人気である。
よくは知らないが、この学園のような男いない女の園ではあのような凛々しい女性が人気者になるのかもしれない。
「で、挨拶もまともにできないのかお前は?」
「いや、千冬姉、俺は―――」
ズガァァァン!
「学校では織斑先生と呼べ」
再度出席簿で叩かれる織斑一夏
「え……? 織斑君って千冬様の血縁の弟?」
「それでISが動かせるってこと?」
「でもそれじゃあもう一人の方は?」
ふむ、織斑一夏が動かせるのには物語的に何か重要な原因がありそうだが、俺の場合は完全なイレギュラーだからな。
俺の存在がどのように影響するか微塵もわからない、といっても原作というものを知らない以上こんな考えはあまり意味はないが
「まあいい、次はお前が自己紹介しろ。このままでは他の生徒が気になって授業にならないだろう」
さて、ご指名を受けてしまった。
先ほどの無様な自己紹介を見てしまった以上それなりのことを言わなければ。
「了解です。」
と言って立ち上がると、女子の目線が今度は一斉にこちらに向く。
うーん確かにこれはしんどい。
「斉藤吾郎です、理由はわかりませんがISを動かしてしまい世界で二番目の男としてここにいます。趣味は剣道、好きなものはかけそばです。女子ばかりの学園ですので皆さんに迷惑をかけてしまうかもしれませんがよろしくお願いします。」
こんなもんでいいだろう。
座りながら目線をやると、モップちゃんと目が合う。
様子を見る限りどうやらあちらも俺のことを覚えているようだ。
「さて、SHRは終わりだ。諸君にはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ!よくなくても返事はしろ!」
「「「「「「はい!」
俺も皆に合わせて返事をする。
こうして俺の波乱万丈な学園生活が始まるのであった。
「で、なんでお前は返事をしない織斑」
ドガァァァン!
とりあえずあの先生には目をつけられないようにしよう・・・・
さて、SHRも終わった後、多くの生徒がこちらのことを注目している。
お互いけん制しあっているようで、コンタクトをとってくる者はいないものの廊下の人だかりを見て改めて自分たちが異質な存在かを認識する。
「というわけで仲良くやっていこうぜ織斑」
「なにがというわけなのかよくわからないが・・・これからよろしくな、あと俺のことは一夏でいいぜ」
「それじゃあ俺のことも吾郎って呼んでくれ」
一夏はその見た目通り、態度も爽やかでいい奴だった。
本当にモテるだろうなあと思うしさすがハーレム主人公、俺もブ男というわけではないがこの爽やかイケメンと比べたらどうしても見劣りしてしまう。(特に目つきには雲泥の差がある。)
それも少々悲しいことではあるが、できれば女子の視線を一手に集めてもらい俺に平和をもたらしてほしいものだ。
「いやーでも、男がもう一人いてくれてよかったぜ。もし学園に俺1人だったらと思うとぞっとする。」
「まったくだな、二人目として出てきてやった俺に感謝しろよ。」
「おう、確かにそうだな」
まあ、俺がいなかったら物語的に絶対に男はお前ひとりだっただろうしな。
「・・・・・・ちょっといいか?」
突然けん制しあっていたはずの女子の中から一人俺たちに話しかけて来た。
「・・・・・・箒?」
「モップちゃん?」
やっぱり知り合いだったか。となるともしかしてこいつは、
「なんだ一夏、お前のこれか?」
そういって小指を立ててやった。
「ち、違う!こいつは単なる幼馴染だ!」
「そうだぞ吾郎何言ってんだ?ていうかお前箒の知り合いだったのか?」
一夏が軽く否定したところで、箒が一夏をにらんでいる。
なるほどやはり原作ヒロインというやつか、しかももう惚れているという感じであるところを見ると典型的な幼馴染キャラってやつなのだろう。
「そうだったのか、悪いな。まあ幼馴染ってことは積もる話もあるだろう。屋上にでも行って二人きりで喋るといい。」
「おうそうだな、箒行こうぜ。」
「・・・・・・うむ」
こう言って二人を送り出した。
ちなみに箒にだけ見えるようにサムズアップもしておいた。
(箒よ、お前は幼馴染キャラとしてスタートラインには他のキャラクターよりも早く立っているんだ、頑張れよ。)という思いを込めたのだがプイっと顔を背けられてしまった。
ふむ、相変わらず照れ屋な奴だな・・・。
Side 一夏
箒と屋上で話を終えて教室へ向かう途中気になったことを聞いてみることにした。
「そういえば箒、吾郎と知り合いだったんだな。」
「ああ・・・」
すると箒はどこか遠い目で、吾郎のことについて話し始めた。
「あいつは剣道の全国大会で知り合って・・・男子の部で大会三連覇を成し遂げていた、一度手合わせしたことがあったのだが尋常じゃなくてな。」
そういいながら、箒はどこか疲れた表情で
「まあ悪い奴ではないのだがな・・・なんというかいまいち行動が読めんというか・・・」
と言った。
「・・・・しかもやたら鋭いというか・・・ああ、きっとさっきので私の気持ちもばれてしまっただろう・・・」
うーん最後の方はよく聞こえなかったが、どうやらあまり触れないほうがよさそうだ。
しかしあいつも剣道やってたんだな、あとで箒のことも聞いてみるか。
Side out
Side 吾郎
さて、入学早々ではあるものの流石エリートのそろうIS学園、初日から授業が始まり現在は休み時間であるが、
「しかしなあ……電話帳と間違えて参考書を捨ててしまうとは………はははっ、一夏は大バカだなあwww」
「うるせえ」
一夏はどうやら抜けたところがあるらしく、教科書を電話帳と間違えて捨ててしまったらしい。
そのおかげで先ほども織斑先生からどぎつい一撃を食らっていたが、こいつの頭は大丈夫なんだろうか。(二重の意味で)
「まあ先生にもああ言われたことだし、とりあえず死ぬ気で覚えるんだな。一日200ページ覚えればいけるから頑張れよ」
「……お前本当に応援してんのか?」
哀れ一夏、骨は拾ってやろう。
とまあ一夏をいじっていたが、
「ちょっとよろしくて?」
どうやら一波乱ありそうな訳で。
主人公の設定
容姿:黒髪黒目 そこそこの高身長で顔も整ってはいるもののるろ剣斉藤一のような目のせいで怖がられることがしばしばある
好きなもの:かけそば
苦手なもの:女心
性格:基本適当+人並みの正義感