「ちょっとよろしくて?」
「「え?」」
俺たち二人に話しかけてきたのは、金髪の美しい女性であった。
「まぁ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも
光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら?」
うーむ、この喋り方といい、金髪のロール具合といいこいつはなんというかこてこてのお嬢様って感じがするなあ。
しかしどうやら俺たちが自分のことを知ってて当然だという態度らしいが残念なことに、
「悪いな。俺君がだれなのか知らないし」
まあ「お」までしかちゃんと自己紹介してないから当然だよね。
「わたくしを知らない!?このセシリア・オルコットを!?イギリス代表候補生にして、入試主席のこのわたくしを!?」
「あ、質問いいか?」
一夏が、急に真剣なトーンで質問した。
なんだろう、嫌な予感がする。
「代表候補生って・・・何?」
ガタガタガタ、クラスの女子がまたしてもずっこける。
どうやらほんとうにこの作品はコメディー路線のようだな。
「あ」
「あ?」
「あなた、本気でおっしゃっておりますの?!」
「おう」
なるほど一夏のことが読めてきた、どうやらあえて知識がスッカラカンの主人公であることで、視聴者が主人公と一緒に知識を得られるようにしているのだろう。
そう考えると一夏が急に不憫に思えてきたので、一夏に優しい目を向けてみた。
「なんだよ吾郎?その可哀想なものを見る目は?」
「……いいんだよ一夏、お前は悪くない、お前はそういう運命なんだ。」
「なんだかよくわからないけどすげー腹立つ。」
ああ哀れ一夏。
「で、代表候補生って?」
「国家代表IS操縦者の、その候補として選出されるエリートの事ですわ。……単語から想像したらわかるでしょう」
「そういわれればそうだ」
「そう! エリートなのですわ!」
うーむ高飛車キャラっていうのはまさにこういうことを言うんだろう。しかしベタなキャラクターが見えるほど彼女が主人公に落とされる未来が見えてしまい、今の光景がとても滑稽なものに思えてしまう。
「本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくする事だけでも奇跡……幸運でしてよ。その現実をもう少し理解してはいただけませんこと?」
「そうか。それはラッキーだ」
「……馬鹿にしていますの?」
自分で幸運だのなんだの言っておいてこの言い草である。
「なあ、俺からも質問いいか?」
「……なんでしょうか?」
あからさまに嫌な顔をしてくる。
まったく俺を一夏のように何も知らない坊やだと思ってもらっては困るぜ
「疑問に思ったんだけどIS学園がいくら優秀な学校でも君みたいなエリートばかりではないよな?」
「ええ、当たり前でしょう」
「いくらIS学園でも、それこの今までISなんて乗ったことない人が大部分だよなあ?」
「ええ、そうですとも。だからこそ私のような代表候補性のエリートと同じクラスであるという事実を感謝するべきd」
「じゃあなんでみんながみんな基礎から学ぶようなところで、今更君みたいな代表候補生が学ばされるの?ほんとに国からエリートとして大事に育てられてるなら俺たちみたいな初心者と一緒に学ばせるなんて無駄なことせずに、本国で英才教育されてるはずじゃないの?」
ビシッっと音を立てるようにセシリアが固まった。
ん?どうしたんだろう?俺は単に思ったことを聞いただけなんだが・・・ふと周りを見ると、様子をうかがっていた周りの女子達も何とも言えない顔をしている。
うーんどうしたんだろう本当に。
すると固まっていたはずのセシリアが顔を引きつらせながら
「ま、まぁ、ISでわからないことがあったら、まぁ、泣いてお願いするなら、教えて上げてもいいですわよ?何せわたくしが入試で唯一試験官を倒したエリート中のエリートですから、ええそうなんですの本当にエリートなんですのよ…(ブツブツ)」
なんだか顔色が悪いようだ、そしてどうやら俺の質問には答える気がないらしい。
「入試ってISを動かして戦うあれだよな?」
「それ以外に入試はありませんわ」
「「俺も倒したぞ。その教官」」
「・・・は?」
「ん?吾郎もだったのか」
「いやあ、まあたまたまね。一夏も倒したのかすごいな」
「いや倒したというより、勝手にこっちに突っ込んできただけだけどな」
なるほど、自滅ってやつか。
「わたくしだけとお聞きしましたが?」
「女子だけっていうオチじゃないのか?」
ピッキ
再度オルコットが固まった、だがよく見るとオルコットの手は握られており小刻みに震えている。どうやらプライドを傷つけてしまったらしい。
(うわあ織斑くんも斉藤くんもえげつないなあ…)
(あれじゃあ、セシリアのプライドぼろぼろよねえ)
(やめてえ、セシリアのライフはもう0よ!)
なにやら周りの女子達が言っているがよく聞こえない。
キーンコーン、カーンコーン
「お、チャイムがなった。次の授業の準備しないと。」
「おうそうだな、おいオルコットいつまで固まってんだ?」
「……ま」
「「ま?」」
「また来ますわ!逃げないでくださいませ!よくって!?」
そういってオルコットはズカズカと自分の席に戻っていった。
「なあ今、オルコット泣きそうだったよな?」
「そうだな、よくわからんけど後で謝っておこうぜ」
そういいつつ二人で首を傾げた。
うーん女の子ってのはよくわからん。
セシリアとの会話も終わると再び授業が始まり、先生が教壇に立った。
さて授業が始まるのかと思いきや
「それではこの時間は実戦で使用する各種装備の特性について説明する。……ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めておかないとな。」
クラス対抗戦?なんだろうか?
「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会の出席……まぁ、クラス長のようなものだ。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点では大した差ではないが、競争は向上心を生む。一度決まると1年間は変わる事がない。自薦他薦は問わない、誰かいないか?」
なるほどな、しかし他薦もありだということを考えると、
「はい。織斑君を推薦します!」
「私もそれがいいと思います!」
まあ、そうなるよなあ。
なんてったって世界に二人しかいない男性操縦者だ、そういう風に担ぎ上げられることは当然でもある。
「お、俺!?」
まあ一夏もやりたくないだろうがそこはイケメン主人公のさだめだと思って諦めろ。
「頑張れよ一夏!推薦された以上責任を持たないとな!」
「他人事みたいに言うんじゃねえ!」
だってねえ、一夏を差し置いて俺を推薦する奴なんてのもいないだろうしここは一夏にきまりd
「私は、斉藤君を推薦します!」
どうやらそううまくはいかなかったようだ。
「織斑君は代表候補生も知らなかったみたいだし、そういうのはちょっと厳しいと思って……」
くそう、一夏の無知のせいで俺まで……
「推薦された以上責任をもてよ!」
「うるせえ馬鹿野郎!」
一夏の笑顔がものすごく腹立たしい。
ああ一夏が代表候補生も知らないばっかりに……
(あれ、ちょっと待てよ……)
俺は一夏の無知から先ほどの一件を思い出していた。
そうだ、俺たちはまた間違えるところだったのではないか……
そう思って彼女の方を見ると拳を握って震えているのが確認できた。
突然押し黙った俺を不思議そうに見た一夏も俺の視線を追うと、はっと気が付いたようで少しばつの悪い顔をした。
一夏と目を合わせると、おたがいゆっくりとうなずいた、どうやら気持ちは同じらしい。
ならばやるしかない、罪滅ぼしをするには絶好の機会だ。
Side セシリア
私はクラス代表決めを行っている教室を眺めながら、握った拳が震えるのを感じていた。
(織斑一夏、斉藤吾郎……)
男なんてとるにたらない弱い存在、そう思ってきた。
しかしもしかしたら、ISを動かした彼らならほかの男とは違う何かを持っているのではないか。
期待していたわけではなかったが、一応の確認の意味で接触してみたものの、結果はさんさんたるものだった。
一般常識レベルの知識もなく、知性や品性も感じない。
しかも、あまつさえこのわたくしのプライドまでも……(グスッ)
いや私は泣いていない、決してあんな野蛮人どもに泣かされたわけではない、いやあるはずがないのだ。
そしてこんな選出なんて認められるはずもない、だからわたくしは止めなければならない。
この私の所属するクラスが、男を代表に選ぶなんて、そんな屈辱決して許されるはずがないのだ。
私は立ち上がり声を張り上げようとしたそのときに、思わぬところから静止の声があげられた。
「おまちくだs」
「「ちょっとまったああああああ!」」
Side out
「「ちょっとまったああああああ!」」
俺たちは二人叫びながら同時に立ち上がってクラスメイトの方を向いた。
ん?オルコットが立ち上がっているな、ちょうどいい
「お前たち一人忘れてるんじゃあないか?」
「ああ、俺たちなんかよりもずーっとクラス代表にふさわしい人物をな」
俺と一夏がこう言っても、クラスの女子達はいまいちピンと来ていない顔をしている。
「まったく信じられないよなあ一夏?あんなエリートを放っておくなんて」
「本当だぜ吾郎、女子では唯一教官を倒した代表候補生がいるんだ。クラス代表はその子がやるしかないよな。」
そういうと俺たちは、オルコットの方を向いて高らかにこう言った。
「「俺たちはセシリア・オルコットを推薦します!」」
そう言った後俺たちは一気にまくしたてた。
「なんて言ったって、エリートだぜ。俺たちは彼女と同じクラスになった幸運を、いや奇跡をかみしめるべきらしいからな。なあ吾郎?」
「おうともよ、俺たち初心者とともに学ぶために、エリート中のエリートがこんな極東の島国に来てくれたんだ。ここはクラス代表はオルコットさんしかいないだろう!」
よし、これだけほめれば先ほどの俺たちのことも許してくれるだろう。
それにきっと彼女の性格ならクラス代表をやりたがったはずだ、自薦しなかったのはもしかしたら意外と恥ずかしがりやなのかもしれない。
「「さあ、オルコットさん、推薦するから思う存分クラス代表をやってくれ、なんせエリートなんだからな!それとさっきはごめんね!」」
よしこれで完璧だろう、俺と一夏は目を合わせて笑いあった。
なぜかオルコットはうつむいてしまっており表情は見えないものの、きっと喜んでいるに違いない。
いや俺たちに褒められて照れているのかもしれない、まったく可愛いやつだn
「決闘ですわああああああああああああああああああ!!!1」
……なぜだ?
そんなわけで放課後
「「はぁ……」」
俺と一夏は、教室でため息をついていた。
まったく何がいけなかったのだろうか、自分たちがクラス代表をやることもなく、オルコットに罪滅ぼしまで出来るはずだった完璧な策だったのだが、どうにも逆効果に働いたらしい。
結局あのあと、半泣きのオルコットは言うには、
・私のプライドが傷ついた
・だから決闘しろ、負けたら小間使い
・クラス代表の座をそれで争おう
ということらしい。結局織斑先生もそれを承諾し、流されるままにそういうことになってしまった。
本当に何がいけなかったのか……
あの時のクラスメイト達も何とも言えない顔をしてたし、モップちゃんに聞いてみると
「バカ者どもが」
と言われてしまった、やれやれやっぱり女の子はわからない。
「ああ、織斑君、斉藤君。よかったまだ教室にいたのですね」
山田先生が女子が教室に入ってきた。その手に持っているのはどうやら書類と鍵のようである。
「はい?」
「なにか?」
「えっとですね、お二人の寮の部屋が決まりました」
書類の方はどうやら、寮の規則事項らしい。
女子寮に男が入る訳だし、しっかりと把握しとかないと。
「俺の部屋、決まってないんじゃなかったんですか? 前に聞いた話だと、一週間は自宅から通学してもらうって話でしたけど」
「そうなんですけど、事情が事情なので一時的な措置として部屋割を無理やり変更したそうです。」
まあ、仕方のないことだろう。
俺たちはそれだけのイレギュラー、安全を確保するにはそれくらいにことはするだろう。
「えっと、部屋の事は分かりましたから、荷物の準備の為にも今日はあとちょっとしたら俺達は帰っていいですか?」
「俺もいろいろと取りに帰らないと」
「私が手配をしておいれやった。ありがたく思え。といっても生活必需品だけなんだがな。着替えと携帯電話の充電器があれば十分だろう」
「ど、どうもありがとうございます……」
いつのまにか入ってきていたらしい織斑先生がそう言った。
ふーむなかなか最低限のラインナップだな
「斉藤の方はご家族から荷物が届いている、部屋においてあるはずだから確認しておけ」
「わかりました、ありがとうございます」
「では、これが寮の鍵となります。時間を見て部屋に行ってくださいね。寮の一年生用食堂で朝食、夕食をとってください。学年ごとに使用時間が限られている大浴場があります。ですが、しばらく大浴場は使えませんから部屋のシャワーを使用してください」
まあ、当然だろうな。
「へ?何でですか?」
おいおい、一夏・・・。
「馬鹿者。お前は女子と一緒に入るつもりか?」
「えっ!?ダメですよ織斑君!女子と一緒に入るのはまだ早いですよ!」
「いえ、一緒に入りたくないです・・・」
「まじかよ一夏!?普通は入りたくてたまらないはずだろ……まさかお前……?」
「え?!織斑君ってまさか……」
「断じて違います!」
ふぅ、よかった一夏はノーマルらしい、俺の貞操の危機は免れたな。
「えっと、それじゃあ私たちは会議があるので、これで。二人ともちゃんと寮に帰るんですよ。道草食っちゃだめですよ」
「「はーい」」
さてとじゃあ行きますか。
「あれ吾郎、これ見てみろよ」
ん?
どうやら俺たちは一緒の部屋ではないらしい。
男二人でてっきり同部屋だと思っていたのだがそういうわけだはなかったらしい。
「多分防犯上のことで色々あるんじゃないか?」
「なるほどな」
ちなみに一夏は1025室、俺は1037室らしい
「てことは相部屋か、なんか緊張するな」
「いやお前はゲイだから緊張しないだろ」
「だからちげーっての!」
なんて軽口を言い合いながら、廊下で一夏と別れると一人1037室へ向かった。
「1037……037……ここか」
さて、織斑も言っていたが自分も緊張しないわけではない。
寝食をある程度ともにする間柄となり以上できるだけ気の合う人間がいいものである。
とりあえず部屋番号を確認し、ノックをしてから返事があるか確かめてみる。すると「ふぁーい、あいてるよー」となんとも間の抜けた声が聞こえてきた。
中にゆるキャラでもいるんだろうか。
「失礼しまーす」
あいているようなのでとりあえず入ってみる。
「あれーごろりんだ、なんでごろりんがいるのー?」
あけてみるとほんとうに、ゆるキャラチックなルームメイトがいたわけで。
終わりが中途半端