のほほんさんの扱いはそんなに大きくならないと思う
「もう朝か……」
窓から入ってくる太陽の光で目が覚めた。
「なんだか夢を見ていた気がする……なぜか俺がISを動かせてIS学園に入れられて、ブリュンヒルデがいて、モップちゃんがいて、部屋に行ってみたらゆるキャラがいて……」
「ゆるキャラってわたしのこと?」
……ふと目を向けるとそこには、昨日のゆるキャラ……のようなルームメイトの姿があった。
「夢じゃなかったかー」
「そうだねー♪」
俺のルームメイトは布仏本音ちゃんというらしく、俺のクラスメイトでもあるらしい。
外見は比較的幼く、ぽわぽわしているが実はすでに生徒会メンバーに内定しているらしく「わたしはすごいんだよー」とその体格には不釣り合いな、大きすぎる胸を張っていた、
うーんじつにけしからん。
さてこの本音ちゃんどう考えても寝坊キャラであるはずなのだが、なぜ俺より早く起きているのかというと、昨日は新生活の疲れが出たらしく9時にはすでに夢の世界へ旅立っていたからである。
うーん、明日からは俺が起こしてあげる日々が待っていそうだ。
というわけで、起きた俺たちは朝食へ向かう。
「朝ごはんたのしみだね、ごろりーん」
「ごろりーんていうとどこかの怪獣の名前みたいだな。」
ちなみにごろりんというのは俺のあだ名らしい、吾郎だからごろりんだそうだ。
本音ちゃんのとてとてとしたゆっくり歩みにあわせていると、一年生寮の食堂にたどり着いた時には既に生徒が集まり賑やかになり初めていた。
色々な国から生徒が集まっているからだろうか、バラエティー豊かな料理があったものの迷わずかけそばを注文、トレーをもち座る席を探していると丁度一夏とモップちゃんが座っているのを見つけた。
しかし、近付いて良く見てみると、なにやら剣呑な空気、
おおかた一夏が何かデリカシーのないことをやらかしたのだろう。
「よう、朝っぱらから夫婦喧嘩か?」
「くぁwせdrftgyふじこlp!?」
ふむ、モップちゃんが慌てているがとりあえず無視してこいつらのとなりに本音ちゃんと座る。
「ん?あぁ吾郎かおはよう。いやぁ実は俺のルームメイトが箒でな」
そういえば気になっていたのだが、聞けばなんでも、一夏とモップちゃんは幼馴染らしい。
「いやあ、相部屋の相手が箒で助かったったよ、なんてったって幼馴染だからな」
「ふん」
そういってそっぽを向いているが、間違いなくこの部屋割りにはモップちゃんの方が喜んでいるだろう、一夏にそれを言うことは絶対にないが。
「そういえば吾郎って箒と知り合いだったんだな。」
「ああ、初めて会ったのはは剣道の全国大会でな。」
いやはや何とも懐かしい。
あの時はちょっとテンション高く少々やんちゃをしてしまった。
「……いったい何があったんだ?」
「まあ話してもいいんだが彼女的にはあまりしゃべってほしくないみたいでな」
箒の方を見て見れば、いつもよりどこかじっとりとした目でにらんできている。
実を言うと俺としても、少しばかり恥ずかしい思い出だったりもする。
「そのうち機会があれば話すわ、今はあんまり時間もないし」
「そうだな」
そういって俺たちは朝飯を終えた。
◇
さて、決闘が決まってからの一週間は、俺も一夏も準備の方に追われてしまった。
一夏は幼馴染の箒と特訓していたようだ
一夏どうやら昔箒と一緒に剣道をしていたらしいのだが、あまりにも腕が鈍っていたらしく、一週間ほとんど剣道をしていたらしい。
俺もちょくちょく剣道場に行き体を動かしていたのだが、俺が隅っこで素振りしている間、
一夏はいつも箒にボコボコにされていた。
しかし知ってはいたものの箒は、相変わらず強いこと強いこと。
まあ箒は一夏といるだけで楽しいだろうしあれはあれでよかったのだろう。
おかげで一夏はISについての勉強は一つもして内容だったがそこはまったく突っ込まなかったまあもっとも、一夏も俺も機体が試合ぎりぎりまで用意できないらしかったので、俺も大したことはできなかったが。
ISについてしたことと言えば、以外にも整備課志望で頭にいい本音ちゃんに座学を教えてもらっていたくらいである。
「えっへん」
ちなみに決闘あいてのオルコットについてだが、
たびたびこちらに突っかかってきそうな空気は感じたものの、今一歩踏ん切りがつかないのか、終始こちらをにらむだけであった。
そんなこんなで一週間。
ついにセシリアとの対戦の日がやってきた。
◇
「なぁ、箒」
「何だ、一夏」
同じピッドには俺と織斑、箒も一緒にきていた。本音ちゃんは観覧席で応援してくれている。こりゃあ下手なかっこは見せられないなぁと思う。
「ISの事について教えてくれるって話はどうなったんだ?」
「……」
「目を逸らすな」
「し、仕方ないだろう。お前のISが届いてないのだから」
「知識とか基本的なこととか他にあっただろ!?」
「……」
まったく、緊張感のない奴らだな……
「まあまあ一夏とりあえずもう試合なんだ、やるしかないだろ」
「ああ、そうだな吾r!」
ん?どうした?
「あーいや、わるいなんでもない」
なんだ?変な奴だな
ちなみに試合順としてはまずは俺とオルコットが試合をし、勝った方が一夏と試合するということになっている。
「斉藤君織斑君!」
そうしているとと山田先生が俺たちの名前を叫びながらこちらに向かってきた。
「……来たか」
自然と口に端が吊り上がるのを感じた。
「あ、えっと。それでですね、二人の専用機が来たんです。今すぐ準備してください!」
「斉藤、アリーナの使用できる時間は限られている。できれば慣らし運転させておきたいところだがぶっつけ本番でものにしろ」
「ええ、わかりました。」
「お待たせしました、斉藤くん。あなたのISです」
「ありがとうございます、山田先生」
ようやく俺のISが運ばれてきた。
なるほど話には聞いていたが、
「やあ、久しぶり。」
◇
「時間がない、すぐに準備しろ」
「了解」
先生に言われるがまま練習したとおりにISを装着する。
うんよくなじむ。
「斉藤君大丈夫ですか?その緊張してるとか……」
「ええ、大丈夫ですよ。」
山田先生が気遣ってくれる。
いろいろ抜けてるところもあるけど、やっぱりいい先生だよなあ。
「こういう雰囲気は、剣道の試合で慣れてますよ。もっともこれは防具と竹刀にしては物騒なもんですが。」
そうだ、そういう意味では今までとは違う。
あまりに大きすぎる武力。
ちなみにではあるがこのISを装着するのは実は今日が初めてというわけではない。
フォーマットとフィッティングがしているわけでもないのにとてもなじむ着心地で、装着したとたん力が沸き上がるように感じる。
それと同時に、心が戦闘態勢になっていくのを感じる。
(これが俺の力……)
俺の与えられた専用機は、男性操縦者の調査の時に出会った打鉄の改良機であった。
◇
Side 一夏
「それじゃ、行ってくるわ」
「あ、ああ、がんばれよ!
吾郎は、俺の応援に軽く手を挙げてこたえながらアリーナへと飛び出していった。
それを見ながら、ISを装着した直後に吾郎の雰囲気が変わったのを思い出した。
「……なあ、箒」
「……なんだ」
「なんかあいつの雰囲気さ、いつもと違くなかったか?」
「……というと?」
「いや上手くいえないけど、なんていうか怖いっていうか……」
「……」
すると、箒がぽつぽつと語り始めた。
「そうだな……、あいつはたしかに試合前はいつもあんな感じだ」
箒はいったん言葉を区切る。
「もちろん、あいつはISの経験でも知識でもオルコットには敵わないのだろうが……それでもあいつが戦いにおいて負けるのは想像できないな。」
ブルッ
先ほどの、吾郎の目を思い出して思わず体が震える。
さっきの目はまるで相手を射殺すような。
(まるで狼のような……)
「力を持つには奴は責任がある……、あいつのセリフだ、あいつは誰よりも戦いというもの、力というものに覚悟があるのかもしれないな」
俺は、その言葉を聞き、モニタに目を向けた。
山田先生も千冬姉もモニタを真剣な表情で眺めている。
吾郎の背中がいつもより大きく見えた気がした。
Side out
「……恐れずに来たこと、褒めて差し上げますわ、斉藤さん」
「……」
アリーナ上空で対峙する俺とオルコット。
剣道の試合の時とはまた違う独特な雰囲気。
ISでの戦闘、競技とはいえその力は人間の手に有り余る殺傷兵器だ。
もしかしたら、自分の中の何かがこの力に呼応しているのかもしれない。
俺の装備するIS、日本製量産期「打鉄」改修型。
これが俺の力、いや俺の刀だ。
といってもまだまだ突貫機の域を出ない代物であり。
打鉄の関節部などに補強パーツなどを組み込むなどの改良を施されているが、俺のデータをとって改めて本格的な改良をしていくらしい。
だがそれでも俺はどんな敵でも打ち倒せる。そんな確信がある。
剣を握ったからには、俺をはばむものなどなにもない。
「……まあいいですわ。……それより、最後のチャンスを差し上げましょう」
「……?」
オルコットが口を開く。
「不様に敗北するのが嫌でしたら、今ここで謝ることですわ。このわたくしに勝てる道理など、どこにもないのですから」
「……」
いつも、こういう場になってはじめてわかることがある。
対峙する、そして理解する。
相手が心の奥底に抱えてるものですら。
俺はゆっくりと刀を取り出し相手に向けた。
「人ってさあ、難しいもんだよな。」
「……なんのことでしょう?」
「簡単に相手のことなんてわからないし、言葉にしないことには相手の気持ちを理解することも難しい。」
現にお前のことも色々と怒らせてしまったしな、と付け加える。
「……」
「それでもさ、こうやって剣を取り合って相手と向き合うと、いつもとは比べ物にならないくらい色々なもんが見えてくるんだ。それがもしかしたら、こんな力を持っちまった俺の役目なのかもしれないな。」
「……・あなたに何が見えているのかわかりませんが、それでも結末は変わりませんわ。」
そうやって、オルコットはライフルを取り出し、俺にその銃口を向けた。
「どんな言葉を並べても……あなたが私の力で落とされるという未来は変わりません」
「なら突き破ってやるさそんな未来、お前のちからごとな。」
そして俺は切らなければならない、お前のそのプライドという鎧を。
「!?……本当にあなたという人は」
俺の役目、牙を与えられた俺の役目。
「さあ、やろうか」
その鎧に覆われたお前の闇を
「……ええ、いいですわ。ならば踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルーティアーズの奏でるワルツで!」
セシリアの叫びとともに、青いレーザーの光が空を切る。
力を持ったからには斬らなければならない、斬らずにはいられないわけで。
作風は、そのとき作者が触れた創作物によってころころ変わります