コンピューター(神)VS出来損ない(神)の戦記録 作:サファイア
2XXX+7年 弓先side
あの日から早二年、世界は一変した。
二年前の大規模誘拐事件「ロスト・ピープル事件」・・・・・・地球中の経済都市、ニューヨーク、ロンドン、北京、東京などから宇宙艇によって大勢の人々が誘拐された。その人数はなんと・・・・・・1億人。犯人は仲が良かった地球外知的生命体だった。
有り得ないと思った。眉唾ものと。・・・しかし、事件の次の日さらにとんでもない事件が発生した。地球外知的生命体、端的に言えば「宇宙人」である。「ザイファル人」が地球星統一組織に対して宣戦布告を行った。
もともとザイファル人は母星を失った人々である。原因は「環境悪化」だそうだが、詳しい理由は黒歴史らしく一向に口を開かなかった。
そこで超巨大宇宙船「ウォーレン・ガイス」を建造し、第二の母星を求めて宇宙へ出発した。だが限られた資源や食料で生きていくことは時間が過ぎるうちに困難になった。そのときにめぐり合った惑星が地球だった。そこで地球代表ヴィーナス・プロヴィデンスと会談を重ね、地球は天然資源と藻を利用した石油の取り方、ザイファルからは優れた科学技術を出し合って相互の理解と発展に力を尽くすことにした。
それが4年前まで、地球の科学は大いに進み、人類はまだまだ進歩できる。ザイファル人ともより良い関係を保っていける。そう信じていたのに・・・・・・・
「あっ、いけない。早く行かなきゃ・・・・」 現在、私、弓先レンジは地球星平和維持軍宇宙隊に所属している。あのとき、希望の大学には合格はしたがどうしても行く気になれなかった。父と母が連れさらわれたことにただショックで三日ほどぼんやりしていた。
家が煩いほどガランとしていた。まるで家族が「いた」ということをアピールしているかのように・・・・
しかし気持ちに整理をつけるためにはこのままではいけないと思い、街へくりだした。
街はカオスであった。ある人は嘆き、ある人は怒り、ある人は神経が衰弱したような顔をして、ある人は叫んだ。さらには大勢の同胞を誘拐し、なおかつ宣戦布告までしたザイファル人は殲滅すべきと演説を行う者もいる始末・・・・・・・・
あの時は確かに一切恨んでいなかったといったら嘘になる。しかしザイファル人は政府が決定したことに従っているだけであって、問題はその指令をだした政府にあるのではと考えてもいた。
家に帰ろうと思ったそのとき、誰かとぶつかった。よく観るとまだ年端もいかない女の子であった。外見は5歳かそのくらいだった。「御免」というと「だいじょうぶだよ」といってくれた。そのとき女の子がおもむろに言いはなった。
「ねえ、おにいちゃん パパとママをしらない?みっかくらいまえからかえってこないの」
ッ______________そうか、この子も。
そのときにその子の両親の特徴を少ない語彙でどうにか伝えたが私は知る由もなかった。
「いや、知らないな」そういうとなんと女の子の目尻に水滴が少しずつ溜まり、とめどなく溢れ出した。「うううっひくっ・・・うっううぅ・・・」
私は驚いてどうして泣いているかをきくと
「たくさんのひとたちにきいたのに、みんなゆーかいされたっていって・・・」
さらにこう言った。
「ほかには:おまえなんかにかまっているよゆうはない:とか:どっかいけクソガキ:ていうひともいて・・・・うううっうううぅ・・・・」
何ということだ。こんな台詞を幼子に言っていいはずがない。当人には心の余裕はなかったとは思うがこれはない。
そのとき、きゅるる~~というかわいらしい音がした。
「あっ・・・・・・・」すると女の子は顔をすこし赤らめた。
「もしかしてご飯食べてないよね?」すると女の子はコクンと頷いた。おそらくあの事件から何も食べていないのだろう。こころなしか、体も痩せている気がする。
そう思って、「あのさぁ、良かったら家に来て一緒に食べない?」
10分後
「はい、家にとうちゃーく」
「とーちゃーく♪」
私は女の子を自宅に招待した。ご飯を一緒に食べないかと誘った。最初は戸惑っていたが背に腹は変えられないと思ったか了承してくれた。
私は厨房に立ち、野菜炒めをつくった。念のため野菜や肉を小さめに切り、子供に食べやすいようにソースと一緒に砂糖を一つまみ入れてみた。
ついでに味噌汁もつくろう。たまねぎ、にんじん、白菜などの冷蔵庫の余り物軍団を投入。
そろそろ居座っている余り物には退去してもらわねば。味は白味噌ベースにしてみた。
(味噌汁は家計簿とお献立の困った時の救世主よ)
・・・・・かつて料理を教えてくれた母の言葉を思い出し、胸が詰まった。
おちつけおちつけ・・涙が出そうになったが我慢した。味噌汁がしょっぱいなんて言われたらなんていえばいいやら・・・・
それはともかく、一人暮らしにむけて練習した甲斐があったというものである。
ありがとう、お母さん
「できたよー」
「はーい」
それでは手を合わせて・・・・「「いただきます」」
さらに30分後
「「ごちそうさまでした」」
合掌をして食材に感謝した。(厄介な余り物軍団も含めて)
休憩している時、つい苦笑してしまった。食事中の食べっぷりといったら、女の子といっても年往相に一生懸命パクついていた。・・・・それだけ空腹だったのだろう。私のつくったお世辞にも上手とはいえない料理だったがそれでも美味しそうな顔をしていた。
そして休憩中、こんな質問をしてきた。
「ねえ、おにいちゃん」
「何?」
「おだいどころでなきそうだったけれど、かなしいことがあったの?・・・」
「ッ・・・・・・・」 咄嗟に答えることができなかった。一番聞かれたくないことだったから。
しばしの沈黙。さらに重ねて聞かれた。
「もしかして・・・おにいちゃんも・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだよ」
違うよ。といおうとしたがこの子の純粋な疑念と瞳を前にして嘘をつくのはなぜか躊躇われた。
かなり長い沈黙、そして予測もつかない行動をした
「・・・・・ぅっ・・・・・ううううっうっ・・ヒックッ」 泣き出したのである。
「だっておにいちゃん、もうかえってこないかもしれないんだよ・・・・・・・・
おにいちゃんのママとパパかえってこないかもしれないんだよ・・・・わたしだって」
・・・一番考えたくないことだった。しかしそれも十分に考えられる。
実際、大勢の人々の行方はわかっていない。1億人を確保するしておくにはウォーレン・ガイスでは無理だ。月面に未確認基地の映像が人工衛星から確認されたためそこにいるこ可能性が高い。動機は人体実験ならぬ人類実験をしているという噂も・・・・・・・
もしかしたら、本当に帰ってこないかもしれない。
・・・・・・っ・・・いけない。また涙が・・・・ダメだここで泣いたら・・眼の前で泣いている子がいるのに・・・・・
どうにか自制して声をかけた。
「大丈夫だよ。君のパパとママは、もちろん私のお父さんとお母さんも」
「だけど・・・・・」
「大丈夫だよ。きっと」
「・・・・・・・・・・・・・・・わかったよぅ」
・・・・・・・・・・・・・安請け合いであることはわかっていた。しかしこう言わなければこの子は哀しみに暮れたままになってしまう。本当に帰ってこなかったらいくらでも非難を受け入れよう。それでも今は・・・・・・・・・・・・・・・・・
女の子は帰っていった。
そしてその後、志願兵として申し込み二年間の軍事演習を受け、今に至る。
「失礼します」
「来たか、入れ」
この怖そうなおじさん(本人は否定していたが)は二年間指導してくださった。とても厳しかった。恨んだ時期もあったが今では感謝している。
「とうとう、卒業だな・・・お前みたいな(落ちこぼれ)が生き残っていけるのか不安もあったが、よく頑張ったな」
うるっときた。あの「鬼教官」ならぬ「閻魔教官」といわれたあの人が褒めるなんて。
「教官」
「なんだ 今回は多少なら失礼な発言をしてもいいぞ」
「ゴミでも食べて、頭でも壊れたのですか?」
「・・・・・・・・・・・・・前言撤回だ 無自覚な口の悪さだけは矯正できなかったな」
「すいません」
「もういい それは今後の人生で直すんだな」
私は自覚はあるにはあるのだがなかなか直らないのがこの口の悪さである。こればっかりはもう直らないだろうと考えている。
「それは別として、それでは配属先を言うぞ」
「はい」
緊迫の一瞬、教官は封筒を開ける。受け取るとこのように書いてあった。
弓先レンジ訓練生
貴官を地球星平和維持軍特別精鋭部隊「プロヴィデンス隊」隊員に任命する。
はい? いやこれは
「教官」
「なんだ?」
「・・・・・・・・・新手の冗談でしょうか」
「俺もそう思ったんだがな どうやら本気のようだ・・・・」
なんで「落ちこぼれ」と呼ばれた私が「精鋭部隊」に?
「一応 反対はしたんだぞ なぜ選ばれたかはわからんがまぁ 死んだ気で頑張ってみろ いい経験だ」
いい経験はつめるだろうが・・・・・この部隊は精鋭だけあって危険な任務が多い。
本当に生き残れるのか?
感想待ってます。