もし、よろしければもう一度見ていって下さい。
「キズ…ナ…」
大粒の雨が降る中、体中からおびただしい程の血を流してるいる男が、這いずりながら何処かへ向かっている。
男が向かっている先には、長い黒髪の少女が仰向けに倒れている。
少女も男と同じように、おびただしい程の血を流す。
そして、ようやく男が少女の元へたどり着いた。
「…みか…ど……」
少女は仰向けのまま首だけを動かして、男の方へ向く。
その顔はとても綺麗で、今まさに死にかけている人間とは思えない程だった。
「キズナ…俺…は……」
男は涙を流す。子供のように嗚咽を漏らす。
涙が血と混じり合う。
「いい…の……これはきっと運…命だったんだよ」
少女も男につられて涙を流す、しかしすぐさまそれをぬぐい取り、やつれた顔で精一杯の笑顔を見せる。
「運命……なんかじゃない……例え…そうだとしても…俺は…お前……を…守るって…言った……のに…幸せにしてやる…って…誓った…のに……」
男は地に伏したまま、少女の手を握り締め、震えた声で呟く。
「ふふ…私は十分幸せだよ……だって…死ぬ…とき…に……好きな…人が…傍に…いて…くれるんだもの…」
そう言って少女は震えた手で男を抱きしめ、唇を近づける。
「俺も…お前が……好きだ……誰よりも……お前が……」
男は少女を受け入れた。数秒にも満たない時間が、二人にはまるで永遠のように感じた。
「ありがとう……それだけで……私は…」
少女は言葉を紡ごうとするが、うまく口が動かない。
男を抱きしめていた手がゆっくりと落ちていく。
肌が徐々に冷たくなっていく。
「止めろ…! 逝くな……!!」
そんな男の願いも虚しく…
「…生きてて…良かったって…思える…よ」
…少女は力尽きた。
「逝くなぁぁぁぁぁぁ!!!」
男はボロボロの体で、精一杯の声を上げる。
まるで獣が吠えるかのような、大声を上げる。
──瞬間、世界が炎に包まれた。
炎は荒れ狂い、男の体を包み込み、男を支点として広がっていく。
そして、炎はドームのような形となり、男と少女を雨から守るような形で留まる。
「俺は!! キズナと一緒に笑えるように!! ただそれだけで良かったんだ!!」
男は炎に包まれながら、憎しみのこもった声で空へ向けて叫ぶ。
炎は男の傷を包み、ゆっくりと再生させていく。
「キズナが何をした!!? 彼女は生まれながら不幸だっただけだ!! 何故貴様等のそんな勝手な理由で殺されなきゃならない!!?」
男は怒りに呑まれ続け、次第に人から“人ではないナニカ“へと変わっていく。
「許さん!! 許さんぞ管理局!!」
傷がほぼ癒えていき、人の姿のまま、“人ではないナニカ“へと近づいていく。
もう、元には戻れなくなるほどに…
「あぁ、管理局に呪いあれ!! いつかこの俺の怒りが、死の炎となりて、貴様等を呑み込むだろう!」
そして、男の傷が完全に癒えた頃、周りには無数の剣が墓のように刺さり、並んでいた。
「さぁ…復讐の始まりだ!!」
今、ここに、復讐に生きるバケモノが誕生した