閃乱カグラ LAST VERSUS ~少女達の道~ 作:影山ザウルス
「いやぁ~、久々の我が家だぜ~」
「ホントっすね~。やっぱり我が家が一番!!」
「千年祭実行委員会の仕事で全国津々浦々。おまけに千年祭では別世界にも行ったんだから当然よね」
巫神楽三姉妹は千年祭実行委員会の仕事として、全国津々浦々を巡回し、志半ばで倒れた忍達の魂を千年祭を行う世界に送ったり、成仏させたりと大変な作業だった。何しろ千年ぶりに行われる千年祭。魂も留まっている場合もあれば霧散している場合もある。昔の地図と現在の地図を調べて、巫神楽の準備をして……とにかく大変な作業だった。蓮華と華毘には肉体労働を専門とし、場所探しは華風流と小百合に任せていた。
「すまんね、わしまで泊めてもらって」
宙に浮かせた杖代わりの巨大煙管に腰掛けた小百合が言った。
「いいってことよ!!アタシらの母さんのカレーは絶品だったろ!?」
「蓮華お姉ちゃん、カレーに更に唐辛子なんか入れちゃ、味が変わってるでしょ?そんなんじゃ、母さんのカレーの美味しさは語れないわ。はい、論破」
「ウチは辛口も甘口も、母さんのカレーは大好きっす!!」
「華毘お姉ちゃんは単純でいいわね」
「ハハハ!!仲が良い姉妹だねえ」
小百合は豪快に笑い、数ヶ月共に過ごした三姉妹を見つめた。自分の孫の飛鳥は一人っ子だ。姉妹がいたらこんなに賑やかだっただろうかと思いつつ、それは野暮な話だと気付き、思考を振り払った。飛鳥には半蔵学院の仲間がいる。月閃、蛇女、紅蓮隊と好敵手がいる。それは姉妹と違う関係ではあるが、姉妹のように強い絆で繋がっている。
「ちょっと見ない内にあんなに強くなっていたとはね~」
嬉しい気持ちを胸に抱いて、小百合は立ち上がって、用意された寝室から出ていこうとした。
「小百合様、どこへ行くんだい?このあとお風呂に入る予定だろ?」
「一服してくるんじゃよ。子供には煙草の煙は毒だからね。風呂には三姉妹が先にお入り」
巨大煙管を杖代わりに使って、小百合は部屋を出た。
キンッと冷えた夜の空気は小百合の吐息を煙草の煙のように白くさせた。
「いるんだろ?出ておいで」
小百合の声が冷えきった空気に溶け込むと、目の前の空間が歪み、そして、二人の少女が現れた。一人は髪の長い少女で、彼女は宙に浮いている。その後ろにフードを被った少女が膝まずいている。小百合はこの二人が誰なのか知っている。
「こうして会うのは初めてだな、元カグラ、小百合よ」
「お初に御目にかかります。妖魔を滅せし者、神楽様。それとアンタは護神の民の奈楽だね」
忍の最高称号を持っていた元カグラと、その語源とも言える存在、妖魔を滅せし者、神楽。キンッと冷えた夜の空気さえも二人の登場による緊張感で圧倒された。
「こんな夜更けにご用とは。何か急なご用かの?」
「ああ。急を要する。手身近に話そう……………
"心(シン)"が甦った」