閃乱カグラ LAST VERSUS ~少女達の道~ 作:影山ザウルス
美野里は初めて来る雑木林の奥で泣いていた。雪泉と叢の卒業の話は以前から聞いていたし、卒業すれば国家に雇われた善忍として社会を裏から守るヒーローになると黒影から教わっていた。だが、同時にそれは今までとは同じように過ごせないということも言われていた。美野里にとって、それは家族が離ればなれになるのと同じことだった。それがどれだけ嫌なことか、どれだけ悲しいことか皆わかっているはずなのに、どうして喜んでいないのか美野里には理解出来ない。
「どうしてみんな嬉しくないの?」
美野里はハムスターのリュックを力いっぱい抱き締めた。
「美野里さ~!!」
遠くから透き通った声が聞こえてきた。雪泉の声だ。
「美野里~!!どこだ~!!」
少しこもった声は叢だ。
「美野里~!!いるなら返事をしてくださ~い!!」
この丁寧で安心感のある声は夜桜。
「美野里ち~ん!!美野里ち~ん!!」
四季の呼び方は独特だからすぐにわかった。
美野里が隠れた雑木林は本当にたまたま目に入ったために隠れていたのだが、それでもここを探し当ててくれたことが少し嬉しかった。
美野里は立ち上がり、四人の声がする方へと歩き出した。
「み、みんな……」
美野里は四人の前に姿を表した。
「「「「美野里さん!!」!!」!!」ちん!?」
四人は美野里に駆け寄り、その小柄な体を強く抱き締めた。
「探しましたよ、美野里さん!!」
「美野里!!ああ、良かった、美野里だ!!」
「美野里~美野里~!!」
「美野里ちん、ごめんね!!本当にごめんね!!」
美野里を抱き締める腕に力がこもった。
「みんな……ごめんなさい。心配かけてごめんなさい」
「いいんじゃいいんじゃ!!わしらだって、ちゃんと美野里の気持ちを考えんのが悪かったんじゃ!!」
「夜桜ちゃん……」
「あとで皆で美味しいケーキ屋でお腹いっぱいケーキ食べよ?だから、もういなくならないで!!」
「四季ちゃん……」
「本当は我も雪泉も美野里をおいて卒業なんて出来ないと考えていたのだ」
「叢ちゃん」
「はい。それで話し合ったんですけど、私と叢さんは…………卒業はしません。美野里さんと離ればなれになるのがこんなに寂しいなんて……」
「雪泉……ちゃん……」
「「「「もう二度と放さない……」」」」
美野里には目の前にいるのが完璧に自分が見知った四人だと信じて疑わなかった。
しかし、実際に美野里を抱き締めているのは形が整っていない出来損ないの人間のような姿をした醜悪な化け物。妖魔だった。
その様子を実に愉快そうに眺めている男がいた。
「こうも易々と引っ掛かってくれるとはな。さあ、仕上げだ」
男が合図すると妖魔達はその醜悪な姿に破滅的に似合わない可憐な乙女の声で囁いた。
「「「「さあ、道元様が美野里の帰りを待ってるよ」」」」