・色々と崩壊
・ノロノロ更新
それではごゆっくりどうぞ!
「なんですかぁぁぁああああああ!!!???これはぁぁぁああああああ!!??」
ユイの叫びが耳に刺さる。
「あぁぁ……うるっせぇな!?」
「だ、だだだ!だって!?………え?え?」
あたふたと意味もなく両手をまえで動かす。
まぁ、確かに気持ちは理解できよう。
自分の創った世界の自分で設定した事柄が書き換えられていたのだ。
そりゃぁ戸惑いもするだろう。
共感はできないものの察することぐらいは出来る。
「これは、あれだよな?……支配者が変わって変更された部分っていう。」
「えぇ………ゾンビの見た目と同じですね………。」
ユイは呟くように言った。
やはりこの話になると異常なほどテンションが下がるんだな………。
俯きかけているユイにかける言葉を探す。
「もとはこんなにデカいもんじゃなかったのか?」
「はい…。全然違いますね……。もっとショボいはずでした。」
ショボかったのか?と出しかけた言葉を飲み込む。
「どうする?取り敢えず近付くか?」
ユイに尋ねる。
ユイは唸りながら悩む。
そしてたっぷり30秒ほど悩んだ後、
「そう……ですね………一応近付いてみましょう………。」
絞り出すように言った。
「はぁ………はぁ………。」
「何で下りでそんなに息切らしてるんですか……?」
横で呆れたように言うユイを睨んで、
「お前………下りも……何気に……………辛いんだからな……?」
何とか言葉を紡ぎながら足を一つ一つ前に出していく。
「そうなんですか……?良くわかんないですけど?」
「いいなお前は……身軽でよ………。」
ぴょんぴょんと跳ねるように移動しながら尋ねてくるユイに憎らしげな視線を向ける。
そんな会話を経て、どうにか山を下りきった。
「もう山登りはしない。絶対だ………。」
乱れきった髪に上がりきった息の俺の背中をユイがさする。
「はい!よく頑張りました。ご褒美は何が……。」
「あぁ、……そのくだりいいから…………。」
噛みつきそうな勢いで迫ってくるユイを手で押し退けながら息を整える。
沸騰しかけの脳内でなんとか目に映るソレを認識した。
「ふぅ…………でけぇな……。」
小並感を漏らしながら目の前の『国』をみる。
「それじゃぁ、近付きましょうか………。」
隣で言ったユイに頷き、その馬鹿でかい城壁に向かって歩き出した。
「………思ったより……遠かったな……。」
今すぐ座り込んでしまいたいほど脚に疲労が溜まっていた。
山の麓から眺めていたときはさほど距離がある感じはしなかったが……。
実際に歩いてみると結構遠かった……まぁ、そんなものといえばそんなものかもしれないが……。
「そうですか?すぐだったじゃないですか。」
相変わらずユイはケロッとしている。
俺が疲れていることを本当に不思議に思っているのか首を傾げている。
その無垢な瞳に拳を叩き込みたい。
「はぁ………とにかく入るところでも探すか?」
「はい!そうですね。探索開始~!」
ユイは楽しそうにスキップしながら城壁の周りを沿って移動し始めた。
「ちょっ……待てよ…………。」
鼻歌交じりに先へ進むユイを追って俺も歩き出した。
ユイは自分の創った設定が換えられたことに関してどう感じているのだろうか?
たかが十数分前には察せるだ、理解できるだか考えてしまったが今のユイの反応がどうにも気にかかった。
何故楽しそうにしているのだろうか?
何故楽しそうにできるのだろうか?
胸の中にモヤモヤとした疑惑が残る。
「なに気難しい顔しちゃってるんですか?ほら!早く早く!」
「わぁったから急かすな………。」
邪魔な思考を振り払うように顔を振って、ユイに追いつこうと小走りで近づいていった。
「どうやらあそこが入り口……城門みたいですね」
城壁から少し離れた茂みに身を隠しながらコソコソと呟く。
「ノリで何となく隠れちまったけど、別に隠れる必要無くな……。」
「シーーッ!シーー!声が大きいですよ!!創さん!!」
明らかに俺よりも大きな声で叫びながら口元に手を当てられる。
「敵に見つかったらどうするんですかぁ!?」
必死の形相を見るところ本気で言っているのだろうか?
背の高い草から顔一つのぞかせる。
「なぁ………村に住んでるのは中立MOB達なんじゃなかったっけか?」
俺の素朴な疑問にユイは若干フリーズしたように静止した。
額に玉のような汗を浮かべている。
焦点はあっておらず、口元には不自然な笑みを浮かべていた。
「いや………あの…それは………あれ………そう……あれですあれ。………うん。あれです……………。」
眼を魚のごとく泳がせながら曖昧な言葉を続ける。
「えぇと……その……そうです!!村があんな風に変わってしまった以上、あの中についても変わってしまっている可能性があるじゃないですか!!ですから慎重にいくべきなのです!!」
そして明らかに今思いついたであろう理由を話した。
おおかたノリでやっただけなのだろう。
でもまぁ……癪だがユイの言うことも一理ある。
「………まぁ、分かった。じゃぁ物音立てずに行くぞ?」
「さすが!愛しの創さんは物分かりが良い!」
「………お前俺の言葉聞いてたか………?」
早速声を上げるユイに半眼で答えつつ城門を遠目に観察する。
城壁の周りには壕があり、城門の前だけに橋が架かっている。
両脇には二人ずつ門番が構えており、いかにも小さな『国』と言った感じだ。
門番たちは顔をしっかりと見ることはできないもののゾンビ達のような化け物の類ではないように見える。
まぁ……油断大敵という言葉もある。
「どうするんだ………?」
静かに横に尋ねる。
「ん~………そうですねぇ………ホフク前進で近づいて…後ろに回り奇襲を仕掛けますかね……?私は右をヤるんで創さんは左を―――」
「待て待て待て。」
物騒なことを言い出すユイの言葉を手で遮る。
ユイは何ですか?と心から不思議そうに尋ねてくる。
「穏やかじゃねぇな……奇襲とか殺るとか…………。」
俺はユイに言い聞かせるようにして話す。
「まだ……敵だと決まった訳じゃねぇんだから……もっと平和的な解決をだな………。」
ユイは相槌を挟みながら真剣に話を聞いている。
どうやらこいつにも聞く耳があったらしい。
いやぁ知らなかった。
「創さん……世の中は殺るか殺られるか……なんですよ………。」
妙にシリアスを気取った様子でユイが言った。
前言撤回しよう。恐らく真剣に聞いていない。
「だから、普通の中立MOBだったらどうするんだって訊いてんだよ。」
「そ……そのときはそのときで適当に…………。」
ユイは明後日の方向を向く。
「だ、だって豚や牛は食べるために殺っちゃったりするじゃないですか!それと同じです。」
「殺人だぞ?家畜と一緒にするんじゃねぇよ。」
「だ、大丈夫です私と創さんの愛の力でどうにかなります!!」
そんなか弱い力でどう、どうにかするんだ?という質問を飲み込む。
こんなことを言い争っていても仕方がない………というか無理に国に入り込む必要はあるのだろうか?
そう考え込む。が、すぐに思考は中断させられた。
「あの………入国希望の方ですか?」
そんな声によって………。
「「え?」」
急にかけられた声に二人して戸惑いながら情けない声を上げる。
「いえ……先程からずっとウロウロしていらしたので………。」
目の前を見ると俺たちに対して怪訝な視線を向ける男がいた。
男は整った服装を纏っていた。
恐らくあの門番の内の一人だろう。
城門の方を見やると案の定さっきと比べて一人だけ減っていた。
「え………あ、あの………。」
「あぁ、はい。そうです。すぐに入国できますか?」
何故か横で妙に狼狽えているユイに変わって答える。
「やはりそうでしたか……。はい、簡単な審査の後すぐに入国が可能です。こちらへ着いてきて下さい。」
男は怪訝な表情から一転ニッコリと良い笑みを浮かべた。
屈んだ姿勢から起きあがり男に先導されて城門へと近付く。
「だ、だだ………大丈夫なんですかね……?簡単に着いていって……。」
横からコソコソと耳打ちされる。
何となく心地が悪いので右手でユイの顔を遠ざけ…
「大丈夫だろ……特に変なところもないし………。」
そう呟きながら目の前を歩く男を見やった。
上下にきちっとしたスーツを着込み、帽子がよく似合う。
腰に差してある剣は不自然なほど鮮やかな空色をしていた。
恐らくユイが言っていたこの世界で最も威力を持つ武器……、希少金属で作られた剣なのだろう。
「さぁ、ここが入国管理所です。手続きを踏んで下されば入国が可能ですよ。」
男が城門の横のスペースを指して言った。
ここまでくればもう文句無しに『国』だろう。
俺達は城門の横に構える屈強な門番の脇を通って入国管理所へと足を踏み入れた。
「それでは……まず、この用紙の簡単な質問に答えて下さい。」
質素な椅子に座らされた俺とユイにそれぞれ紙が渡される。
見ると名前や生年月日、入国理由などを書く欄が設けられていた。
机の真ん中に置いてあるペン立てから一本適当に取り出しすぐに書ける部分だけ書いていく。
名前に生年月日………正直元の世界のもので問題ないのか怪しかったが、ユイの方をチラッと覗くと至って普通の生年月日が書いてあった。どうやら俺と同い年らしい………。
あれ?おかしくね?
そんな疑惑が膨らみかけたが何とか萎ませる。突っ込んだら負けなのだ。
そう自分に言い聞かせて用紙を埋めていく。
入国理由は…………チラッ……観光……と…………。
順調に進めていったが一つの質問を前に手が止まる。
『滞在期間』
横を見やると同じようにユイもこちらを見ていた。
「ハッ眼と眼が合う瞬間好きだとぉぉああ゛!?」
「滞在期間どうする?」
机の下でユイの足を踏みつけてから尋ねる。
痛みに眼を潤わせながらユイは
「て……適当に5日間以内って書いときゃいいんじゃないですか?」
「………分かった。」
何とも雑な回答をした。
まぁ特に問題はないだろう。
これで、欄を埋めることもできた。
俺は一度満足げに頷くと男に用紙を差し出した。
ユイも同じようにする。
「……………。」
男が真剣な表情で用紙に目を通している。
そして十秒もせずにニコリと笑うと
「OKです。それでは我がファーサ国の観光をお楽しみ下さい。…………あ、忘れるところでした……これを。」
忘れるところ……と言いながら明らかに準備していたパンフレットを取り出す。
手渡されたソレにはぱっと見ただけでもいろいろな情報が書かれていた。
オススメの飲食店。
1日で名所を回れるプラン。
移住の際の手続きなんかも記載されていた。
「えっと……今渡したパンフレットの最初のページを開いてもらって良いですか?」
男に言われたとおり最初のページを開く。
そこにはこの国の地図と思われるものが見開き二ページを使ってデカデカと載っていた。
「その地図の赤く塗られている部分があるでしょう?」
確かに円形の国の端の所々が赤く塗られている。
「これはどういう意味なんですか………?」
ユイの問いに男はばつの悪そうな表情を作ると、
「それが……その………お恥ずかしいことに治安の悪い地域でして………近づかないことをお勧めします。」
こう言った。
「そうですか………分かりました。」
俺はまだぎこちない、笑顔になっていないであろう笑顔を浮かべた。
続きますよ。
はい!どうも彩風です!!
いやはや最近急に寒くなってきてもう死にそうです。
助けて下さい。
創「しかし……なんだ?あの門番達が持ってた……剣……。」
ユ「ダイヤの剣ですか?」
創「あぁ……そうだそうだ。何であんな色してんだよ。」
ユ「いやぁ……なんとなくダイヤっぽいじゃないですか。」
創「………お前、ダイヤ見たことあるか?」
ユ「…………。」
創「俺も実際に見たことはねぇけど、あんなアメリカの清涼飲料水みたいな色は少なくともしてねぇよ。」
ユ「…………。」
基本的にここの会話に《落ち》なるものはございませんので悪しからず。
それでは、次回もまた会いに来て下さると嬉しいです!
閲覧ありがとうございました!