・色々と崩壊
・ノロノロ更新
それではごゆっくりどうぞ!
「うわぁぁ………!!!!見て下さいよ創さん創さん!!街ですよ街!city!」
城門をくぐると共に、感嘆の声をあげるユイ。
周りを歩く何人かがこちらを向いた。
「もうちょっと静かにしろ。頼むから。」
「あ゛あ゛ぁああ!?ぎ、ギブです!!ギブギブ!」
折れてもいいか。ぐらいの感覚で指をあらぬ方向に曲げてやると大人しくなった。
無駄に周りから注目を浴びるのはごめんだ。
………むしろ注目を集めてしまっただろうか…?
指をくわえながら涙目で何かを訴えてくるユイを無視して歩みを進める。
「んで……どうすんだ?みた感じ安全なところっぽいけど。」
「え?」
俺の質問の意味が分からなかったのかきょとんとして上目にこちらを見つめてくる。
なんだか……こう……明らかに、狙った感じの仕草だが……こいつがやったところで1円の価値すら見いだせない。
「だから……これからどうするんだ。って聞いてんだよ。拠点にするならそれなりの手順踏まないといけないだろうし、しないにしても寝泊まりする場所とかいろいろ必要になってくるだろ?」
理解していない単細胞に言い聞かせてやる。
「あぁ!!これからのことですか!!そんなのはもう……、今から創さんとデートしてー……いい感じの雰囲気になってー……あ、大丈夫ですよ!寝泊まりする場所なんて言わずもがなラ―――あべし!?」
躾は必要不可欠だろう。何をするにしてもだ。
「じょじょじょ…………冗談ですって……。まずは……どこかでゆっくりパンフレットでも見ましょうか………。」
全力で明後日の方向を見ながら冷や汗を垂れ流してユイが早口に言った。
「さて……それでは!しっかり目を通してみましょう……。」
広い公園のベンチ。いつもは俯きがちな顔を上げてみるとサッカーを楽しむ子供。ジョギング中の中年男性。立ち話に花を咲かせる婆さん。
いろんな人たちがそれぞれに楽しむ公共の空間。
一つのベンチを二人で占拠しながらユイは嬉々としてパンフレットのページをめくり始めた。
俺も自分のパンフレットに目を通し始め――――。
「あ!創さん見て下さい!これ、6ページ!」
ページを教えているにも関わらず俺の目の前ゼロ距離に自分のパンフレットを示してくる。
それを押し退けて自分のパンフレットを開こうと右横を見るが置いておいたはずのパンフレットが見あたらない。
そして何故かユイが二つパンフレットを持っていた。
「ほ~ら!私が左を持つので創さんは右を……。」
全部言い終わってしまう前にパンフレットをひったくる。
(´・ω・`)と描いたような表情を貼り付けながらユイは渋々といった様子で自分のパンフレットを開く。
「んと……ファー、サ……ストリート……?商店街的なやつか………?」
ページには広い一本道の両脇に店が建ち並んでいる写真がデカデカと載っている。
下の方には店の説明が書いてあった。
「食べ物屋さんに……武器屋、防具屋……娯楽施設なんかもありますよ!!」
ユイがパンフレットをなぞりながら興奮気味に喋る。
おもちゃのカタログ眺めてるガキだな………。
「金なんてねぇぞ?」
溜め息をつきながらページをめくる。
ファーサ国の軌跡…………タイトルからこれ以上ないほどつまらなさが伝わってくる。
他のページにも目を通そうとページをめくろうとしかけたが、そのとき。
ガタッ!!
横で何かが立ち上がった音。
止まっていた手をすぐに動かし始める。
「それでは!創さん!!」
強引に腕ごとパンフレットをどかされ、そこにはユイの顔があった。
「とりあえずまずは―――」
すぐにパンフレットを元の位置に戻す。
どうやらいまの国王はかなりの支持を集めているようだ。
するとまたもやパンフレットがどかされる。
「ええとですねぇ………!私は―――」
あ、このシチュー旨そう…………って兎……。
兎は…………………どうなんだろうか……?旨いのか……?
「つーくーるーさーーーんっっっっ!?」
国の南西には大規模な養鶏所があるようだ。
半年前の爆発事故から既に完全復活どころか更に所用鶏数が20%増………。
「ちょっとぉぉおおお!?」
「………。」
ガッ…と鈍い音が鳴ってユイが仰け反る。
適当に放った手刀はユイの額をとらえていた。
「ひ、ひどいですよ……特に意味のない暴力がユイを襲ってます。因みにもう少し強くても大丈夫です。」
騒ぎ立てるユイに軽蔑の目を向けてパンフレットに目を戻す。
「あぁ!!ですから!ちょっと聞いて下さい!」
耳に響く雑音に顔をしかめながら仕方なくパンフレットから顔を上げる。
「チッ。なんだよ……いきなり………忙しいんだけど……?」
「どこから突っ込めっていうんですか………。」
果てしなく微妙な……そして的確に俺のかんに障るような表情が目の前にあり、つい衝動的に殴りたくなるのを抑える。
「えぇとですね………とりあえず聞いて下さい………まず今からその商店街に行ってみましょう!」
「なんで?」
俺の一言の問いにユイは得意げにして、
「ふふ……まずは他にも私が作った設定と違うところがないか調べてみた方がいいでしょう!まぁお店で売買っていう制度がもう既に違うんですが…………どちらにしてもお店に行ってみた方がいいと思うんですよ!!」
ニコニコと話し始める。
「……べつに良いけど、金の代わりになるようなものもないのに行ったところで………」
「こういうところは見ているだけでも楽しいものなんですよ!」
要するに自分が行きたいだけじゃねぇか………。
まぁ、実は俺も少しだけ商店街というのは気になっていた。
「…………はぁ、分かった。……………えぇと…?現在地が……ここで、それが………ここだから、そこの道沿いにずっと歩いてけば着くな……。」
「よし!!それでは早速向かいましょう!!ほら!行きますよ創さん!!」
「あぁもう………走んなよ……。」
ユイに強引に手を引かれてパンフレットの地図を片手に商店街まで走った。
犬に強引に引っ張られる飼い主というのはこういう気分なんだろう。
有無をいわさず商店街まで走らされることとなった。
「うわぁ!!すごいですよ創さん!!お店ですよお店!……って何でそんなにゼェハァいってるんですか……?」
無垢に目を輝かせるユイにありったけの怨恨を乗せた視線を送る。
しかしこの鈍感はそれに気づかないのかきょとんと首を傾げている。
文句を言うのも馬鹿らしくなって目の前の商店街に目を移す。
何というか……少し田舎の商店街…といった感じだ。
廃れている………というわけではないが人で溢れかえっているわけではない。
「あっ!創さん!あそこ、magic shopですって!!呪術屋的なやつですかね!?」
「何の捻りもないな……つうか魔法なんて概念あるのか?説明されてないぞ?」
早速店の前まで歩いていくユイを呼び止めながら尋ねる。
「いえ?ないですよ?多分これも増やされた概念ですね。もはや追加要素ですね追加要素。」
「………?やけにサッパリしてるな……。」
ケロッとして話すユイに違和感を覚え、素直な感想を告げる。
「ふふふ……なめないで下さいよ……。子供の頃は順応性の掃き溜めと呼ばれていた時期があったぐらいですからね。」
知らなかったな。神の世界にもいじめはあったらしい。
哀れみを込めた嘲笑を浮かべるがユイは不思議そうに首を傾げる。
知らぬが仏というやつだろう。
「………?まぁ!とにかく入ってみましょう!!」
気を取り直すように声をあげてユイは店のドアを開ける。
「あ、おい。ちょっと待てって………。」
それを追いかけるようにして俺もどことなく怪しげなその店へと入った。
「おぉ!いらっしゃい!今日はどんなご用件で?」
店の内装とは全く似合わない明るい声に思わず店から飛び出しそうになる。
こういう声は何となく苦手だ。声からフレンドリーであることが伝わってくる。
「あぁ…………えと……特に用があったりするわけでは………。」
ユイはそう言いながら物珍しそうに店のあちこちを観察している。
さすがに人の良さそうな店主も怪訝な面持ちで俺たちを見る。
「すいません………。僕たち田舎から来たものでこういうとこ慣れてなくて……。」
苦笑いを浮かべながら余所行きの声と口調で話す。
「え?誰!?」驚きの声をあげるユイの頭を小突いた。
「ほぉ……なるほどな………あんたらサバイバーの人かい?もしかしてずっと外で生活してきて国に来るのは初めてとか?」
店主は立派に蓄えた顎髭をさすりながら小刻みに頷く。
「若けぇのに大変だな……。さぞかし苦労しただろ?」
勝手に理解を進めていく店主にえぇ。とかはい。とか適当に相槌を打つ。
話を合わせておくに越したことはないだろう。
「はぁぁ………お前ぇ等の苦労はよーーっく理解した!!ここは俺がいろいろ教えてやることとしよう!!」
流してもいない涙を拭いながら店主は俺の肩をバンバンと叩く。
鬱陶しいったらないが、ここで情報収集ができるのならそれに越したことはない。
下手な愛想笑いと共に「ありがとうございます!」と中年おやじに礼を言った。
「……………つっても……モンスターなんかのことはあんたらの方が遙かに詳しいだろう?」
店主は椅子に深く腰掛けながら尋ねる。
一夜漬けで頭に叩き込まれただけの俺はそんなことないだろうが横には創造主がいる。
それぐらい熟知しているはずだ。そうじゃなきゃおかしい。
「ここは一つ!国のことを教えてやろう。」
そう言うと嬉々として話し始めた。
「まず国ってのは人間が住む巨大な要塞みたいなもんだ。国の中にはモンスターどもの脅威も及ばない。まぁ最近のモンスター共は魔法も使うらしいし、恐ろしいもんだが国防軍もいるから心配はない。」
半ば自慢をするように得意げに言う。
よほど自分の国を気に入っているらしい。
「そんでもって国特有なもんがいくつかある。とりあえずは俺の商売でもある『魔法』だな。最初はどこぞの偉い学者さんが見つけたらしいがそのころに比べたらずいぶんと一般的なもんになったなぁ……国民の半数近くが魔法を使える。未だに格闘にこだわってる奴もいるがな。」
「魔法っていうのは誰でも使えるものなんですか?」
「おぉ……そりゃ勿論。餓鬼でも年寄りでも関係ねぇ。専用のカードさえありゃぁ回復から攻撃まで何でも出来るぜ?まぁ……さすがに使用制限やら限度はあるけどな。お兄さん等どうだい?やすくしとくよ?」
男の誘いをやんわりと断ると残念そうにうなだれ、そして続きを話し始める。
「えぇと………どこまで話したか……あ、魔法に関しては伝えたな。そんじゃ、次は国特有……娯楽施設に関して教えてやろう。娯楽施設にもいろいろあるが一番有名なのは仮想現実だろうな。」
「仮想現実?」
おきまりの聞き返しの後、店主は得意げに続ける。
「そうよ!まぁ、ギャンブルみてぇなもんだな……仮想現実内でいろんなルールの下闘って、金は勝った奴が総取りってもんだ。実際に殺し合うわけじゃねぇし仮想現実内なら痛くもかゆくもない……そりゃぁ人気も出るわな。しっかし……どこから稼ぎが来るのかは謎だが……。」
他にききてぇことはねぇか……?と親切に尋ねてくる店主に大丈夫だと遠慮して礼を言う。
「ッガハハ!いいってことよ。」
店主は豪快に笑うと白い歯を見せる。
それじゃぁ……と店を後にしようとしたときだった。
「っとぉ…………ただで帰すわけねぇだろ。お兄さん等?」
ゾクゾクと背筋を這いずり回るように悪寒が走り衝動的に耳を塞ぎたくなるような濁った声が響く。
振り向いたそこにはさっきまでの人の良い印象など微塵も感じさせない、片方の口角を吊り上げ土留色の目を嫌らしく細める店主の姿があった。
続きますよ。
はい!どうも彩風です!!
もう引き返せません。
甘い蜜を吸ってしまった私は味をしめて、それがない生活なんて考えることが出来ない。
あぁ、あなたは何故そんなにも魅力的なのか……もはやあなたの魅力は罪だといえるだろう……。
《こたつ》よ………。
創「そういえば……兎って旨いのか?」
ユ「ど、どうしたんですか?創さん……?」
創「いや……レストランにそういうのがあるっぽかったから。」
ユ「へ……へぇ……兎ですか……。」
創「ま、あらかた追加された要素の一つだろうけど…………。兎を食うとはいい趣味してるよな……。」
ユ「………。」
創「俺がいた世界の俺が住んでた島国じゃぁ、兎なんて愛玩動物ってイメージしかないからな………ちょっと理解できねぇわ…………。」
ユ「そ、そそ……そうですよね……にわかにはしんがたいでございますよね……?」
創(もともとあった設定かよ………。)
それでは!次回も是非是非見に来て下さいね!
お気に入りや感想は大歓迎です!こんな作品ですがよければ!
閲覧ありがとうございました!!