ちょっとゲームの世界に異ってきます。   作:彩風 鶴

9 / 10
注意書き
・色々と崩壊
・ノロノロ更新

それではごゆっくりどうぞ!


9話目  誘拐

「寒いですね。」

「寒いな。」

 

空を見れば爛々と無数の星が輝く中、店の表にあるベンチに二人が並んで腰掛けていた。

目の前の道路をポツリポツリとMOBが通り過ぎていく。

MOBとは言っても端から見れば普通の人間だ。ゲームというだけにプログラムで動いているのか?それとも神様なら人間ぐらい生成するのは容易だったりするのだろうか?

別に信じた訳ではないがまがりなりにも自称神様だしな。

「こんなに寒い時は人肌で温めるに限りますね。さぁ、創さん私は準備万端です!!Come to my chest!!」

前言撤回しよう。こんな神がいてたまるか。

はぁ……とでかい溜め息を吐いて店の出入り口へと視線を移す。

「あぁ、勿体ない!!創さんの吐息が………!」

さすがに気持ち悪かったのでベンチの出来るだけ端に座り直した。

ススス……と変態が近寄ってくる音がする……。

手元に剣を取り出して首もとに突きつけてやる。

「おぅ…………扱いも手慣れたものですね……さすがです。はい。」

ユイは冷や汗を垂れ流しながら元の位置へと戻る。

インベントリに剣を仕舞い、ベンチに深く腰掛ける。

チラチラと不自然にならない程度に出入り口の方を気にかける。

「いいじゃないですか減るもんじゃないんですし放置プレイは構いませんよむしろウェルカムですでもさすがの私でも延々と遠のけられるのはさすがにダメージがありますしお寿司いやそこを快楽にしてこそのプロでしょうか?そうですかそうですよそうですよねわっかりました!お望みとあれば私ユイいくらでも創さんに無視され続けましょう!」

ボソボソと気持ち悪い笑いと共に何とも読みにくい発言をする変態をお望み通り見ないフリでやり過ごす。

何かこう………寒気すらしてくる。

一人でクネクネと体を蠢かせる変態が街行くMOBの目を集める。連れだと思われたくない奴選手権があったならば今のこいつなら7連覇は余裕だろう。

そんなことを考えていると隣でカランカランとドアが開く音。

急いでその方向に目を移すと食い逃げ男が早歩きに店から出てきたところだった。

 

咄嗟に「スイマセン!!」そう言って呼び止める。

男は足を止めてゆっくり振り返る。

「えっと……私、人を捜しているのですが、7歳ぐらいの女の子をみかけませ―――」

「悪いんですが知りません。」

話の途中で逃げるように男は向きを変える。

大丈夫だ。何の問題もない。

 

それと共にユイが後ろで鈍色の液体が入ったガラス瓶を構えていた。

少しだけ足止めできればそれで十分だ。

心内でほくそ笑んでいると背中に何かがぶつかる。

パリンッ―――と何かが割れる音と共に体が酷く重くなる。

 

 

『何ですかこれ……?』

『こいつは鈍化のポーションつって投げつけた相手の動きを鈍くすることが出来る。奴に逃げられそうになったらぶつけてやればまず見失いはしないだろう。』

『貰っていいんですか?』

『言っただろ?奴にぶつけんだ。もう一本欲しけりゃ鉱石持ってきな。』

『ありがとうございます(要するに足が遅くなるってこったな……)』

 

 

まさかな。まさかまさか……。

回想の入るタイミングが絶妙だがまさかな……。

スローペースに振り返る。

ユイが不自然なほどニコニコと笑みを浮かべていた。

額にはシャワーでも浴びてきたのかというほどの量の冷や汗が止めどなく流れている。

 

「ッザケんな馬鹿!!」

 

コントロールを誤ったのか知らないが俺に鈍化のポーションぶつけたのは間違いないだろう。

ダッと食い逃げ犯が走り出す。

追おうとして足を踏み出しかけたがどうせ追いつけないだろう。

ユイに目を向けて犬歯を剥き出しにして吠える。

「このノーコンが!!俺にあてても意味ねぇだろうが!馬鹿か?死ぬのか?手伝おうか!?」

「ごごごご!!ごごごめんなさい!!!!すいませんすいません!」

俺の気迫のせいかそれとも単に罪悪感がでかいのか珍しく冗談を挟むことなく頭を下げる。

「クッソ………逃がしたじゃねぇか………。」

「あ!いや、でもあの人にも当たってたみたいですよ!!」

「あ!?」

食い逃げ犯が向かった方向に目を向けると丁度少し先の角を曲がるところだった。

「結果オーライです!追いましょう!!」

「馬鹿。俺はどっちにしろ追いつけねぇんだよ!さっさと走れ!てめぇのケツぐらいでてめぇで拭え!!!」

「了解しました!!」

返事だけはいい戦犯が奴が曲がっていった方向へと走る。

 

久しぶりに大声出したせいで心拍数が高くなってるのが何もしなくても分かる。

「はぁ……。」

ベンチまで戻るのも面倒だったのでその場に腰を下ろす。

このまま手ぶらで帰ってきたら1×1×2の穴に3日間ぐらい閉じこめとこう。

体中の力を抜いて倒れ込む。

鈍化とは言ってたが体が重くて重くてしょうがない。

寝てしまいそうになりながら何とか意識を保っていると再び店の出入り口が開く音がした。

「捕まえたか!?」

店主が興奮気味に尋ねてくる。

「えぇ……連れのバカがポカやらかしたせいで俺はこんな状態ですけど恐らくもうそろそろ捕まえた頃かと………。」

 

「そうか、そいつは良かった。」

 

響いた声はどこかで聞き覚えがあった。

勿論店主の声であることに変わりはない。

だがこの声は、特に、今日の昼に聞いたあの………。

「一人ずつ回収する方がこちらとしても楽だからね。」

振り返りきれないままで俺の視界は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「創さん!!創さん!!」

何かに呼ばれている気がする。

「起きてください!!起きてください!!創さん!」

っるせぇな………。もうちょっと寝かせろよ。

 

「そろそろ起きてはどうですかお兄さん。」

 

バッと体を起こした。

そこは見覚えのない小さな部屋。小汚いシンプルな内装で壁に窓は見あたらず1面だけ鉄格子が見受けられる。

考えるまでもなくここは牢屋なのだろう。

問題は何で俺がこんなところにいるかだ。

こんな無理のある展開、説明もなしに納得出来るわけもない。

幸い目の前には今の状況を訊いてくれと言わんばかりに見覚えのない少女が佇んでいる。

恐らく今の声の主もこいつだろう。

 

「……誰だ?お前。」

 

目の前の少女はサラッとした黒髪を腰辺りまで伸ばしており清楚な印象を受ける。

床に座らされている俺をニコニコと腕を後ろで組んで見下ろしていた。

「おはようございます網倉創様。私はこの世界を統べる者にございます。」

……………………。

予想していたとはいえあまりの急展開に眉をひそめる。

少女は上品にスカートの裾を持ち上げて一礼した。身長はユイより少し高いぐらいだろうか?

「お前がユイの言ってた知人って奴か。」

「あら、知人だなんてショックです……。私は親友だと思ってましたのに……。」

少し大袈裟に悲しむフリをすると、すぐに顔を上げて

「ですがまぁ、彼女が怒るのも無理のないことなのかもしれませんね…………。ですが私達はずっと共に過ごしてきた言わば―――」

「あーーー!その話はいいから、質問に答えてくれるかな?」

話を無理矢理遮ったからか少ししょぼんとした様子で自称現支配主は俺の言葉に耳を傾けた。

 

「ええと……で、ここは何処だ?」

 

その場にあぐらをかいて尋ねる。

牢屋に入れられている割には手枷などはなく身体的拘束はほとんどなかった。

「あぁ…………。説明するとややこしいですがそれでも聞きますか?」

話すのを躊躇うように視線を逸らす少女に頷いて答える。

それを見ても尚、すこし躊躇した様子で間を置いた後一気に話し始めた。

「まずこの場所は私が創り出した空間であるためユイさんが創り出した世界とは別次元にあるということになります。別次元と言っても世界は同じであるため、大きなくくりとしてはユイさんの創り出した世界だといえるでしょうかね?そして、その私が創り出した別次元の中でもここは私があなた方を監視するための場所になります。私はここであなた方の行動を見張っていたんです。あぁ、すいません脱線してしまいましたね……そしてその私があなた方を監視するための場所……私達はピラーと呼んでいますがそのピラーの中でもここは私があなた方を一時的に安置するために即席で創り出した部屋です。即席麺なんかより3倍は早く創れるんですよ。どうです分かっていただけましたか?」

「20文字でまとめろ。」

「あなた方を安置するため創り出した部屋ですよ。」

「…………。」

始めからそう言ってくれよと飛び出しかけた口を噤む。

それより安置安置って人を死体みたいに言いやがってからに…………。

「ああ……じゃあ、あのバカはどこだ?」

よくよく考えてみれば俺は今誘拐されていて、その誘拐犯と思われる女と普通に会話しているわけだが、この際考えるのは止めておこう。

今度の質問には何故かあからさまに目を逸らすと、

「ふふ……そんなことはどうでも良いじゃないですか。」

妙に威圧的な笑みを浮かべた。

まぁ、確かに割とどうでも良いと言えばどうでも―――

 

「くおらぁぁあああああああ!!!!何やってるんですかこのクソ女(アマ)ぁぁぁあああ!!愛しのマイダーリンに触れてみなさいよそのきったねぇ顏更にボコボコにしてやりますよ!!??」

 

うるせぇ。

思わずそんな感想が漏れる。

雄叫びと悲鳴と黒板をひっかく音と某松岡な太陽とを足して3で割ったような声。

姿は見えないが声が上から聞こえてきているからきっと壁一枚はさんだ向こうにいるのだろう。

まぁ、何はともあれ生きてはいるようだとふぅ……と溜め息を漏らした。

「あら、おはようございます。よく眠れましたか?」

目の前の少女が上を向いて大きめに声を上げる。

「えぇえぇ!!よく眠れましたよ!?お返しがしたいのでちょっと顔出しやがってくださいよ。永久(とわ)に眠らせてやりましょうか?久遠の安息へ誘ってやりましょうかぁ!!??」

ユイはどうやらキレると当て字を使う癖があるようだ。見てて恥ずかしいからやめて欲しい。

「元気ですね。」

「何ですかそれは!?挑発ですか?喧嘩売ってんですか?買いますよ、買ってやりますからとりあえず姿を現しなさいよ。男ならタイマンで勝負したらどうです!?武器なんて捨ててかかってこいよそれでも貴様大日本帝国軍人ですかぁああああ!!??」

実際に視界に映っているわけではないがユイの表情が目に浮かぶ。

あんまり形容してはいけない類のものだ。

 

「全くもう少しゆっくりお話したかったのですが……。」

 

残念そうに呟いた少女は空中にサラサラと何か書き込む。

1秒しないうちに手を止め上を見上げる。それにつられて俺も上を見上げる。

そのとき俺の目に映ったのは…………。

 

「ちょっ待―――」

 

柔らかい感覚に思わず表情を歪めた。

 

 

 

続きますよ……。

 

 

 

 




はい!どうも彩風です!!

地面がつるつるすぎて今年だけで5回はすb…………おっと失礼。


?「もう、ひどいですねユイさん。クソだ汚いだ女の子として自覚を持ったほうがいいですよ。」
ユ「どぅああ!?ななな何で後書きにまで出しゃばってるんですかこの×××は!?」
創「あー…………………みなさん明けましておめでとうございます。」
ユ「創さんも現実から目を逸らさないでください!」
?「汚い顏だなんて私傷ついたのですよ?ユイさんなんかより私の方が魅力的なルックスなんですから。ねぇ?お兄さん。」
ユ「ハッ。潰れたひきがえるみたいなみっともない一重ひっさげてよくもまぁ言えますね?」
?「羨ましいですわー。ユイさんのほっぺのそのキュートなほ・く・ろ。」
ユ「屋上へ行こうぜ。久々にキレちまったよ。」
?「あらー?拳で語り合うのは殿方の意見を聞いてからでも遅くなくてよ?それとも自信がないのかしら?」
ユ「いいでしょうよ!あんたは一回自分の生まれながら持ってきた他人との圧倒的ハンデと向き合う必要があるでしょうし!?さぁ、創さん。魅力的な方を……つまりは私を指さしてください!!おさわりもおkですよ!」
創「…………興味ねぇ」


それでは次回もまた出会えることを願っております。
閲覧ありがとうございました!!

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