孤独な少年 作:スカル
「むにゃむにゃ……。」
「スースー……。」
「クークー……。」
数十人が楽に寝転がれるだけの大きな広間で、女の子が大勢寝ている。先日空から降ってきた女の子たちである。
「んー…。」
その中の一人が目をごしごしと擦りながら起き上がる。ぬぼーっとした寝ぼけ顔で、周囲を見渡す。自分の仲間と、友達が大勢眠っているのが目に入るが自分たちが居るのは、全く知らない場所だということにはまだ気付かない。そして、脳が覚醒するのに従って事態に気が付く。
「ここ、一体何処ーーーーーー!」
まだ多くの人が眠る早朝、春野はるかの叫びで多くの人が目覚めた。
「で、はるはるの大声で起こされたわけだけど。」
少し不機嫌な天野川きららにジト目で見られ、はるかはたじろぐ。
「あ、あはは。」
「それよりも、一体ここはどこなのかしら?」
周囲を見渡し海藤みなみが、呟く。プリキュアの皆と遊んでいたはずが、気が付くとここに居た。訳の分からない事だらけである。
次々に起きた面々だが、ここがどこなのか誰もわからない。それに、一緒にいたはずの妖精の姿も見えず心配していた。
「パフとアロマの姿も見えないし、どうしよう。」
「シプレとコフレ、ポプリの姿も見当たりません。」
「キャンディーも居ないよ。」
その時、紅城トワが部屋の出入り口を見つけた。
「皆さん、こちらに扉がありましたよ。」
しかし、扉は押しても引いてもびくともしない。何人も試したが駄目だった。
「こうなったら、私が。」
北条響が助走をつけて、扉に突撃した。どうやら扉を壊すつもりだ。
「やぁぁぁー。」
彼女が、扉に突撃するまさにその時、扉がなんと横にスライドした。
「へっ!?」
彼女はその勢いのまま、向かいの向かいの壁に激しくぶつかった。まともにぶつかったので、頭に大きなたんこぶが出来ていた。
「痛ったー。」
頭を押さえる響の目に、扉を開けた人物が目に入った。高い身長に、整った顔立ち。黒く少し長い髪はゴムで括られている。長い前髪を抑えるようにバンドを付けていて、首にはヘッドフォンが掛けられていた。はっきり言って、これ以上ないほど目鼻顔立ちが完璧に整っている。響だけでなく、中に居た女の子たちはその男に皆見惚れていた。
「はー、何やってんだか。扉の上に、ちゃんと(この扉はスライド式です)って書いてあるのに。」
よくよく見ると、扉の上に小さいが確かに注意書きが貼ってあった。だれもそのことに気づかないのは、どうなのだろうか。
「話も聞きたいが、まずは朝食にするぞ。お前たち昨日の昼頃からから何も食べてないだろ。」
彼女たちが降ってきたのは、ちょうど午後12時頃だった。その言葉に反応するように、美墨なぎさ、夢原のぞみ、夏木りん、春日野うらら、桃園ラブ、北条響、緑川なお、大森ゆうこ、といった面々のおなかが一斉に鳴った。さすがに恥ずかしいのか、顔を赤くして伏せている。
「朝食はこっちだ。」
そう言って、歩く彼の後を彼女たちは急いで追った。