孤独な少年 作:スカル
俺が家に帰ると、中々騒がしい事態になっていた。
「こらーシフォン、そんなことしたらダメでしょ。」
「シフォンちゃん、危ないからこっちに降りてきてー。」
「せつな、そっちに行ったわよ。」
「分かったわ。」
「キュアー。」
家の家具が浮いて右往左往している四人が居たり、
「アイちゃん、ランスの耳を噛んじゃダメだってば。」
「うーやっ!」
「は、離すでランス。痛いでランス。」
「あらあら、大丈夫ですかランスちゃん。」
「もー、マナと亜久里ちゃんは何処に行ったのよ!」
小さな黄色い生き物の耳を噛んでる、羽の生えた赤ん坊が居たりと、とにかくてんやわんやだった。
「はー、最近俺ため息ばっかりついてるよな。」
俺はその二人の赤ん坊に近づいていく。
「あ、亘さんこれはあの、その。」
「うわー、そっちに家具飛ばしたらダメだってば。」
二人の赤ん坊は、物珍しそうにこっちに寄ってくる。飛んでくる家具を起用に避けながら二人の目線に合わせてしゃがみこんだ。
「あんまり、お姉ちゃん達に迷惑掛けたら駄目だぞ。」
俺は、優しくそう言い聞かすと二人の頭を撫でた。
「プリプー。」
「きゅぴ。」
二人は嬉しそうにしていた。いつの間にか、浮いていた家具も元に戻っており、噛まれていた黄色い生き物も床に力なくクタッと伸びている。
「そんじゃあ、夕食の支度するか。買って来たものは冷蔵庫に入れておいてくれ。俺は、裏庭に居るからな。」
俺は、そう言い残すと家の裏にある家庭菜園の畑へと向かった。
「亘さんってすごいね。シフォンが一発で言うことを聞いたよ。」
「ほんまや、シフォンは気難しい所があるさかいな。それ程、亘はんになついとるっちゅう訳やな。」
「アイちゃんもすぐに言うことを聞いたわ。」
「やっぱりすごい人なんだね亘さんって。あっ、そうだ帰り道こんなことがあったんだよ。」
帰ってきてそうそう、亘の話になっている。マナは亘が変身したこと、自分達を守ってくれた事等を仲間に話し始めた。他の面々も同じである。そんな中、何人かは彼の事を本当に信用してもいいのかと悩んでいた。月影ゆりも、その内の一人である。
(何故、亘さんは私達をここに置いてくれるのかしら。朝言った理由だけじゃないような気もするし、その事も含めて今夜しっかり話し合いましょう。)
月影ゆりは、そう心に決めた。
俺は、家庭菜園で野菜を取っていた、これは、ある一人の人物に影響されて始めた事なのだが、今では完全に習慣化してしまっている。
「良い野菜ですね。」
俺に話しかけてくる一人の少女が居た。
「私、大森ゆうこって言います。良い畑ですね。私のおじいちゃんとおばあちゃんも田んぼをやっていて一年に一度田植えの手伝いをしているんです。手伝っていいですか。」
「ああ、頼む。それじゃ、そっちのキャベツ採ってくれ。」
「はい。」
ゆうこの手伝いで、思っていたよりも早く収穫をすることが出来た。しかし、そのせいでゆうこの服は泥だけになっている。
「そのまんまじゃだめだな。着替え、って言っても変えの服がないのか。」
「ふふっ、大丈夫です。」
ゆうこは持っているプリカードで色々なコスチュームに変身できるのである。
「そうか。そんじゃあこの野菜は俺が運んどくから後でな。あっ、そうそう、それと。」
俺はさっきから気になっていた彼女の顔の汚れを持っていたハンカチでふき取る。
「気を付けろよ、せっかく可愛い顔してるんだから。」
俺は、そう言うと野菜を持って台所に向かった。。
「亘さんと一緒にいると、何だか違う感じがする。心があったかい。」
これが恋に落ちるって感覚なのかな。そう一人で自問自答するゆうこだけがその場にたたずんでいた。