孤独な少年 作:スカル
俺は、採ってきた野菜を持って台所に向かった。この人数の料理を作るためには多くの時間がかかる。早速調理に取り掛かった。
「あの、何か手伝いましょうか?」
何人かの女の子が話しかけてきた。
「じゃあ、そっちの野菜を切ってくれ。」
「分かりました。」
手伝いのおかげもあって、料理は思っていたよりもすぐにできた。
「美味しい、亘さんのご飯。」
「こんなに美味しいご飯が食べれるなんて、しあわせハピネス!」
食事が終わると、朝のように応接室にみんなを通して話し合いを始めた。
「今日、地下の蔵書室に行った人が居るんならもう分かってるだろうが、ここはあんたらが居た世界じゃない。」
その言葉に女の子達はひどく動揺する。中には、泣きかけている子まで居る。
「世界は複数存在し、互いに干渉しあっている。その間で起きた何かに、あんたらは巻き込まれたんだろうな。」
「そんなぁ、それじゃあもうお母さんとお父さん、ももかやゆいちゃんに会えないの。」
「落ち着きなさい、はるか。」
その言葉にみんなが騒ぎ出す。
「何とか、帰れる方法を探してみるがあんたらが居た世界を特定するのにかなり時間が掛かっちまいそうだ。少なくとも数か月はかかる。」
「そんなー。」
「安心しろなんて無責任なことは言わねえが、これだけははっきり言っておく。」
真剣な目をする俺にみんなが息をのむ。
「絶対に元の世界に戻して見せる。これは約束じゃない、誓いだ。」
「どうして、そこまで私たちの為に良くしてくれるのですか。」
月影ゆりが話しかける。
「目の前で困ってる奴をほっとける訳ないだろ。」
俺は心から純粋にそう思った。転生して、色々なことがあったが、困っている人を見捨てるほど腐ってはいないと自負している。転生前の俺みたいに親が居ない悲しみを彼女たちに味会わせたくないと思った。
「そういえば、その変な生き物って何なんだ。」
今更だが、喋るぬいぐるみや変わった生き物の事について尋ねる。
「あの、これは……。」
皆が一斉に口ごもってしまった。
「まっ、言いたくなかったら別にいいぜ。妖精か何かだと思っとくから。」
「あ、あははは……。」
ほぼ当たっているのだが、彼女たちは愛想笑いでごまかした。
「そんじゃあな。」
俺は、まだ何か言いたげな彼女たちを残し、地下二階に歩いて行った。その時の顔は何だか泣きそうになっていたと思う。
「ねえみんな。」
星空みゆきは、皆に話しかける。
「私、もっと亘さんの事が知りたい。あんな悲しそうな顔してる亘さんを放っておけないよ。」
「私も、もっと亘さんの事を知りたいよ。」
みゆきとやよいは凄く乗り気である。
「しゃあない、うちも付き合うで。」
「しょうがない、あたしも付き合うよ。」
「もちろんわたくしも。」
「みんなー、ありがとう。」
スマイルプリキュアの面々だけではなく、他のプリキュアも全員行く事になった。
地下二階への出入り口は、蔵書室を使っていたメンバーの話ですぐに分かった。
「それじゃあ、行くよ。」
扉を開けた先に皆が入る。中は、大きな扉がある広い部屋になっていたが亘の姿は何処にも見えない。
「何処に行ったのかなー?」
相田マナがそう呟く。扉の向こうだろうか?そんな事を考えていると、突然警報が鳴り響く。
「侵入者あり!侵入者あり!直ちに排除します!」
壁からミサイルが大量に現れ、一斉に発射される。爆音と煙で見えなくなるがその中から光が放たれる。そして煙の中から、プリキュアに変身した少女たちが現れた。
「ハーッ!」
彼女たちはミサイルの発射台を次々破壊して扉の前に立った。
「行こう、みんな!」
皆が頷く。だが、彼女たちは知らない。この先に、侵入者を撃退するために様々な仕掛けがあることに。