ハクになるはずだった男の日記(打ち切り)   作:秋羅

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13話

Ω月δ日

 

 オシュトル主導で帝都で活動していた麻薬密売組織を摘発したらしい。

 この組織が扱っていた麻薬「阿片(アフヨウ)」は元々鎮痛剤として使用されていたものだが他にも陶酔作用があり、これにより本来の使用目的とは別に嗜好品として使われている側面がある。

 しかし、過度の服用は幻覚症状などを引き起こし、中毒に到る恐れもある為ヤマト全域で医療目的以外での使用を禁止されている物だ。

 

 今回摘発された組織は下級層の民を狙ったもので最初は子供の小遣い程度で売り、客が中毒になるのに合わせて徐々に値段を釣り上げ、最終的にはひと月の稼ぎを超える値段で売りつけていたそうだ。

 もちろん下級層の民にそんな金があるわけもなく、かと言って中毒のせいで止めることもできない。

 結果として借金を負ったり、窃盗や強盗などの犯罪に走ったりし、帝都の風紀を乱していたわけだ。

 

 そして、オシュトルは他の部隊とも連携してこの組織の調査を入念に進め、今回の摘発に至ったそうだ。

 とはいえ麻薬密売組織のバックにいた奴を捕まえる事まではできなかったようだが。

 どうやらそのバックにいた奴はヤマトでも重要な位置に居るらしく、おいそれと捕まえる事もできないらしい。

 

 まったく胸糞悪くなる話だ。

 

 とはいえ今回の件でオシュトルは出世したようなので今日のところは素直に祝おう。

 

 オシュトルの出世祝い兼慰労会は白楼閣にて催され、今回の件に協力していた各部隊の隊長格が参加していた。

 皆オシュトルの出世を純粋に祝っており、帝都に巣食う悪が一つ滅びたことを喜び合っていた。

 

 こういう場合一人出世したオシュトルを妬みそうなもんなんだが・・・、と思ったがどうやらここに集まった連中はオシュトルの人柄と能力、そしてヤマトへの忠誠心をよく知っているようで、応援する気持ちはあれど妬みなどはないそうだ。

 むしろドンドン出世して、今回の黒幕を捕まえられるようにして欲しいと言っていた。

 

 流石オシュトル、カリスマが半端無いな。

 俺の大いなる父補正によるカリスマ(笑)とは大違いだ。

 

 ちなみに今回の件にはミカヅチも協力しており、そのヤクザのような風貌を大いに利用して密売組織に侵入し、取引や構成員等の情報をオシュトルに流していたらしい。

 実は自分の風貌を気にしているらしいミカヅチがよくやったもんだと思ったが、本人は初めて戦闘以外で役立ったと笑っていた。

 そして、次は俺の番だとオシュトルへの対抗意識を燃やしており、近々帝都の悪がまた一つ消えるな、と確信するのだった。

 

 

 

 

Ω月ξ日

 

 帝都に来る際に遭遇したじゃんじゃん野郎が脱走したらしい。

 どうなってんだ帝都の警備は、と思ったが、どうやら奴らあれが初犯だったらしく、更生施設に入れられた程度だったらしい。

 そこで犯罪系映画よろしく寝床の下に穴を掘って脱獄したようだ。

 

  ホントよくやるぜ。もしかしたらまだ帝都にいるかもしれないなと考えながら歓楽街を歩いていると前方の店から騒がしい声を響かせながら例のじゃんじゃん野郎が手下を引き連れ現れた。

 

 「久々の娑婆の空気はうまいじゃんよ!このままもう一軒行くじゃん!」

 

 ・・・まさか本当に居るとは。こんなところで飲んでないでさっさと逃げろよ!

 

 と思っているとじゃんじゃん野郎はこちらに気づき大声を上げてきた。

 

 「あ~!?お前は俺に金的を食らわせてくれたもやし野郎じゃん!?ここであったが2ヶ月と12日目!あの時の恨みを晴らしてやるじゃんよ!!」

 

 うわぁ、めんどくせぇ・・・。というかお前脱獄犯だろ。こんなところで騒いでいいのか?

 

 「そんなの関係ねぇじゃん!てめぇにも俺と同じ・・・いやそれ以上の苦しみを味わわせてやるじゃん!」

 

 そう言って殴りかかってくるが、どうやら奴はかなり酔っていたようで足をもつれさせて転んでしまった。

 

 チャ~ンス!

 

 俺は素早く奴の足の方に回り込むと両足を押さえ込み足を股間に当てた。

 

 「なっ、何する気じゃん!?まっ、まさか!?やっ、やめろ!やめるじゃん!?」

 

 馬鹿め!やめろと言われてやめる奴がいるかよ!喰らいやがれ!!

 

  ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!! 

 「あがががガガがががガガガガがががががガが!?!?!?!?!」

 

 俺の高速電マにじゃんじゃん野郎は泡を吹きながら絶叫し、周りにいた手下と帝都の男たちは顔を青ざめさせながら股間を押さえていた。

 

 その後、騒ぎを聞きつけた検非違使(けびいし)が来るまで電マを続け、真っ白になったじゃんじゃん野郎を脱獄した盗賊だと言って引き渡した。

 

 その際検非違使(けびいし)がドン引きしていたが、一仕事終えてスッキリした俺には全く気にならなかった。

 

 うん。良いストレス発散になったぜ!

 

 

 

 

Ω月Ψ日

 

 アンジュと一緒にいつもの場所の周辺を散策していると竹が生えているのを見つけた。

 村でオッサンと一緒にガキ達に竹馬を作ってやったな、と言うとアンジュがとても興味を示したため、実際に作ってやることにした。

 

 剣鉈を使って竿用の細めの竹を2本切り出し適度な長さにカット。

 そして足場には縦に割った太めの竹を使い、竿を挟むようにして縄で固定する。

 

 一見簡単そうに見えるが足場の竹を縄で固定するのにコツが要り、下手な結び方だと簡単に外れてしまうから注意が必要だ。

 

 これを俺、アンジュ、ウルゥル、サラァナの4人分を作りみんなで遊ぶことになった。

 とはいえ、アンジュ達は使い方を知らないのでまずは俺が手本を見せてやることになり、実際に竹馬に乗ってアンジュ達の周りを歩いてみる。

 そして、そのまま村でのガキ共との遊びで養った竹馬テクを見せてやった。

 

 見ろっアンジュ、俺の竹馬テクニックを!

 

 片足立ちっ!!

 

 横歩きっ!!

 

 カットバック・ドロップタ~ンッ!! ダッ! 

 

 ダン!

 

 

 ふっ、決まったぜ。

 

 「「「お~」」」パチパチパチ

 

 俺のあまりに華麗な竹馬テクに姪っ子たちが感嘆の声を上げる。

 特にアンジュは目を輝かせて尊敬の眼差しで見てきたのでとても気分が良い。

 

 そして俺のテクを見てやりたくてウズウズしているアンジュを俺が押さえた竹馬に乗せ、アシストしながら歩かせる。

 おー!と声を上げるアンジュを微笑ましく思いながら暫く練習させた後、今度はアシスト無しで歩かせてみる。

 何度かバランスを崩して落ちてしまったが、すぐに一人で乗れるようになり、楽しそうに広場をぐるぐる回ったり、走ったりしていた。

 

 それを見て満足した俺は今度はウルゥルとサラァナに教えるかと二人の方を見るが魔女の帚よろしく竹馬に跨っていた。ただし、顔を赤くし息を荒くしていたので拳骨しておいた。

 まったく。アンジュが真似したらどうする!

 

 その後、竹馬で競争したり、端材で竹ぽっくりを作ったりして一日中遊んだ。

 大分疲れて休みの意味が無くなってしまったがアンジュの笑顔を見るとそれもどうでも良くなり、竹馬を作った甲斐があったなと思うのだった。

 

 

 

 

 

 




阿片(アフヨウ)
 陶酔作用と幻覚作用のある麻薬。
 アフヨウは江戸時代に日本で呼ばれていた名前。
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