Fate/Zero これは戦争ですか? いいえ観光です 作:銃剣
自分でも書いてて大丈夫だろうか。変じゃないかという所があるかもしれません
風が静かに吹く音が聞こえる程の静けさ
そして地に伏せピクリとも動かない善明。彼の周りには血が広がる
突然の出来事に言葉を失う者達
「よ、善明さん!しっかりして下さッ!?」
ハサンが駆け寄ろうとした時
空気が変わった。否、凍りついたと表現したほうが正しい
それは寒さではなく、もっと別の物であった。次第に地が揺れ大気が悲鳴を上げる
これほどの事が出来るのは一つしかいない
サーヴァントである
それも一人だけでなく、二人だ
一人は紅き長槍と黄色い短槍を持った騎士。もう一人は人皮で装丁されている異本を取り出す異端者
体から魔力が迸り殺気が出る
「やはり貴様はそこまでして聖杯が欲しいか……セイバーのマスタァァァァァァァアアアアアアアアア!!」
「あぁ汚らわしい!汚らわしい!我が友を手にかけるとは!!愚人めェェェェエエエエエエエエエエ!!」
怒りを露わにするディルムッドとジル・ド・レェ
セイバーは二体のサーヴァントを見て、アイリスフィールの前に出て
「やめてくれ!」
そこへ止める声が聞こえた
その方に視線を向けると息を切らした雁夜が居た
「ディルムッド、ジル。今すぐ武器を引いてくれ!」
「引けだと!?雁夜殿、善明が殺されて何とも思わないのか!」
ディルムッドが殺すとばかりの殺気を出しながら雁夜を睨みつける
しかし雁夜は引かなかった。寧ろ引けなかった
その顔は悔しさと申し訳なさが現れていた
「お願いだ…武器を引いてくれ」
『…何かあったんですか』
ランスロットが雁夜に聞く
その時のプラカードはギシギシと握り潰れそうな音がした
「……桜ちゃんが人質に」
『!?』
雁夜の言葉を聞いた者は驚愕した
その中でもアイリスフィールとセイバーは心当たりがあった
「人質ってまさか…」
「…キリツグ!どこにいますか!?」
そう桜を人質にしようとするのは彼しかいない
ましてや敵のサーヴァントと深く関わりのある人物なら尚更である
その時であった。城の扉から三人の人影が出てきた
無表情で桜の頭の横に銃を突きつける切嗣と後ろから着いてくる舞弥
そして銃を突きつけられ涙目で怯えている桜だった
「桜ちゃん!」
「セイバーのマスター…どうしてこんな事を!?」
「どうしてか…可笑しな事を聞くサーヴァントだ」
ハサンが切嗣に大声で問うが、切嗣は表情一つ変えず冷たい視線で答える
「これは聖杯戦争だ。七人の魔道士が聖杯を求め、最後の一人になるまで殺し合う。話し合いで解決できる程甘くはない」
「キリツグ!貴方はアイリスフィールの話に賛同したのではないのですか!?貴方はそれでも…」
「敵の申し出受ける道理がどこにある?それとも騎士道なんかで分かり合えると思っているのか…馬鹿馬鹿しい」
「…どうしてなの切嗣」
「アイリ、キミの為だ。話し合った所で殺し合うのに変わりはない…サーヴァントと真っ向勝負なんてしていたんだ、これを機に手を打たないはずがない。それにそこのマスターがもしもセイバー以外のサーヴァント全員を使役していれば尚更だ。これでサーヴァント達は消え、僕達の勝利だ」
ブチッ
切嗣の外道に何かがキレる音がした
「貴様ァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「落ち着けディルムッド!!」
ディルムッドが飛び掛ろうとした時
イスカンダルが止める
「離せ征服王!……奴だけは!奴だけはァァ!!」
「…騒がしいぞ雑種」
ディルムッドの怒号にギルガメッシュは
「貴様もか英雄王!仮にも自分の主が殺されたんだぞ!貴様には慈悲はないのか!!?」
ギルガメッシュは未だに顔色一つ変えず有余でいる
ワインのコルクを抜き、空いたグラスにワインを注ぐ
「…随分と余裕でいるなアーチャー」
「戯け。これほどの事で取り乱すほど我は愚かではない」
その言葉を聞いた雁夜とランスロットとハサンがくいついた
「これほどって…お前桜ちゃんがどうなっても良いって言ってるのか!?」
『英雄王…どうやら貴方とは一度、人の痛みを知る必要がありますね』
「善明さんが殺されたって言うのに…貴方という人は!!」
「だからどうした、奴が奇襲程度で殺されたのだ。所詮奴も雑種に過ぎなかったという話だ」
三人の猛攻とも言える言葉に耳を傾け用としないギルガメッシュ
非道な仕打ち、ギルガメッシュの傲岸不遜
これほど残酷な事はない
「しかし、貴様も愚かだなセイバーのマスター」
「何?」
「いや、奇襲に成功し堂々と姿を曝け出す事に滑稽と思ってな」
「アーチャー。お前が何を言おうと僕達の勝利に変わりない」
「確かに…だが貴様のその傲り。我が言えた義理ではないが、その慢心が時として思わぬ所で、獣の牙が貴様の喉元に喰らい付いてくるぞ」
ギルガメッシュがワインを飲み干すと同時に空を見て行言った
「ここまでやったのだ。無様な姿を見せた時は、その首を差し出す覚悟はあろうな……善明」
その直後だった
切嗣の後ろから何かがいる事に…だがそれに気づいた時には遅かった
切嗣の後ろには黒い木刀を振りかぶった
鬼がいた
振りかぶった木刀をまともに浴び、切嗣は吹っ飛んだ
黒いコートの背中を土で汚しながら、切嗣の体は地面の上を滑っていった
舞弥は直ぐに銃を構えようとしたが、善明は足で蹴り上げる
そして腹を殴った後、手刀で首を打ち気絶させた
「だから言ったであろう。思わぬ所で、獣の牙が貴様の喉元に喰らい付いてくるぞとっ。狩りは獲物を狩った瞬間が一番危険なのだ。獲物が大きければ大きいほどスキが出来る…ハ●ター×ハ●ター3巻でも見て出直してこい雑種ども」
「勝手に話進めんなコノヤロー。何自分がやりました感出してんだぁ」
「善明さん!生きてたんですね!!」
「オイオイ勝手に殺すなよ。こちとらちゃんと鍛えてんだからよ」
善明は木刀を担ぎなが頭を掻きながら答える
そして切嗣を吹っ飛んだ際、倒れたところを雁夜が抱きかかえる
そこへ善明が未だ怯えている桜の頭に手を置く
「大丈夫か?」
「う、うん。でも…血…」
桜は血が出ている箇所を指した
しかし善明は平然と答える
「血だぁ?んな訳ねぇだろトマトジュースだよトマトジュース」
もちろんコレは嘘である
善明は桜に心配をかけないようにしていた
まだ幼い子供には大量の出血など刺激が強すぎる光景である
「…ホント?」
「マジマジ、だから安心して寝とけ。疲れてんだよお前は」
「うん…お休みなさい」
そう言うと緊張と恐怖からの疲れですぐに眠った
雁夜は腕の中で眠る桜を見て涙した
「良かった…本当に良かった」
「雁夜、桜抱えて下がってろ」
善明は立ち上がり振り返る
ダルそうな表情から一変
真剣な眼差しで怒りをあらわにした表情になった
「それとお前らも手出すなよぉ。奴さん、俺をご指名らしいからな。もしも無視したら令呪使うぞ」
善明はサーヴァント達に手を出すことを指示した
もちろんディルムッドや他のサーヴァントは反対をするが令呪という言葉を聞き黙る
吹っ飛ばされた切嗣はフラつきながらも立ち上がった
「こっちは話し合いで来たってのに。随分な挨拶じゃねーか」
「言ったはずだ。話し合いで解決できる程、聖杯戦争は甘くはない」
善明の文句に対し考えを変えず厳しい答えをする切嗣
コートからキャリコM950を抜き善明に向ける
そこへアイリスフィールが割り込んだ
「もうやめて切嗣!ここで争って何があるの!?」
「アイリ、キミは黙っていてくれ。この男を倒せば僕達は聖杯が手に入れられる」
「そーまでして何願うんだよ。チョコレートパフェ山盛りか?それともいちご牛乳一年分か?」
善明が甘ったるい願いを吐くと切嗣は睨みつけて
「僕の願いは……世界の恒久的な平和だ」
「恒久的な平和だぁ?」
善明は切嗣の願いを聞き返す
そこから切嗣の話は続いた
彼の願い…争いという人々を苦しめる足枷から開放する
戦いという根源を絶ち終わらせる
だがそれは救う為には犠牲を伴うという
多数を救い少数を切り捨てる
少勢の奴隷より大勢の平民 少き者より多き者 軽より重 単体より団体 1より9
それが切嗣の信条である
その為なら手段を選ばない。まさに外道とも言える行為である
話が終わり、再びキャリコM950を構える
「分かったか。これが僕の聖杯を欲する理由だ。キミのようにフザけた願いじゃない、人類という種全体が抱える「闘争」全てを終わらせる!」
「………話は大体分かったぜ。要するに」
善明は木刀を肩に担ぎ
さっきと変わらないダルそうな表情で言った
「テメェの願いなんざ…ガキの我儘と変わりねーって事だ」
「…何!?」
善明の言葉に怒りを露わにする切嗣
「僕の願いがそんな事と一緒にするな!」
「一緒じゃねーか。単に少ないより多いのが良いだけって言ってるもんだろ。ガキだってそう思うぜ。平和にしてーなんてオメェ以外に、それこそ其処ら中に居るぜ。平和平和言ってラブ&ピースをモットーにするのは構わねぇ…けどよ」
善明は雁夜に視線を向ける
「世の中には魔術の家系の多を捨てて、ひとりの少女の小を救う奴だっている。自分の命投げ捨ててまで救いたい馬鹿野郎だっている。平和なんざ自分の周りが良くするだけの物事に過ぎねぇ…ただお前にどうしても言いてぇ事がある」
「自分の事だけで他人巻き込んでんじゃねぇ!」
善明は地面を蹴り切嗣に接近する
切嗣はキャリコM950の引き金を飛行とした時、善明は左手に隠していた物を投げる
投げたものはさっき崩れ落ちた際、バレないように拾った石
投げられた石は切嗣の額に直撃。一瞬だけ怯み再び構えを取ろうとしたが善明の木刀が腹を直撃する
「キリツ…!?」
セイバーは仮にも自分のマスターの助けに行こうとした時
何かが後ろから迫って来ていることを直感し、
「なっ!」
「悪いが貴様の相手は私だ」
迫って来る者の正体はセイバーオルタだった
セイバーはもう一人の自分がいる事に心底驚愕している
「悪ぃが後頼むわ」
「あぁ。後は任せろ」
善明は切嗣ごと木刀を前に突き出し突貫する
そして壁を突き破り、城の中へ入っていった
会合という名の戦い
次第に終りへと近づく