Fate/Zero これは戦争ですか? いいえ観光です   作:銃剣

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皆さん長い間凍結してスイマセン!!


第十七話 自分の正義

ズドォオオオオオオン!!

 

 

一室の客間に轟く壁の崩壊

瓦礫が飛び出る中に居た二つの人影―――木刀で突く善明とその木刀で突かれる切嗣の姿

突きにより吹っ飛ばされた切嗣は机やイスを巻き込みながら飛ばされる

 

 

「………」

 

 

善明は無言で吹っ飛ばした方を見る

砂埃が立ちこみ視界が悪くなっている。しばらくしても切嗣の姿が見えないことに違和感に思えた時

 

 

【攻撃反応、来ます】

 

 

「ッ!?」

 

 

エイダの一言を聞いた善明は足元に在った机の脚の部分を踏み付け、面の部分を起こす

その瞬間、銃の連射音と共に銃弾が面の部分に被弾する。体勢を低くし、偶然に出来た隙間から様子を見る

口から血を流しながらもキャリコM950を連射する切嗣の姿が見えた。このままでは埒が明かないと思った善明は足を振り被り、机を蹴飛ばす。飛んできた机を横に跳び受身を取りながら回避する切嗣

その隙を見て、善明は木刀で叩き込もうとする

 

 

「(Time Alter(固有時制御)――Double Accel(二倍速)!)」

 

 

しかしそれ無駄に終わった

切嗣は固有結界を自らの体内に展開、時間操作して、常人に倍する運動能力で動く

木刀は空を切り床に減り込む。再び木刀を振ろうとするが先に行動を起こしたのは切嗣だった

懐に仕舞っていたナイフを取り出し、善明の心臓目掛け刺しかかる。互いの行動で、先に攻撃が当たるのは切嗣の方である。それを理解した善明は

 

 

ザシュッ!!

 

 

左手の平を前に出し盾としてナイフを防ぐ

ナイフの刃が手の平を刺し、甲の部分まで貫通する

刺し傷と貫いた傷から血が流れ落ちる

 

 

 

 

 

 

 

だがそれは善明にとって都合が良かった

 

 

「つ~~かまえた」

 

 

「なっ!?」

 

 

刺さった左手で鍔ごとナイフを握った切嗣の手を掴む

これには切嗣も予想外の行動だった。早く引き抜こうとするが、善明の握力がそれをさせない

もたもたしている切嗣に対して

 

 

ドゴォ!

 

 

腹に目掛け、木刀の突きを繰り出す善明

余りにも強い衝撃に切嗣の口から血を吐く

 

 

「さァ会合の時間だ。たっぷり言わせて貰うぜ」

 

 

そこから怒涛の攻撃が始まる

頬や胸に木刀を叩き込み、腕や足などは動かせない位の強打を打つ

吹っ飛びそうになっても掴んだ左手が離さない。木刀のラッシュが数秒続き、切嗣がよろめいた時

 

 

ドスゥ!

 

 

「ぐっ!?」

 

 

何かを蹴るような鈍い音

それは善明の懐辺りであり、さっき狙撃された場所だった

その場所を蹴ったのは切嗣、攻撃を受けながらも反撃のチャンスを伺っていた。蹴った衝撃により負傷を負っていた善明の腹から血が更に飛び散り、あまりの激痛に掴んだ左手を離してしまう。それを見た切嗣はナイフを抜き取り、後方に飛ぶ。その直後、ナイフを善明の太ももに投擲し、命中する

 

 

「っち!」

 

 

善明は太ももにナイフが刺さったまま、切嗣を追い始める

しかしそれは切嗣にとって予想していた事だった

 

 

「(Time Alter(固有時制御)――Triple Accel(三倍速)!!)」

 

 

先ほどより三倍の速さで前に跳んだ

善明が気づいた時にはもう遅かった。切嗣の蹴りは善明に当たり、吹っ飛ばす

しかし善明は宙で体勢を立て直し追うが距離は相当ある。切嗣はキャリコM950を構え撃つ

木刀で弾を弾くも何発かは頬を掠り、体には被弾する。しかしそれでも善明は止まらなかった

血を流しながらも突貫する

 

 

「(……何故だ)」

 

 

切嗣は善明の行動に理解出来なかった

 

 

「(何故奴はこうも立ち向かう。体に重症を負っていながら…いや常人なら既に立っていられないか死んでいる域だぞ)」

 

 

切嗣は善明の闘志と底知れない生命力に圧倒されている

そして一時期不利な状況を覆す程の力。それらも切嗣にとって脅威だった

 

 

「(……だが、いくら強いと言っても所詮は魔術師。アレを喰らえば流石の奴も死ぬ)」

 

 

切嗣が心の中で呟くとキャリコM950の弾が尽きる

そして弾切れとなった銃を善明に投げる。善明は弾を弾いていた事もあり、投げられた銃も当然弾く

 

 

 

 

 

……ズルッ

 

 

しかしここで思いがけない出来事が起こる

戦いで飛び散った血溜りで足をとられてしまい、体勢を崩してしまう

善明にとって不運、切嗣にとって幸運な事だった

 

 

「(…貰ったッ!!)」

 

 

切嗣はコートからトンプソン・コンテンダーを取り出し構える

既に弾は装填されているが、只の弾ではない

 

 

「(起源弾……被弾者の魔力が暴走し、自ら肉体を瞬時に死滅させる。六体のサーヴァントを使役出来る程の魔力と魔術回路がある魔術師ならば、これを喰らった瞬間に朽ち果てる。体勢が崩れたことによって回避も出来ない。例え回避出来たとしても固有時制御を使い再装填すれば問題ない。それに撃たれる前に反撃しようにも此処まで約三メートルある)」

 

 

切嗣はトンプソン・コンテンダーの引き金に指をかける

 

 

「(どちらにせよ。この聖杯戦争は―――)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(僕の勝ちだッ!)」

 

 

ズドォォン!!

 

 

勝利の確信と共にトンプソン・コンテンダーから撃ち出された起源弾

善明が体勢を立て直したが、起源弾はすぐそこまで来ていた

 

 

「(これでやっと終わる。この戦いにも…そしてこれからも…)」

 

 

切嗣は揺ぎ無い勝利に浸る

遂に自分の願望が叶えられる。自分が想像していた事が実現できる

そんな事を思っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし切嗣は知らなかった

 

 

 

 

この感情が時に

 

 

 

 

油断となってしまう事に

 

 

 

 

善明は下に向いていた木刀を反り上げるかのように―――――起源弾を突く

 

 

「何ッ!?」

 

 

切嗣は驚愕していた

弾丸を弾くならまだしもピンポイントで突く事は予想していなかった

撃ち出された衝撃と木刀による突きの衝撃がぶつかり合う

 

 

ピキ……ピキピキ!!バキィン!!

 

 

しかし先に根を上げたのは起源弾だった

粉々に砕かれ床に落ちる

 

 

「バカなッ!起源弾を砕き…」

 

 

「うおおおおおおォォォォォォォ!!」

 

 

起源弾を砕いた勢いで突貫する善明

完全に油断していた切嗣は、トンプソン・コンテンダーに起源弾を再装填する時間も無かった

 

 

「これで終いだァァァァァァァ!!」

 

 

木刀は切嗣の体を突き、そのまま壁の方まで飛び叩き付けられる

 

 

ズドォォォン!!

 

 

再び地響きが轟き砂埃が舞うが、それもでハッキリと見える

吐血をし壁から床に滑り落ちる切嗣を見ながらゆっくりと近づく善明

座る状態になった切嗣が顔を俯きながら言った

 

 

「…どうしてだ。僕はただ救いたいだけだ。多くの命が救いたいだけだ」

 

 

「………」

 

 

「あの惨劇を二度と起こさない為にも全ての争いを無くしたいんだ」

 

 

「………」

 

 

「争いは樹木のように何処かで芽吹く。例え摘み取ったとしても必ず新たな争いが生まれる。それはドンドン増えていき、多くの命が奪われる。だから僕は「闘争」を終わらる。どんなに犠牲が出ようと構わない!どれだけの代償を失おうが構わない!!争いという鎖から人々を解放するべきなんだ!!!」

 

 

勢い良く顔を上げ善明に怒号という願望をぶちまける切嗣

それを聞いた善明は

 

 

 

 

 

 

 

 

「んな事、やる必要あんのか?」

 

 

「……何ッ?」

 

 

この一言に思わず切嗣が呆然とする

 

 

「人間なんざ欠点だらけの生き物だ。テメェのせいで迷惑掛けて、結局人任せにしちまう奴だっている。そんな薄汚い奴はこの世に、そこら中にゴキブリみてぇに蔓延ってる。けどな…」

 

 

善明は木刀を担ぎ、語り続ける

 

 

「そんな世の中を必死で喰らい付きながら生きてる奴だって居る。そんな薄汚ねぇ奴らを正しくしようとする奴だって居る。テメェ一人が苦しい想いしてんじゃねーんだよ」

 

 

「………」

 

 

「どんなに頑張ろうが実らない事だってあんだよ。それをテメェは犠牲や代償を無くして実現出来ないってか……俺から見りゃテメェがよっぽど争いを生んでると思うぜ」

 

 

善明の言葉に切嗣の心に突き刺さる

自分の理想が間違っている、否定されている…寧ろそれが争いの火種になってしまったという罪悪感が切嗣に圧し掛かる

 

 

「争いを無くすなんざ所詮はテメェの理想であって世界中の奴らの理想じゃない。それに人を守る前に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェの大事なモン守る方がよっぽど難しい」

 

 

「ッ!?」

 

 

その直後切嗣の脳内である事が映し出された

 

 

 

 

 

寒空の雪景色の中でクルミの冬芽探しをしているイリヤ

 

 

 

 

 

仕事で疲労している時でも側で笑ってお茶を出しているアイリスフィール

 

 

 

 

 

ポタ…

ポタ…ポタ……

 

 

 

切嗣のズボンに垂れ落ちる

それは目から出た涙だった。頬を伝え顎の先から垂れ落ちる

 

 

「…イリヤ!……アイリ!……」

 

 

両手を額に当て大粒の涙を流す切嗣

 

 

「まずはテメェの大事なモン、守ってからだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崩壊した場所で佇む二人

嘗て正義の味方に憧れていた魔術師殺しと不屈の魂を持つ転生者

 

 

 

月夜の光が照らし、会合(たたかい)は静かに終えた




久しぶりの投稿で色々忘れてしまっていると思ってます
それ以外にも風邪やPCのオーバーヒートなど大変な事が起こって投稿が遅れてしまってるという

言い訳になってしまってスイマセン
これからの更新も遅れると思いますがよろしくお願いします!!
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