幻想と魔導書と伝説と 〜The Magic of Calligraphy〜 作:名状し難いもふもふのような何か
2/14 タイトルを変更しました。
この世界には色々な本がある。普通の小説や歴史のある書物はもちろん、本自体が意思を持っていたり伝説上の生き物が書いたとされる書物だってある。後者はこの世界ではこう呼ばれている。グリモワールと。
「あぁ〜……今日もいい天気だな〜…」
僕は読みかけの本を置き、窓の外を眺めながら呟いた。
「おいルフ、何変な声だしてんだ。炭酸抜けたみたいな感じになってんぞ」
「失礼な、僕は炭酸飲料じゃないよ」
「そこじゃねぇよ」
僕の友人、サグナ・アライヴァルがハキハキした声で注意してくる。
「それより、本当にいいのか?俺は一人でもよかったんだが…」
「もう決めたことだよ。それに僕はこれが何か知りたいしね」
僕は置いた本を見ながら呟いた。
〜時は2時間前に遡る〜
「うーん、やっぱ広いなぁ…父さんの部屋は」
僕の家は裕福な部類に入るようで父さんや母さんの部屋を含め、とても広い家になっている。掃除も僕一人でやるからとても大変なんだよね。で、現在は父さんの書斎を片付けてるんだけど……
「本当父さんは本好きだなぁ…冒険者とは思えないよ…」
そういいつつ部屋の3分の2を埋め尽くす本棚を見つめる。あまり帰ってこなかったくせにこういうのだけは母さんもびっくりするレベルで溜め込んでる。どっから拾って来るんだろう…
「これどこから手をつけようかな………ん?」
それは偶然だった。たまたま本棚から少し出ていたから、色が緑色で少し目を惹かれたから、理由はなんでもよかったのかもしれない。それがきっかけだった。
「何これ?Grimoire of Emerald…?うわっ!」
僕がそれを手に取った瞬間、光が迸った。そして次に目を開けた時には…
「……ここは?」
知らない場所にいた。水の中にいるような、不思議で、幻想的な空間だ。
「ここは過去と未来をつなぐ場所よ。勇者の子孫、ルフ・マレフィカ。」
後ろから声がかけられる。そちらを向くと小さな光が一つ、ふよふよと浮いていた。
「君は?なんで僕の名前を知ってるの?」
「それはあなたが勇者の子孫だから。私に名前はないわ、勇者の子孫」
「なんで僕はここに?」
「物怖じしないのね。あなたが私を手に取ったからでしょう?」
え?僕はこんなちっさな光なんて取って無いはずだけど…あ、もしかして。
「もしかしてあの緑色の本?」
「そうよ。私はGrimoire of Emeraldに宿る精霊、フェイ。あなたの父親フロウが元マスターなのだけれど、死んでしまったからね。今はあなたがマスターということになってるわ」
えっとつまり、父さんがこの本を拾ったのはいいけど死んじゃったから本の持ち主が僕に変わるってことかな?
「そういうことよ」
「考え読まないでよ!」
「いや、顔に書いてあったから」
「僕どんだけわかりやすい顔してたの!?」
そんなにわかりやすいかな……。まあこの際表情のことは置いといて。
「それで、マスターになるのはいいけど僕は何をすればいいの?」
「あら、フロウから聞いてないの?」
「いや全く。父さんは自分の書物の中身を教えてくれないことが多々あったしなぁ…」
なんか危ないものもあるからとかなんとか。
「なら教えてあげる。貴方がすべきことは全部私に書かれている。でもそれは貴方自身が見つけるべき事柄よ。私が託されたのは貴方の成長を見守ることとそれを手助けすること。だから貴方には冒険に出てもらうわ」
「えっ!?ちょっと待ってよ僕は冒険なんて出来るほど強くないし魔法の才能だってないんだよ!そんな僕がどうやって」
「それを手助けするのが私の役目だと言ったでしょう。つべこべ言わずに支度なさい。あ、あと私もついていくからね」
「えっちょっまっ」
「………きな…い…」
「んぅ……」
「起きなさい、勇者の子孫!」
「……あと五年…」
「どんだけ寝るつもりなのよ!早く起きなさい!」
ポフッ
あ、なんか軽いものが僕の顔に乗った。なにこれ。
「んぁ……なにこれ……?」
虚ろな目で顔に乗った小さなものをつまんで持ち上げてみるとそこには妖精がいた。
「なんで私がこんな猫みたいなつままれかたされてるのかしら?」
「……上にいたから?」
なにこの妖精、可愛い。でもどっかで聞いたような声だなぁ……
「あ、もしかしてあの時の光?」
「そうよ。フェイと言ったでしょう。覚えておきなさい、勇者の子孫」
「その勇者の子孫って長いからルフって呼んでよ」
というか勇者の子孫ってなんだろうか。父さんも母さんもそんな話はしてなかったしなぁ…それに冒険なんて父さんが許してくれなかったけど大丈夫なんだろうか
「あ、フロウからの預かり物よ、はいこれ」
そういうとフェイは小さな紙を僕に手渡した。どっから出したの……? 紙にはこう書いてあった。
「愛しのルフへ お前がこの紙を見ているということは今は16になったんだろう。冒険なんて父さんはさせたくないがどうやらそうもいかないらしいからな。このGrimoire of Emeraldが入っていた本棚の裏にある持ち物を持っていけ。それでなんとかなるから。くれぐれも無茶はしないようにね」
小さい紙にこうやってびっしり書くなんて父さんらしいな………って
「なんで父さんがこんな予言じみたことしてんのさ!?」
「あー…それはまあ私のせいね。まあ冒険してたらわかるわ」
んなアホな。そういえば冒険で思い出したけどサグナも冒険するとかなんとか言ってたな〜
「おーいルフー。遊びに来たぞー」
なんてタイミングだ。
「ここかー?お、いたいた、ってなんだそれ妖精か?」
「え、あ、うん」
「あら、貴方が…」
フェイは認識があるのか少し思案顔になりながらサグナを眺めている。どうせだから僕も真似してみる。
「ぷふっ…なんて顔してんだ、そこの妖精はともかくお前は似合わなさすぎるぞ」
どうせ僕に思案顔は似合わないですよ!
「ちょうどよかったよ、サグナ。君は前に冒険したいって言ってたよね?」
「あ、あぁ。どうしたいきなり」
「僕も行くよ、旅に」
「は…………?」
〜時を戻して〜
「にしてもフェイ、中全部白紙だったんだけど」
『それはそうよ、貴方はまだなにもわかってないからね』
「おわっ!?頭ん中に声が!!?」
びっくりしたぁ…そっか、本に声帯はないもんね。にしても念話なんて器用だな…
ちなみに、本棚の裏からは冒険者セットみたいなものが出て来た。コンパスと地図、鉄の剣にバックラー、あとはメモ。メモには単純に一言、「母さんの友人を頼れ」と書いてあった。父さんってこんなキャラじゃなかったような…
そんなこんなで旅に出ることに決めたけど大丈夫かな…主にこの地図村の地図なんだけど………
はい。ルフ君ほんと可愛ゲフンゲフン。
どうも、異形のもふもふです。以前から気になっていたGrimoireさんの楽曲の物語を書いてみたくて、思い立ったが吉日。早速書き綴ってみたのです。結果最初からこんなに長くなってしまいました。文章まとめるの本当苦手…
一応大まかな構成は考えていますが合間にちょこちょこ入れたりとかもあるかもしれません。最終的には同じになりますがw
あまり長々書くのもあれなのでここら辺で。よければ感想をよろしくお願いします!